satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第250話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はユウアちゃんと色々話して終わりました。
水晶の花の話とか、ルーメンさんの奥様、ルーチェさんの話とか。
ルーチェさんの話は今後あるのかは……どうなんだろうね。私もよく分かりませんが、今のところそんな気配はなさそう?
とまあ、そろそろ! 次のステージに行きたいところですな! 


《L side》
出てきた時はぐるりと確認するように一瞥していたものの、それも満足したらしく、どこか眠そうなクルス君。ユウアちゃんをじっと見つめたまま、微動だにしない。それはユウアちゃんも同じでクルス君を見つめたまま、動こうとはしなかった。
「クルス、仕事」
「……」
「面倒臭いって言わないの。それがあなたの仕事でしょう?」
「……ぷ」
「仕方ないなぁ~……じゃない! もう!」
毎度のことながら精霊って、主ではない私からすると、何を言っているのかさっぱりである。クルス君も例に漏れず、一言しか発していないものの、ユウアちゃんとはきちんと意志疎通できているらしい。
まあ、ユウアちゃんの場合、同じ精霊同士だから分かるのかもしれないが。
私達を放置プレイ中のユウアちゃんは、クルス君の額を人差し指でトンッと触る。ほんの一瞬、ユウアちゃんの指先が光るが、気にする素振りもなく、そっと離した。そして、クルス君に向かって「よろしく」と一言。
それを聞いたクルス君は、表情をピクリとも変えないまま……つまるところ、面倒くさそうにしたまま、再び地面へと戻っていった。
「……あれ、逃げたわけじゃないよね。おサボりコースではないよね」
「まさか。ラルじゃあるまいし」
「んだと、このやろ。……で、ユウアちゃん。この一連の行動については聞いてもいいやつ?」
「はい。あれは中間報告みたいなものですよ」
中間報告。この状況で報告する相手と言えば……一人しかいないな。
「ふふ。お察しの通りです。ルーメン様へのご報告です。ここまで来たスカイのお二人に関してのご報告を頼んだのですよ♪」
……ここまでの私達を、ねぇ。
どんな内容を……と、聞いても教えてくれなさそうだ。単なる到着を知らせるものなのか、もっと別の目的があるのか。両方のような気もする。
まあ、いい。結局のところ、私達がすることは変わらないのだ。
そろそろ行こうか、とティールに投げ掛けようとした瞬間。ユウアちゃんがパッと愛らしい笑顔を浮かべ、私達の目線まで飛行する。
「ここから先、私も同行します!」
「え」
「この場所で長話もなんですし。私がついていけば、お話ししながらでも先に進めるでしょう?」
いや、「いいアイデアでしょ!」みたいに言われても。……これは、予想外で急展開だな。
私は隣のティールをちらりと見る。彼も今の状況についていけていないらしく、どうしようかと困ったように笑っている。
「えっと……ユウアちゃん、ここを離れてもいいの? 石碑はあなたの一部というか……そういうものだと思ってたんだけど」
「問題ありません。私の活動範囲はこのダンジョン内、全てなので!」
ア、ソウデスカ……
「それに、ラル様達の疑問は未だ解消されていないものもあるでしょう? 探検の道中でよければ、私がご説明致します」
確かに、なくはないけども。
……本当に受け入れていいのだろうか。
別にユウアちゃんを疑うわけではない。……わけではないが、何かあるのではと思ってしまうのは、心配しすぎなのだろうか?
「ご安心ください。私自身、戦闘能力は高いんです。お二人のサポートもお任せください!」
私が黙っているのをどう捉えたのか、ユウアちゃんが付け加える。
そりゃ、ルーメンさんの魔法力を備えた精霊アンドロイド。その辺りはそうだろうなと思っているが。
「……どうする?」
ティールの問いかけを聞きつつも、私は黙って思考する。
デメリットはない……と思う。
この先の戦闘が楽になるし、疑問点は解説してくれる。ダンジョンの管理者が案内してくれるのなら、頼もしい限りだ。
……理解はしてるが、なんだろう。何かあるような……妙な不安感というか。ユウアちゃんを通して、ルーメンさんに見られているような感覚とでもいうか。
いや、それは最初からか。手のひらで踊らされている感覚はあったんだし。
そもそも、今更、その辺りを気にしても仕方がない。それに、何があっても、ティールとなら、なんだって乗り越えられる。今までだってそうだった。
ならば、答えは一つ。
「受け入れる。断る理由がないからね。……ま、何かあってもどうとでもなるっしょ」
根拠のない解答ではあったものの、相棒はふわりと笑う。
「うん。ラルらしい答えだ。……リーダーの言う通りにするよ」
「ありがとう。……ってことだから、よろしくね。ユウアちゃん」
「はいっ! よろしくお願いします!」
こうして、私とティールは、新たな仲間、ユウアちゃんと共に奥地を目指すことになった。

