satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第375話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、なんか知らないけどラルとティールがダンスする流れになりつつありました!
そんな中、二人はどうするのかー!
そんな感じで始まります。


《L side》
何も知らないダンスをこんな大勢の前でできる訳ないやろが~い!……という抗議をしても、ツバサちゃんやレオン君は「大丈夫! いけるいける!」と謎の期待を私に向けてきていた。
どうにも、これから逃れることはできなさそうである。
「……仕方ない。失敗しても笑うんじゃないよ? ティール、基本的なステップだけ教えて」
「う、うん。いいけど、本当にいいの?」
この状況下で踊らなくてすむなら、私は踊りたくはない。それが本音なのは確かだ。
しかし、現状、ティールに熱烈な視線を送るお嬢様は多いし、それによって、ティールは下手に身動きが取れないのも事実だ。
「いいか悪いかじゃないよ。するしかないからする。……まあ、私はティールの相棒ですから? 上手くやって見せますけど」
「……ごめんね、ラル。巻き込んじゃって」
「そこはありがとうって言ってくれた方が嬉しい」
「分かった。……ありがとう、ラル」
よろしい。
私はティールと……それから、ツバサちゃんからも基本的なダンスのステップを口頭で教えてもらう。正直、説明されただけで完璧にできるとは思えないが、ないよりはましという奴だ。
「とりあえず、ステップの手順とか、ダンスの流れとかは頭に入れたけど……本当に失敗しても笑わないでよ? 絶対に足踏むけど、怒らないでよ?」
「そこは大丈夫。ヒール部分で踏まれない限りは、表情変えない自信あるから」
……OK、踵で踏まんようにしよ。絶対。
「ラルさん、頑張ってくださいっ!」
「遠くから俺らも見守ってるぜ~♪」
ツバサちゃんは純粋な応援なのだろうけど、レオン君にいたっては、完全に面白がってやがる! いや、分かるわ。逆の立場なら私もニヤニヤしてました……!
「……よし。じゃあ、ラル」
ティールはすっと表情を変える。それは王子様の時にしか見せない、大人びていて、可憐な笑み。
優雅な手付きで、私に向けて手を差しのべ、恭しく頭を下げる。
「お嬢様。私と一曲、踊ってはいただけませんか?」
「……つ、謹んでお受け、しま、す?」
ごめんなさい!? これで受け答えあってますかね!?
内心、混乱している私をよそに、ティールは慣れた様子で私の手を取り、ダンスフロアまでエスコートしてくれる。
ちょうど一曲目も終わり、ダンスしていた人達の入れ替わりが行われる。その中にはブライトさんとセイラさんもいて、二人は私達の姿を見つけると、応援のつもりか、控えめに手を振ってくれた。……もちろん、振ってくれたのは、セイラさんだけなんだけど。
「もうちょっと近づいて」
「え、マジで」
これでも十分近いと思うのだけれど、もっと近づくの?
「マジで」
そう答えたティールは私の腰に手を回して、自分の方に引き寄せるように近寄らせた。
「あ、あの……踊りにくくない?」
「離れてる方が踊りにくい」
……さいですか。
スローテンポな曲が流れ始め、私達以外の人達もそれに合わせて、ステップを踏み始める。
周りの人達は、純粋にダンスを楽しんでいるんだろうけれど、私にそんな余裕はない。
どの足を前に出し、次はどちらに踏み出して~……なんて考えていれば、音楽を聞きながら優雅に楽しむ心なんて、あるはずもなく。
「ラル、ぼくを見て。下ばっかり見てると転ぶよ?」
「でも、足元見てないと踏みそうなんだけど」
「大丈夫だって。仮に踏まれたとしても、雷姫さんの電撃よりは痛くないでしょ」
それは言えてるかも。
私はティールに言われた通り、彼を見るようにしてダンスをするようにした。
とは言え、拙い部分は否めないので、時々、ティールにフォローしてもらいつつ、なんとか形になっている感じだ。けれど、足元ばっかり見ているより、幾分か余裕も出てきた。少しはこの空気に慣れたのか、ティールのお陰なのかは分からないけど。
「……ティールってさ、いつもこんなことしてるの?」
「? こんなことって?」
ダンスの曲もゆったりめでダンス自体は忙しくはない。だから、周りもパートナー同士で会話を楽しみつつ、踊っている人達が多い。
貴族の人達は、こうやって親睦を深めるんだろうか。私にはあまり向いていない気がする。相手が見知った人でよかった。
だからこそ……と言うわけではないが、なんとなく疑問に思っていたことをティールに問いかけてみた。
「こう……社交辞令でにこにこして、嫌いな人にも愛想笑いしてみたり?」
「いつもの君だよね、それ」
うるさいやい。否定はしないけどもだ。
「けどまあ、そういう世界だって言ったら、おかしいけど……そう言うものだよ。本音や自分らしさは建前で隠して、互いの腹を探り合う世界。貴族なんて皆、そんなものだよ」
ティールの口からそんな言葉を聞くとは。
それを知っているからこそ、ティールは王子様である自分が好きじゃないのだろうか。
「ラルは? 初めてのパーティーはどう?」
「あ~……疲れた。気疲れっていうの? 私には貴族様の生活は合わないようで。私、貴族向いてない。なれんわ、貴族」
「うん。誰もラルになれなんて言ってないから、大丈夫だよ」
仮に言われても、なりたくはないけどな。
こんな風に慎ましく行われるパーティーよりも、ギルドで行われる打ち上げの方が何百倍も楽しいかもしれない。まあ、無礼講な打ち上げと、格式高いパーティーを同列に話すのは、お門違いなような気もするけど、比べられるものがそれくらいしかない。
ここまで、マイナス意見しか出てきてないけど、何もそれだけではないのも確かで。
「……こうやって、ティールと踊ったのは収穫かもね。ティールがこういうの、意外と得意なんだって知れたし?」
「得意って言うか、慣れてるだけだよ。嫌って程、叩き込まれたから。ぼくから言わせてもらえば、口頭で説明されただけで、ある程度、形になってるラルの方が凄いけどね」
そ、そうかな。
現在進行形でティールにアドバイス貰ったりしながらも、足踏みそうになってるんですけど、形になってるんか。これ……?
「何度も言うけど、ヒールで踏んでこないだけで及第点だよ」
そこまで言う程、痛いのか……まあ、私の体重がほぼほぼかかるもんな。そりゃ、武器と言うか、凶器か……
「これが終わるまで気を付ける」
「うん。あと半分だから、よろしく」
五分、なっげ。
私はティールにリードされつつも、なんとか五分間のダンスを踊りきった。最初こそ、周りを見る余裕もなかったけど、後半はそこそこやれてたのではないかと思う。



~あとがき~
ちょいと短いけど、きりのいいところなんで!
段取り悪いのは私が適当に書いてるからです。(訳:相方のプロットではなく、私のオリジナルシーンだぜ☆)

次回、ラルに降りかかる新たな災難。
こちらも私のオリジナルシーン。
ろくな目に遭ってないラルですが、もうちょい災難(?)に遭ってもらいます。

特に話したいこともないので、本編に全く関係ない話を一つ。
最近、『学パロif世界線』という謳い文句が嘘に見えてきて仕方がないです。一体、いつになったら、学園生活を送るんだ、こいつら……(笑)
まあ、今年中には夏休みは終わるし、学園に戻れるとは思ってます。いや、戻らないとまずい。(多分、夏休み編だけで一年以上はやってる←)

ではでは。