satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第247話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、謎の妖精ユアちゃん(仮)に連れられるまま、中間地点の中腹へとやってきたラルとティール。そして、やげやりにパーツの交換よろしくされましたとさ。


《L side》
ここまで案内するだけし、丸投げした妖精がログアウトして数分。
私とティールは、とりあえず目の前の石碑を観察することにした。いや、これが依頼にあった機械ならば、石碑と表現するのは変か? いやでも、見た感じは機械ってよりも、石なのだ。
そんなよく分からない石碑を見つめつつ、私はため息を漏らす。
「世の中、そんなに甘くないってことなのか。なんでも教えてやんよってことじゃないのか。……悲しい」
「いやぁ、ルーメンさんの口振りを考えると、誰だってあの子が教えてくれるのかなって思うよ。ま、あの様子だと難しそうだけどね」
ティールの言う通りだけどさ。少しくらい、ここに入れればいいとか、なんかあってもいいと思うの。それすらもなかったからね? どうしろってんだ。全く。
現状に対する不満をもんもんと抱えたまま、石碑っぽい機械─或いは、機械っぽい石碑─を調べた。その結果、何かをはめるための窪みを二つ発見したのと、何らかの言語が彫られているというのが分かった。
「ここにある言語、何語だろ……私の知らない古代文字っぽいな」
「君に読めないなら、ぼくにも無理かな~……フォースとかウィルさんなら読めるのかな?」
恐らくは。
読めない文字をずっと見つめても仕方がない。次に目を向けたのは二つの窪みだ。その窪みの近くに透明なガラス玉みたいなのが二つ、転がっている。普通に考えれば、これらが元々はまっていたのだろう。
と、言うことはだ。
「ここに、持ってきたパーツを入れろってこと?」
「他にそれらしいものがないからね~……そうなんじゃない? とりあえず、やってみようか。ラル、パーツ貸してくれる?」
ほいほいっと~
バッグから、ルーメンさんから貰った袋を取り出し、そこからパーツを出す。袋のお陰か、どこかが破損している様子もなく、綺麗なままだ。
そのパーツをティールに手渡すと、手際よくはめていく。すると、まさしく、機械の起動音のようなものが響き、石が光り始めた。その石の光は、機械の溝を通り、頂点に咲く花を目指していく。
やがて、その光が頂点に達すると、今度は花の方が光り始める。そして……
『エネルギーチャージを確認。充電完了まで残り三十秒……』
という、謎アナウンスが辺りに響いた。
順当に考えれば、目の前の機械が発したのだろう。
「ね、ねぇ……これ、大丈夫なの? ぼく、何か間違えた……?」
「大丈夫じゃない? きちんとはまったんだし、アナウンスにあった通り、充電してるだけだと思うよ。……まあ、その充電が爆発するためのものとかだったら、笑えるけど」
「笑えない!!」
どうしようもなく、くだらない話をしている間にもエネルギー充電とやらは、順調に進んでいるらしく。
『充電完了まで、残り十秒』
「って、あぁぁ!? もう時間ないんだけど!?」
「だーいじょぶだって~」
「えぇ!? お気楽だなぁ……」
いやはや、ルーメンさんのことだから、まさかこんなところで爆発させようとは思っていないだろう。それを抜きにしても、ここはギルドの管轄するダンジョンだ。それなりの理由があって、管理しているはずなのだ。そんなところを軽々しくばーんってするわけがない。……常識的に考えて、だが。
……うちの親方じゃあるまいし、そんな非常識な行動なんてあり得ないですよ。えぇ、あり得ませんって。
どこか半ば無理矢理にでも、爆発はないと納得したい私がいるような気がする。
まあ、完全否定できる材料があるわけではないからだろう。この世には万が一と言う言葉もある。
いやいや、冷静に! 常識的に! 落ち着いて考えれば、爆発なんてないとは思うけどね!?
内心ドキドキしつつも、平静を装っていた私は、じっと石碑を見つめる。というか、充電中のそれを見ていた。
『……二……一……充電完了。これより、管理精霊ユウアの再起動を開始します』
……ほう? 『ユウア』とな。
管理精霊という聞きなれない単語にティールも首を傾げていたものの、その後に聞こえてきた名前らしきものに反応を示した。
「ユウアって……さっきの気だるげな妖精のことかな?」
『あい! ゆあちゃだよ!』
『ゆあちゃ、はいぶりっちなの!』
「は……はいぶりっち? 何、その造語……? たまにだけど、お前らの言葉って理解できないときあるんだよな。で、はいぶりっちってどういう意味?」
『んとねー? なんか、すごいの!』
『がちゃこーんってなってて、がったいってかんじ!』
これは……ティールでなくても、理解に苦しむな。私にはさっぱりだ。
さっぱりだけど、『充電』『再起動』というワードから連想できるのは、機械類である。コンピュータとか、その辺のやつだ。それと管理精霊という魔法チックなワードを組み合わせると……?
「まさかとは思うけど、スイちゃん達が言いたいのは、ハイブリッド、かな?」
『おわ! るー、せーかい!』
おおう……マジっすか。
「嘘だろ。ハイブリッドがどう頑張ったら、はいぶりっちになるわけ!?」
『はいぶりっちは、はいぶりっちなのら』
「いやいや。ハイブリッドの方が言いやすいって」
