satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第442話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサ&雫がラルと再会を果たしました!(ただし、鉄格子越し)
ラルを牢屋から出す手立てに難航を示していましたが……ラルには何か考えがあるご様子。
今回はフォースと対峙するアラシ&レオンのその後からです。


《A side》
ウィルさんが貸してくれた剣が偶然にもフォースの弱点……これは願ってない幸運だったが、その幸運も長くは続かなかったらしい。
結局、あの不意打ち以降、俺達はフォースに攻撃を当てられていなかった。もちろん、俺も全く同じ戦法が通じるとは思ってない。だから、レオンと一緒に攻撃をしつつ、隙があれば俺が剣で一撃を……とは思っているんだが。
「はあ……はあ……こ、こいつの隙、どこにあんだよ……!?」
「し、知らない……! つーか、俺らと同じくらい、動いてるはずのに……ちくしょー! めっちゃ余裕だな!?」
レオンの言う通りだ。こっちの体力だけが減っていくばかりで、フォースに目に見える疲労とかがない。最初から全く変わっていないとも言える。
「まあ、これくらいで音を上げてちゃ、制御者の名折れっていうか……? ウィルにぃ程じゃないけど、これでも、色々と経験してるんだよね。そうね……私一人で軍隊くらいは壊滅できるよ?」
……それが本当なら、俺達が相手できる奴じゃねぇよ。
それでも、俺達がまだ立っていられるのは、フォースが本気になっていない……手加減をしてくれてるから、なんだろうな。くそ。
「なあ、アラシ……どうすんだ? このままじゃ、埒が明かないぞ。フォースが俺らを倒すつもりがないから、まだ助かってる……けど、だからって俺らに勝機があるようにも思えねぇ」
「あぁ、お前の言う通りだと思う。実際、フォースは俺達を倒そうと思えば、倒せると思う。……それをしないってことは、完全に舐められてるし、弄ばれてるんだよ」
「なんだよ~……ま、こうして俺らの会話を邪魔してこないし……そうなんだろうけど」
もし、フォースを倒したいんなら、あと数人味方がいればよかったかもしれない。けど、無い物ねだりはしても仕方ないってやつだ。
或いは、ツバサと雫がどうにかして、ラルを助けてくれるまで時間稼ぎをしてやれればいい……そう考えるのであれば、この役回りは今のところ、成功はしてる。
けど、今の状況からすれば、それはフォースも分かってて、付き合ってるってことになる。だって、フォースもあの二人が穴に飛び込んでいくのは見てたんだし。
「なあ、フォース。お前は何がしたいんだ?」
「何って……私は、私の役を全うしてるだけだよ。適度に相手するのが私の役目」
「それは俺達の邪魔か? それとも─」
「! おっと、タイムオーバーだ」
? タイムオーバー……?
俺の言葉を遮ったフォースは、人間離れした跳躍力で大きく後ろに後退する。それと同時に、さっきまでフォースが居た場所に凄まじい電撃が襲った。
「レオン、何かしたのか……?」
と、レオンの方を見るが、当の本人は慌てた様子で首を振っていた。
「え!? いや、俺じゃない! 俺じゃない!! 自慢じゃないけど、もうあんな攻撃できる元気も気力もねぇよ!? つーか、効かないって分かってるし!?」
なら、あの攻撃は……あんな攻撃をできる奴は……一人しかいない?
そう思った矢先、俺達の前に一人の少女が現れる。
ブロンドの髪を靡かせつつ、そいつは持つ刀の刀身に紅い電流を纏わせていた。
「「──ラル!!」」
思わず、俺とレオンが声を揃えて名前を呼ぶ。ラルはちらりとこちらを振り向き、薄く笑った。そして、すぐにフォースに向き合って、目にも止まらぬ速さでフォースの正面へと前進した。
「なんで、お前がいるんだよ! こちとら、聞いてないぞ!? 雷姫、“身体強化”! 轟け、雷鳴っ!」
刀身に纏わせた電流を強め、フォースに向かって斬りかかる。当然、フォースはひらりとかわしたが、その瞬間、牙狼族の少女から、いつもの人族の青年姿に戻っていく。
「あぁ!? ふざけんな! いきなり、斬ってくる奴があるか!?」
「うるさい。黙れ。質問の回答だけをしろ」
「横暴かよ」
「うるさいっ! 雷姫!!」
「だあぁぁ!? やめろ! やめろ!!」
俺達とやり合ってた時は余裕だったのに、ラルの相手をしてる今はその余裕を感じない。
