satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第184話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から、スカイの受けた仕事の確認作業を行っております! この夏休み編でスカイの二人はあれこれ仕事します! お楽しみに!
今回もそんなスカイのどっきどきお仕事についてをやります。


《L side》
あの双子を護衛せよというのが、この三番にあった依頼内容と認識してよさそうだ。しかし、ツバサちゃんにはアラシ君という騎士様がいるはずでは?
「そうなんじゃがの~……アラシは近衛騎士団の一人でもあるから、騎士としての仕事があっての。ずっと一緒にいられるわけではないんじゃ。だから、より詳しく言えば、アラシがツバサの側にいられない間……『祈りの舞』の後、そこの護衛をラル達に任せたいんじゃよ」
ふぅん。ずっと護衛するものだと思っていたけれど、そうではなさそうだ。あくまで、アラシ君の代わりにお守りすればいいのだろう。
「分かりました。お任せください」
ふふん。天使達の護衛。やったろうじゃありませんか~♪ 腕がなるね~?
「ぼくは君が不届き者なんじゃないかなって思うよ。心から」
「そんなことないよ。気合い入ってるだけだもん。大丈夫大丈夫♪」
「えー……ほんとかなぁ?」
信用してよ、ね? 相棒。
「……OK。ぼくもいるし。ラルが変なことしないように見張ってる」
ん?……あれ。おかしいな。そういう内容だったっけ?
「ほっほっほっ♪ 話が前後してしまったが、これが三番の内容じゃな。最後に二番の内容について話していこうかの~」
つい流れが神子に移ってしまったから、話が三番になってしまった。まあ、結局は全て話すのだし、順番はどうでもいいけれど。
「雫に任せたいのは、『精霊』じゃ。祈りの舞の最中に出てくる、精霊衣装を纏い、精霊を模した子供達の総称みたいなもんでな。雫以外にも精霊役はおると思ってくれ」
なるほどねぇ……でも、そこは本物の精霊を使わないんですね?
「女神ミルティア様が召喚したと言われとるのは、人の子の形でな。それに倣っておるのじゃよ」
確かに、人の形をした精霊なんて見たことないかも。それっぽいのはいるけど……ゴーレムとか……? でも、人ではない。真似るのなら、本当の人を使うしかないということなのだろう。
その舞の間、しーくんはツバサちゃんとツルギ君と一緒に踊るってこと……?
「そういうことじゃの。そこで雫には、少しやってほしいこともあるんじゃが……それは追々話そうかの?」
またこのパターン!? もうやだ! 情報全公開しろ!!
とはいえ、危険はないとルーメンさんは教えてくれた。
ずっと黙って話を聞いていたしーくんは、私の方を見上げ、自信満々に頷いた。どうやら、やる気は充分のようだ。本人のやる気があるなら、やらせてあげるのが一番である。
「分かりました。その依頼、雫が引き受けます。……しーくん」
「ん! がんばりますっ! よろしくおねがいしますっ」
「おぉ♪ ありがとの~♪ 舞の練習については、明日から指導していくことになるかの。よいかな、雫?」
「はい。だいじょぶですっ」
……? 気のせいだろうか。ルーメンさんがしーくんを見た一瞬、何か……考えていたような?
少しの違和感を覚えるものの、それが何かなんて分からない。本当に感覚的なところで、何かがおかしいと思ったくらい。
「これで大体は共有できたかの? 仕事に関して、何か質問はあるかな?」
「……言いたいことはありますが、きっと教えてくれないので大丈夫です。あ、でも、一つだけ」
「む?」
「護衛の話は聞きましたが、捕獲についての説明がありません。神子がケアルの双子のことなら、あの二人を捕まえるってことです……?」
「あぁ……その話はのぉ。……今、ここで言っても仕方がない。当日に言おうかの?」
ま、た、か! またこれか!?
「まあ、捕獲と言っても、お主らにとってはなんの難しい内容ではないじゃろうて。そう身構えなくても大丈夫じゃよ♪」
「そう……ですか? それならいいんですが」
くそ。そう言われたら、引き下がるしかないじゃないか。……よくねぇよ。万が一って言葉、知らないのおじいちゃん……?
結局、知りたいことの半分くらいしか教えてもらえなかった気もするが、これにて確認作業は終了である。
ダンジョン攻略に関しては、私とティールの実力なら問題ないはずだ。その後が問題なだけで……行けば分かるってなんだ。行けば分かるって。
祭りに関してはまあ、あれ以上のことを言えという方が難しいだろう。守る。これに尽きるのだから。しかし、しーくんにやらせたいことや、捕獲の件は不明瞭なままではあるが。
「アルフォース、例のものを」
「はい。親方」
今の今までずっと控えていたアルフォースさんがルーメンさんの指示に、一枚の紙を私の前に差し出してくる。
「では、こちらが今回の依頼報酬の内容になります。全ての依頼が完了後のお渡しとなりますので」
後払いか。まあ、それが普通だよな。いくつもあるし……あ? あぁぁあ!?
「え、ラル? ど、どうし……なっ!?」
「わー! ゼロがいっぱーい!」
いや、あの……えっと……えっとぉぉ!?
見せられたのは報酬の書かれた書類。きちんと終わらせたら、これだけ払いますよっていう契約書……なのだが。
そこには普段、長期休みでの私達の稼ぎ以上の金額が記されていた。詳しい数字は恐ろしくて言えない。一等のとは言わないけれど、ちょっとした宝くじ当てたんですかレベルな額である。
びっくりしすぎて何も言えなくなる私とティールに、ルーメンさんは何を勘違いしたのか、小さく首を傾げる。
「うむ? 足らんかの……? それなら、うちに来ている依頼を受けてみるかい? こちらとしては、仕事も消化されるからの。どんどん受けてくれて構わんぞい?」
ちがーーう! 満足してないわけじゃないの! そうじゃないの、このお金持ちめ!!
「足りないっていうか……その、私達にも他の仕事をもらえるなら、う、受けますが……え、あの、こんなに、いいんです?」
元々、こちらからの出費はあまりない。道具とか個々の持ち物についてはあるものの、泊まる場所、ここに滞在中に必要なご飯等々は保証されていたのだ。こちらから出るお金なんてほぼなかったのに……こんなに貰うの罪悪感しかないのだけれど。
「その、受け取る側がいうのもあれですが、報酬の見積り、間違ってません?」
「いやいや♪ そのくらい払う価値のある依頼なのさ。……それほど、難しいとも言えるがの」
……そういう、こと、なのか?
相手はツバサちゃんのお祖父さん。それにかつて『赤獅子』と呼ばれていた冒険家。
……嘘はないのだろう。だが、それでも、これは怪しさ満載だ。なんだけれど、プリン親方の面子もあるし、何より、ツバサちゃんのお祖父さん……知り合いの身内からの依頼。今までの話を聞く限り、問題はない。そして、一度、承諾した依頼だ。今更、逃げるわけにもいかない。
「……ラル、今更なんだけど、詐欺でしたオチはないよね」
ティールが誰にも聞こえないくらいの声で耳打ちをしてきた。私もその意見には賛成したいのだが、総合的に考えて、それは多分、ないのだ。多分。
「ないと思うよ。だって、ツバサちゃんのお祖父さんだし、イグさんもプリン親方も……それに、ティールのお祖父さんやご両親のお知り合いだよ? これで詐欺師なんて言われたら、私はもう何も信じられないよ……?」
「だ、だよね? 一気に人間不信になって世の中呪うよね、そんなの」
「そんなラストだったら、二人で夜逃げコースがある。私と一緒にいかが?」
「……お供します」
よしきた。
とまあ、冗談半分のお遊びはさておき。
依頼についてはこんなものだろう。あとで整理して、必要なものをまとめておかないと。
「……そうじゃそうじゃ。忘れるところじゃった。お主ら、部屋はどうするんじゃ?」
ん? てっきり、すでに用意されているものだと思ってたんだけれど、ここで部屋の話?
いきなりの話題に、理解が追い付かない私達は、きょとんとする。そんな私達にルーメンさんは付け加える。
「三人が寝泊まりする場所じゃよ。二つの部屋なのか、一つの部屋なのか」
あ、そういう……
「同じ家に住んどるとツバサから聞いておったんだが、こちらが強制的に年頃の男女を同じ部屋にするのもおかしな話じゃろ? だから、本人達の意思を聞いてから決めようと思っておったんじゃ」
なるほど。
まあ、シェアハウスしてるけれど、毎日、ティールと一緒に寝ているわけではない。しかし、同じ部屋での抵抗感はない。何年か前は何度か一緒に寝ていたし、今でも、時折、しーくん交えて三人で寝ることだってある。だから、ここで同じ部屋だとしても問題はないが。
ここ、家でもなんでもないんだよなぁ……外! 出先! 泊めてくれるとは言え、仕事中! 私的利用ではないのだ。なので、ここは身を弁えるべきだろう。
「……ティール。別でいいよね?」
「そだね。それでいこっか」
「そうかい? ならば、雫はどちらの部屋に……」
「えー!? ボク、ラルとティールといっしょがいー!!」
別々でって話が進むのかと思ったのだが、私の隣でしーくんからのとんでも提案に私とティールはお互いの顔を見合せ、子供の顔を見る。
「……えっ!? し、雫!?」
「な、なん、え? しーくん……?」
「おや……?」
「むう?」
それってつまり、三人部屋ってことですか、雫様!?



