satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第169話

~前回のあらすじ~
バトルが終わり、ピカの頭の中で作られていたシナリオを話しています。今回もその続きですね。何を考えてピカはあんな風に動いていたのかって感じです。まあ、作中で語っている通りではあるけど。
ピカ「勝つために手段は選ばない主義~」
フォース「そのために自分が死ぬことになっても?」
ピカ「うーん……必要なら?」
フォース「お前怖いわ」
ホノオ「命大事にが大切だよ、ピカちゃん?」
ピカ「? はい」
もう怖いこと話さないでね……?
では、始めます!


「抜き打ちテストだったかどうかは置いておいて……大将が誰でもいいとなれば、相手を出し抜けると思いまして」
敵側の先入観を利用した作戦。ピカの用意した作戦はそれだったのだ。仲間にも伝えなかった理由としては相手に知られないようにするためである。
「エレキさんとかに悟られるの嫌だったんですよ。あの人、鋭いところあるから……今回に限っては杞憂だったみたいですけど」
「不安要素は減らしたかったってことかよ」
「そういうこと。……私が倒されても終わらないってことに気付いたら、まずは私を疑うと思った。何かしたんじゃないかって。目の前の私は本物なのかって」
「ピカちゃん、“ドール”を使うからそういうことを疑われても仕方ないかもね」
「そこで戸惑いが発生して隙が出来てくれればいいなって。そして、相手はまた考える。大将はどっちなんだと」
考えもしないからこそ、有効な手立てである。ピカだからそこ有効な手。初戦から仲間に指示を飛ばし、試合を思い通りに動かしていた。そんな彼女が大将でないなんて考えるわけがないのだ。
「最初の紹介でも補佐がリーダーだって感じの紹介だったのもある意味洗脳みたいなものですよね。私はそれを利用したまでです」
「駄目だったらどうしてた?」
「駄目なときはフォース君が何とかしてたんじゃない? 私は戦闘不能になることに意味があるわけで、倒れた後のことは知らないでーす」
「くっそ……投げやりだな」
勝つためなら自分をも犠牲にしてしまう。そんなことが出来てしまうのがピカなのだ。こんなパートナーを持つポチャは苦労するなと勝手に考えていた。
「あ、じゃあこっちの大将は誰だったの? 俺? フォースくん?」
「あー……それですか」
ピカは少しだけ考える素振りを見せるが、にこっと笑って返した。
「私は知らないです」
「そっかぁ」
「いやいやいや!? どういうこと?」
ピカの返答に深くまで突っ込まなかったホノオの間に割って入った。彼女は表情を変えることはなくその質問に答えた。
「言葉通りの意味だよ。見ないで選んだから。私を抜いた二人から勝手に選んできました☆」
「ピカちゃんらしいって言えばらしい。そういう作戦好きだね」
「マジか。誰も把握してないってこと?」
「あの場で戦っていた人達に限ればそうだね。運営は知っているから……私はね、少しの不安も残したくなかったの。些細な動作で私が大将じゃないって他の人だってバレる可能性がある。いや、私じゃないってバレるのはいい。特定されるのは困る」
万が一ということを考えての行動なのだろう。しかし、想定外という言葉もある通り、ピカが倒れる前にフォースやホノオが倒れる可能性だってあったはずなのに、そちらの心配はしていない。
なんて風なことをピカに問いかけてみると、苦笑しつつ答えた。
「あの場では誰でもやられる可能性があるんだから、そこら辺の心配はしても仕方ないかなって。まあ、やられる可能性が高いのは私だって思ってたし、ホノオさんやフォース君がやられるなんて想像出来なかったけどね」
「そこまで評価してもらえるのは嬉しいなぁ♪」
「……そういうこと、なのか?」
「ふう。とりあえず、私が答えなきゃいけないのはこんな感じ? もういい?」
