satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第358話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で、わちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、回想前で終わりました。今回は過去編ってことで! いっくぞぉー!
久々の誰でもない視点でお送りします。めっさ苦手なので、変なところあっても暖かい目で見守っててください。


とある夏の昼下がり。
男性数名がギルド『明けの明星』内にある資料室で、各々仕事をしていた。
一人は数冊の本を広げ、なにやらメモを取る犬族の男性。
一人は山のような書類の束を軽々と運ぶ人族の男性。
一人は足場に登り、目当ての資料を探す人族の男性。
彼らは次の商談に向け、資料作成をしている最中だった。彼らにとって、何も珍しくはない、とある日常風景である。
「……ハル先輩、お探しの資料はこちらですか?」
「ん? お~♪ そうそう、それだ。ありがとうな、ライト」
差し出された資料をにこやかに受け取るハル。そんなハルとは対照的にライトは、にこりともしなかった。彼がハルの対面に座ろうとしたところで、もう一人の人族の男がこちらへ手招きしていた。
「おい! 探しもんが終わったんなら、こっちを手伝え、ライト!」
「はい。……? カズキ先輩、それ、前回の資料では?」
「えー? せーんぱい、それ、使わないやつっすよ~?」
「うえぇ? 早く言え、早く!」
バタバタと慌ただしく資料をまとめ、しまい始める。そんなカズキの様子に二人は思わず苦笑を漏らした。
これもまた、彼らのいつもの光景である。
──そんな様子を見つめる一人の少女がいた。
少女があまりにも自然にそこにいるから、三人も特に気にする様子もない。それをよしとしたのか、少女は二つの椅子を横に並べ、その上に上る。そして、椅子の上で仁王立ちすれば、キッと愛らしい目をつり上げた。
「ライトくーーーん! ここにきなさーーーい!」
「行きますから、椅子の上は降りてください。お嬢」
お嬢と呼ばれた少女──ギルドの親方の娘、兎族のセラフィーヌはライトの忠告を無視し、頑なに仁王立ちを止めない。
そんなセラフィーヌに、ライトはため息をつきながらも、言われた通りに彼女の目の前に立つ。
本来なら、四十センチ以上の身長差がある二人だが、今はセラフィーヌが椅子の上に乗っている。そのため、いつもは見上げていたライトを今、セラフィーヌは見下ろしていた。
これを優越感に浸ると言う。実際、セラフィーヌは自信満々に威張っていた。
「来ましたよ、お嬢。早く降りてください」
「ライトくん! いい加減、お姉様とどうするのか、決めなさいっ!」
セラフィーヌには、姉と慕う年上の少女がいた。名前はセイラ。セイラはライトの数年来の友人でもあり、二人は恋仲……ではなく、仲のいい友人関係であった。少なくとも、二人の中では。
セラフィーヌに言わせれば、何を悠長に構えているんだと、ライトを叱りつけたかった。いや、事実、今現在、叱りつけている。
だと言うのに、ライトは叱られている自覚がないのか、はたまた本気に捉えていないのか─恐らく、両方─全く動じない。それに加え、質問にも答えず、セラフィーヌを見つめていた。
「人の話を聞け。降りろ」
「むふー!」
「威張るな。危ないから、降りろって」
少女と青年のやり取りを見守っていた先輩二人は、どちらかに加勢せず、傍観者に徹していた。
「……いやぁ、ライトがギルドに来て、一年! あいつもお嬢の扱いには慣れたもんだな~♪」
「お嬢の突然の行動にも、あぁやって平然と注意するようになりましたもんね~? にしても、今回もまた突然だなぁ……?」
なんてやり取りをしている一方、セラフィーヌとライトの睨み合いは続いていた。
「お嬢、いい加減にしてください。怪我をしたらどうするんですか」
「自分で治すから、だいじょーぶだもん! そんなことより!!」
「そんなことよりぃ?」
「ライトくん、お姉様との間をはっきりさせなさーーい!」
「またそれか。……セイラとの間って、関係性ってことですか?」
ライトの問いかけにセラフィーヌは大きく頷いた。
そして、側で聞いていたハルとカズキも「確かに」と同意を示す。
「僕らも常々思ってましたけど、お嬢、よく言いますね。ライト相手に」
「言わなきゃ、分かんないもん!」
「まあ、その通りではありますがねぇ……相手がなぁ?」
カズキやハルが曖昧な反応を返す理由は、ライト本人にあった。
そんなことは露知らず。ライトはしばし悩んだ後、淡々と答える。
「……関係性って言われても。セイラとは友人関係ってだけですが。あぁ、たまにコンビ組んで仕事するし、仕事仲間でもあるか」
「むぐぐ~……! そうじゃない! そうだけど、そうじゃないのー! ライトくんは、お姉様とそれ以上にならないのっ!? ってお話しをしてるの!」
「……? それ以上……?」
そう。彼は超がつく程の鈍感であった。
周りが呆れてしまう程には『そういうこと』に疎い。
それを先輩であるカズキやハル、彼の目の前で、仁王立ちするセラフィーヌですら理解している。
いや、だからこそ、なのかもしれない。
セラフィーヌは今年に入ってから、幾度となく、ライトに同じような問いを投げ掛けていた。それこそ、両手では足りなくなるくらいには。
そして、セラフィーヌの問いにライトはいつも同じ返答、或いは、反応をしていた。
それを見る度、セラフィーヌの心境には、ふつふつと怒りが沸き上がってくる。
なんでこんな奴をお姉様は……と。
それを口にしないだけ、セラフィーヌは実年齢十一にしては、大人な対応だった。代わりに、目一杯頬を膨らませ、勢いよく椅子から飛び降りる。そして、やり場のない苛立ちを声にして、吐き出した。
「むう~! ライトくんのバーーーカ!!」
「はあ……? そうですね……?」
「バカバカバーーカ! ライトくんなんて知らない! 分からず屋! ライトくんの分からず屋!!」
「語彙力が大変なことになってますけど、大丈夫ですか。お嬢?」
「誰のせいだーー!!」
と叫びながら、セラフィーヌは資料室を飛び出した。残された三名は、その後を追うこともなく、ぽかんとセラフィーヌの背中を見つめていた。
やがて、セラフィーヌの姿が見えなくなった辺りで、ライトが二人の方に振り返った。その顔は何とも言えない表情を浮かべていた。
「……俺のせいですか? あれ」
「あ~……ん~……まあ、うん。そうね?」
「つっても、お前にその自覚はないんだろーけどな。あー、とりあえず、何もすんなよ? 適当に謝っても、お嬢を怒らせるだけだかんな」
「まあ、そうですよね。分かりました」
こうして、三人はまた仕事に戻る。
悲しいかな、これもまた、ここではよくある日常風景。だからこそ、三人は普通に作業に戻った。


