satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第445話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
フォースのことやラルの脱出方法、穴に落ちたティールがなぜ、眠り状態になってしまっていたのか等々……謎のままだった部分が明らかとなりました!
まあ、フォースの力の部分に関しては蛇足感ありますけど。
そんな続きからやってくぜ!!


《A side》
気になっていたことは大体、聞けた気がする。……あ、でも、個人的にもう一つだけ。
「フォース、俺達の前に出てきた辺りで、今回はこっち側とかなんとかって言ってたろ? その、今回はってどういうことだったんだ?」
「んあ? 言葉通りだよ。今回は敵側で参戦してるって意味。前、このふざけた茶番に参加したってだけ」
ふーん……深い意味はないのか。
「んなもんねぇよ。……前々回は対象者として、前回はサポート役で参加させられた。だからまあ、敵側って初めてではあったよ。……いや、元々は参加予定なかったんだけど」
「それで言うなら、私もフォース君に感想、聞きたかったんだよね~? あのフォース君が学校の後輩とやりあうなんてさ! 学校でそういう機会があっても、基本、サボるじゃん?」
さっきまで、だらしない体勢だったはずのラルは、いつの間にかきちんと座り直していた。そして、飲み物片手に笑顔で質問を投げ掛ける。
やりあうとは違うけど、つい最近あった合同実習もフォースのやつ、いなかったもんな。
「……感想ねぇ? 特にないけど……強いて言うなら、暇だった。寝てても倒せる」
という、フォースの手厳しい感想に俺とレオンは言葉を詰まらせる。
まあ、俺達を相手してるより、ラルを相手にしてた時の方が力を出してる感じはあったけども……!
「まあ、兄貴の武器があったとは言え、おれに傷を負わせたんだし、その辺の評価はするけどね。お前さんらも立場は違えど、姫さんを守る護衛ってこった」
フォースはちらりとツバサを見て、ニヤリと笑う。
上から目線の評価にイラッとしなくもないけど、返す言葉もないのも、また事実。ウィルさんから借りた剣がなければ、多分、俺はフォースに一撃なんて与えられていない。
ぐぬぬ~……今後のために聞いておくけど、フォースのあれ、どんくらいの力で戦ってるんだ? 全力を百としてさ」
「一割未満」
あぁ!? あれで一割ないのかよっ!
「うぐー……! マージかー! なら、比較のために聞くけど、ラルとやってたあれは?」
「ん~……二割……ないくらい」
あれでようやく一割越えなんだ……?
「あっはは! うちのチームで一番の戦闘力持ちだからね。私とティールで相手してても五割も出してくれないし? そんなもん♪ そんなもん♪」
フォースの底が知れねぇ……けど、そんなフォースでも、ウィルさんに勝てないって言うんだもんな。あの人、相当強いってことか。あんな感じなのに。
「あ~……兄貴の雰囲気と見た目に騙されんな。あんなんでも強い人だよ」
はー……人は見かけによらない……ってことか。
さて、とりあえず、事のあらましだったり、気になっていたことだったりは聞けたかな。全体的に校長が好き勝手してるんだなってのは分かる。なんつーか、ラルも苦労してんだな……と。
いやまあ、ラルはラルで仲間にあれこれ迷惑かけている気がするので、因果応報なのかもしれない。
「……ねぇ、ラル?」
話も粗方終わりを見せた辺りで、ずっと黙っていた雫が口を開いた。
「ラルたち、あれ、しけんっていってた。でも、ちゃんとしたしけん、ちがったよね……? ボク、ふごーかく? ダメなこ?」
あれこれ変更点もあり、最終的にラルが乱入してしまい、試験自体も有耶無耶になってしまた感は否めない。実際、試験だと言う割には誰も合否を口にしていないのだ。ラルもティールも、フォースもそうだ。
三人はそれぞれの顔を見合わせる。そして、最初に口を開いたのはティールだった。
「ぼくは合格だと思う。だって、雫はラルを助けたんだから」
「……そうだな。課題だった『ラルの捜索及び救出』は達成している」
フォースもティールの意見に同調するように頷いた。それでも、雫はどこか不安そうな顔をしていた。
「で、でも、たすけたの、ボクじゃない。……こぶん、たおしたのも、ボクじゃないよ……?」
「そんなことない!」
ツバサはソファから立ち上がると、雫の手をぎゅっと握る。そして、真剣な眼差して優しく話し始めた。
「しーくんがいなきゃ、あんなに早くラルさんの居場所を見つけてないし……戦闘の時だって、しーくんの指示があったから、私達は怪我一つしてないよ? それに、しーくんが頑張ってたのは私達がよく知ってるもん。……ね、二人とも?」
「だな。雫の的確な指示のお陰で、戦闘に集中できたし、ツバサの言う通り、怪我もしてないぜ♪」
「あぁ。頼もしい指示だったし、雫のサポートがあったから、俺も安心して前に出て、フォースと戦えた。雫は俺達の助けになってたぞ」
俺達の言葉を聞いても、雫の表情からは、まだ不安の色が消えなかった。こういう時って、周りの評価って素直に受け止めきれないもんだからな。
どうしたら、そんなことなかったと思ってくれるんだろう……?
「雫」
「……ラル」
へらへらと適当な笑顔のラルじゃない。
探検隊の『リーダー』としてのラルがそこにいた。
「答えろ。雫のチームでの役割は?」
「やく、わり……?」
「そう。私達の仲間として、君は何を担っているんだ? 私は君に何を命じている?」