~あとがき~
仕事の話は終わったー!

次回、部屋の行く末。
……どうでもいいな!? けど、せっかくなので、親子三人(血は繋がってない)のやり取りをお楽しみに。

残り半分の仕事が明らかになりましたね。
こちらも微妙に明かされてませんが。
まあ、当日をお楽しみにってやつだね。

この夏、ラルとティールはどれたけの大金を手にするんでしょうね。今回受けたルーメンおじいちゃんのやつって、何割かはフェアリーギルド行きなんでしょうけど。かわいそうにな……(笑)
でも、明けの明星で受けたものに関しては、フェアリーギルドを通してないので、丸々っと手にするのではなかろうか。荒稼ぎしそうですね、あの二人。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第183話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、最終的にアラシ君がスイとセツの餌食になったところで終わってます。かわいそうにな……(笑)
アラシ「笑ってんじゃん……!」
今回は真面目なお話になります。アラシ君が楽しくどたばたしている間のラル達の様子をご覧ください。
アラシ「俺も頑張ってたんですけどねぇ……!?」


《L side》
アラシ君達がルーメンさんの部屋を出ていき、残ったのはルーメンさん、アルフォースさん、そして、私達スカイの三人。
「……さて、最初に依頼内容から確認しておこうかの。認識を共有しておこうぞ」
「はい」
さっきから私とティールが座っていたソファの向かいにルーメンさんが座り、その側にアルフォースさんが控える。こちらは三人仲良く横並びでお行儀よく着席している。順番はティール、私、しーくんの順。
さて、今回、ルーメンさんの依頼にあったものは大きく分けて三つあった。
一、ダンジョン『奇跡の洞窟』の奥地調査、並びにそこにある石の採取。
二、依頼期間中に行われる『女神祭(通称夏祭り)』での精霊役の出演。
三、同じく『女神祭』開催中の”神子”たちの護衛、捕獲。
以上、三つ。二の依頼に関しては、しーくんが指定されていたはずだ。
「まず、一つ目の依頼から詳しく話しておこうかの? 『奇跡の洞窟』とはワシのギルドが管理しているダンジョンの一つじゃ」
私が調べた下準備でも、そんなことが出てきていた。
仕事の難しさでランク分けされるように、ダンジョンにもいくつかランクが設けられている。誰でも足を運べるもの、専門の人達だけが入れるもの、そして、国やギルドが管理し、特定の人物だけが入れるもの。
ダンジョンの場所でランク分けされる理由についてはいくつかあるが、その大部分としては、犠牲者を増やさないためだ。どこでも誰でも入れるようになっていたら、自分のレベルとかけ離れた場所にも挑戦できてしまう。そうなった場合、意図も容易く、命が失われる。その危険性を減らすべく、この国……というか、各地に点在するダンジョンの危険な場所についてはどこかしらの管理下に置かれているのだ。
「『奇跡の洞窟』も例に漏れず、敵が強くてな~……並みの探検隊では手も足も出んのじゃ。そのため、我が国の法律に則り、ワシのギルドで管理されとるんじゃよ」
「それは理解していますが……そのダンジョン調査を私達に?」
私達でなくてもいいのでは、と思ってしまうのだけれど。もちろん、指定管理されたダンジョン経験がないとか、そういう話ではない。これでも、プリン親方の管理するダンジョン調査もしたことはある。あるけど、それは身内だからだと思っていた。だから、ルーメンさんのメンバーから出せばいいのに、と思ってしまう。
「そうじゃ。あそこのダンジョンは広いからの。定期的に、ダンジョンの中間点にある装置の点検と奥地にある石の採取をしてほしいんじゃ」
私達に依頼した理由は分からないが、やってほしいことは見えてきた。見えてはきたけど……
「点検? ぼくら、ルーメンさんのギルドが設置してある装置なんて、一度も見ていないので分からないですよ?」
この装置の点検よろしくと写真を見せられたのならともかく、今は資料も何もなく、口頭のみの説明だ。ティールの指摘は最もである。……のだが、ルーメンさんはにっこりと笑うだけだ。
「あぁ、それは大丈夫じゃ。点検と言っても、ワシが渡す部品の交換をしてほしいだけなんじゃよ。交換自体もそこまで難しくないものじゃから、普段から機械に触っているお主のパートナーなら、すぐに分かるじゃろうて」
「……?」
機械いじりをよくすることを知ってるのか?  いや、間違ってはないが。誰からの情報だ。イグさん? ツバサちゃん? それとも、他の誰か……?
別に隠していたわけではない。家でも作るし、学校でもちょっとした分解程度ならよくしていた。なんなら、ギルドの機械メンテも私がしているし……どこから情報を得ても不思議ではないのだけれど。
しかし、なんだろう。この感じ。見透かされているような、手のひらで踊らされているような……この変な気持ちは。
「中間点にある装置の点検が終わったら、次はそのまま奥地を目指してもらってほしい。そして、そこにある石をいくつか採取してほしいのじゃ♪」
疑念はそのままに、ルーメンさんは更に続ける。依頼書にも石の採取は簡易的に述べられていたが。
「石はどんなものなんでしょう。名前とかは?」
「それは行けば分かる……とだけ言っておくかの? なあに、イグニースに鍛えられているお主らなら大丈夫じゃろうて♪」
私の質問は適当にはぐらかされた。これを信用されていると捉えるのか、試されていると捉えるべきなのか。
まあまあ、今は内緒でいいじゃーん? みたいな感じだ。この感じ、知ってる。うちの親方やイグさんの雰囲気に似てるんだ……!
私だけでなく、ティールも戸惑いを隠せないようで、困ったように笑う。こちらの戸惑いなんてお構い無しなルーメンさんは、何かを思い出したように付け加える。
「でも、なるべく”緑”の石が多い方がこっちとしては助かるかの~♪ あとは、お主らの判断で、それ以外のやつをいくつか採取してもらって構わんよ♪」
よく分からないけれど、緑多めな……うんうん。じゃあ、なんかそんな感じに採ってくるかな~……って、なるかぁぁ!! なんの石でなんで緑やねん!! なんに使うの!? 装飾!? なんかの道具か!? それくらい教えろや!!
あれこれ疑問やら不満やらは浮かぶものの、ルーメンさんにそれをぶつける勇気は流石にない。これが親方やイグさんなら、全てぶちまけているところだけれど。初対面で、依頼人で、色んなところのお偉いさんにこんなの言えない。私にだって常識はある。ここは黙って従う。行けば分かると言うのだ。多分、その通りなのだろう。ここで嘘をつくメリットはどこにもないのだから。
「さて、続けて話をしてもよいかの?」
言いたい……けど、言えない。文句なんて言えない……落ち着くんだ、私。相手はこの国をまとめる一人。歯向かってはならぬ……!
「……えーっと、はい。残り二つはお祭り……女神祭に関する依頼でしたね?」
返事をしない私に代わり、ティールが確認してくれた。それにルーメンさんが嬉しそうに頷く。
このスプランドゥールで行われる夏祭りを『女神祭』と呼んでいるらしい。ここは、女神ミルティアが降り立った地とされているし、その女神に感謝を捧げる祭りなのだ。
確か、その祭りでは神子と呼ばれる人が舞を捧げるとか、なんとか?
「うむ♪ 毎年、神子に選ばれた者が『祈りの舞』を捧げるのじゃ。その時、ミルティアに仕えていた守護者に守られながら神子は舞を行うんじゃよ」
この舞は女神ミルティアへの感謝と国民達の祝福を祈るもの……伝統のあるお祭りということかな。私は一回も見たことないけど。
「ラル達には祈りの舞を行う神子の護衛を。雫にはその舞に出てくる精霊役をやってもらいたい。……依頼書にある二と三じゃな♪」
「それはいいんですが、神子の護衛はなぜ……? 舞を捧げるだけなら、守る必要あります?」
「うむ……毎年のことなんじゃが、『神子の祝福』を独り占めしようとする不埒なやつらが現れるでの~……ラルとティールには、そいつらから守ってほしいんじゃよ」
なるほど。どこにでもいる自己中勘違い野郎共を排除すればいいんだ。へっへっへ~……どうしてやろうかなぁ~?
「ラル、言い方に気を付けて!……えと、ちなみにその『神子』というのは誰なんでしょう? 護衛前に挨拶くらいはしておきたいので、教えてくれると嬉しいです」
「ん? お主らの知っている子達じゃよ?」
「え?」
知っている……ん? 達?
「『神子』というのは、誰にでもなれるわけではなくワシの家系……ケアル家から輩出されるんじゃ。……ここまで言えば誰か分かるかの?」
ケアル家で私達の知っている子達……って。
「もしかして、ツバサ?」
「いや……依頼書には神子達とある。つまり、ツバサちゃんだけではなく、ツルギ君も?」
その言葉にルーメンさんは無言で……しかし、笑顔のまま頷いた。それは肯定を表すものである。
マジか、あの双子がねぇ……?