旅人兼音楽家の少女─セイラは、突然、訪問してきたセラフィーヌに言われるがまま、スプランドゥールの街中にあるカフェへと来ていた。
そのカフェでは、色取り取りのケーキ、ゼリー、アイス等のスイーツが並べられ、好きなものを好きなだけ食べられる。所謂、スイーツバイキングなる店の一つだった。
そんな庶民に人気のカフェで、セラフィーヌは膨れっ面で、目の前の桃のタルトを無心で頬張っていた。
やけ食いである。理由は言わずもがな、先程のやり取りのせいだ。
「ライトくんったら、ほーんとわかってないんだから!」
「あはは♪ セラちゃん。そんなに怒りながら食べても、ケーキは美味しくないよ?」
セイラにとって、突然現れたセラフィーヌに誘われ、どこかに行くこと自体は、大して珍しいことではない。なんなら、しょっちゅうある。
お稽古が嫌だから。
勉強したくないから。
お姉様に会いたくて来ちゃった。
ライトくんがあんぽんたんなの。
……理由は様々であるが、事ある毎にセイラの元を訪れ、どこかへ出掛けるのである。
セイラは「今回はライトが原因か」等と思いながら、自身もショートケーキを一口食べた。
「だってだって! お姉様はこーんなにライトくんが好きなのに、肝心のライトくんが、あんなんだもん!! 気づいてないんだよ!?」
「そうだね~……ん? そう、だね?」
「ギルドのみんなだって、お姉様の気持ちには、気づいているのに、肝心の本人があれだよ!? もうどーゆーことなのって話だもん!! それも! ライトくんがうちに修行に来てから! ずーっとあんなんだもん!!! お姉様、あの頃からずーーっと、ライトくんが好きなのにー!!」
「こ、声が大きいよ、セラちゃん!? あ、あと、なんで、そこまで広まるの~……?」
セラフィーヌの言う通り、セイラはライトに淡い恋心を抱いていた。
そもそも、ライトとセイラはこの街で出会ったのではなく、別の街……なんなら、別の国で出会い、親交を深めてきた。セイラは、その頃からライトに好意を抱いていたのだ。
つまり、数年間、片思い状態である。
「正直、セラとしては、クソ真面目で、融通が利かなくて、鈍感で、にぶちんのライトくんに大好きなお姉様を任せられないって思うけど」
「わあ~……信用ない」
「……でも」
セラフィーヌは静かにフォークを置く。
セイラはライトと一緒にいる時、一番楽しそうに笑う。幸せそうに笑っている。
そしてそれは、ライトも同じであることをセラフィーヌは知っていた。
そんな光景をセラフィーヌはずっと見てきた。何度も。何度も。
「お姉様にとって、ライトくんと一緒にいることが一番の幸せだもん。セラ、分かってるもん。……分かるけど~!」
自分の中にある様々な感情がごちゃ混ぜになり、頭の中は整理がつかない。
頭を抱えるセラフィーヌに、セイラはにこりと笑う。
「セラちゃん。確かに私はライトが好きだけど……でも、ライトと恋人になりたいとは思ってないよ?」
「え? お、お姉様……?」
セイラが数年間の片思いを周りに気づかれても、ライト本人に伝えない理由があった。
「だって、彼は王子様だもん。平民の私なんかと恋人になんて、なれないよ。全然、釣り合わないし……お友達として仲良くできるだけで、十分幸せだよ?」
ライト……本名はブライト・クランド。彼は、ここから離れたところにある一国の王子であった。それも次期国王として認められていた。つまり、未来の王である。
そんな彼が身分を偽り、ギルドに滞在しているのも、あらゆる経験を積むため、修行によるものだ。それを知った上で、ギルドのメンバーもライトと接していたし、セイラも彼の正体を知りつつも、ここではライトとして接していた。
「だから、セラちゃんが心配しなくてもいいんだよ。ありがとね、たくさん怒ってくれて」
「むう……ほんとに?」
「うん。本当だよ」
セラフィーヌは、どこか疑うようにセイラを見つめる。目の前のセイラは、いつもと変わらない、優しい笑顔を見せてくれていた。
──その笑顔は、誰かを気遣うための笑顔であると、セラフィーヌは知っていた。
だからこそ、セラフィーヌは一つの問いを投げ掛けた。
「……お姉様。お姉様はライトくんが結婚しちゃっても、同じこと言える?」
「……え?」
「ライトくんがお姉様以外の人と、結婚しちゃってもいいの?」
この問いにセイラは答えなかった。否、すぐに答えられなかったが正しいのかもしれない。
「まあ……今の方がセラの側にいてくれるし、セラも嬉しいから、いいんだけど」
「……ふふ。ありがとう、セラちゃん。私もセラちゃんといれて、嬉しいよ♪」
セラフィーヌ自身で問い掛けたものではあったが、あの沈黙に耐えられなくなり、無理矢理に話題を変えた。すると、セイラもにこっと笑いながら、答えてくれる。
あの問いを聞くまで、笑顔だったセイラが見せた一瞬の悲痛な表情に、セラフィーヌは、言わなければよかったと後悔した。それと同時にやはり、セイラには幸せになって欲しいと願う。それにはライトの存在が必要なのだ。
ライトにセイラの思いを気付かせる。至極、単純なことなのだが、その単純なことが一番難しい。
「……そうだ! 今年の女神祭、準備もうすぐだよね?」
「へ? う、うん。そうだよ?」
「私、今年は見に来れそうなの。去年は駄目だったけど、今年はセラちゃんの神子姿、見に行くね?」
「ほんとに!?」
毎年、スプランドゥールで行われる大きな祭り、女神祭。街で信仰しているミルティアに感謝を捧げる祭事は、他の街や国でも有名な祭りであり、毎年、多くの人が訪れる。
その祭りでセラフィーヌは神子として、舞を踊る。それを任されるようになったのは去年からなのだが、あの年はセイラの都合が合わず、見せることができなかったのである。
「実はね、今年の女神祭で、友達夫婦が音楽を聴かせる予定だったんだけど、奥さんが妊娠したんだって。だから、その奥さんの代わりに、私が旦那さんと出ることになったの」
「そうなんだ……セラ、お姉様のライブ、見に行くね!」
「ありがとう。……まあ、このお仕事がなくても、意地でも来るつもりだったけどね? ほら、去年から代替わりの時期でしょ? 代替わりなんて、不定期で行われるものだし、巡り合わせもあるから。セラちゃんとルーメンさんの神子神楽は貴重だもん。……絶対に見なくっちゃ!」
「代替わり……神子の」
「? セラちゃん?」
神子の代替わりというワードに一つ、引っ張られてきたものがある。
それは、とあるジンクスだ。
代替わりの年にだけ行われる行事がある。それが神子探しであった。二人の神子を捕まえた者は仲良くなれる……そんな話を聞いた覚えがあったのだ。
それを思い出した瞬間、セラフィーヌの中で、これを利用しない手はなかった。
「これだーー!!」
「え、あ、何が……?」
「お姉様! ごめんなさい! セラ、お家に戻らなきゃ! 今すぐにやること、思い出したの!」
「そうなの? まあ、スイーツは十分に堪能したし、セラちゃんが満足したのなら、いいんだけど。じゃあ、ギルドまで送ってあげる」
「うん! ありがと、お姉様! あ、お姉様、セラ、頑張るね!」
「うん? うん、頑張ってね♪」
いまいち噛み合っていないものの、セイラとセラフィーヌはカフェを後にした。
セラフィーヌは大好きなお姉様の幸せのため、一つの作戦を実行する。そのために、当日までにやらなければならないことに取り組み始めるのだった。



~あとがき~
あぁぁぁぁ!!! 一人称視点の小説むずい! ごめんなさいね!? 視点があちこちいってます! ごめんなさい!!

次回、大好きな姉のため、暗躍する少女です。
お楽しみに。

若い頃の三人。
セラフィーヌさんは当然、今より幼い少女時代なので、今より天真爛漫で自由な女の子です。大人しくして、「うふふっ♪」て笑ってません。
セイラは口調すこーしだけ違う。まあ、彼女の場合、デフォルトが敬語なので、余計に違う感じもするですけどね。
そんな中、ブライトはあまり違いが分かりません。理由としては、ハルさん、カズキさんが先輩だから、です。敬語なんすよね。
セラちゃんに対しても、基本、敬語ですが、時々、ポロッと出てる本音の時は、口調が違います。あれが『ライト』としての口調だと思ってくれれば。
今後、セイラと話すシーンもあるので、そこでブライトとライトの違いを感じてくださればと思います。

ではでは。

ポケモンSVのはなし

発売して、約1週間が経ちまして、私もようやくストーリークリアしたぞぉぉぉ!!!
……ってことで、さらっと感想を書き綴るやつです。
ちゃんとした感想は1ヶ月後くらいに出します。それくらい経てば、ネタバレ等々も大丈夫やろ的な判断。
とはいえ、発売前に情報公開されてる物に関しては、遠慮なく出していくつもりなので、その辺もまだ見とうないんじゃ!……という方はブラウザバックでお願いします。
ネタバレには気を付けますが、気付かないうちにぽろっと出てる可能性は大いにあるので、ご注意を!





はい! じゃあ、改めまして感想を言ってくぞい。

まず、ポケモンシリーズ初のオープンワールドの世界。序盤は決められた道順はありますが、それが終わりさえすれば、そこからは自由に選択可能です。
従来通りのジム優先(チャンピオンロード)で進めるのか。
あるいは、別のルート(レジェンドルート or スターダストストリート)優先で進めるのか。
私はレジェンドとチャンピオン(というよりは、ジム巡り)を優先で進め、スターダストはちょいと後回しで遊んでました。理由は報酬の旨さで選んでます←
いやぁ、個人的に一番好きなルートはペパー先輩と巡るスパイス探しの旅でした。各地のヌシを倒しつつ、ペパー先輩の人柄に触れてく感じがもうたまらん。

もちろん、他ルートのストーリーもめちゃくちゃよかった。王道なチャンピオンロードも、各地のアジトに乗り込むスターダストスターダストも全部よき。流石、ポケモン……!
なんていうか、どのストーリーもよかったし、最終章っていうんですかね? そこはもう感動ものでした。
まさか、ポケモンでうるっとさせられるとは思わなかったぞ……

システム的な感想を述べると、若干動作が重い&数々のバグが気にはなりますが、そこは今後の修正を期待するとして…(笑)
ポケモンの連れ歩きはいいですね! 待ってました、連れ歩き!
写真も一緒に撮れるし、街中一緒に歩けるし!
とはいえ、一定の距離感は守らないと駄目だし、HGSSのように話しかけても、道具を貰えることはないんですが。それでも、限られた場所だけでなく、基本的にどこでも連れてけるのはいいよね……剣盾は限られた場所で連れ歩きできてましたが……

そして、グラフィック面。
細かいところまで描写されてて凄いなぁと思いました。ポケモン個々の質感や人間の服の質感等々、細やかな描写が素晴らしい。
これがポケモンスナップで培った技術ってことですかね……ポケモンスナップに出てくるポケモン達、凄いもんな。

そして、何と言っても新ポケモンの数々!
なにこれポケモンやどうやって進化するんやポケモン、そもそも、進化するんかポケモン等々(笑)
シンボルエンカウントならではのドキドキ感がいいですね。パッとフィールドを見た時に、「あれ? このポケモン、知らんぞ!?」ってなりますから。
このドキドキ感は新作やる度に感じてますが、今作も同様でしたね。いやはや、知らんポケモン多いと楽しいですわ。


ざっとこんな感じですかね。
ネタバレ触れない程度の感想なんてこんなもんです……いやもう、あれこれ語りたいですが、それはまた後日。この雑な感想回を忘れた頃に行いましょう。
そんな具合で、最後は私のクリアパーティーのお話をしましょう。
つっても、なるべくネタバレなしの状態なので、話せることもないですが(笑)

最終パーティー
ホゲータ(最終進化の姿)
ブラッキー
ミニーブ(最終進化の姿)
新ポケ①
新ポケ②
新ポケ③
ってな具合です。
レベルは64~74くらいでした。一番高い子がホゲータ、低い子が新ポケ③です。
こちらの答え合わせも1ヶ月後に!



さてさて、雑に話してきた感想回も終わりです!
詳しいやつはまた後日。
今日から数日、イーブイレイドが始まるので、私はそれをやりつつ、クリア後のイベントのんびり進めようかと思います!
ではでは!

