satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第388話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、“時空の叫び”が発動したり、サフィアが現れたりしました。わっしょい。
そんな今は亡きサフィアとの対面から、物語を始めていきましょう。


《L side》
ティールの問いかけに、当たり前のように反応を返す。そして、微笑みながら、私達に近付いてきた。
私の目にははっきりと視認できている。半透明とかではなく、実体があるように、そこにはっきりと視えている。
もし、サフィアさんが「死んでいる」という事実を知らなければ、生身の人間と見間違えてしまうレベルだ。
「雷姫の目を通さず、ここまではっきり視えるのも珍しいな……」
私個人、フォース君ほどの霊感─彼の場合、霊感と呼んでいいかは困る部分あるけど─があるわけではないので、基本的に半透明状態を視認するのがデフォルトだ。
私の呟きにサフィアさんは、どこか納得するように頷きながら、ティールに目を向ける。
『そう。貴女にはそう視えるのね。……ティールには、ぼんやりとしか視えていないのかしら?』
「ぼんやりというか……よく聞く半透明……?」
『そうなの。……それくらいであれば、話をするのに支障はなさそう。よかった』
「よかった……いや、よくはないです! お祖母様、なぜこのようなことを……そもそも、お祖母様はなぜ、まだこちらにいらっしゃるのですか?」
戸惑いながら、いくつもの質問をぶつけるティールに対し、サフィアさんは楽しげに笑う。そして、質問攻めが止まらない彼をそっと静止させる。
『あらあら、そんなにたくさん、すぐには答えられませんよ♪ ゆっくりお話ししてくださいな。時間はたっぷりあるのだし、ティールが知りたいこと、話せる限り全てを話しましょう』
これが元王妃の貫禄なのか。
有無を言わせない雰囲気に、私はもちろん、ティールもぴたりと口を閉じる。それを確認したサフィアさんはちらりとベンチに目を向けた。
『さあ、二人とも。まずはそちらへお座りなさい。……大丈夫、ちゃあんと答えますから』
私達は互いの顔を見合わせ、促されるまま、ベンチに腰掛ける。そんな私達の目の前へサフィアさんが移動すると、『何から話しましょう』と呟いた後、段取りでも決まったのか、にこりと笑う。
『まずは、そうね。自己紹介をしましょう』
と、わざわざ私の方へ向き直り、優雅な仕草で頭を垂れる。
『私はサフィア……サフィア・クランド・リエンマイム。この海の国の元王妃です。よろしくね、ラル・フェラディーネさん』
「ひゃ!? わ、私相手にサフィア様が頭を下げなくて、も……? あれ、なんで私の名前を?」
サフィアさんに教えていないし、名乗った記憶もないのに。
『見ていたの。ずぅっと空の上で。……人が天界と呼ぶところでね』
「天界ってことは、サフィア様は誰かの従者ってことですか!?」
つまり、サフィアさんはフォース君と同類!?
『あら、そうだった。こういう話は二人とも通じるのだったわね。……そう、今はとある神様のお手伝いさんをしているの』
私の反応を楽しむようにクスクスと笑いながら、こくりと頷く。
「お祖母様は神の従者だから、今もこちらにいらっしゃるのですか?」
『そうね……結果的には。あぁ、安心して? この身分も一時的なものだから。いつかは皆と同じように輪廻転生する予定なの』
となると、今はその対象から外れている。……そんなこと、できる神様なんて、一人しかいないじゃないか。
『自己紹介から話が逸れてしまったけれど、一応、これで私が存在する理由は話せたのかしら。……そうそう、ラルさん?』
「? はい、なんでしょう?」
『私のことは普通に呼んでもらって構わないのよ。もう、敬われるような身分ではないもの。……ほら、単なる幽霊だもの、私』
と、笑顔で言ってのけるサフィアさん。
こちらとしては、何にも笑えないのだが……まあ、それを望むのなら、サフィアさん、と呼ばせてもらおう。
『さて、改めて。……二人は私に何を聞きたいのです?』