~あとがき~
終わんなかった。終わらせたかったけど、無理だったぜ~……

次回、続けて依頼の話。

明らかになったようでなってません。ラル達に任された仕事の全容。私もこれを書いている時点でよく分かってないんですよね←
けとまあ、自ずと分かるらしいので、のんびりお待ちくださいなっと。

お祭りでは、ツバサちゃんとツルギ君が神子さんとして舞ってくれるそうです。神の子と書いて、『みこ』ですね。
双子が産まれる前は、誰がやっていたのか気になりますね。直系という意味では、セラフィーヌさんがいますが……セラさんなのかね。大変じゃ……(笑)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第182話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、てるてる坊主みたいなチビッ子妖精になったスイとセツがじゃれまくる感じで終わりました。今回もじゃれていきます。
視点も変わらず、アラシ君です。


《A side》
「くぅ~ん♪」
「わー! りら、くすぐったーい!」
興味津々にスイとセツの匂いを嗅いでいたリランだったが、それがいつの間にか甘えに変わっていた。顔を近づけ、すりすりと甘えまくっている。二人と一匹の対格差があるから、雫と遊んでいたツバサも、少し慌てたように制止に入る。
「リ、リラン! あんまり押さえ込んじゃダメだよ!」
「あわ。だいじょぶ? スイー? セツー?」
「らいじょーぶ!」
「げんきー!」
元々が剣の二人には、リランが軽く体重を乗せたくらいなら、びくともしないらしい。楽しそうにリランの甘えを受け入れていた。
「りら、もふもふなのね」
「るーがもふもふ、せーぎっていうの、わかるー!」
……そうなの?
俺はツバサ達にカメラを向けているラルを見る。その視線にラルににやりと笑った。
「可愛いものともふもふは正義じゃない? つまり、両方を兼ね備えるツバサちゃんは最強なのよ?」
「……聞かなくていいよ、アラシ。ラルの言うこと、ころころ変わるから」
あ……りょーかいっす。
「りら、そろそろはなれるの。ほかのあそび、できないのー!」
「のー!」
「くぅ?」
「だめなの。あとでまた、あそぶの」
「なのなの」
スイとセツの言葉にリランは、名残惜しそうに二人を解放する。解放され、ふわりと浮き上がった妖精達は何を思ったのか、こちらにぴゅーっと飛んできて、ルー爺の目の前にやってきた。
「む? どうかしたのかの?」
「りら、もふもふしたからね! つぎは、じっちゃのばん」
「じっちゃ、もふもふするー!」
え、ルー爺をもふもふ……?
どこをもふもふするんだと、二人の様子を見ていた俺達。そんな俺達はお構い無しに、スイとセツはルー爺の髭の中にぽんっと抱きついた。そして、もぞもぞと中へと潜っていく。
……えっ!? マジで!?
「ありゃりゃ……入っちゃった」
「ばっ!? やめろって!!」
「わ、わあ……スイちゃん、セツちゃん勇者だねぇ~?」
勇者とかそういう話なのか……?
慌てるティール─多分、ラルも内心びっくりてる─だったが、ルー爺は余裕の表情だった。
「いいんじゃよ、ティール。気にしとらんから」
「え、でも……」
「この二人はいつもこんなんじゃろう? よいよい。元気が一番じゃよ♪」
剣に元気も何もないような。……なんてのは、無粋なのか。
一方のツバサと雫とリラン。
二人と一匹は、リランの上に雫が乗り、上から撫でているところだった。撫でているっつーか、ぺちぺちしてる気もするけども。多分、撫でてる。
「リラン、かわいーね!」
「わふっ!」
「リランがありがとうって言ってるよ♪」
「んふふ~♪ とんでるとこ、いつかみせてね。リラン」
「あんっ!」
あちらはかなり平和である。
「ぷはー! りらのもふもふとはちがうのね~」
「ねー?」
「おや。探検は終わりかの?」
「おわったー! ありがとね、じっちゃ!」
「ありがとー! ね! しー! りらー! つばちゃー! おいかけっこしよー!!」
え、こんなところでおいかけっこ……!?