学びや!レイディアント学園 第357話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界わいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、外を散歩するブライトがいたり、仲直りしたり、お茶会するために中庭に訪れたセイラ&セラに出会したり、なんか色々ありました。
今回はそれの続きからですね!
ラル「雑かよ」
わっははー! そんなの今更だな!
ラル「開き直るなよ……!?」


《L side》
私、ティール、レオン君の三人が席に着き、セイラさんとセラフィーヌさんも隣のテーブルに席に着いた。
「私とセラちゃんは、お茶のために来ましたが、皆はなぜここへ?」
「俺らは~……ツバサと雫の仲直りの場を用意してたと言いますか……見届けてたと言いますか。なんかそんな感じっすね~♪」
「あら、そうだったの? そんな二人がここにいないってことは……ちゃんと解決したのね。よかったわ♪」
「セラフィーヌさんのご想像通り、今はリランも交えて、奥で仲良く遊んでいます」
「あらあら♪ あの事件でもっと仲良くなれたのは、私達だけじゃなかったんですね~♪」
まあ、そういうことなのかな……?
セイラさんは楽しそうに笑い、ふとセラフィーヌさんに目線を移す。
「ツバサちゃんは、見た目も性格もアル君に似てるけれど、双子だしツルギ君もよね……? 性格もやっぱり?」
「えーっと……容姿はツバサと同じで、夫なんですが、性格はどちらかと言えば、私ですかねぇ……? ツルギと言えば、ラルちゃんには、迷惑をかけちゃったわね。ごめんなさいね?」
……あぁ、ツバサちゃんと仲良くしていたら、謎に恨まれたり、襲われたりしたあれか。
「いえいえ。あんなの可愛いものですから」
根が腐ってる奴らは、あんなもんでは、すまされないような行為を平気でしてくるからね。律儀に「絶対倒す」と宣言して、真っ向から挑戦してくるだけ、まだ可愛げがある。
「……ま、どうせなら、嫉妬するだけじゃなくて、少しくらい認めてくれてもいいんじゃないか、とは思ってますけどね? ツバサちゃんみたく、めっちゃ仲良くなりたいなんて言いませんが、普通に会話できる仲にはなりたかったなと」
何を言っても信用ないし、睨まれんだもん。それが永遠に続くもんだから、こちとら、へこみまくりだが?
「私はこんなんなのに、ティールはツルギ君と仲良くなるし~? なんでこんなやつに懐くんじゃ……!」
「君がツルギに優しくしないのが原因だろ」
「これ以上にないくらい優しくしてるが!?」
「だったら、必要以上に煽るなよ……だから、ツルギもムキになるんだよ?」
「呷ってないです~! 思いやりの心です~!」
「どこがっ!!??」
まあ、思いやりの心ってのは嘘だとしても、基本、私は普通に接している。そりゃあ、時々、いじめたくなっちゃうけど、それはあっちだって、ツンツンしてるのが悪いわけで。
「にゃはは♪ きっと、そういうところを含めて、おばさん似ってことっすね? ブライトさんとのやり取りを見てると、そー思います♪」
「ふふ♪ そうですねぇ……二人が今の関係に落ち着いたのも、かなり後の話だし。ラルちゃんとツルギ君が仲良くなるには、時間がかかるのでしょう。大丈夫! セラちゃんとブライトも、なんやかんや上手くやってるから、二人も仲良くなりますよ~♪」
セラフィーヌさんとブライトさんの関係は、果たして仲良しと言えるのだろうか……あぁいや、確かに、普通に会話をするという面に置いては、問題はない……のか?
「あら、お姉様。私は別にライトくんを嫌いだなんて、言ってませんよ? ただ、あの甲斐性なしの鈍感男に、お姉様を幸せにできるのか、と疑ってるだけです!」
ブライトさんとセイラさんが結婚し、子供もいるのに、まだそこの不安されてるの……?
セイラさんはこのやり取りにすら慣れているのか、「大丈夫、大丈夫♪」と笑いながら答える。
「セラちゃんの見てないところで、ブライトはちゃんとやってるよ? 私も十分幸せだし、家族のことを考えてくれているもの」
「ちゃんとやってたら、十年以上もティールくんと拗れませんっ!!」
それはそう。
突然の変化球に、私の隣に座るティールが思わず、飲んでいた紅茶を吹き出すくらいには、彼にとっての不意打ちだったらしい。
そんなティールの様子にはお構いなしに、セラフィーヌさんはお菓子をパクつきながら、更に愚痴っぽいそれをこぼす。
「全く……本当にどうやって、お姉様とライトくんがくっついたのか分かりません! そりゃ、最初はお姉様がライトくんを好きになってましたけど~」
「セラちゃん!?」
お、本人の同意無しにセイラさんの恋バナか?
なんだか面白そう匂いがするので、お菓子をやけ食いするセラフィーヌさんに向かって、パッと手を上げる。
「はいはーい! つまり、セイラさんが最初に、ブライトさんを好きになったってことですか!」
「ラルちゃん!?」
この質問に、セラフィーヌさんはやけ食いの手を止め、不思議そうに首を傾げる。
「あら、お姉様から伺ってない?」
「初耳ですよ。流石に」
私とセイラさんは、ちょこちょこガールズトーク(?)する仲だけど、その前に友人の母親である。そんな母親の馴れ初め話なんて聞けるはずもない。
セイラさんも激しく頷き、見るからに動揺しまくっていた。
「ラルちゃんとは仲良くしてるけど、流石に言わないよー! ラルちゃんはティールと仲良くしてるし……そ、そうじゃなくても、夫との馴れ初めなんて、恥ずかしくて話せないわよ!?」
「そうですか? 私はツバサ達が小さい頃に話しましたよ?」
「なんでー!? あんなにアル君と付き合う前は顔、真っ赤にしてたのに!?」
「あはは♪ そりゃあ、今でも少し恥ずかしいって思いますよ? でも、それもいい思い出ってやつです」
セラフィーヌさんに隙なんてなく、にこやかにセイラさんの言い分をはね除けてしまった。
「……? 両親はルーメンさん方のおせ……いえ、協力があって付き合うようになったと伺いました。セラフィーヌさんも協力者の一人でしょう? それなのに不思議なんですか?」
おや、そうなのか。そうなると、確かに変な話だ。
セラフィーヌさんのことだ。大好きなお姉様の大事なワンシーン……もとい、二人が付き合う瞬間を見届けていそうなのに、それを見ていないってことになる。
「そうそう。あの頃、お姉様の幸せを考えて、カズキさん達を巻き込んで、あれこれしたんだった。……あまりにも焦れてたんだもの、二人の関係が」
「そ、そそんなこと……ないと思うけどな~?」
「そんなことありますよ、お姉様? ま、あれはニブチンなライトくんが、全面的に悪いんですけれど。……皆が興味あるのなら、話してあげましょうか? お姉様とライトくんの話」
「セラちゃーーん!!??」
「私は聞きたいでーす!!」
「俺も俺も~♪ ぜひ聞きたいっす♪ セイラさんのシンデレラストーリー! 気になるっす!」
当人は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にさせているが、聞く側の私とレオン君はノリノリである
当然だ。他人の色恋は滅茶苦茶、面白いからだ!
ちなみに、実の息子であるティールは複雑な表情を浮かべている。ティールは元々、こういう話には興味がある方ではない。それに加えて、今回は自分の両親の話だ。微妙な心境なのだろう。
……だからと言って、私達の好奇心を止めようとは思っていないらしく、静かにお茶を飲んでいる。
私とレオン君の反応に、セラフィーヌさんはニコッと笑う。本人も私達に劣らず、大変楽しそうである。
「なら、話しましょうか♪」
「きゃーー!? 待って待って待って! セラちゃん、待ってー!!?? さ、流石に息子の前で、夫との馴れ初めは恥ずかしいわ……っ!」
「大丈夫ですよ、お姉様。そこまで恥ずかしくありせんって。ほら♪ 昔、家出事件の後、ギルドメンバーの女子会でやった、あの赤裸々告白大会に比べたらましです。だってあそこでは──」
「ストーーーップ! あれは駄目! あれだけは駄目よっ!! 未成年ばかりのこの場でするような話じゃないもの!」
それだけで、どんな話をしたのか想像できてしまう。そういう話をするんだな~……大人って怖いね~……?
「ほら~♪ それに比べたら、馴れ初め話なんて大丈夫でしょ?」
「う……う、うん……そう、なんだけれど」
「はい♪ お姉様の同意も得られたし、話しますよ~♪」
あれで同意を得たと言ってもいいのだろうか。かなり謎である。
「ねえ、ラル?」
「んー?」
「セラフィーヌさんの後ろに、ルーメンさんが見えた気がしたのは、ぼくだけ?」
「大丈夫。私にもばっちり見えたから」
見たくはないけどな。流石、親子ってことですね、きっと。



~あとがき~
恋バナ、わっしょい! わっしょい!

次回、海の王と王妃の馴れ初め回想編。
ようやく本編だね☆

馴れ初めって、恋人関係の人達が出会ったきっかけとか、二人が親しくなったきっかけとかを指す言葉らしい(Weblio辞書参照)んですけど、ここでは二人が恋人になったきっかけの話す(主にセラフィーヌさんが)という意味合いです。よろしくお願いたします。
ちなみに、二人が仲良くなったきっかけは、海の国で偶然出会い、逢瀬を重ねた結果です。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第356話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、セラフィーヌさんが初参加した朝食会が開かれました。
そんなこんなで、なんことのない日常を送ります! いえい!!