『はいぶりっち!』
はいぶりっちを聞きすぎたせいだろうか。……ハイなブリッジって意味合いに聞こえてきた私は頭がおかしくなったのかもしれない。
よし。この際、ぎゃーぎゃー騒ぐティール達は無視しよう。
機械と魔法の融合体(?)かもしれない妖精は、いつの間にか光が収まり、満開まで咲いた花から起き上がるところだった。
『再起動完了。おはようございます、ユウア。引き続き、ダンジョンの管理を行ってください』
「ふぁ~い……おはようございますぅ」
眠そうに目を擦りながらも起き上がる妖精ユウアは、先程と変わらずジャージ姿……では、なくなっていた。
薄いオレンジ色で花開いたようなワンピースは、いかにも妖精っぽい衣装。そして、綺麗な白銀の髪もきっちりまとめられていた。
「ほわわぁ……?」
何度か瞬きしつつ、私達を見下ろしていた妖精は、何かに驚いたようにぴゃっと飛び上がる。そして、ぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさい! お客様がいらっしゃるというのに、挨拶もせずに!」
……うぅん? これは、本当にさっきまで話していたユアちゃん、なのだろうか。省エネだの、どーでもいいですぅとか言ってきたのに。……あぁ、いや、そうか。省エネだから、あんな態度だったともとれるのか。……いいのか? それで。
「一応、ぼくらとはさっきも話はしたんだけれどね。覚えてない?」
ようやく、聖剣二人との戯れから戻ってきたティールが苦笑いで告げる。あの二人と遊んでいた間も、ユアちゃん改め、ユウアちゃんの言葉は聞こえていたらしい。
「ほえ? そうだったのですか?」
どうやら、ユウアちゃん自身、先程のやりとりに覚えがないご様子。少しの間、思い出すように唸っていたが、パッと顔を上げる。
「そういえば、私、先程まで省エネモードだったので、寝惚けたままお話ししてしまったかもしれません」
省エネモードは寝惚けモードなのか……いや、それはともかく。
「それはスイちゃん達に一応、聞いたからなんとなく分かるけれど。……ねぇ、あなたもしかして」
何らかの機械なのでは、と続けようとしたのだが、それは叶わなかった。
「スイちゃん様?」
『あい! すいちゃだよ!』
『あー! せっちゃもいるよ!』
『ゆあちゃ、おめざめー?』
『おめざめ! おめざめー!!』
愉快な聖剣二人がわいわいし始める。それにユウアちゃんも楽しそう……というよりは、興奮気味に騒ぎだした。
「水泉様に雪花様!? きゃー! 約二十五年振りですかね? お久し振りですー!! お元気でしたか!?」
『げんき!』
『げんきいっぱーーい!』
「それは何よりです! またお二人に会えるなんて感激…………はっ!」
三人の世界で何かに気づいたのか、慌てたように私とティールに向き合う。
「お客様がいらっしゃるのに、また話が脱線してしまいました……! 申し訳ございません!」
うん。ありがとう……気がついてくれて。
三人の世界の外で大人しくしていた私とティールは、お互いにちらりとアイコンタクトを交わした。ようやく話が進むらしいぞ、的な意味合いを込めて。ティールはティールで、若干疲れた様子で小さく頷いた。
そんな我々の様子を知ってか知らずか、ユウアちゃんはふわりと私達の目線まで飛び、明るい笑顔を浮かべた。
「改めまして……ようこそ! ダンジョン『奇跡の洞窟』へ! 私はここの管理を任されています、自立型精霊融合アンドロイドのユウアと申します。以後、お見知りおきを! ラル様、ティール様」
うんうん、よろし……く?
話の流れに合わせて私達も自己紹介をと思っていたのだが、ユウアちゃんはすでに私達の名前を知っているらしい。名乗ったつもりのない私達は不思議に思って、首を傾げながらユウアちゃんを見る。それだけで、言いたいことを汲み取ってくれたユウアちゃんが笑顔で説明してくれた。
「先程、ラル様達がはめてくださった石からエネルギーを充電した際、お二人のデータも送られてきましたので。そのときにお名前は把握しております♪」
どういうシステム……いや、確かにはめた石の一つには、チップみたいなものが埋め込まれてはいたが。そこから、私達のデータが保存されていたらしい。……どこまでユウアちゃんは知っているんだろうか。
聞いてみたいような、ないような……うん。聞かなくていいや。とりあえず、知らない方向でいこう……うん。
「さて……私の自己紹介を終えたので、私からお二人にご質問してもよろしいですか?」
「うん? ぼくらに?」
「はい。……正確には、ラル様にですが」
おや? 私か。
ユウアちゃんは私の目の前に移動し、思いの外、真剣な眼差しで見つめてきた。ついさっきまで、明るく楽しくわいわいと話していたとは思えないくらい、しんと空気まで張り積めたように感じる。
「ラル様」
「は、はい……?」
「先程、『女神の涙』に触れた際、ここの過去をご覧になったと思います。その時、何が視えましたか?」
なるほど……そう来たか。



~あとがき~
そろそろ半分くらい来たのでは?
そんなこと、ないのかな……分からぬ。

次回、ユウアの問いにラルはどう答える?

妖精さん、ラルに適当に名付けられていましたが、お名前が判明しました。ユウアちゃんっすね。よろしくお願いします。
態度急変していて、びっくりしましたかね? 私はしました。
関係ないけど、ジャージのニート姿から身なりを整え、きちんとしたユウアさん。早着替えの達人かなって思いました←

ではでは。