ツバサ達がわいわい遊び始めてから時間が経った頃。ティールも精神的なショック(?)からも立ち直り、いつも通りに戻ったらしい。
「お?……仕事の話、できそう?」
「うん。なんとか……ねぇ、ずっと写真撮ってたの?」
「可愛いじゃん。スイちゃんとセツちゃんのあれは、今回限りだよ? 記録しとかないとね!」
「あ、そう。……好きにして」
ティールはスイとセツに今まで何をされてきたんだろうか。けど、あんな元気な声が毎日聞こえてきたとすると、確かに気が滅入るかもしれない。少なくとも俺は、メンタルがやられるような気はする。その点で言えば、ティールは我慢強いんだろうな。
……今回は色々ありすぎて、崩壊してるけど。
「次はセツちゃんが鬼だね! 逃げよっか、しーくん!」
「うん! リラン、こっちににげよ! ツバサお姉ちゃん、こっちー!」
「あんあんっ!」
この遊びの中で、雫の呼び方がしーくんへと変化していた。仲良しになって何より。
「まてまてまてー! はっ! すいちゃ、まてー!!」
雫を乗せたリランとツバサを追いかけていたセツだったが、標的を背後に浮かんでいたスイに切り替える。びっくりしたスイはあろうことか、こちらへと向かって飛んでくる。
「え、スイちゃん、セツちゃん? こっちは駄目だって!」
「うみゅうぅぅぅっ!!!」
「るー! じゃまだよー!!」
「ん!? 私!?」
スピードを出しすぎたのだろう。逃げるスイはくいっと曲がり、ルー爺の髭へとダイブ。止まれなかったセツはラルにぶつかる……前にティールが捕まえていた。
「……いい加減にしろ、雪花。水泉もだ。ぼくらはお前達の遊びに付き合うために、ここにいるわけじゃない」
「ご、ごめんなさいなのら」
にこにこ笑顔だけど、声はマジトーンだし、しひしひと怒ってますオーラが出ている。本人も隠すつもりもないらしく、キッとルー爺……の影に隠れるスイを睨み付けた。
「こっちに来い。……これ以上、ぼくを怒らせたいのか?」
「や、やだー! ごめんなさいー!!」
ルー爺の影からぴゃーっと出てくると、ティールの目の前にぴたっと止まる。セツ同様、スイも空いている手で掴むと、俺の方を見る。
「アラシ」
「あ、はい」
気迫に負けて、つい敬語で返答してしまった。笑ってるのに怖いって一番怖いやつなんだけど……というか、普段、怒らない人が、ちらっとでも怒りを見せると怖く感じるのはなぜだろう。
「悪いんだけど、このてるてる坊主達、任せてもいいかな。近くにいると仕事にならないって分かったし。……鬱陶しかったら捨てるなり、燃やすなりしてくれていい」
え!? 聖剣燃やせっつった!? この人、国の宝燃やせって!? 俺にそこまでの罪は背負えないんですが。
ティールさん、ティールさん? マジなトーンで言うと、冗談に聞こえませんぜ」
「半分、本気だけどね。……ごめん、アラシ。こいつらの遊び相手、してくれると嬉しいな。嫌だったら無視していいからさ」
「お、おう……分かった」
半分本気ってどの辺が本気だったんだろう。
スイとセツをティールから受け取り、今度こそ仕事の話をするらしいラル達だけを残してツバサ達と共に部屋を出る。
「ごめんね、スイちゃん、セツちゃん。ティールさんに怒られちゃったね?」
「いいのいいの。あれくらい、いつもなのら。つばちゃ、わるくないよ~」
「ねー」
いつもあれくらいされないと止まらないのも、どうかと思うけどな。
俺達はルー爺に言われた通り、隣の部屋で待機することに。ここはルー爺の仕事部屋よりも少し狭いくらいだが、ある程度、遊ぶくらいのスペースはある。部屋に入った俺は二人を宙に放してやった。
「あらちゃ、あらちゃもあそぼ?」
あらちゃ? あ、俺のことね。
「そ! 『アラシちゃん』であらちゃ」
「へー……ん? アラシ、ちゃん!?」
ちゃん付けなの!? まさかの!?
「そだよー? つばちゃは『ツバサちゃん』だから。りらは『リラン』だから! るーは『ラル』だからねー」
「てぃーは『ティール』だもん。しーは『雫』だしー? すーは『フォース』だからー! いーちゃは『ブライト』で、あずは『アルドアーズ』なの」
ブライトって……ティールの親父さんだな。親父さんもちゃんから来てるのか……?
さふぃー、ちっちゃいころ、いーちゃを『いーちゃん』ってよんでたのら。だから、いーちゃ」
「……あ、さふぃーはね、いーちゃのおかーさん。てぃーのおばーちゃんだったひとなのねー」
「ねー? あず、さふぃーにさからえなかったのよー」
な、なるほど? こいつらの名付けの法則は分からんな。
「……あれ? だった、人?」
ツバサの質問に二人は悲しそうに頷いた。そして、スイがしょんぼりしつつ、教えてくれる。
「てぃーがちっちゃいころ、いないなったの。だから、さふぃー、もういないなの」
ティールが幼い頃って……
「あらちゃ! あそぶのら!」
「え、この空気で」
「かなしーのきらい! だから、あそぶー!」
ぶんぶんっと強く首を振ったセツは、なんでそうしたのか分からないが、俺の顔面に飛び込んできた。真正面から。なんでか分からない。ここ、重要。
「せっちゃ、ずるい! すいちゃもー!」
ぐえっ!?
セツに重なるようにスイもぶつかってきたのだろう。その衝撃に俺は思わず尻餅をついた。
「! あんあんっ!」
「おー! りらもあそぼー!」
!? この状態でリランはまずい! やめろやめろ!!
なんて言葉が通じる相手ではなく、俺を押し倒すようにリランも乗っかってきた。目の前には妖精─の見た目をした聖剣─二人と、腹には白いドラゴンが一匹。
な、なんつーとばっちりを……?
「ア、アラシ……? 大丈夫?」
「こんなのでまけるあらちゃじゃない! おいかけっこするのだー!」
「あらちゃ、おにー! りら、はなれるのら! つかまったら、おににされちゃうの!」
「わふんっ!」
スイの言葉にリランは素直に俺の上からどいた。きっと、おいかけっこをするつもりなんだろう。
……なるほど。上等。聖剣だかなんだか知らないが、目にものを見せてやる。
「アラシ? 多分、熱くなったらだめ─」
「絶対に捕まえてやる! 覚悟しろ、スイ! セツ!」
「むふー! いいよー! かかってこーい!」
「えへへー! つかまんないもんねー!」
……このあと、ツバサの忠告を無視した俺は、案の定、あの小さな悪戯妖精に好き勝手されたあげく、リランのとどめをもろに食らうのだった。



~あとがき~
きゅっと詰め込みました。

次回、本題のスカイが受けた仕事の詳しいお話を。
これも一話で終わらないかなぁ。どうでしょ?

聖剣二人によるはちゃめちゃお遊び。
あまり描写できませんでしたが、アラシ君もその餌食となりました。なりましたっていうか、これからなるんですけど。
とはいえ、ここでちらっと出てきた『さふぃー』と呼ばれた女性。このあと、話に出てくる予定ですので、なんとなく、片隅に置いておいてくれると嬉しいです。覚えてなくてもいいけどな。
だって、きっと、さふぃーって名前で出てこないし←

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第181話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわーわーしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールの剣の水泉、雪花こと、スイとセツがチビッ子妖精に!
ティールのキャパシティはもうゼロよ!!
スイ「ふんふんふーん!」
セツ「からだあるのいーね!」
スイ「ねー!」
ティール「……」
なぜこんなことになったのか……は、今回のお話をどぞ!
そして、視点はアラシ君です。よろしくー!
アラシ「お、おう」


《A side》
ラル達が仕事の話をするって言うから、俺とツバサ、リランは部屋を出ていこうとした。……のだが、部屋が激しい光に包まれ、次に目を開けたときには……
「スイ! セツ! かわいーねー!」
「えへー! しーもかわいーよ!」
「しーとおそろいのいろー!」
……謎の妖精みたいのが現れた。
ラルやティールが言うには、ティールの剣だったらしいのだが、今は雫にむぎゅっと抱かれている。
「本当に、ティールの剣なのか?」
俺は剣のときのスイとセツ─ってティールもラルも呼ぶから、俺もそう呼ぶことにする─の声を知らないから、判断ができなかった。
俺にはできなくとも、剣の声を知るツバサは俺の疑問に小さく頷いた。
「うん、多分……今まで聞こえていた声とそっくりだもん。でも、なんで急に?」
ラルの刀である雷姫が人になるのは見たことがあるが、ティールの剣が人になるのは見たことがないし、本人もさっき、「なれるわけがない」と断言していた。だから、何かしらの原因があるとは思うのだが、それが何なのかはまでは、俺には分からなかった。
「もう、ぼく、あれこれありすぎて倒れそう……熱出るって」
「おっと……知恵熱って年でもないだろうに……おい、雷姫。笑ってないで答えろ~?」
この訳の分からない事態に目眩がしたのか、ティールがラルに寄りかかる。そんなティールをラルは戸惑いつつもしっかりと受け止め、自身の腰に帯刀させていた雷姫に話しかけていた。が、反応はないらしく、ラルのため息だけが聞こえてきた。
「ふむ。恐らくじゃが、ツバサのせいかの」
「そうですね。僕も同意見です」
……ツバサの?
ここでツバサがやったことと言えば、リランの変身を解いたくらいだけど。
「その、変身魔法の解除が影響しているんだと思うよ?」
アルフォースおじさんがそう答えると、ルー爺も頷く。
「推測に過ぎんがの~……変身魔法を解除させた際、空気中にツバサの魔力が分散……それを水泉と雪花が吸収してしもうたんじゃろう。聖剣は技使用者の魔道具としても代用できると聞く。空気中の魔素を取り込む要領で、無意識に行ったんじゃろうな」
でも、今回はツバサのかけた変身の魔法に使った魔力そのものを吸収してしまった?
「多分、だけどね。効果が消える前に取り込んだから、その魔法にかけられた、と解釈できる」
剣に変身魔法がかかった状態ってことか。いやでも、あり得るのか? 剣だぞ。生きてるわけでもないのに。
話を聞いていたラルも似たようなことを思ったのだろう。ティールの頭を撫でながら、考えるように口を開く。
「無機物だけど、そういうのありなん……あぁ、そうか。……聖剣だからこそ起きた事案か」
「え……?」
「聖剣は長い年月をかけ、強力な力と意志を持った。つまり、自我を持つ剣。そう言った意味では、人になれる神器と大差ない。意志を持つ雷姫が刀や人になるように、ね」
「……なれる条件はあった、ってこと?」
ティールの言葉にラルは頷き、話を続けた。
「ただ、人の魂を食らう神器とは違い、聖剣は人の形を……魂の形を知らない。だから、真似っこできないから、なれなかった」
「そこに、丁度、ツバサがリランにかけていた魔法があった。”変身”……つまり対象の姿形を変える魔法だからの。そして、その姿は主であるティールに近い形に似たんじゃろ」
ラルの話を引き継いで、ルー爺がまとめた。結局、ツバサの魔法の断片を剣が受けてしまったってことなんだろう。
変身魔法という何か別の形になれる力を借り、ティールの剣は主人の見た目そっくりに……人の形になった。
「それに、ツバサの魔力が干渉したからか、僕やアラシくんも、聖剣達の声が聞こえるようになったみたいだね?」
「な……なるほど……?」
そう言われると、そうか。雫とじゃれあう二人の妖精の声は俺の耳にも届いている。となると、今の姿は誰にでも見えているということか。
人となった……というか、妖精になったスイとセツは、現在、雫の腕から抜け出し、ぐったりしているティールの周りを楽しそうに飛び回っていた。俺から見ると、どっちがどっちなのか分からないが。
「てぃー! みてー! ひとになったよー!! やったー!」
「てぃーとおそろーい! やったねー!」
「やったぁ……じゃないよ。ぼくにとっては、人だろうと剣だろうと、お前らがうるさいことには変わらないんだよ……というか、人型で視認できるようになったから、視界がうるさい。……最悪だ」
えーっと……随分な言いようだな。
「スイちゃん、セツちゃん、しーくんの相手、してあげて?」
「わかた! るーのいうとおりにするね!」
「しー! おいでー!」
「うんっ!」
ぐるぐる飛び回っていた二人をティールからさりげなく引き離し、ラルはティールをよしよしっと撫でる。
「ドンマイ、ティール」
「……声で分かる。ラル、楽しんでるだろ」
「えへ☆ バレたか~♪」
やっぱ、ラルはラルだったわ。