《L side》
とある午前。
私とティールはしーくんと共に王宮内の散歩に来ていた。ここは王宮の正面にある庭園内だった。
しーくんと散歩をしているのは、主に先日の罪滅ぼしのためと、しーくんのご機嫌取りのためである。
「めっさ広いよな~……実は隠されたダンジョンでもあるんじゃ」
「ダンジョンはないよ。迷路はあるけど」
「迷路はあるけど!?」
ティールが指差したのは庭園の一角だ。そこは綺麗に花が植えられ、植木というか、生垣が綺麗に剪定されているところだった。
「あそこ、小さいけど迷路みたいになってるんだ。暇だし、行ってみる?」
「ほえ~……行く? しーくん」
「いくー!」
目をキラキラと輝かせたしーくんが、ばっと走り出した。とても楽しそうで何より。
「この様子だと、昼のツバサちゃんとの仲直りも上手くいきそうだね」
「だといいけど」
あの事件以降、しーくんはツバサちゃんを避けていた。ツバサちゃん自身は仲良くしたそうなのだが、しーくんからは完全にそっぽ向かれている。本当なら、当人同士で解決した方がよさそうな気もするが、如何せん、しーくんにその気はなさそうだし、ツバサちゃんもそれを感じ取ってか、しーくんに近付けないでいる。それがもう不憫で仕方ないので、こちらで場を設けることにしたのだ。
「ほあ! こんちはー!」
「……おや。こんにちは、雫君」
しーくんは迷路から出てきた庭師の方にご挨拶……ではなく、ブライトさんにご挨拶していた。
こちらとして、迷路から出てきたブライトさんに驚いてしまった。なぜ、迷路からブライトさんが……?
「とうっ……!? なんで、ここに?」
「なぜ……? 気分転換?」
なぜ疑問系……? 明確な何かがあって、迷路に入ってたんじゃないのか。
ティール達はなぜ、こんなところへ?」
「王宮内の散歩を。ラルはともかく、雫には、ゆっくり中を案内してあげられてなかったので。……父上、こんなところにいて、仕事は大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない。……これも何かの縁か。ティール」
「? はい?」
「剣を交えないか」
突然の申し込みにティールもぽかんとしている。横で聞いていた私も、話の繋がりが見えなくて、思わず首を傾げてしまった。それに気付いたブライトさんは話を続ける。
「私とお前とで剣を交えたい。ルー爺から、お前の実力を聞いていてな。久々にどうか、と思って。……もちろん、無理にとは言わないが」
「あ、あぁ……なるほど。……ルーメンさんから、何て聞いてるのか気になるけど……分かった。いつやりましょう?」
「む……すまない。提案したのは私だが、明確な日時は伝えられん。こちらから時間を見繕い、声をかけてもいいか?」
多忙なブライトさんだ。実際、この時間が確実に空いているということはないのだろう。そうだとしても、ティールと少しでも、コミュニケーションがしたいと思っての提案なのだ。多分、ブライトさんなりの。
それをティールも理解しているのか、ブライトさんの言葉に素直に頷き、ニコッと笑って見せる。
「ぼくはいつでも大丈夫だから。父上のできる時に教えて」
「……あぁ。楽しみにしている」
「はい」
ティールがいるから、心配ないとは思うが……迷子にならないように気を付けなさい。ここは広いからね」
「うん! ばいばい! おじいちゃん! おしごと、がんばって!」
しーくんの言葉にブライトさんは優しく微笑み、そっと手を上げて応える。
「……ありがとう、頑張るよ」
本当に気分転換で外に出てきたんだろうか。……ブライトさんってそういう人だっけ?
「そりゃ、仕事ばっかりじゃ疲れるだろ。皆から仕事人間だーとか言われるけど、父上だって人間だよ?」
「でも、ブライトさんってさ、仕事中の気分転換は別の仕事をすることだーって人間かと」
「……そこまでワーカホリックじゃないと思いたいけどね」
そこまでのワーカホリックだと思うんだが、あの人は。しかし、気分転換でもなければ、こんな迷路に一人で入るはずもないか。
「っていうか、ブライトさんが出てきたってことは、こっちが出口?」
「いや……どっちがどっちとは聞いたことないけど、ぼくはここから入る」
ふーん? ブライトさんが出てきた方から入るのが普通なのか。じゃあ、ブライトさんは反対から来たってこと? それとも、途中で引き返したのだろうか。
ティール! ラル! いこ!」
「おー? じゃあ、しーくん先頭で迷路攻略するか~♪」
「するぞー!」
元気一杯に決意を固めたところで、庭園の迷路に足を踏み入れた。
……結論から言おう。
ティールの小さいけどってのは、信じないことにする。いや、確かにダンジョンと比べたら、小さいんだけども。
人工的に作られた迷路にしては、全然小さくないし、結構本格的でした。なんなら、途中でしーくんとバトンタッチして、本気になって挑戦してた。
なんでこんなものが王宮内にあるのだろう……テーマパークでもないのに!

庭園の迷路を堪能(?)した後、昼食を食べ、そのまま中庭へと向かった。
中庭ではレオン君とツバサちゃん、リラン(犬ver.)が待っており、私達の姿を見つけると、レオン君はパッと手を上げて手招きしてくれる。
「こっちこっち~♪」
「ほーい。今行くよ~」
しーくんはツバサちゃんの姿を見つけると、脱兎のごとく逃げようとしたものの、ティールががっちり捕まえていた。流石である。
「あうー! ティール! はなしてー!」
「だーめ。こういうの引っ張ったら、絶対に引っ込み着かなくなるから。早い内にすませておきなさい」
「うお~……経験者が言うと違うなぁ?」
「君は黙っててくれ」
本当のことじゃないか。つい最近まで、父親と睨み合ってた癖に。
膨れっ面のしーくんと表情が堅めのツバサちゃんは、互いに向き合うものの、両者の間には気まずい沈黙が流れる。
ツバサちゃんも、どうやって切り出せばいいのか分からないようだし、しーくんから謝るつもりもなさそうだ。
思ったより頑固で根に持つタイプだな、しーくん。意外な一面を発見したかもしれない。やだ、うちの子、可愛いんですけどっ……♪
「ラル。余計なこと考えてないよな?」
「なんで分かるの。余計なこと考えてるって」
「顔が溶けてるから」
どういうこと!? いや、今はどうだっていいだろう、そんなことは!
ツバサちゃんから何も言えないのなら、こちらからアクションを起こすしかない。さてさて……ちょっとだけ手を貸しますか。
私は咳払いを一つして、しーくんと目線を合わせる。
「しーくん、ツバサちゃんはしーくんと仲直りしたいんだって。どうしようか?」
「……ボクはしなくていーもん」
しーくん? 目の前のツバサお姉ちゃんが泣きそうになってます。言葉には気を付けよう?
「じゃあ……これからツバサちゃんと遊んだり、お話ししたり、しなくていいの?」
「……」
しーくんはちらっとツバサちゃんの様子を窺う。どうやら、私の言葉で迷いが出てきたらしい。あと一押しかな?
「私としーくんが喧嘩して、しーくんにずーっと知らんぷりされたら、私は悲しいけどな~……?」
いや、悲しいどころか死んでしまうかもしれない。……まあ、それはそれとして。
「きっと、ツバサちゃんもおんなじ気持ちだよ。……しーくんはどう?」
「……うゆ」
たっぷり考えた後で、しーくんはおずおずとツバサちゃんの前に出て、ぺこっと頭を下げる。
「……ツバサお姉ちゃん、しらんぷりして、ごめんなさい」
「しーくん……! わ、私の方こそ、本当にごめんなさいっ! これからも……仲良くしてくれる……?」
「うん」
しーくんの頷きに、これでもかと顔を輝かせながらも、安堵からか涙目になりながら、「ありがとう~!」と抱きつくツバサちゃん。
「お! 一件落着だな~♪ いやはや、よきかなよきかな~♪」
「あんっ!」
ずっと黙って、行く末を見守っていたレオン君がニッと笑いながら、足元に座っていたリランをわしゃわしゃと撫でる。リランもリランで、嬉しそうに一鳴きしていた。
しーくんに抱きついていたツバサちゃんだったが、程無くして満足したのか、そっと離れると、満面の笑みを見せる。
「しーくん! あっちで一緒に遊ぼ?」
「うんっ」
「あんあんっ!」
「大丈夫。リランも一緒だよ♪ ラルさん、行ってきてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。行ってらっしゃい」
「ありがとうございますっ! 行こ、しーくん!」
「ん! いってきます、ラル! ティール!」
そう言うが早いか、二人と一匹はぱーっと中庭の奥の方へと走り出してしまった。
喧嘩する程なんとやらと言うし、今まで以上に仲良くなれるといいんだけどね。
「あら……皆、お揃いですね♪ こんにちは♪」
声が聞こえてきた方を振り返ってみれば、セイラさんとセラフィーヌさん、そして二人の後ろに控えるようにアンジュさんがこちらへと近寄って来ていた。
「今度は母上か」
「あらあら、なんですか~? もしかしてティール、私に会いたかったの?」
「いえ、別に。昼前、庭園で父上にお会いしたので」
「ブライトに? 午前は執務室でお仕事だと思ったけれど……外に何の用でしょうね?」
ブライトさん自身は気分転換だと言ってましたけどね……特に用と言う用はないのでは?
「ブライトの気分転換なんて、仕事する以外ないんですけどね~? まあ、いいでしょう。散歩で気分転換してくれるなら、健康的ですから」
やっぱり、ブライトさんってそういう人だよね。想像通りの人だわ。
しかし……それなら、今日に限って外で気分転換してた理由って何だろう? たまたまなのか、明確な目的があったのか。
……どちらにせよ、どうでもいい話ではあるか。
「そいや、お二人は何しにここへ来たんすか?」
「私達は、お互いの仕事が一段落したから、中庭で休憩がてら、お茶をしに来たの。お部屋でしてもいいけれど、今日は天気もいいでしょう?」
レオン君の質問に、セラフィーヌさんがにこやかに答える。セラフィーヌさんの言う通り、今日は天気がいいから、一日籠りっぱなしってのも、味気がないかもしれない。
「せっかくですし、ラルちゃん達も一緒にどうですか? セラちゃんやラルちゃん達がよければですが」
セイラさんの提案に反対する理由はない。それは他の面々も同じのようで、各々頷いていたり、笑顔を返したりしてた。それを確認したセイラさんは、アンジュさんに準備するよう言い、私達をお茶の席へと案内してくれた。
パラソルが着いているテーブルと、それに合わせたチェアが設置されていて、普段から使っているのだろうと想像できる。暇が出きれば、ここで休憩するのがセイラさんの気分転換なのかもしれない。



~あとがき~
本題手前すらいかないのか……(笑)

次回、二人の母とのお茶会。

なんやかんやありまして、雫とツバサちゃんは仲直りしました。
これはもう裏話というか、裏設定みたいなもんですが、雫は意外と根に持つタイプです。だから、数年経っても、何かと話題にするかもしれません。
雫が成長すると、ラルみたいに強かな美青年になる予定なんで←

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第355話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、セラさんの仕事内容や、ブライトの意外な特技(?)が明らかとなりましたとさ。
今回からはセラフィーヌさん交えて、わいわいするぞ! わいわい!
前回みたいなシリアス話はない(予定)のでご安心を!