思いの外、中間地点で長居をしてしまったものの、そのお陰で幾分か体力は回復したように思う。あくまで、体力は、だが。
そして、安全地帯を抜けたということは、今後、戦闘がついて回るという意味でもある。
中間地点を抜けた辺りから、また一段と強さを増したのか、ゴーレムの攻撃や全体のステータスが上がったように感じる。
ゴーレムの攻撃を紙一重でかわしつつ、後ろで掩護射撃の用意を済ませているであろうティールを呼んだ。
「任せて!」
初めのスタンスから変わりなく、協力できる場面は二人で対処していった。強くなったといっても、一人でも対処できない程ではないし、落ちついていれば問題ないくらいの強さである。
それに加え、今の私達には小さな仲間もいるわけで。
「私も援護致します! “ラヴィテス・アップ”!」
法名を聞いただけでは、なんの魔法なのかはさっぱりだったが、体感、私自身のスピードが増した気がする。となると、“ラヴィテス・アップ”とは、素早さ向上のバフ支援魔法なのだろう。
ティール様にはこちらを。……“ハルード”!」
ゴーレムの攻撃を剣で受け止めようとしていたティールに魔法をかけていた。状況からして、防御力アップの支援魔法っぽい。多分。恐らく。きっと。
とまあ、私とティールが着実にゴーレム達を倒す中、ユウアちゃんがキラリと目を光らせた。
「ふふんっ♪ 私もラル様とティール様に続きますよー! “ロックル・ブラスト”!」
明らかに攻撃魔法っぽい名前だな!?
ユウアちゃんが魔法を唱えた瞬間、数体のゴーレム達が地面から突き出てきた拳型の岩よて華麗に吹き飛ばされる。
そして、それを目の前で見ていたティールは驚きで呆然としていた。
「……うわ。豪快すぎる」
『ゆあちゃ、ぜっこーちょー』
『てきのごーれみゅ、ばーんてなった~』
これ、一歩間違えたら巻き添えを食らうのでは? 嫌だよ!? 仕事の失敗理由が案内役の精霊による巻き添えなんて!
「ふふっ♪ このくらい、朝飯前ですっ♪」
私の懸念なんて露知らず。ユウアちゃんは自信満々で楽しそうである。
「ユウアちゃん」
「はい? どうかしましたか、ラル様?」
「うん。あのね? ユウアちゃんはバフでの支援に徹してほしいなって。あの、色々危ないわ」
「? かしこまりました……?」
……理解してねぇぞ、この精霊アンドロイド。流石、ルーメンさんの精霊だ。……厳密には違うけど、ルーメンさんの協力のもと、魔法を取得しているのだ。これは、ルーメンさんのせいといっても過言ではないと思うんだわ。うん。
もしくは、仲間として戦ってくれるのなら、もう少し控えめな攻撃魔法を覚えていただきたい。
私とティールはお互いに苦笑を浮かべつつも、ユウアちゃんに対して何かを言うことはなく、先へと進んでいった。



~あとがき~
ようやく、中間地点を脱出じゃい。
というか、もう250話……ひぇ。

次回、“時空の叫び”と過去への推測。
またまた、ラルには能力を使ってもらうぜ……!

もう少し、戦闘シーンを書けたらよかったんですが、大して思い付かなかったのでさらっと流してしまいました。申し訳ない。
とりあえず、ラルとティールが頑張ってると思ってください。そして、頑張る二人をバフで援護するユウアちゃんって感じっす。はい!

ではでは。