ティールもダウンし、雫もスイとセツとの遊びに夢中で、これでは話にならないと、仕事の話は一旦中断となる。
俺達も仕事の話をしないならと、ここに留まることにした。というか、スイとセツがツバサとリランを遊びに誘ってしまい、出るに出れなくなっただけなんだけど。
仕方がないから、俺達は商談用に使われるソファに座り、少し離れたところから、人二人と妖精二人とドラゴン一匹の戯れを眺めることに。
「あくまで一時的だと思います。なので、あまり深刻に考えなくても大丈夫だと思いますよ?」
と、おじさんからの慰めが入るものの、ティールからの返事はない。ラルに抱きついたまま、完全に塞ぎ混んでいる。
レオンがこれを見たら茶化してんだろうな。場違いながらも。
抱き付かれているラルはというと、ティールの落ち込みなんて無視して、ツバサ達に端末のカメラを向けていた。
「やだ。天使達が妖精と戯れているなんて。天国よ。ここは天国! エデンの花園なのねー! やだー!! 可愛いー!」
俺にはちょっと何言ってんのか分からんけども。とりあえず、雫やツバサが可愛いってことだろう。ここが天国とかエデンとかちょっと理解できないけども。
「おじさん、効力って長くても一日とかっすかね?」
「そうだと思うよ。吸収した量にもよるとは思うけど、長くても夜には解除されるかなって」
「……無理。一日中、ぼくの視界をうろうろされるとか、ストレスしかない。無理……やだ」
「はうぅ~……可愛いって正義……♪」
温度差で風邪引きそう。
「ほっほっほっ……仲がいいの~♪」
それは、どっちの意味なんだろう。スイとセツが? ラルとティールが?
「あん! あんあんっ!」
「あわー! りら、だめなのらー! とっちん、だめー!!」
ふわふわ浮くスイにリランがぴょんと飛び付き、どうにかして捕まえようとしているらしい。駄目と言う割りには大変楽しそうなのだが。
「りらー! すいちゃいじめ、だめー!」
「あうんっ!」
「ぷぎゃー!!」
絡まれていたスイを助けようとリランに突進したセツだったが、あえなく、リランの前足に捕まる。そして、くんくん匂いを嗅がれまくっていた。
「せっちゃー!!」
「あうっ!」
「ほわー!? すいちゃもつかまたー!」
なんのためにセツはスイを助けたんだか……結局、両方捕まり、リランの餌食じゃん。
「……なんなんだ、あのてるてる坊主コンビは」
「辛口だねぇ~……可愛いのに?」
「どこが」
あ、あはは……ご主人のティールも手厳しいことで。



~あとがき~
かなーり久しぶりなアラシ君視点。なんかよく分からなかったね……(笑)

次回、遊びまくるスイとセツ。
え? 本題? 知らね……

前回はスイとセツを心配していたティールでしたが、手のひら返し凄いですね。
まあ、心配をよそに元気に飛び回っていたので、シャクに触ったんでしょう。ぼくの心配返せ。的な。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第180話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわたわたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、家族の写真を見せられたティール。彼の心情はラルには分かりませんでしたっと。
まだまだルーメン親方の部屋からお送りしますよ~!
ラル「進まないねー」
ねー? まあ! いつかは進むので! もう少しだけお付き合いくださいませませ~