《L side》
……重い。
いつも以上に寝過ぎたせいか、体が重くてゆるゆると目が覚めた。ぼんやりした意識の中、私の右にしーくん、左にティールがいるのを確認し、どこか安心して再び目を閉じる。
………………いや、待て。ティール? なんで、ティール?
重いと感じたのは、ティールが私に抱きついて寝ているからだった。彼の腕が私に回されているから、いつもの目覚めにない重さが違和感に繋がったのだろう。
「いや! そうじゃなくって!! おい、ティール!? なんでここにいるの!? ここは君の部屋ではないですが!?」
無理矢理ティールの腕をほどき、私は体を起こす。昨日、ティールにあれこれ言った後の記憶があまりないけど、私はきちんとパジャマに着替えていて、ティールもパジャマには着替えていた。
じゃあなんで、こいつは私の横で寝てるんだよ。部屋は!? 部屋に帰ったのでは!?
ティール! 朝! 起きろ! そして、この事態を説明しろ!!」
「ん~……まら、なみゅい……」
「あぁぁ!? うるっせぇぇ!!! 起きろ、こんの寝坊助野郎がっ!!」
と、ティールを蹴飛ばした。それはもう力一杯。部屋のはしっこまで飛ばされるくらい、蹴飛ばしてやりましたとも。
いや、今更、ティールの添い寝ごときで心を乱される私ではないけども。
でも……私の記憶にないところで私に抱きついて寝てるんだぞ……? 意識しない方がおかしいだろ。これでも私、女の子です。女の子! 嫁入り前の!
起き抜けにイケメン(リアル王子様)が隣で添い寝(抱擁)してたら、驚きもするし、動揺もするやろ!?
「いったぁ~……なに……誰かの襲撃?」
「んなわけあるかぁ! なんでここで寝てるの、ティール!」
「……あ、おはよ、ラル。よく寝てたね~」
「あ、その節はどうも。……じゃ、なくて! なくてですね!! なんで、ここで寝てるの!」
私がパニックになってるのに、ティールは呑気に欠伸をもらしつつ、思案し始める。
ちなみに、ここまで騒いでもしーくんは、すやすやと夢の国へお出掛け中である。とんでもねぇ息子だな、大物の素質あるわ。
「昨日、ラルが二度寝した後、父上のところに話しにし行って……色々あって、両親とも夜遅くまで話してて……眠くなったから、部屋に戻って着替えて寝ようとして……でも、ラルの様子を見るの忘れちゃったから、寝る前に見に来て…………力尽きちゃったみたい?」
なるほど。ティールらしいと言えばらしい。私が変わらず寝ていることを確認したら、安心して眠気に負けたのだろう。実にティールらしい間抜けな一面だ。
「つまり、ここで力尽きて、私に抱きついて寝てたってこと?」
「………………抱きついて寝てたの、ぼく」
「寝てましたね」
「なんか夢で程よく暖かくて、妙に柔らかい何かを触ってた気がするとは思ってたけど……君だったの?」
「私だな、多分。後、何がとは言わんけど、やったな、お前。……セクハラで訴えていいか。勝てそうな気がする」
「ごめんなさいっっ!!!! 悪気は一切ございません! 他意もございませんっ!!」
寸分狂いもなく流れるような所作で正座をし、これでもかと頭を下げる。
所謂、見事な土下座であった。
「分かった。一発で許そう」
「甘んじて受けます」
「来い、雷姫」
「前言撤回っ! 無理!! 雷姫さんは無理!!!」
一気にティールの顔が真っ青になるものの、この世には男に二言はないという言葉がある。
つまり、そういうことだ。
私は手元に雷姫を出現させると、ひらりとベッドから飛び降り、刀をパッと構える。刀身には電撃を帯びさせつつ、狙いを目の前の大馬鹿者に定めた。
「問答無用。“雷撃一真”!」
「死ぬ! 死んじゃうってー!!!」
こんなんで死ぬわけねぇだろ!
周りの家具や壁が破壊されないよう細心の注意を払いながら、的確にティールだけを狙わせてもらった。それくらいの冷静さは持ち合わせている。
雷姫の電撃で痺れているティールを横目に、私は先程のティールを発言を思い出し、柄にもなく顔が熱くなるのを感じた。
程よく暖かくて、柔らかいって……つまり、そういうことだよね?
「…………夢で何触ってんのよ、変態」
「ふにゅ~……? ラル、どしたの~?」
「なーんでもないよ、しーくん! おはよー!」
我ながら、強引な切り替えだと思う。
けど、そうしなければ変な方向に思考がもっていかれそうな気がしたのだ。だから、仕方ない。
せめてもの慈悲で麻痺治しのポーションティールに飲ませてやる。麻痺から回復したティールは散々謝り倒した後、着替えに戻ると言い、一旦私達の部屋を出て行った。
「ね、ラル? なんでティール、いーっぱい、ごめんなさいってしたの?」
「私にいけないことをしたからだよ。私にって言うか、女の子にしちゃいけないこと?」
「ほあ……そなの」
「しーくんも駄目だからね。無闇に女の子に抱きついちゃ駄目だからね? 今はいいけど、十年後くらいは駄目だからね!?」
「ゆ……?」
「……さて、私達も着替えようね~?」
「うゆ? わかった! きがえ、する!」
しーくんは女の子を誘惑するような美少年にならなければいいんだが……しかし、あのティールの息子だ。素質はあるんだよな、多分。まあ、それはそれとして。
私達は身支度を済ませ、朝食を食べるべく、食堂へと向かうことにした。

食堂につけば、そこにはセイラさんがいた。そして、セイラさんだけではなく、なぜかセラフィーヌさんまで来ていた。
「え、セラフィーヌさん……? なんで?」
「セラおばさん! おはよーございます!」
「あら、ラルちゃんに雫くん! おはよう~♪ 数日ぶりね~♪」
い、いや、確かに数日ぶりだけども。
「皆さん、おはようございま~……あ! お母さん!」
挨拶をしながら入ってきたツバサちゃんは母親の姿を見つけ、パッと顔を輝かせながらそちらへと駆け寄っていく。ツバサちゃんと一緒に来たのだろうレオン君と、今まで朝食はこちらに顔を見せなかったアラシ君が食堂に顔を出した。
「なんでアラシ君いるの? ご飯、騎士団の人達とじゃないの?」
「あ~……そのつもりだったけど、セラおばさんが来たから、その挨拶がてら、今日はこっちで取ることにした」
と、眠そうにしつつ教えてくれた。
「風邪を引いたって聞いてたけど、大丈夫そうね?」
「うんっ! 今は元気っ~♪」
「それはよかったわ♪」
もしかして、セラフィーヌさんがいる理由を知らないのは私だけ?
他の面々は特に不思議がる様子もなく、各々席に着いていた。私だけつっ立ってるのも何なので、適当に空いている席に座り、セラフィーヌさんに海の国への訪問理由を投げ掛けてみる。
セラフィーヌさんはツバサちゃんを撫でながら、こちらを見てニコッと微笑む。
「実は仕事関係で、前日の夜にこちらに来ていたの。ティール君に伝言を頼んでおいたから、てっきりラルちゃんも知ってると思っていたのだけれど……もしかして、聞いてない?」
ティールから? いや、何も……?
セラフィーヌさんと、どのタイミングで話したのか知らないが、少なくとも私はそれら類いの話を聞いていない。
「あらま。真面目なティールくんだから、教えてるものだと思っていたわ。ごめんなさいね?」
「あ、いえ。セラフィーヌさんは悪くないですよ。……私が知らなくても、問題はないですし」
「もしかして、ティール……セラちゃんの伝言の内容のせいで、伝えるの忘れちゃったのかも? セラちゃん、意味深な伝え方でもしたんじゃない?」
「え~……? そんなつもりはなかったですけどね~?」
セラフィーヌさんは首を傾げ、不思議そうにしている。心当たりはないように見えるが……
「ちなみに、どんな内容だったかお伺いしても?」
「構わないわよ。『久し振りにい・ろ・い・ろ話したいからよろしく』って伝えたの。ね? そんなに意味深な感じではないわよね?」
……いや、十分に意味深です。
セラフィーヌさんからあれこれ聞いていると、再び食堂の扉が開かれた。
ここに来ていないのはティールだけだから、ようやくティールが来たらしい。
……と、思ったが、ティール以外にも二人、この場に現れた。
一人はブライトさん。もう一人はゼニスさんだ。
ゼニスさんはブライトさんが来たから、着いてきただけかもしれないが、ブライトさんがこちらに来るとは珍しい。というか、ティールと一緒に入るなんて更に珍しい。
「あら、三人とも、おはようございます♪ もしかして、ティールがブライトを連れてきてくれた?」
「いいえ。廊下で鉢合わせしたので、そのまま共に来ただけです。……むしろ、ゼニスが父上を連れてきたんじゃない?」
「私ですか? いえいえ。陛下が珍しく朝食をこちらで取ると伺ったので、仕事の打ち合わせがてら、お供させてもらっていただけですよ。まあ、セラフィーヌ様へのご挨拶が本命ですが。……このような場所にて失礼致します。ご無沙汰しております、セラフィーヌ様」
騎士らしい所作で一礼するゼニスさんに対し、セラフィーヌさんはニコニコと笑顔で返した。
「こちらこそ、ご無沙汰しております♪ そして、ライトくんをここまで連れてきてくれてありがとうございます」
「これもまた仕事ですので」
「……頼んでないがな」
「それはそうでしょうね。仕事話のついでにお供したまでですから。ついでです。ついで」
と、ゼニスさんは席についたブライトさんの背後に控える。本当についでなんだろうな。
……そういえば、さっきはどたばたしていたから聞きそびれたけど、昨日の夜、ティールはブライトさんと話をしたって言ってたっけ?
だからだろうか。今までの緊張感が幾分か解れているように感じた。
「……ティール、ブライトさんと仲良くなったの?」
私の隣に座るティールを見て、問いかける。彼はどこか照れ臭そうにしつつも、小さく頷く。
「仲良くなったかは知らないけど……まあ、前よりはよくなったと思う」
「……そっか。よかったね」
「…………うん」
スプランドゥールで掲げたブライトさんと「向き合う」ができたようで何よりだ。
さて、全員が席に着けば、どこからか朝食が運ばれてきて、それぞれが好きなものに手をつけ始める。
これは前からそうなのだが、王族だからと堅苦しい雰囲気はなく、のんびりと言うか、のほほんとした雰囲気が漂っている。言ってしまえば、どこにでもある一家団欒のようだ。
ツバサちゃん達は幼馴染み同士、楽しそうに話しているし、セラフィーヌさんとセイラさんはお互いの家族そっちのけで盛り上がっているし、ブライトさんは相変わらずの無口で黙々と朝食を食べ進めている。とは言え、時折、背後のゼニスさんに話しかけているので、頭はすでに仕事モードなのかもしれない。
「……話には伺ってましたが、セイラさんとセラフィーヌさん、仲がよろしいんですね?」
「えぇ♪ だって私のだーいすきな自慢のお姉様だもの♪」
「あら、嬉しい♪ 本音を言うと、今でもそう思ってくれてるの、すっごく嬉しいの」
「当然です! お姉様は私が幼い頃から、よくしてくださってくれたんですもの。……本当なら、お姉様とは毎日でも話をしたいくらいですけれど、流石にお互いの立場や、仕事があるから……たまに話す時くらい、楽しくありたいです」
ふーん……まあ、セイラさんは時々、強引なところもあるけど、誰にでも優しいし、思いやりの心がある人だ。人に好かれやすい性格をしていると思うし、長い付き合いで馬も合えば、家族みたいに繋がれるのだろう。
「……そう言えば、昨夜、父に久し振りと言ってましたよね。それなら、母とも同じ期間、会えてなかったんですか?」
「うん? 確かに、ライトくんとは久し振りだったけれど、お姉様とはそうでもないわ」
「そうね~……数ヵ月前、セラちゃんが学園に招待してくれた以来かな?」
「そうですね。春にあちらにお呼びした以来ですね♪」
学園? 春?
セラフィーヌさんの学園となれば、レイディアント学園……私達の通う学園だろう。今年の春、セイラさんがレイ学に招待されていた?
春に部外者を招待するような何かあっただろうか……?
と、ここで会話に参加してこなかったブライトさんがちらりとセイラさんを見る。
「そのような話、私は聞いてないが」
「あら、伝えてませんでしたか?」
不思議そうにするセイラさんに、ブライトさんは無言で頷く。真面目なブライトさんのことだ。こういう事柄に関しては、実は言われたけど、忘れてます~とかではなく、本当に知らないんだろう。
今度はセラフィーヌさんが不思議そう首を傾げた。
「あら、ライトくんには手紙を送ったはずですけれど。『一日だけ、お姉様をお借りします』って」
「それについては記憶しています。が、学園訪問だとは記載されてなかったので、いつものダンジョン探索かと」
「あらあら? そんなことは一言も書いた記憶ないですねぇ」
「そうでしょうね。私にもありませんから」
「おかしいですね~? 私はあの手紙に『今度の剣技大会にお姉様を招待するので、一日だけ、お姉様をお借りします』って書いたつもりなんですけどね~?」
「そのような長文ではなかったと思います」
……なんかバチバチしてる?
喧嘩でも始まったのかと思ったのだが、セイラさんは至極落ち着いているし、ゼニスさんも止める様子がない。なんなら、こういう時、慌てそうなティールですら二人のやり取りを眺めながらパンを食べていた。
そんなティールをつつき、耳元でこそっと呟く。
「……これ、放置していいやつなの?」
「うん。母上に言わせれば、あれが二人の普通なんだってさ」
へえ~……? じゃあ、私も黙って眺めるか。
セラフィーヌさんはふと何かを思い出したのか、じっと疑いの目でブライトさんを見つめる。
「というか、ライトくん? まさか、その日、お姉様が王宮に一日いないことに気付かなかった、なんてことはないですよねぇ? ねぇ? ライトくん?」
「……ゼニス」
「ここで私ですか? そうですね……私は陛下にお伝えした記憶はないです。お伝えしようと思ったのですが、セラフィーヌ様やセイラ様に止められたので。なんなら、私も当日は王宮にいませんでした」
セラさんとの会話を逃れるためにゼニスさんに振ったブライトさんだったが、新たな事実に多少なりとも驚いたようで、数秒だけ固まる。そして、コーヒーを一口飲み、ボソッと呟いた。
「…………お前、いなかったか?」
「いませんでした」
「そうか。…………あの日、私は何してたんだったかな」
「私の記憶通りのスケジュールなら、執務室に籠っておられたのでは?」
「……あ~……そうだな。籠っていた気がする」
大抵、籠ってません? ブライトさん。
しかしまあ、ブライトさんの籠っていたってのは、マジで数日間、部屋に籠るやつなので、シャレにならんのだが。
「ラ~イ~ト~く~ん? 私から目線を逸らして、ゼニスくんに責任転嫁ですか~?」
「それを言うなら、伝え忘れるセイラに非があるのでは」
「お姉様が悪いんですか~? ライトくんがお仕事漬けの毎日を送って、お姉様と話す時間を作らなかっただけじゃないですか~?」
「作らなかったら作らなかったで、こいつは勝手に部屋に突撃するような人間なんですが……?」
……なんか、終わりの見えないやり取りをしているような。
セラフィーヌさんとブライトさんが不毛なやり取り(?)をする中、ツバサちゃんは何やら思い当たる節があったのか、「あ!」と声を上げ、ブライトさんをじとーっと睨むセラフィーヌさんに問いかけた。
「お母さんが『大切なお客様』って言ってたの、セイラさんだったの?」
「ん? えぇ、そうよ♪」
「私、ゼニスくんとアンちゃんを連れて、皆の通う学園の剣技大会を見に行ってたの。ティールが出てなかったのは残念だったけれど……ツバサちゃんのパフォーマンスやレオン君、アラシ君の活躍は見てました♪ とーってもかっこよかったです♪ もちろん、ラルちゃんとお仲間のフォース君でしたっけ? 二人のことも見てました~♪」
……ははっ、あれを見られてたのか。お恥ずかしい限りで。
なんてことない朝食終え、なんことのない一日が始まろうとしていた。
……ブライトさんとセラフィーヌさんは朝食が終わるまでずーっとやり取りしてたけどね。