ラルの攻撃をフォースは、自身で創り出した剣で受け止め、反撃を試みる。が、ラルは冷静に刀で攻撃を受け流し、再び攻撃へと移る──と、目で追えたのはここまでで、正直、二人の剣撃が速すぎて、よく分からなくなってきた。
「……あははははっ♪」
!? び、びっくりしたぁ……
今まで、沈黙していた校長が笑い出した。突然のことで意味が分からなかったが、校長の何か触れた……んだろうか?
「ラル、そっちにつくのは聞いてないな~? 君はこっち側、でしょ?」
「うるさいです! 大体、真っ先にシナリオブレイクしたのはどっちですか!」
ラルは校長に向かって叫ぶと、一旦、フォースへと攻撃をやめ、刀の切っ先を校長へと向ける。
「私は初めに提示された条件があったから、許可を出したのであって、こんな展開は望んでないんですよ!?」
「え~? そこはアドリブってやつだよ~♪」
「アドリブが利きすぎなんだわ!!! とにかく! 私は今の現状を見て、これが最善だと思ったんです! さあ、相手は誰! なんなら、全員まとめて相手しましょうか!?」
……二人の話から察するに、この悪の大魔王によるラル誘拐事件は、(予想してたけど)何か仕組まれた茶番……ってことなんだろうな。全く全体像が見えないんだが。
「……アラシ、レオン!」
声が聞こえた方を見てみれば、ティールが落ちた穴から出てくるツバサがいた。そんなツバサに続くように雫も顔を覗かせている。そりゃ、ラルが出てきたってことは、ツバサ達も戻ってくるよな。
「ツバサ! 雫も! そっちは大丈夫だったのか? ティールは?」
「うん。私達は大丈夫! それにティールさんも一緒だよ! ほらっ♪」
と、ツバサが指差した方を見れば、いつの間にか、ラルの近くへ歩み寄るティールがいた。ティールの腰には二振りの剣がある。いざとなれば、抜けるようにしているらしい。
「親方達がこれ以上やるっていうなら、容赦しません。ぼくだって、早々に排除されるなんて聞いてませんよ? それに、君がいることも予想外。なんでいるんだい、フォース?」
「おれだって、お前がいないなんて聞いてねぇ。つか、引率役の兄貴はどうした?」
「そ、それは……アラシ達がついてくるって言うから……仕方なく……?」
「は? アラシ達が来て、兄貴抜かしたら、パワーバランスおかしくなるだろ」
「ってことは、ティールもシナリオ壊してるってこと!? 聞いてない! 酷い!」
「ご、ごめんなさい!!」
ラルは大きなため息をつくと、刀を鞘に納める。そして、腕組みをしながら、今度は教頭の方を睨み付けた。
「……で? フォース君を呼んだの、お前だよな? なんで呼んだ。ふざけてんの?」
「当初の予定では、そちらにアドバンテージがありすぎると思ったんだ! すぐにやられてしまっては、面白くないだろう!?」
「面白さを求めるな!! 安全を求めろ、くそ音符!!! その場の思い付きで、勝手に予定を変更するな!!」
「あはは♪ でもさ、ラルは動いちゃ駄目だよ~? 大人しく捕まる役目だもん」
「親方は黙って!? そもそも、大人しく捕まってらんなくしたの、誰ですかねぇぇぇ!!?? とにかく、全員、正座しろぉぉぉ!!!」
……なんか、いつもの雰囲気になった……気がする?
勝手に騒ぎ始めたラル達を見て、俺とレオンは安堵のため息をつく。
こっから戦闘再開とはならないだろ。万が一、なったとしても、ラルとティールがどうにかしてくれるはずだ。
「どうやら、なんとかなったっぽいな~?」
「まあ、恐らくだけど」
ラル救出に向かった二人は怪我なんかもしてないみたいだし、俺達も怪我は一切ない。強いて言うなら、気力と体力と魔力……あとは、精神を持ってかれたくらいか。
「アラシお兄ちゃん、レオンお兄ちゃん、フォースお兄ちゃんのあいて、だいじょぶだった?」
「ん? おうっ♪ フォースのやつ、手加減してくれてたっぽいからな~? 悔しいけどな」
「その手加減がなきゃ、とっくにやられてたと思う。……俺達でフォースを食い止めてたってよりは、俺達が食い止められてたのかもな」
まあ、それはそれとして。
「この状況、誰か説明して欲しいよな」
「それな~? ツバサ達はラルから聞いたか?」
「ううん。説明は後って言われちゃった」
ツバサの言葉に雫も頷く。
つまり、詳しい事情を知ってんの、あそこで騒いでる連中だけってことね……なら、あの騒ぎが落ち着くまでは、俺らは待ちぼうけか。
適当に座って待ってるか。勝手に帰ってもいいけど、ここまで巻き込まれたんだ。説明くらいはしてもらわねぇとな。