《L side》
「とりあえず、アズやライトの話は落ち着いたかの。……改めて、依頼を受けてくれて感謝する♪ ギルド『明けの明星』の親方として歓迎しようぞ」
アルバムを元の棚に戻し、再びこちらを振り向きつつ、挨拶をする。
ティールのことは少しあとに考えよう。今は、ルーメンさんと仕事の話をしないと。
「……いえ。こちらこそ。しばらくの間、お世話になります」
私が頭を下げると、ティールとしーくんもそれに倣う。
「うむ。プリンから聞いた通り、礼儀正しいチームじゃの~」
……どういう風に伝わってるんだろうなぁ?
「改めて、ツバサもここまでありがとうな~♪」
そう言いながら、ルーメンさんの側に立っているツバサちゃんの頭を撫でた。それを受けて、ツバサちゃんの耳や尻尾は嬉しそうに揺れていた。
「あんあんっ!」
私も私もー! と元気よく駆け寄り、リランが撫でろアピールをし始める。そんなリランにルーメンさんは嫌がる素振りもなく、優しく撫でた。
「リランも久しぶりじゃの~♪」
「あうーん!」
こちらもご主人様と同じように嬉しそうに尻尾を揺らしていた。今は犬の姿だから、尻尾だけで、ドラゴンだったら翼もパタパタさせていたかもしれない。
「ふむ。セラの連絡にあった通り、『神の祝福』を受けたあとじゃからな。魔法も魔力も安定しておるの。……どれ。ツバサ、リランを元に戻してあげなさい。ずっとこのままなのも窮屈じゃろう?」
「はーい! いっくよ、リラーン!」
「あんっ!」
ルーメンさんの指示でツバサちゃんはリランにかけていた変身魔法を解く。リランの体を優しく暖かな光が包み込み、瞬く間に一体のドラゴンが姿を表した。久しぶりの本来の姿にリランも体をほぐしたかったのか、ぐぐっと背伸びをする。
「まっちろドラゴンだー! リラーン!」
「くぅん? あんあんっ!」
しーくんに呼び掛けられ、リランは嬉しそうにしーくんの側へと近寄ってきた。そして、ペロペロとじゃれ始める。
「あー! リラーン! ダメダメ! 雫くん、じいじとお仕事のお話しするのにー!」
「んー! くすぐったぁい! えへへー!」
「あーあ……やめろって! リラン!」
しーくんをペロペロ地獄─やられた本人は特になんとも思ってないみたいだが─から救い出したアラシ君はリランをしーくんから離し、ハンカチで顔を拭いてあげていた。
本来なら私がやらないとなんだろうけれど、出遅れたな。
……うん。すっげーお兄ちゃんっぽい。
「……は? 何言ってんだ?」
「なんでもないよ。ありがとね、アラシ君」
「いいよ。リランが悪いんだし」
アラシ君がリランをじとーっと見るが、見られている白竜さんはこてんと首を傾げるだけだ。何が駄目だったの? みたいに。
「ごめんね、雫くん! 大丈夫だった?」
「うん? うん! だいじょぶだよ」
まだ少し遊び足りなさそうなリランだけれど、ツバサちゃんから「駄目」という一言にしょんぼりである。
「ほっほっほっ♪ 仲良しじゃの~♪ しかし、そろそろ本題の話もせんとな?」
あぁ、色々忘れそうになる。本題はそこだ。その話をしにきたんだ。
「ツバサ達は隣の部屋で待っててくれるかの?」
「はーい♪」
「うっす」
依頼内容の確認と詳しい説明をするのだろう。大まかな話はイグさんから受け取った書類あったけれど。
「そういえば……スイ? セツ? いるのか? ずっと静かだけど」
『むゆ! い、いるよ!!』
『いるー!』
ふわっとティールの側に液体と冷気になった二人がどこからか近寄ってくる。
「そろそろ剣に戻って。それから、しばらく喋るなよ」
『う、うみゅ……ね、てぃー』
「何? 話ならあとで……」
『へんなかんじするの~』
変な感じ?
セツちゃんがそう言うと、スイちゃんも同意するように頼りなく、ふわふわし始める。
『なんか、きてう』
「なんかって何? 誰か近くにいるとか?」
『ひとじゃないー!』
『なんか、すいちゃのなかに、なんかあるのー!』
怖い表現だな。
「中ねぇ……? お前らの体ってこと?」
「いや、体って。スイちゃん達の体って何さ?」
「え? う、うーん。ぼくも自分で言ってて、よく分かんないけど……」
『うみゅぅ……あううう』
『は、はわ。てぃー! なんかきちゃうー!! ぽわぽわーってして、はわわーってなる!!』
「ごめん。お前達と長い付き合いだけど、今のは意味分からない。何だって? どうにかなるのか?」
部屋を出ていこうとしていたツバサちゃんもアラシ君も気になったのか、その足を止め、こちらの様子を窺っていた。何でも知っていそうなルーメンさんですら、不思議そうに事の行く末を見守っていて。
『はわーーーー!! くるくるー!!』
『う、うまれるー!!!』
スイちゃんとセツちゃんがぐるぐるとティールの周りを飛び回る。いつもなら、鬱陶しいって怒るところだけれど、普段と違う二人にティールも無下にせず、落ち着かせようと話しかけていた。
「スイ! セツ! とりあえず落ち着け。ちゃんと分かるように説明しろ!」
『ぴゃあぁぁ!!!』
『みゅうぅぅう!!』
「ぼくの話を聞けよ!! ってうわっ!?」
スイちゃんとセツちゃんの叫び声が響き渡り、親方部屋を閃光弾みたいな激しい光が包み込んだ。この場にいる全員が思わず目を閉じ、「ポンッ!」とこの場に似つかわしくない音が聞こえて、そっと目を開けた。
「わ、あぶなっ!」
私よりも先に目を開けていたのか、ティールが慌てて上から落ちてきた何かをキャッチする。彼の腕の中にいたのは、二人の小さな妖精。
青色の髪にぴょこんと一本のアホ毛が特徴的な水色のポンチョちゃんと、水色の髪にぴょこぴょこっと二本のアホ毛が特徴的な青色のポンチョちゃん。
ここにいる人達の中で青で思い付くのはティールかしーくんだけれど……しーくんにこんなことできるなんて聞いていない。現に、ぽかーんとしているわけで。
ティール君、ついに精霊召喚を覚えたですね。おめでとーございまーす」
「適当か。召喚なんて無理だよ。……ねえ、スイとセツはどこ?」
そういえば、ティールの周りをふわふわしてたはずなのに、今はどちらもいない。なんなら、声も聞こえてこない。
「……ほわ~」
「はわわ~……」
ぱちっと目を覚ました二人は、ふらふらっと空中へと浮かび上がる。そしてお互いの顔を見合わせた。
「みゅ……せっちゃなの?」
「すいちゃ? すいちゃなのら?」
小さな妖精達はぺたぺたとお互いの顔を触りまくっている。私達のことなんて見えていないらしい。
……まさか。
「お、お名前呼んだら手をあげてくださーい。えっと……スイちゃーん?」
「あいっ!」
と、青髪妖精。
「えっ!? じゃ、じゃあ、セツ……?」
「ほいなー!」
と、水色髪妖精。
……これ、スイちゃんとセツちゃんでは?
「えっ……前からなれたのか?」
「なれるわけない。雷姫さんじゃあるまいし……というか、なれるとしたら、ぼくの胃が持たない!」
「そっちの心配かよ」
アラシ君の疑問にティールが食い気味に答える。まあ、なれたとすれば、ティールのストレスフルな生活の始まりだろうけれども。
「ほほぉ? これは……」
『……ほう。面白いことになっとるの?』
ルーメンさんやアルフォースさんは何か思い当たることがあるのか、少し考え込んでいる。雷姫に関しては、答えを知っているみたいなトーンである。でも、くつくつと可笑しそうに笑うだけで教えてはくれなかった。



~あとがき~
変身。

次回、急に姿が変わったスイとセツ! その原因とは……?

ルーメンさんのところでどんどん事件(?)が起こりますね。話が進まねぇ~(笑)
そして、これ以上言いたいことはないです。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第179話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でびっくりどっきりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、衝撃的事実を目の当たりにしたティール……とその他の皆様。
今回もその話からやっていくぞ。
アラシ「その他まとめされた」
ラル「雑にしてんじゃねぇぞー!」
ここでのメインはティールなんだ! 我慢しなさい!!
ラル「ティールずるいー!!」
ティール「えっ」
アラシ「それは流石に理不尽」