~あとがき~
なげぇ! なんことのない(?)一日の朝がなげぇ!

次回、とある日の日常。

ティールって意外とラッキーなスケベ的な事象に遇うこと多いな。ついこの前(スプランドゥール編)でもやってましたし。
こんな短期間に何やってんだろうな、あいつめ~(笑)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第354話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトの話がようやく! 終わりました!! いえーーい!
ってことで、今回は一時離脱していたセラさんの話に戻ります。セラさんのお仕事とはなんでしょうかね~?



《Te side》
セラフィーヌさんが部屋を出てしばらく、父と言葉を交わしていたが、例の仕事話とやらもあるので、きりのいいところで切り上げることにした。
「じゃあ、ぼくは部屋に戻ります」
「……? お前はセイラのところへは行かないのか?」
「い、行く必要あります……?」
だって、父さんとセラフィーヌさんとで仕事の話をするのだ。それにぼくは関係ないし、お邪魔では。
そう思って、自分の部屋に戻ろうかと思ったのだが、父さんの中ではそうではないらしい。
「私だけ出向くと、セラさんにあらぬ疑いをかけられる気がしててな」
「……そういう?」
「気がするだけだがね。お前の時間が許されるのであれば、着いてきてくれるとありがたい」
どこまで信用ないの……セラフィーヌさんの中で! あと、それを自覚しちゃってる父さんも、父さんだけどね!?
しかしまあ、特別何かしなければいけないこともないし、父さんが不憫過ぎるので、着いていくか。

