satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第204話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ルーメンおじいちゃんとの手合わせも終わり、ラルの一人反省会を繰り広げてました。
今回でこの朝練の話も終わりじゃい!


《L side》
ある程度の脳内反省会は終わったため、リランに渡してしまった雷姫を回収しようかな。あそこでぶんぶん振り回されてるし。
「来い、雷姫」
『呼び戻すのが遅いぞ、マスター!』
自分の手元に雷姫を呼び、腰のベルトに再度帯刀させた。いきなり雷姫がいなくなったリランはぽかんとしていたが、すぐにこちらを振り返って一直線に駆け寄ってきた。
「雷姫と遊んでくれてあんがとね、リラ~ン♪ また今度、遊んでくれる?」
「あんっ!」
『やめんか!!』
「任せて!」と言いたげなキメ顔のリランに、雷姫は焦ったように止めに入った。……まあ、雷姫が嫌がったとしても、リランはこれからも彼女で遊び続けるだろう。
……今回は私のせいだけども。
そろそろ時間なのか、少し離れたところでルーメンさんが朝練終了の合図を出していた。それを聞いたメンバー達はきりのよいところで終わらせ、バラバラと帰っていく。
私もそろそろ戻るか。寝坊助ティール君も、この時間ならお目覚めに……なっていたら、いいなぁ……ちょっと起きてくれてるかは微妙だ。私の予想では、まだもぞもぞしていると見た。
「ラル」
「あ、ルーメンさん」
各メンバー達の指導や撤収の合図を終えたのか、ルーメンさんが再びこちらへと近寄ってきた。
「改めて、ワシの相手をしてくれてありがとう。なかなかに楽しかったぞい♪」
「そ、そう言っていただければ何よりです」
私的にはしばらく、あなたとはやりたくはない。……とは言わず、にっこりと笑っておく。
「さっきも言ったんだが、もうちっと視野が広がると可能性も広がると思うぞ? まあ、元々が広いみたいじゃが、まだ伸びるだろうな♪」
「……は、はぁ」
そうなってくれたら、私も嬉しいけど。どうしろっていうのさ。難しい話だな。
「それと、体力もな」
「んー……っと。そこつきます?」
「もちろん。あのスピード戦闘だからの。息が上がってしまうのは仕方がないが……せっかくの火力が死んでしまう。何事も、体力は大切じゃよ?」
心に留めておきます……
私が最後だったのか、アドバイスをしたあと、ルーメンさんはギルドの方へと戻っていった。私もツバサちゃんとこのあとの朝ごはんの約束をして、部屋へと戻った。