《L side》
ルーメンさんの告白に、ティールは動きが止まる。理解できていない証拠である。
懇意。つまり、とっても仲良く親交のある関係性ということだ。ルーメンさんは元王様と、現王様と仲良しってことなんだろう。言葉の理解はできても、飲み込めるかはまた別の話である。
「その様子だと、誰からも聞かされておらんのかえ? ワシはてっきり、セイラさんから聞かされておるもんだと」
「は、母から? いえ、全くですけど」
「そうだったのかぁ……何やら驚かすようですまんな~♪」
すまんって思ってないな、この人。
まだ冷静さを保っていられるのか、ティールは落ち着いた声でルーメンさんに問いかけた。
「ルーメンさんが父と縁があるのはイグさん……先輩からお聞きしました。が、祖父の件は初耳です」
「うむ。……アズは玉座を退いてからなかなか会えんが、ライト……ブライトとは定期的に二人で飲みに行くぞ? 大体、月一ペースかの~」
……王様と月一で飲めるってなんなん? それくらい、ルーメンさんが偉大ってこと……? いや、違うよね。王様だよ? 絶対に忙しいじゃん。実の息子のティールですら、半年に一回連絡あるかないかなのに。
「は、はあぁぁぁ!? あの父と!? サシで飲むの!? 嘘だろ!」
あ、冷静さが決壊した。
ちなみに、この衝撃的事実にびっくりしているのはティールだけではない。案外、冷静なのはしーくんとアルフォースさん。しーくんは事の重大さを理解していないせいで、真剣に話を聞くつもりもなさそうだ。そして、アルフォースさんは……彼がぽかんとしていたのは、スイちゃんとセツちゃんの声が聞こえなくて、話が見えてこなかったせいなのだろう。今は流れを掴んだのか、柔らかな笑みを浮かべていた。
「ラルー! ぼくにも分かるように言語化して……どういうこと?」
「いや、知るわけない! でもまあ!? ティールのお祖父さんとお父さんがルーメンさんとなっかよし~♪ ってことじゃない?」
「意味分かんないー!!」
いや、これ以上砕けねぇよ!?
「あ、あとで、電話してみよっかな……?」
そこまでっすか。珍しい。
「? ラルとティール、どしたのー?」
「あ~……混乱してるんじゃないか? とはいえ、あそこまでなのは俺も初めて見るけど」
「ボクもはじめてー!」
「そっかぁ……じゃあ、めっちゃ驚いてんだなー」
軽いな、ちくしょう!!
当事者でもなく、完全な傍観者ポジションなアラシ君は、しーくんの疑問に何となくで答えているらしい。しーくんの相手をしてくれてるのは大変ありがたいが。
「……ね、じいじ?」
「うん? なんだい、ツバサ?」
「そのアズってアズじいじだよね? じゃあ、アズじいじが言ってたお孫さんってティールさんなの?」
「あぁ、そうじゃよ♪」
「ほえ~♪ そうだったんですね~♪」
アズじいじ……話の流れからすれば、ティールのお祖父さんのアルドアーズさん、なのだろう。ルーメンさんだけでなく、ツバサちゃんともお知り合いなのか?
「ツ、ツバサ? お祖父様……アルドアーズ様と会ったこと、あるの?」
「はい♪ たまにアズじいじが、じいじを訪ねてギルドへ来てたことがあって。そこに私……あと、ツルギといて、仲良くなりました!」
「お祖父様~……何してんのぉ?」
両手で顔を覆い、その場にしゃがみこんでしまった。一気に色んな関係の糸が見えてきて、混乱しているのだろう。ティールは意外と不測の事態に弱いのだ。
ルーメンさんがふと何かを思い付いたのか、椅子から立ち上がる。棚から二冊のアルバムを取り出し、一冊をローテーブル─ここで商談とかするのだろう─に置き、もう一冊をティールに手渡した。
ティール、これを開いてみぃ」
「……アルバム、ですか?」
ルーメンさんは無言で頷くと、再び椅子の方へと戻っていく。受け取ったアルバムをティールが恐る恐る開いてみると、なんてことはない。普通のアルバムである。
ただ、中に納められている写真は古いのものだと物語るものばかりだけれど。
「!……うわっ!?」
「え、何……?」
ぱらぱらと適当に捲っていたティールが、とあるページでその手を止めた。そこには若い男性二人が写っている。色褪せてしまっているから分かりにくいけれど、一人はルーメンさん……だろうか。
「お祖父様」
え?
「これ、お祖父様だよ。なんで……?」
「そっちの方にはセイラさんとライトが写っておるぞ?」
「はいぃ!?」
ティールが慌てて、アルドアーズさんとルーメンさんが写っていた方のアルバムを閉じた。そして、ローテーブルに置かれたアルバムを手に取ると、同じように捲っていく。
「……!」
ティールが手を止めたページには、ギルドメンバーでの集合写真があった。これはきちんと色も分かるし、私にも誰なのか分かる。
中央に写っている黒っぽい紺色の髪の男性がブライトさん、ティールと同じような明るい水色の髪の女性がセイラさん……ティールの両親だ。
二人とも私達よりも少し上……イグさんとかその辺の年齢、かな。
「……父上と母上、だ」
「アズとは若い頃に共に旅をしとった時期があって、ライトは昔、ここで修行に来てたんじゃよ。どちらも、家の仕来たりに従って、な。……セイラさんは旅人じゃったからの~♪ 時折、ワシのギルドへ足を運んでおったんじゃ。うちにおったときは、よくライトと一緒に仕事やら遊びにも行っておったかな?」
む、昔からの仲だったんだ、ブライトさんとセイラさん。
「? ルーメンさん、セイラさんの隣の女の子って……」
目元を真っ赤にさせながらも、満面の笑みでピースするうさぎ族でピンク髪の女の子。この人、どこかで見た気が……
私の質問にルーメンさんはニッコリと笑って答える。
「セラじゃな」
「……セラフィーヌ理事長?」
「そうじゃよ。セラはセイラさんを慕っておってな~」
マジか。ティールの周り、がっつりケアル家に固められてますな……?
ティールが無言でゆっくりとページを捲っていく。
ブライトさんとギルドの人達と撮った写真や、ブライトさんとセイラさんのツーショット、セイラさんとセラ理事長(幼少期)の写真……一枚じゃなくて、何枚もティールの両親の写真がそこにはあった。
ルーメンさんの言っていることは本当なのだ。昔から、ティールのお祖父さんや両親と付き合いがあった。そこに嘘は一つもない。
『あずとじっちゃのたび、たのしかったのら』
『よく、あずがばーんってとばされてたの。おもしろかった~』
「ふぉふぉふぉ♪ そんなこともあったの~♪」
一国の主だったお方の若い頃に一体何が。
「あ~……ルー爺の関係図って滅茶苦茶広いなーって思ってたけど、改めて聞くとやばいな。一国の王様と仲良しって……ツバサはそれ、知ってたのか?」
「ううん。アズじいじのお孫さんがティールさんって初めて知った!」
「……うん。そういうことではないな」
「ほえ?」
アラシ君とツバサちゃん、スイちゃんとセツちゃんはルーメンさんと楽しげに話している中、私は無言になってしまったティールを見る。
「……ティール?」
「え? あ、うん……ごめん。大丈夫だよ」
口ではそう言うものの、表情は浮かないものだった。何をどう考えているのかは分からないけれど、彼の戸惑いは感じた。
ティールとブライトさんとの仲はあまりよろしくない。昔に何かあったとは聞いたけれど、詳しくは知らない。だから、両親の昔の話もしてこなかったのだろうし、家の仕来たりでブライトさんがどこに行ったのかも聞かなかったのだろう。自分がやるから参考にさせてくれ、とは言わなかったのだと思う。
だから、ここで一度に知ってしまって、処理しきれていない。どう飲み込めばいいのか分からない。きっと、そんな感情が彼の中に渦巻いてしまっている。
……他にも何かありそうだけれど、私にはこれ以上の予測はできなかった。
「────」
ティールは俯きつつ消えそうな声で何かを呟き、何かを耐えるようにぎゅっと目を瞑る。堪らず、私が声をかけようとしたとき、すっと顔を上げ、いつものティールに戻っていた。
「ルーメンさん、アルバム見せてくれてありがとうございます。あなたがぼくの両親と祖父と懇意であるのは理解できました」
「ふむ。そうかそうか♪」
ティールが二冊のアルバムを返しながら、ふわりと柔らかな笑みを浮かべた。
……大丈夫、だろうか。
無理しているのは一目瞭然なのだ。本当なら、ここから一旦連れ出してしまいたいけれど、ティールは従わないだろう。大丈夫と言われてしまったのだ。それは、「ぼくは平気だ」と言われてしまったも同然で。
……どうしてあげられるのだろう。私は。リーダーとして、パートナーとして……親友として。



~あとがき~
いろんな事実がティールに襲いかかるぅ~!

次回、お仕事の話を……する前に事件です。

ティールとブライトの話はどっかで軽くしか話してないんですよね。どこだっけ。サバイバルの夜会話(男子)かな?
まあ、それの話をもう少し詳しく、どこかで入れますんでね。お待ちくださいな。

プロットではもっとわいわいしてる感じだったんだけど、ティールの描写とかラルの考察とか入れたら一気に暗い感じになってしまった。おっかしいなぁ?
次回はそんなことないと思いますので、安心してくださいね!

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第178話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルVSツルギ戦を無理矢理止めたリランだったり、双子の喧嘩を止めに入ったリランだったりでした。え? リランの話なのかって? 多分、違いますね。
さて、今回からまた別のところへ。ようやく。ルーメン親方様を出していきますぜ。


《L side》
こちらにやってきたアルフォースさんはティールと雫を見ると、にこりと笑う。
「お二人とは初めまして、ですね。親方補佐をしているアルフォース・ケアルと申します。そして、いつも娘がお世話になってます。……あと、先程は息子がお騒がせしてすみません」
「お、俺からも! 若が粗相をしでかしてしまい、申し訳ないっす! 俺はヒデって言います。普段から若の世話役として傍に付いてます」
アルフォースさんは余裕のある感じだけれど、ヒデさんは全力で謝っている。いつも、こんな感じで各所謝っている……のだろうか。いや、そこまでツルギ君がやらかしてるのか知らないけれど。
「あ、ご丁寧にどうも。私はラル、スカイのリーダーです。さっきのあれは気にしないでください。あんな感じのは慣れてますし」
「それに、ぼくと雫は被害受けてませんからね。……初めまして、アルフォースさん、ヒデさん。ラルのパートナーのティール・クランドです。そして、こっちが」
「ラルとティールのなかまの、雫ですっ! よろしくおねがいします!」
元気よく挨拶をしたしーくんにアルフォースさんは優しく微笑む。そして、しーくんと目線を合わせて、頭を撫でた。
「雫くん、きちんとご挨拶できて偉いねぇ」
「えへへ。ラルがちゃんとしなさいっていうの!」
「そうなんだ。きちんとお約束守れて凄いな~」
流石、二児のパパ。手慣れていらっしゃる。
褒められて嬉しそうにするしーくんを撫でた後、アルフォースさんは立ち上がり、私とティールをそれぞれ見る。
「今回は我々の依頼を受けてくださりありがとうございます。先程、親方の商談と昼食も終わりましたので、部屋に御案内しますね」
「あっと……わざわざすみません。お願いしてもいいですか?」
「ええ、もちろんです。……あ、ツルギ」
部屋へと案内しようと踵を返したが、何かを思い出したらしく、ツルギ君の名前を呼びながら彼の方を見た。
「うん?」
「夏祭りの実行委員が出店のことで、ツルギに聞きたいことがあるって探していたよ?」
「えー? せっかくツバサ会えたのに仕事なのー?」
そういえば、ツルギ君はここでお仕事してるんだっけ。ルーメンさんがツバサちゃんのおじいちゃんなら、ツルギ君のおじいちゃんでもある。ここの跡取りとして修行中……みたいな感じなのかな。
「明日からはツバサと一緒にいられるんだし……今日は我慢して頑張ろう?」
「そうだよ、ツルギ! お仕事、頑張って!」
「むぅ……わかったぁ」
お父さんと大好きな妹からのエールを無視できるほど、ひねくれてはいないツルギ君。渋々ではあるものの小さく頷いた。