二人で母の部屋の前に来てみれば、おぼろ気はあるものの、母上とセラフィーヌさんの楽しげな声が聞こえてくる。
「随分と楽しそうですが、何の話をしてるのでしょう」
「さあ? いつもこんなものだ。内容は知らんし、興味もない」
「二人はいつもこんな感じで?」
父さんは黙って頷く。
女子って、いくつになってもお喋りが好きなのかもしれない。ラルもクラスの子とか、ギルドの女性達、ステラやリーフらとよく楽しげに話している。内容なんて他愛ないものばかりで、意味なんてないのかもしれない。
「私もそうだが、セイラはセラさんが幼い頃からの付き合いだ。そして、あの二人は本当の姉妹のように仲もいい。それなりに話も弾むのだろう」
「そうなんですね」
ルーメンさんに見せてもらったアルバムにも、幼いセラフィーヌさんと若い頃の母上が写っている写真があった気がする。二人とも楽しそうにしていたし、今も楽しそうに話しているから、父さんの言う話も嘘ではないのだろう。
現に母上のことをお姉様って呼んでたしね。幼い頃と変わらず、お姉さんみたいに思ってるんだろうな。
父さんが部屋の扉をノックすれば、母上の「どうぞ~♪」という声が聞こえてくる。その言葉を聞いてから、扉を開いた。
「あら? 来てくれたのはブライトだけじゃないのね♪ いらっしゃい、ティール♪」
「ライトくん、ティールくん! お話は終わりましたか?」
二人はソファに座り、テーブルに並べてあるアクセサリーを吟味していたらしい。テーブルには、ヘアアクセの類いが何個も並べてあり、セラフィーヌさんの手にも一つ握られていた。
ぼくはいつも通り、挨拶代わりにそっと頭を下げる。
「夜分に失礼します、母上。……セラフィーヌさんは先程ぶりです」
「お陰様で。でなければ、セイラの部屋になど出向きません」
「まあ、そうでしょうね?」
楽しそうにクスクス笑うセラフィーヌさんの横で母上はどこか不満そうである。理由ははっきりしている。ぼくだ。
ティール? お母さんだーって言ってるでしょう?」
「人前なので許してください」
「あら。セラちゃんは身内みたいなものなのに?」
「ぼくにとっては身内ではないです。……お二人は何を?」
「ん? あぁ、お姉様に似合うアクセサリーを見繕っていたの。ティールくんはどう思う?」
と、セラフィーヌさんは母上の髪に合わせるようにアクセサリーを見せてくれる。
パールがいくつも散りばめられていて、海底に浮かぶマリンスノーみたいなアクセサリーだ。
「お姉様の髪をアップにして、これを着けてもらうの。似合うでしょ?」
「ぼくはそういうの疎いのでよく分かりませんが……お似合いだと思います」
「はわあ~♪ ティールが似合うって言ってくれるんなら、これにしようかしらっ! ブライトー! どうですかー!」
父はちらっと母上を見るも、大して興味もないのか、特に反応もなくソファに座る。そして、テーブルの上のアクセサリーを眺め、再び母上を見た。
「いいんじゃないか。お前らしくて」
「流石、ブライト。テンプレートな褒め言葉ですね~♪」
「そもそも、ここに並ぶもの全て、お前好みのものしかないだろうが。似合わないわけがないだから、私に聞くな」
「やっだ~♪ 愛する夫からの意見も欲しいではありませんかっ♪」
……息子の前でいちゃつくの、やめてくれないかな。恥ずかしい。
複雑な心境のまま、ぼくも空いているところに座れば、母上はどこか嬉しそうに微笑む。
「ところで、二人でここに来てくれたってことは……ちゃあんと仲直り、したんですね?」
「ま、まあ……仲直りっていうと、そうなのかは分からないですけど」
「話はした。今後、お前の期待通りになるかは知らん」
「ならなかったら、セラちゃんのビンタが待ってるだけですよ~♪」
笑顔でとんでもないこと言ってない?
母上は冗談だとしても、セラフィーヌさんは本気でやりかねない気がするのは気のせいだろうか。とは言え、言われた当人は大して気にしてないようで、無反応だ。
「元はと言えば、ライトくんがちゃーんと話をしないのが悪かったんですけどね~?……ライトくん? 今、目を逸らしました?」
「はて。気のせいでは?」
「いーや! 絶対に逸らしましたっ! 図星だったんでしょうっ!?」
「気のせいです」
わーわーわー!?
またさっきみたいになるのだけは避けなければ。話が進まないし!
「ぼ、ぼくも父を避けていたので、父上だけが悪いわけではないですので……っ!」
「うふふっ♪ 大丈夫ですよ、ティール。この二人はいつもこんな感じで話してるので。案外、普通ですよ?」
「そうそう。……ライトくんに対してはいっつもこんなもんだから。気にしなくて大丈夫よ?」
……気にならない方がおかしくない?
とは言えず。
「さてっと! 本題に移りますか~♪」
他愛ない(?)話で場が暖まったところで、セラフィーヌさんは父上に仕事の話をするためか、バッグからファイルを取り出した。
「……あの、ぼくは退席しましょうか?」
父上の懸念していたものも問題なさそうだし、今度こそ仕事の話をするのなら、いない方がいいだろう。……と、思ったのだが。
「あら、ティールもいてもいいんですよ? せっかくですし」
「ですが、母上」
「問題ないですよ。重要な話をするわけでもないですから♪ セラちゃんとブライトの仕事の話なんて大体決まってます」
そんな母上に続いて、セラフィーヌさんも微笑みながら頷く。
「お姉様の言う通りです♪ ってことで、ライトくん。はい」
セラフィーヌさんは取り出したファイルそのまま父上に差し出した。それを黙って受け取った父は、ファイルから一枚の紙を取り出し、じっと眺めた上で、「いつものですか」と呟く。
「はい。いつものです。……悔しいですが、これに関しては、ライトくんの方がセンスありますからね。悔しいですがっ!」
「…………ふむ」
父上は不満げなセラフィーヌさんには反応を示さず、ファイルから取り出した紙、数枚を吟味するように眺めていく。
ぼくがいても大丈夫ってことは、何か大切な仕事をしているわけではないんだろうが……だとしても、何の話をしているんだろう?
「二人は今、私のドレスを考えてくれているんですよ?」
ぼくが不思議そうにしていたせいか、母上がニコニコと微笑みながら教えてくれた。
「今度、出席するパーティー用のドレスをセラちゃんとブライトが考えてくれてるんです。……今までのドレスも二人が考えてくれたものばかりなんですよ?」
そうなんだ。
……そういえば、セラフィーヌさんは服飾関係の仕事も請け負っているんだったか。だから、母上のヘアアクセもあれこれ選んでいたんだな。あのアクセサリーもセラフィーヌさんが考えたものなのだろう。
しかし、父上もって……?
「父上が服飾のデザインにも造詣が深いとは知りませんでした」
「いえ。別にブライトはデザインとかできないですよ?」
「……今、母上のドレスを考えてるのですよね?」
「はい。私のドレスを考えてくれてます。……でも、服に興味なんてあるわけがないでしょう、この人が」
頭がおかしくなりそうだな。 じゃあ、父さんは今、何してるの!?
「だ・か・ら♪ 私のドレスを考えてます♪ なんでか知りませんが、私に似合う物を見繕うのはセラちゃん以上に得意なんですよ、ブライトは。……というか、ティール? ブライトのことはちゃんとお父さんって呼ぶんですねー?」
「素が出ただけなので、お気になさらず。今は関係ないので」
なるほど。父上が母上に似合うものを特別な知識もなく、感覚だけで見つけられるから、セラフィーヌさんは悔しいって言ったのか。
「私も呼ばれたいです!」
「うるっさいなぁ。……母さん、これでいいですか」
「なげやりですー! お母さん、悲しい!」
ぼくが母上呼びを貫く理由、いい加減分かって欲しいな。全く。
どうでもいいやり取りをしている中、父とセラフィーヌさんの仕事の話は進んでいるらしかった。セラフィーヌさんは父から返された紙……ドレスのデザイン画を悔しそうに眺めていた。
「くうぅ~……っ! 袖の部分、ここの差し色を変えれば一段とお姉様が輝けるっ! 更にこの部分に刺繍を入れることで、お姉様の繊細で可憐な雰囲気を表現できます……っ!! 他のデザイン画もいくつも修正が……どれもこれも、いいものばっかり! んもうっ! なんなんですか、ライトくん! なんなんですかー!」
「なん……? セイラの夫です……?」
「ちっがぁぁぁうっ! いや、違わないけどっ! うー! 悔しい! 私も思い付かない訳がないのに、なんで思い付かなかったんですかねー!?」
ここでようやく父上は、少し困ったような表情を浮かべる。不満気なセラフィーヌさんにどうフォローしようか悩んでいるらしかった。
「……セラさんのデザインがいいから、元々の完成度も高い。だから、私もいくつか案を出せただけであって……セラさんのアイデアがあるから良いものが作れるんですよ」
「だとしても、ライトくんのアイデアがいいってことに変わりはないです! それが悔しいんですよっ! なんなんですか。愛の力ですか。愛の力ですかっ!?」
「愛の力だけで、よい服は生まれないかと」
「そこじゃないっ!! んもー! ライトくんの癖に、私よりもいい服を思い付くなんてー!」
ここでもマシンガンのように捲し立てた後、再びデザイン画に目を落とす、セラフィーヌさん。
「……でも、絵のセンスは相変わらずなんですね。こうして何度も描く機会があるんだし、少し位、上手くなってもよくないです?」
「知りませんよ……大体、私に描かせようとする意図が分かりません。なぜ、わざわざスペースを空けるのです?」
「そりゃ、ライトくんに描かせるためです。文字より絵の方が伝わるでしょう? 絵だけで伝わるかは別として」
と、セラフィーヌさんはぼくと母上にも見えるよう、デザイン画を見せてくれた。
セラフィーヌさんの描いたと思われるデザイン画の不自然な空白に、父上の描いたと思われるへにゃへにゃな絵が添えられていた。
「わぁ~……あいっかわらず、芸術性皆無ですね、ブライト~?」
「うるさい。今更どうにもならんのだ、これだけは」
「ぼくも絵を描くの苦手なんだよなぁ……遺伝かもしれませんね」
「……遺伝、するのか。そういう能力とは」
「今度、ライトくんとティールくんの絵、並べてみてみたいかも」
「あ! 私も見てみた~い♪ 二人とも、描いてくれません?」
「「絶対に嫌だ」」
ぼくと父が声を揃えて否定したところで、母上とセラフィーヌさんが楽しそうに笑った。
一頻り笑った後、セラフィーヌさんは、ぱぱっと荷物をまとめた。
「さて、と……仕事の話もできましたし、時間も時間なので、私はそろそろ部屋に戻りますね?」
「そうですか。いつもの部屋をご用意していますので、ご自由に」
「はーい♪ ありがとうございます♪ では、三人とも、おやすみなさい!」
……いつもの部屋?
「セラちゃん、こうやって王宮に来ることも多いから、決まった部屋を貸し出してるの。ほら、決まったお部屋があれば、突然来て、お泊まりするーってなっても、すぐに用意できるでしょ?」
な、なるほどね。
どこまでもうちと親交の深い家だな、ケアル家は。
部屋を出ていくセラフィーヌさんの背中を見送った後、母上は何か思い付いたのか、パチンと手を鳴らし、にこりと微笑んだ。
「そうだ。私達はもう少し、お話ししませんか? せっかく三人揃ってるんだもの。ティールのお話、聞きたいわ」
「ぼ、ぼくの?」
「そうだな。お前の探検隊の仕事話でも聞かせてもらおうか。……聞いたことがないしな」
意外と父上もノリノリだ……けど、聞きたいって言ってくれたんだもんな。
「と、特に面白いこともないけど……それでもよければ」
「大丈夫♪ ティールの話すことはなんだって聞くわ」
「こちらが言い出したのだ。聞いているフリはしないさ」
……じゃあ、話すか。
世界を救う大冒険とか、お宝を巡る争奪戦とか、そんな話はできないけど、唯一無二の相棒と各地を冒険した話くらいならできるからね。
ぼくは今まで両親に話してこなかった冒険の数々を話した。昔、両親がぼくにしてくれたような、たくさんの冒険譚に比べたら、なんてことないけれど、それでもぼくにとっては、立派な冒険の記録だ。
いつか、胸を張って誇れるような大冒険の話ができたらいいな、なんて思いながら、冒険譚を語りつつ夜は更けていった。



~あとがき~
セラフィーヌさんやセイラが勝手に喋るから、脱線しまくりやん。すまんぬ。

次回、色々あった日の翌日の話。
とりあえず、今回で幼児化事件関連の話は終わりです。長かった!