「みんなのサポート……みんなのうしろで、ぶんせきして、さいてきかい、みちびくこと」
「そう。それを今回、一度でも怠った瞬間はあった?」
「そんなつもり、ない。……ないけど……ティールのこと、おっことしちゃった……」
「あんな初見殺しトラップ、索敵能力使う前に察知する方が難しい」
確かに。何の前触れなく落ちたもんな。周りの奴らがスイッチを押した雰囲気もなかったから、あれは裏方にいたリムさんの仕業なんだろう。あれを咄嗟にどうにかする方が難しい。
「……後、あれは落ちたティールが悪い。普段なら回避できたよな、お前」
「はい。仰る通りで……びっくりし過ぎて、回避行動できてませんでした……ごめんなさい……反省します」
……あれをどう回避するのか、聞きたいけど、それは今は置いとくとして。
ラルは気持ちを切り替えるようにこほんと咳払いをする。
「戦闘において、雫は役目を果たしていた。それはツバサちゃん達が証明してくれているし、何より、面と向かって対峙していた人も合格って言ってるわけだしね?」
「おれが決めることじゃねぇけど、個人的には問題ないと思う」
フォースの言葉にラルは小さく頷くと、ソファから立ち上がり、誰もいない扉の方を見つめる。
「……ということだと思うんですが、いかがでしょう? 親方?」
ラルの言葉に示し合わせたように扉をバーンと勢いよく開けたのは、校長……もとい、フェアリーギルドのマスター、プリンさんだ。
「みーんなの言う通りだよ♪ 雫、もーっちょっと、自信持って欲しいな?」
「おやかたさま」
校長はニコニコと笑顔でくるりと謎の一回転。そして、パチッとウインクする。
「君は立派に役目を果たした。それって、成長した姿をボク達に見せてくれたってことだよ? それで不合格なんて言わないよ~♪ ごうか~~く♪ 今回もだ~~~いせいこうっ!」
「「「いや、全く大成功ではない」」」
ラル達の否定は耳に入っていないのか、校長は笑顔で雫に近寄って、ポンポンッと優しく頭を撫でる。
「雫。これからもラル達の助けになってあげて。君の力はラルのチームに必要だし、何より、君達は仲良しだ♪ これから、もっと強くなれるよ」
「! はいっ! おやかたさまっ!」
ずっと不安そうな顔をしていた雫だったけど、校長の言葉で心のモヤが晴れたみたいだ。パッと明るく、いつもの笑顔に戻る。
散々な言われようだったけど、校長も親方としての役割をきちんと担っているんだな。……散々な言われようだったけど。
「うん♪ いい笑顔になった! それにいい返事も聞けて嬉しいよ~♪ さて、と。……ツバサ、アラシ、レオン」
まさか、校長に話しかけられるとは思っていなかった。俺とレオンは思わず、背筋を伸ばし、ツバサはすくっとその場で立ち上がり、姿勢を正していた。
あの穴の中での出来事やラルの話を聞いていたとは言え、俺達にとって、この人はあくまでもレイ学の校長であり、一つのギルドの親方である。普段、会話する機会なんてあるはずもない。
そんな人に名前を呼ばれるなんて……え、なんかしたっけ。それとも、何かさせられる……!?
緊張を隠せない俺達を気にする素振りもなく、校長はどこからか取り出したでっかいリンゴ─もしかしたら、広間で見つけたセカイイチかもしれない─を数個取り出し、お手玉のようにぽぽんっと投げ始める。
「今回はうちのあれこれに巻き込んじゃってごめんね? お詫びにこの後の打ち上げ、た~~っくさん、楽しんでってね! 三人のお家には連絡したから!」
「「「い、いつの間に……?」」」
今度は俺達が声を揃え、ついでに戸惑う番だった。
そんな疑問に答えるつもりはないらしく、代わりににこっと笑う。
「あはは~♪ 楽しいことはみーんなで、楽しむべきだよね! ってことで、ラル、後は頼んだよ~♪」
「…………はい。親方」
校長からのご指名に、ラルは物申したげではあるが、日頃の経験があるのか、文句一つ言わずに素直に頷く。
ラルの返事を聞いて、校長も満足したのか、「じゃあね~♪」と気軽に手を振りながら部屋を出ていってしまう。
「は~……全く! 親方ってば、強引なんだから。ごめんね? 最後の最後まで振り回す形になって……もし、よければ付き合ってくれると嬉しい。もちろん、無理にとは言わないけど」
「いえ! せっかくのお誘いですし、参加させていただきます♪ もう少し、ラルさんやしーくん達と一緒にいたいですから♪」
「ツバサが参加するんなら、俺達も付き合う。……つーか、俺、ウィルさんに剣を返さねぇと」
まあ、フォースに預けるのも手なんだろうけど、せっかく貸してもらったんだし、直接、お礼も言いたいしな。
「はっ……! これ、俺らの知らないラルやティールの過去の話を聞けたりするのか!? 楽しみだな!!」
それを楽しみにしてるのは、お前だけだけどな。
「レオンは何の期待をしているんだ」
「ははっ……ま、今、下にいるのは酔っ払い共だ。……あることないこと、楽しそうに話してくれるんじゃねぇの?」
「げ……そうじゃん。最悪だ」
各々の反応を見て、ラルは小さく笑い、「じゃあ……」と全員を見回した。
「三人も乗り気みたいだし、下に降りよう。せっかくだから、ギルドメンバーやうちのメンバーを改めて紹介しようか。ね、しーくん、お願いできる?」
「うんっ! いこ、ツバサお姉ちゃん♪」
「うん、行こう! しーくんっ♪」
……初めは単なる祭りの散策だったのに、気がついたら、悪の大魔王だの、ギルドの抜き打ち試験だのとあれこれに巻き込まれていたわけだが。
ま、終わりよければなんとやら、だな。