これからお仕事があるらしいツルギ君とヒデさんと別れ、アルフォースさんの案内の下、親方部屋へと向かっていた。
一番後ろを歩く私達は、今更ながらに緊張感というものを感じ始めていた。
「……完全私服なんだけど、よかったのかな。もういっそ、制服着てくればよかった」
「え。仕事で来たんだし、制服じゃなくてもよくない? というか、格好なんて今更気にしないでよ」
うるっせ! 普段からフォーマルスタイルのお前に言われたかないわ!! というか、釣り合わん! やだ! 帰りたい!!
「なんで怒られてる気分になるんだろ、ぼく」
「だって、ツバサちゃんのおじいさまだよ? きちんとした格好の方がよくない? 今から会う人ってこの国のお偉い様だよ?」
「それはうちの親方も同じ。……プリン親方に会うとき、服装なんて気にしないだろ」
それはそれ! これはこれ!!
「変なこと言ってる自覚ある!?」
あれこれティールと言い合ってあると、先頭を歩くアルフォースさんの笑い声が聞こえてきた。
「親方は気難しい方ではなく、フレンドリーなので、緊張なんてしなくても大丈夫ですよ」
「あう。……すみません。騒がしくしちゃって」
私が謝ると、アルフォースさんは笑って許してくれる。そして、とある部屋の前で立ち止まった。
「ここが親方部屋です。ここで我がギルドの親方、ルーメンがお待ちです」
「じゃ、開けますね~♪」
え、心の準備したい……!
ツバサちゃんは何の躊躇いもなく、部屋をノックすると、返事も待たずにドアを開ける。本当に迷いのない行動だ。
部屋はかなり広く、どこかの豪邸のリビングなんじゃないかと思いたくなるくらいの広さである。壁には陸、海、空の国の各地のダンジョンが記されている地図が飾られている。戸棚にも、ダンジョン資料や魔法関連の資料が多く並べられていた。その奥、仕事用の立派デスクもあり、そこの椅子に誰かが座っている。こちらに背を向けているが、状況を考慮するに、あの人がここの親方であり、ツバサちゃん達の祖父ルーメン・ケアル・レイディアント、なのだろう。
「じいじ! ただいま~♪」
ツバサちゃんが部屋に入るなり、椅子に座る人物へと駆け寄る。そして、ぴょんっと抱きついた。
「ん? おぉ、ツバサか~」
「えへへ。ラルさん達、連れてきたよ!」
「そうかそうか……連れてきてくれたのか♪ ありがとう、ツバサ♪」
あれ。ご、ご機嫌なおじいちゃんの声が聞こえてきたんですけど……?
抱きついたツバサちゃんがそっと離れ、椅子がくるりとこちらを向く。そして、明けの明星の親方の姿が現れる。
縁側でお茶を飲んでいそうなおじいちゃんだな、というのが第一印象だった。うさぎ族の特徴である長い耳はオレンジ。子供達にプレゼントを運ぶ赤いおじ様のような立派なお髭、そして、和装に身を包み、優しそうに笑う老人。
「お主達がプリンの言っていた『スカイ』か。お初にお目にかかる。そして、ツバサがお世話になっておるの~♪ ギルド『明けの明星』の親方、ルーメン・ケアル・レイディアントじゃ♪」
うん。あの、うん……はい。
「ラル、言いたいことは分かる。けど、絶対にここで言うなよ」
私をよく理解するティール君の耳打ちにこくこくと頷く。
言いません。心の中で叫ぶので。
……想像と違ったぁぁぁぁ!!!!
前情報が凄すぎて、もっと厳しめおじいちゃん想像してました! してました!! え、なんなん!? え、透かし食らった気分!
……よし。もう切り替えられる。
私は気持ちを入れ換えるように、ふっと小さく息を吐いて、背筋を伸ばす。
「初めまして。探検隊スカイのリーダー、ラル・フェラディーネです。こちらは私のパートナーのティール。そして、メンバーの雫です」
「スカイ所属でラルのパートナー、ティール・クランドです」
「メンバーの雫です! よろしくおねがいしますっ」
「うむっ♪ よろしく頼むぞ♪」
……やっぱり、調子狂うな。勝手に想像していたのはこちらだが、イメージと違うというか、なんというか。
『おわぁぁぁ!!!』
!? スイちゃんの声……?
「! ばっ……お前!」
ティールの腰に装備されていたスイちゃんが勝手に剣から水へと変化し、ルーメンさんの方へと飛んでいく。それを見た……というか、感じ取ったセツちゃんも……
『ずるいぞ、すいちゃー!』
と叫びながら、冷気になって同様に飛んでいく。いつもならこんなことしないのに、なぜよりにもよって今なんだ。
「スイ! セツ! こんなときにやめろって!」
「ほお。久しいの~♪ 水泉、雪花や。元気かの~?」
『げんき!』
『めちゃげんき!!』
え……あ、え? どういうこと?
誰か説明してくれという気持ちで、周りの方々を見るけれど、そもそも声が聞こえていないっぽいアラシ君とアルフォースさんは、ぽかんとしている。声の聞こえているツバサちゃんやしーくんは首を傾げていた。それは私も同様で。
主であるティールですら、あの慌てようなのだ。事情なんて知るよしもない。
『じっちゃもげんきー?』
「うむ。元気じゃぞ~♪」
世間話してるところすみませんけど、説明求むだよ? ここにいる誰一人として理解していないよ?
「ねえ、スイ? セツ? なんでそこまで親しげなの。いや、お前らはいつも誰に対してもそんなんだけど。今回のは流石にまずいって」
『まずくないよ? だって、じっちゃ、なかよしだもん。ねー?』
『そだよ! じっちゃはね、あずといーちゃとなかよしだもん! だから、せっちゃとも、すいちゃとも、なかよしさんなのー! ねー!』
『ねー!』
「……はあ!?」
えぇっと……どういうこと?
つまり、スイちゃんもセツちゃんもルーメンさんと仲良しってこと? 剣なのに。
水と冷気がふよふよする中、混乱しかないこの親方部屋。きっと、冷静なのはルーメンさんだけなんだろう。他の人達は何かしらの戸惑いを覚えているはずだ。
というか、あずといーちゃって誰……?
「こいつらが使う……お祖父様と父上のあだ名だね」
ってことは。
ティールは言い淀むものの、答えを教えてくれる。
「えっと……あずはアルドアーズ元国王。……いーちゃはブライト現国王、だよ」
は、はあぁぁぁ!? な、なん……どういうこと?
「それはぼくも知りたい」
「うむ? ティールや、何も聞かされてないのかの?」
「え……? いえ、特には」
戸惑うティールにルーメンさんはニコッと笑う。
「ワシは昔からアズとライト……つまりお主の祖父と父親とは、昔からの仲……懇意にある間柄じゃぞ?」



~あとがき~
ルーメンおじいちゃんはブライトだけでなく、その前の王様から仲良くしてましたとさ。

次回、ルーメンさんとティールの親族達との関係について。
達っていうか、三人しか出てきませんが。

登場人物多くて、影が薄くなってる子達がいて申し訳ない! アラシ君! もっと主張していいのよ!?
いいところで、アラシ君視点を入れてあげたいね。基本、ラル視点が楽なんですがね。

ではでは!