ブライトの隠れた才能の話。
元々、ブライトはもの作りの才能があるっちゃあります。まあ、アイデアを作り出すのではなく、それを形にする力があるといった方がいいんですかね?
例えるなら、難解な説明書があったとしても、それを読み解きながら、さも簡単に組み立てる……みたいな? 要は手先が器用なのだ。性格は不器用なんだけどね。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第353話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で話してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトの話に乱入してきたセラフィーヌさんの独壇場になってました。が、今回からはまたティールとブライトの話に戻ります。



《Te side》
……何から話そう。
ルーメンさんと話す前は父に対して、あれこれ思っていたけれど……今はそれも特にない。誤解だって分かったし、そう思う必要もないと分かったから。
幼い頃に抱いた「見てくれない」「好きじゃない」という感情も昨日の事件を経て、誤解だって分かった。
もしかして……今更、話すことなんてない、のか?
「過去の不平不満でもいい」
「……父さん?」
「過去、言いたかったことがあるなら、今ここで言っていい。あのセラさんを見たろう? あの人は十年以上も前の話を未だに持ち出して文句を言う。……まあ、あれは私のせいだから、何も言えないが。……ともかく、セラさんのそれを許しているのだから、ティールも言いたいのなら言って構わん。むしろ、今のお前から聞きたい」
「何を、ですか」
「不平不満を。お前から直接、聞いた試しがないしな」
まあ、言えるわけないし……
けど、今なら……?
「むか、しは」
「あぁ」
「昔は、仕事ばかりになった父さんが嫌でした。けど、仕方ないって分かってたから、何も言いませんでした。……あの時、あの日……お祖母様が亡くなったあの日から、ぼくの我儘で二人を煩わせてはいけないと」
一人遊びが得意なフリをして、大丈夫なフリをした。それで大好きな二人が安心するならと、子供ながらに幼稚で浅い考えで、一人でも平気だと振る舞い、周囲に嘘をついた。
「いつしか、何も言えなくなった。話し方を忘れ、甘え方を忘れた。……どうやって、二人と話していたか、忘れました。だから、あの時から……嫌いになれば、見なくなったと思えば、言えなくても、言えなくなってもおかしくはない。……そう思うようになった」
元々は大好きな二人に心配をかけたくなくてついた嘘が、本当に変わってしまった瞬間だった。それがずっと……本当にずっと、ぼくを縛り続けていたんだと思う。
その鎖が成長するにつれ、息苦しさに変わって、家に居場所を見つけられなくなった。
「……もう、独りが耐えられなくなって、仕来たりを理由に逃げました。ここじゃない遠くに……まあ、それも逃げられた訳じゃなかったけど」
「……そうだな。あれはこちらで用意した場所だから」
「きっと、ぼくがレイ学を選ばなくても、何らかの形で保護はされていたのでしょう?」
「否定はしない」
……だろうな。
「今から言ってもいいですか。今更、どうにもならない理不尽なこと」
「いいよ」
ずっと、思っていたこと。
今は思ってないけど、どこか引っ掛かっていたことを……これをきっと、不満とか文句って言うんだ。
「ぼくは……どこかで助けて欲しかった。父上に、父さんに。助けて欲しかったよ……苦しくなっちゃう前に、話せなくなる前に助けて欲しかった。なんで助けてくれなかったの。なんで何も言ってくれなかったの。なんで……なんで、ずっと独りにしたの……っ!」
本当に今更なことを言ってるなって思う。
アホらしいし、馬鹿馬鹿しい。子供っぽいし、なんかもう、女々しいとすら思う。
理由は分かっているし、納得しているのに、今更なんで言ってるんだろう。
「……ずっと寂しかった」
「あぁ」
「遊んで欲しかったし、話したかった。父さんと、母さんと、三人で。ずっと」
「……あぁ」
「…………ずっと、そう思ってた。家を出る前はずっと。……家を出てからは劣等感ばっかり感じてた。逃げてばかりの弱い自分が嫌いで、強い父さんと比べてばっかいた。苦しくて離れたはずなのに、結局、どこにいても心のどっかにいるんだ。嫌も嫌も好きの内ってよく言ったものだよね。……それが離れて暮らしてきて感じたこと」
ぼくは一度、深呼吸をする。
そして、目の前の父に頭を下げる。
「嫌なこと、聞かせてごめんなさい。今更、こんなことを言っても仕方ないし、言う意味もないんだけど……でも、過去に少しでもそんなことを考えてたって話をしておきたかったので。……何だったら、忘れてください。ぼくが自己満足で言いたくて言ったし、笑い話になるくらいには、ぼくも忘れようと思うから」
不意に頭を優しく叩かれる感覚がした。
顔を上げれば、目の前にいたはずの父がいなくなっていた。代わりにぼくの隣に座り、片手をぼくの頭上に乗せ、もう一度優しくぽんっと叩く。
「忘れないよ。それは私の犯した過ちだからね。今のお前が許しても、私は私自身を許せない。何の意味もないかもしれないが、謝罪させてくれ。……すまない、不甲斐ない父親で。至らない父親ですまない」
「……」
ぼくは父さんに寄り掛かる。何かして欲しくてそうした訳じゃなかったけど……いや、不意に頭を撫でられて、どうしていいか分からなかっただけだ。
今、父さんはどんな顔をしているのだろう。
相変わらず、無表情なのだろうか。
ほとんど顔には出さず、淡々と話しているのだろうか。
それとも、珍しく感情を表に出しているのだろうか。
「これからは、目をかける。お前にも伝わる形で。……できていなかったら、言ってくれ。それは先程も言った通りだ。他にも何かあればその都度、教えてくれると助かる」
「……はい」
どっちでもいいか。
今の言葉に偽りがないのなら、何だっていい。父さんは人より感情を表に出さないんだから、その辺を気にしたって仕方がないのだから。
ぎこちない手付きでぼくの頭を撫でてくれる。
高校生にもなって、こんな子供みたいな甘え方をするなんて、滅茶苦茶恥ずかしく思うけど……今日だけは許して欲しい。
しばらくの間、黙ってされるがままだったが、ぼくが少し動けば、その手は止まる。
そのままぼくは隣に座る父さんを見つめる。
「……父さん」
「……なんだ?」
「話は変わるんですが、一つ、我儘言ってもいいですか」
「唐突だな。……とは言え、お前の我儘なんて久しい。なんだ?」
「ぼく、学園を卒業しても探検隊、続けたいです。彼女と……ラルと仲間達と一緒に」
スプランドゥールでラルと決めたことだ。
ギルドに誘われて、彼女に問われた時からどこかで言わなければと思っていた。
「……ほう」
「約束では学園を卒業したら、ここに戻る予定でした。その後は父上の後を継ぐための勉学や公務に励むようにと……そういう予定だったと思います」
「そうだな。……探検隊を続けるということは、ここを出て行くか? そちらの方が専念できるだろう」
「いえ。行きません」
「……? なら、お前はどうしたいんだ?」
「ぼくは……私はこの国の王子です。ゆくゆくは貴方の後を継ぎ、この国を担う者であると、理解しているつもりです」
少なからず、王である父の姿に憧れを抱いているんだ。その役目から逃げようなんて思っていない。
「しかし、それと同時にラルと一から作り上げたチームも大切に思っているのです。だから、今はまだ、あそこにいたい。もっと世界を見て、ラルと一緒にたくさんのところを見て回って、知りたいんです。世界を……世界に散らばる謎をラルと解き明かしたい。今はその気持ちが強いんです」
「なるほど。探検隊としてやれることをやりきりたい……その後でこちらへ戻る、と」
「……両方なんて、虫がよすぎますよね。分かっているんです。無理を言ってるのは承知してます」
どっちもやるなんて無理に決まっている。我儘を言ってる自覚がある。だから、我儘を言っていいかって聞いたのだ。
ここまで言って否定されるなら、仕方がない。またどこかで打診するか、それでも駄目なら、どちらかを選ぶまでだ。
そもそも、こんな大切なことをここでぽんっと決められるはずもない。だって、修行期間は決まっているのに、それをもっと延ばせって言ってるのだから。各所に知らせなきゃいけないだろうし、今後のスケジュールだって変更しなきゃいけない。
い、今言うべきじゃなかったかもな~……くそぅ。なんか、今ならなんでも言えるって思っちゃったんだ! 思っちゃったんです!! ごめんなさいっ!! 勢いに任せすぎました!!!
「構わん。好きにしろ」
「そうですよね、今すぐに決められ──え? 今、なんて?」
「好きにしろと言った。探検隊、やりたいんだろう? 満足するまでやればいい」
「え、えあ……えっ?」
「なんだ、その反応は。……やはり、どちらかを選ぶのか? それならそれでも構わんが」
「そ、そうじゃなくって、ここでそんなこと、決めちゃっていいの?」
「決めるも何も、これはお前の問題。ティールの人生だろう。私は選択ができなかったから、お前にはその自由を与えてやりたい。……だから、好きにしたらいい。周りの対処はこちらに任せておけ。どうにでもしておくさ」
……本当にいいんだろうか。こんなあっさり。
思ってもいなかった程にトントン拍子で話が進んでしまい、呆然とするぼくをよそに、父さんはふっと小さく笑う。
「セイラはまた何かと騒ぐかもしれんが、あいつだってお前の好きなことをさせてやりたいと思っているよ。でなければ、まだ幼かったお前を一人、異国へと送り出すはずがないのだから。……私達のことやここでの役割なんて気にするな。早々に息子の手を借りなければ回らんような国ではないさ、今はね」
「父さん」
「やると決めたのなら、後悔のない選択をしろ。私から言えるのはそれだけだ」
昔、似たようなことを言われた。
留学が決まり、母さんがたくさんのパンフレットを見せてくれて、ぼくがレイ学へ行くと決めた日。
あの時は好き勝手言ってくれるな、と思ったものだけれど。
──今は違う。
「ありがとうございます、父上。今後も精一杯精進し、研鑽します。そして、いつか貴方のような立派な王になれるよう、多くを学んできます」
「ははっ……そうか。期待している」
「え!? えっと~……その期待はちょっと重いかも?」
「何を謙遜する必要がある。お前は強い。自身の考えで未来を決め、それに突き進もうとしているのだ。十分、期待に値する男になっていると思うが?」
「……そ、そっか。じゃあ、頑張る」
まだ少し照れ臭いし……言葉を選んでいる節は否めないけど。それでも、昔よりずっといい。
これから、少しずつどこにでもいるような普通の家族になって、時々、親子喧嘩できるような仲になればいい。……面と向かって、意見の言える、いい喧嘩ができるような、ね。



~あとがき~
長かったなぁ……ここまで来るのに。

次回、セラさんのお仕事について。

ブライトがティールの将来に寛容な理由について。どこかで書いた気もしますが、一応、ここでも。
過去のブライトは彼の父であるアルドアーズを(というか、家族や大切な人達を)助けるべく、今の道を突き進む未来を決めました。というか、それをするしかなかったとも言えます。それ以外を選ぶことができなかったんですな。なぜそうなってしまったのかという理由は色々ありますけど、それは今は関係ないので省略。
とまあ、彼にはそんな過去があるので、息子であるティールには好きなように生きてほしいと心から思っています。実際、好きなように生きて行けるように、色々と根回しをする用意は常にしているし、既に準備もしてあります。その一つがルーメンさんだったりするんでしょうね。後はプリンとかにもそうです。彼にも話は通ってると思います。
とまあ、あの場ですんなりティールの我儘が通ったのは上記の関係もあるって訳でした。

ではでは。