「おかえり! ラル!」
部屋の扉を開けると、すっかり目が覚めたしーくん(パジャマ姿)が天使の笑顔でお出迎えしてくれた。そんな笑顔につられて、私も笑ってしーくんの頭を撫でてあげる。
「ただいま、しーくん。よく眠れましたか~?」
「うん! いっぱいねたからげんき!」
ぴょんぴょんと跳び跳ねて、元気アピールのつもりらしい。そんな一つ一つの動作すら愛しく思える。本当に可愛いな、うちの子!?
「よしよし。元気なのはいいことだ! あ、そだ。私、ちょっとシャワー浴びてくるけど……ティールは?」
「まだねてる」
やっぱ、まだか。
「じゃあ、パパ起きろーってしといて~? 五分で戻る」
「ん! わかった!」
元気一杯な笑顔でティールが眠るベッドによじ登る。私が出てくるまでに起きてくれば優秀な方なんだけれど、果たして今回はどうなんでしょうね。
まあ、今は相棒のことはしーくんに任せることにして。私は着替えを持って、お風呂場へ入り、手早くすませる。
汗を流すだけでいいから、そこまでの時間はかからない。宣言通り、五分ですませて軽く濡れてしまった髪を拭きながら、部屋に戻った。すると、ティールを起こそうと必死な我が子の姿が目に入る。やはり、まだ起きてくれないらしい。
「ラルー! ティール、ぜんぜんおきない!」
ティールに馬乗り状態なしーくんだが、乗られている当人は全く動じていない。規則正しい寝息を立てるだけだ。これが一国の王子であると言うのだから驚きである。王子様ならば、ある程度の危機管理くらい、基本中の基本だと思うのだが。いっぺん、暗殺者とかに誘拐でもされた方が警戒心もつくのではないだろうか。
……まあ、そんな冗談はさておき。
ここが自宅なら放置しておく場面だが、ここは外。快適なお部屋ではあるが、昼過ぎまで寝ていいことにはならない。
「んーもー! ティール! あーさー!」
ぺしぺしとティールを叩いて起こし作業をしているしーくんだけれど、布団にすっぽりと隠れているティールからの反応はない。緊張感もなく、完全に熟睡している。ある意味、羨ましい限りだ。
「ここまでくると、最早才能だよね。何しても起きないぞっていう才能。ったく、世話の焼けるパートナーだなぁ……しーくん、一旦、ティールの上から降りて?」
「りゅ? はーい」
しーくんがベッドから降りると、私はティールの掛け布団を一気にはがした。そして、無理矢理、体の向きを仰向けに。流石にここまですると、身動ぎの一つや二つはし始めてくる。彼の小さな呻き声が聞こえてきたところで、私はびしっと指を指しつつ指示。
「行け、しーくん!」
「おー!」
今度はティールのお腹に乗っかると、先程と同じようにぺしぺしと叩き始めた。ただ、今はティールの顔が見えているため、ぺしぺし攻撃はほっぺたをきちんと捉えていた。
「うぅ~……や、やめて~……お、おきてるからぁ」
「ダメッ! おめめ、あいてない!」
「あいてなくても、おきてる……いてて」
声はまだ眠そうだけど、一応、話せるまでは覚醒してきたかな。
「ほら、ティール。さっさと起きて。ここは自宅ではないんですよ~?」
「わ、わかってる……わかってるけど、眠いもんは眠いって言うか……?」
やれやれ。これを二週間続ける気かね。
「んもう。……朝ごはん、なくなっちゃうよ? これから、ツバサちゃんと食べるって約束があるんだからしっかりしてよねぇ?」
どうにかしーくんのぺしぺし攻撃から逃れ、もぞもぞと着替え始めたティール。眠気でぼんやりとしている彼ではあるが、話は聞いていたらしい。
「ツバサと約束……? いつしてきたのさ……?」
「ついさっき。君が気持ちよーく寝ている間に、散歩に行ってきてたの」
どこまで話したものかと一瞬だけ考えるものの、どうせ、ぼやぼや頭のティールには半分も聞こえてない。適当に説明しておいても問題はないだろう。
私は散歩で部屋を出ていたこと、訓練所として解放されている中庭で『明けの明星』メンバーの朝練に遭遇したこと。そして、その朝練に混ざっていたことを簡単に説明した。
「……ふーん? 朝練ねぇ」
話を聞く中で、ティールの目も覚めてきたのだろう。私の言葉に引っ掛かりを覚えたらしい。
「何してきたの」
「軽く運動してきただけ。変なことは一つもしてません」
「シャワー浴びるほどの運動を軽くって呼ぶかなぁ」
くそ。なんで知って……あぁ、タオルか。首にかけたまんまだった。それに、髪もまだ濡れている。ティールにしては、よく観察しているな。
「あーもう。手合わせしてきたの! でも、本当にそれだけだよ。ティールが心配するようなことはしてないから!」
「手合わせ、ね」
じとーっと探るような目に思わず、視線を逸らした。彼の視線が痛すぎる。なぜ、こんな気分になっているのだろう。
ティールが気にしているのは、相手が誰だったのかである。怪我とかそういうところは気にしていないだろう。しているしていないは見れば分かるし。
「……何度でも言うけど、心配するようなものはなんにもないからね? それを踏まえた上で聞いてよ?」
その言葉にティールは無言で頷いた。
「私の相手はルーメンさんでした。……はい。終わり」
「は? 無謀すぎない? そこまで無茶したいの……?」
違うわ! 不可抗力! 不可抗力だから! 私がよろしくしたんじゃなくて、よろしくされた方! 勘違いしないで!?
「う? おじいちゃんとラル、たたかったのー?」
「そうらしいね。全く……一人でよくやるよ。伝説の冒険家『赤獅子』だよ? 生きた伝説相手に手合わせ? 君は何て言うか……もう、うん」
だぁかぁら! 不可抗力!
「私から志願したわけじゃない! その諦めの目で見るのやめろ!? というか、信用して! なんにも! なかった!!」
「ほんの数ヶ月前に“雷龍”使った人がなんか言ってる~……他にもちょこちょこやらかしてるの、ぼくは忘れてないよ?」
そ、それを言ったらティールだって……
とはいえ、やらかし案件の数は圧倒的に私が上なのも事実。もちろん、私自身はリスクがあるのを自覚した上で動いているのだけれど。
「ラルの無鉄砲なところはもう直らないって分かってるけど……せめて、ぼくが見てないところで無茶やんないでくれると嬉しいなって」
「……ぜ、善処する」
いや、待て。今回に限っては何にもしてないんだけれど!?
どこか釈然としないまま、ティールのちょっとしたお小言を聞き、朝ごはんを食べに部屋を出るのだった。



~あとがき~
警戒心皆無な王子様。

次回、ご飯食べつつ、本日の予定を立てます。

ティールって王子の自覚無さそうですよね。朝弱いし。一人のときに狙われるなんてことなかったんだろうか……?
まあ、彼にはスイとセツがついてますし、白雪もいるから平気なんでしょう。きっとそういうことや。
今はラルがセコムしてそう(笑)

ではでは。