一通り答えたと思ったピカはぐでっと再びベンチの上に寝っ転がった。ホノオはもう聞きたいことはないらしく、ありがとうとお礼を言った。フォースはまだ納得いってないようだが、話す雰囲気でもないと思ったのか、特に反対はしなかった。
「ホノオさん、本当にありがとうございました。今度、お礼しますね」
何度目か分からない謝礼にホノオは嫌がる素振りもなく、こちらこそと返す。そして思い出したかのようにぽんっと手を叩いた。
「俺、あいつにお灸を据えに行かなくっちゃ」
「え、あのバトルで十分じゃねぇの?」
「うん。俺ばっかり救助隊の仕事任せるからさ。このまま仕事行っちゃおうって思ってる♪」
「うえぇ? ストイックな……」
「そんなことないよ。真面目さで言うなら、ポチャくんには負けるよ~♪ ピカちゃん、フォースくん、それじゃあね~」
そのまま手を振って出ていくホノオをフォースも同じように手を振って見送った。この控え室にはベンチで寝たままのピカとフォースだけになった。こんなバトルをした後に仕事へと出掛けてしまう元気があるんだと感心してしまう。ホノオにあっても、パートナーにそれがあるのかは謎であるが。
バトルが終わった今、ここに長居する必要はない。そろそろイブ達とも合流しなければならない。ドアの方を向いていた体をくるりとピカの方へと戻した。
「おい。そろそろおれらも出るぞ。すぅ達も待ってるかもしれないし」
「んー」
返事はするものの、動く気はないらしい。寝たまま全く動かない。完全にスイッチが切り替わってしまったのだろうか。そうなってしまえば動かすにはそれなりの労力が必要である。が、フォースは何か違和感を感じる。
「ラル?」
「あぁ……ちょっとヤバイ」
「……どうしたらいい?」
「あさ姉様連れてきて。……多分、近くにいる。まあ、いなくてもフォース君なら分かるでしょ……早くしてくれると助かるな」
「一分だけ時間くれ」
届かないドアノブにもジャンプして器用に開けると、迷うことなく左に進んだ。正直、ピカが浅葱を連れてこいという明確な理由は分からないが、恐らく先程のバトルで何かあったのだろう。それも重大なことが今、起こっている。
「あのザングースに何かされたのか? 見てた訳じゃないから、見当がつかねぇんだよな」
考えをまとめるよりも先に前を歩く浅葱を捉えた。ついでにポチャも一緒にいるらしい。そして、こちらに向かって歩いてきていた。
「あ、いた。ペンギン!」
「フォース! お疲れ様。……ピカは?」
「控え室。浅葱さんだっけ? その人を連れてこいって言われた」
「あら。予想的中みたいよ、ポチャ君」
「……はあ。囮なんてするから」
フォースに名指しされたとき、大して驚きを見せることはなく、むしろ予想が当たって笑みがこぼれた。しかし、その笑みは当たって嬉しいというよりは、困ったような戸惑いが含まれた笑みであった。
「フォース君だったかしら? 早くピカちゃんのところへ戻りましょう。遅くなるとピカちゃんの命に関わるわ」



~あとがき~
一難去ってまた一難。ピカは運がないね。特に本編後半。いや、真面目に悪いと思ってる。(直すつもりはない)

次回、ピカの身に何が……?
大丈夫。死にはしない。(多分)

ピカ側の大将が誰なのかについてはもう少し待ってくださいね~! 運営側だったポチャ君の口から聞けると思いますので。多分。

次の話はやるか永遠と迷った話ですね。けどまあ、せっかくなんでね。やろうと思います。そんな軽い気持ちでピカを危険な目に遭わせているんですがね。仕方ないね! 私がルールですからね!
怒るならこんな目に遭わせた太陽に言ってね。私じゃないよ。
太陽「えー? それは責任転嫁ってやつだよー」
浅葱「転嫁してないわよ。私は正当だと思うのけれど?」
太陽「ん? そう? まあ、ハニーがそう言うならそうなのかもね」

ではでは!