ラル達は一頻り騒ぎまくった後、ラルだけが俺達の方へ向かってきた。ちなみに、他の連中はラルの言葉通り、正座させられている。そして、レオンとツバサが倒した子分達はいつの間にか、いなくなっていた。
「皆、巻き込んじゃって、ごめんなさい」
と、開口一番、頭を下げながら謝罪してきた。
「……とりあえず、一から全部、説明してもらえるか?」
「もちろん。……けど、こんなところじゃなんだから、ギルドに来ない?」
ギルドってことは、フェアリーギルドか?
「そ。この後、お祭りの打ち上げをギルドでやる予定なの。そこでお詫びって訳じゃないけど、好きに飲み食いしてくれていいから」
説明はして欲しいとは思っていたけど、まさか打ち上げに呼ばれるとは。
「私達、ギルドの関係者じゃないのに……いいんですか?」
「ここまで巻き込んでたら、関係者みたいなものだよ」
まあ……それはそうかも。
ぶっちゃけ、俺らは無理矢理ついてきたみたいなもんだけど、ここはラルのご厚意に甘えるか。経緯は知りたいしな。
俺達の話が聞こえていたのか、正座されていた一人の校長がすくっと立ち上がった。そして、笑顔でくるりと一回転する。
「やったね~~~! 待ちに待った打ち上げパーティー! 皆となら楽しそうだからね! 行こう♪ 行こ~う♪」
「お、親方~……今は大人しくしましょう。ラルにまた怒られれちゃいますよ」
「手遅れだろ。このアホ妖精、マジで適当すぎるわ」
「親方様はこのようなお方だからな……仕方ない」
「だぁれが立っていいって言いました!? ちゃんと反省してるんでしょうね!?」
「ん? でも、皆でギルドに行くんだよね? それなら、座ってちゃ、移動できないよ?」
確かに。
校長はラルの言葉を聞かず、ルンルンでどこかへ行ってしまう。
「……くそ、自由人め。ノウツ、あのアホ親方、一人にさせないでよね」
「分かっている。……親方様! お待ちください!!」
教頭も校長の後を追いかけ、どこかへ消えてしまう。
残されたのは俺達とラル、ティール、フォースだけ。
正座していたティールとフォースも立ち上がると、俺達の方へ寄ってくる。
「……ラル、ぼくらも移動しようか。アラシ達には全部、説明するんだろ?」
「そりゃあね。……私達も行こうか。出口はこっちだよ」
ラルの案内で案外、あっさりと外へと出てこれた。ちなみに、あの部屋から外までの道順はややこしくて全く覚えられなかった。
あそこ、マジの要塞かなんかだったのか……?



~あとがき~
とりあえず、悪の大魔王事件は終わりです。長かった……!

次回、悪の大魔王とはなんだったのか、この盛大な茶番劇がなんだったのか等々、真実を語るぜ!

強引な幕引きっぽい感じになりましたが、とりあえず戦闘は終わりです。
ちなみに、ラルは本気ではないけど、それなりに力を出してフォースとやりあってます。まあ、それはフォースも一緒なんですけど。少なくとも、アラシ&レオンとやっていた時よりは出力上げてます。けど、本気ではないんですよね。
この二人、いつか本気モードを見せる日が来るんでしょうか……?

ではでは。