聞きたいことは山程ある。時間はたっぷりあるとは言われたものの、長々と話をしてもらうのも申し訳ないから、ある程度、抜粋はしなければ。
「なんで、お祖母様は神様の従者を?」
『きっかけを話すと長くなるので、話しません♪』
ちゃんと答えるって言ってたのに、早速、秘密にされたが!?
『……ごめんなさいね? 教えてあげたいけれど、これを話してしまうと、色々と面倒になりかねない。……可愛い孫とそのご友人を面倒事に巻き込みたくはないの』
なんだか、その言葉だけでサフィアさんの状況下が想像できてしまいそうな予感がするような、しないような。
『でも、安心してね。悪いことになっていないことは保証します。ちょっとだけ、余暇を楽しんでる程度だから』
死んだ後を余暇と呼ぶのは如何なものか。……まあ、その辺は人それぞれ、か?
……うん、そう思うことにしよう。
私はこほんと咳払いをして、気持ちを切り替える。
「じゃあ……今日のことの質問なら、なんでも答えてくれますか?」
『えぇ。話せることなら』
「なるほど。……なら、まずは前提を確認させてください。この遊びを考えたのは、サフィアさん?」
『えぇ、そう。……なぜ、と聞きたいのね?』
私は頷く。そして、私の横で、ティールもこくりと頷いていた。
そんな私達の様子を見て、サフィアさんもこくりと頷き、笑顔で答える。
『細かな理由はあるのだけれど、大部分としては二つ。一つは家族のため。もう一つは……自己満足のため、かしら』
サフィアさんは白く細い人差し指をぴんっと立てて、話を続ける。
『まずは一つ目の理由から話しましょう。家族のためとは言ったけれど、本音を言えば、ティールのためだったの。……私が死んで、皆が今まで通りではいられなくなって、そのせいで、ティールの居場所がなくなってしまったでしょう? それをどうにかしたかったの』
サフィアさんが亡くなった時、アルドアーズさんは王宮を離れ、それに伴い、ブライトさんとセイラさんも今まで以上に忙しくなった……と、ティールは言っていた。
『けれど、私がどうにかする前にルーメンさんがどうにかしてくれたみたいね? 生前、家族をお願いします……とは、言っておいたけれど、まさか、ここまでしてくれるなんて思ってなかったのよ。流石、仕事のできる殿方は違うわ。どこかの誰かさんとは大違い♪』
その、どこかの誰かさんについては、言及しないでおくとして。
つまり、サフィアさんとしては、今回の遊びを通じて、ティールに居場所を見つけさせようとした?
「! だから、誰も知らないような隠し部屋や騎士団の人達がいる場所を?」
ティールの言葉に、サフィアさんは静かに頷く。
『……王宮は広いし、たくさんの人がいる。だから、ティールの居場所は、見てくれる人達は、ちゃんといるって思ってくれたら、いいなって。あわよくば、ブライトと……お父さんと話すきっかけになれば、とも思っていたのよ?……けれど、その必要もなかったみたいね。もちろん、そちらの方が断然いいのだけれど』
「お祖母様」
『昔みたいにとは言わない。……けれど、きちんと言いたいことは言えるようになって欲しいの。……ふふ♪ なんてね? 口煩い年寄りの戯言だと流してもらって構わないわ』
ここまで話し終えると、サフィアさんは二本の指を立てる。
『二つ目。私の自己満足って言ったのだけれど……ラルさん、貴女を知りたかったの』
「……私?」



~あとがき~
しばらく、サフィアとのお話しが続くぜ!

次回、二つ目の理由。

今回の話で明かされたのは三つ。
・現在のサフィアは、とある神の従者である。それにより、未だにこの世界に存在している。ちなみに、理由は言えないけど、悪いことにはならないし、なってない。
・従者として存在しているのは、一時的なものであり、将来的には元の道(輪廻転生の輪)へ戻る予定である。
・今回の遊びを考えた理由の一つ目。
この三点が明かされた感じになります。
二つ目に関しては、一つ目の答えを聞いて、サフィアがついでにと教えてくれただけなんですけど。
他にも色々明らかになる(予定)ので! のんびりとお待ちくださいませませよ~!

ではでは。