~あとがき~
おわったぁぁぁ!!!!!!
やりたいことを詰め込んだ休日回、これにて終了です。お付き合いありがとうございました。

次回、新章、突入!
ということで、ちょいちょい話に出てきた体育祭編、スタートします。

休日回ってこんなに長くやるものじゃなかったはずなのに、いつの間にこんな感じになったんだろう(汗)
……まあ、いいや!
ということで、休日回改めまして、無事『悪の大魔王』編終了です。
学園パートでは見せられていない一年組の頑張る姿や、雫とツバサちゃんの頑張る姿等々、普段とはまた違った一面をお見せできたのではないかと思います。
元々は一年ズの休日回を書きたいなぁから始まってて、そこから私のやりたいことを詰め込んだ結果、この話が出来上がりました。闇鍋みたいなもんです。はい。
個人的にやりたいことしか詰め込んでないので、ずっと楽しかったです。
繰り返しになりますが、お付き合いいただき、ありがとうございました!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第444話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から関係者(ラルとティール)から、『悪の大魔王』によるラル誘拐事件の説明会がスタートしてます。今回もその続きからですね!


《A side》
改めて、今回の一連の事件─事件かは知らねぇけど─をまとめよう。
この祭りが行われる際、同時に行われる『悪の大魔王』という抜き打ち試験の対象者に雫が選ばれる。その試験内容は「拐われた仲間、ラルを助けること」だった。
そこで知らせを受けたティール、雫、ウィルさんの三人が雫の力を用いて助けに向かう。そして、現場に到着した際も雫の力を使い、どのように困難を突破するのか、ティールとウィルさんの二人がサポートしつつ、見守る。……本来の予定としては、そんな道筋が用意されていた。
しかし、ウィルさんの代わりに俺達が参加してしまったり、敵側も打ち合わせにない動き(ティールの離脱やフォースの参戦)等々が重なり、当初の計画とは大幅に道に外れてしまう。
……ま、目的にあったラルの救出はできたわけだが、他は散々だったと言えるかもしれない。
「はー……今回に限って、人攫いなんて大掛かりなことをするから、こうも計画とずれるのよ。やっぱ、親方のその場のノリに付き合うんじゃなかった」
「あり? これ、ラルが考えたんじゃないのか?」
「違いまーーす! 人攫い事件にしようってのは、親方の案ですー!!」
……えーと? なんで、校長はそんなことさせたかったんだ?
「私が知るかっー!!!」
と、ラルは天を仰ぐように両手を広げ、ソファの背もたれにだらりと全体重をかける。
「ラルさんを拐うって決めたのは……?」
「親方の馬鹿野郎の仕業だよーー!!」
…………なんつーか、ラルが不憫に思えてきた。
「お前が現場にいない時点で、不測の事態に対応できるわけねぇんだわ。無理矢理にでも自分をねじ込めや」
「できてたら、あんな無茶苦茶になってねぇぇぇ!!…………はぁ。おかえり、フォース君」
声のする方を見れば、トレイ片手に部屋に入ってくるフォースの姿があった。トレイの上には人数分の飲み物がある。
「お前、情緒、大丈夫?」
「無理……」
「あっそう。……ほれ。適当に待ってきたから、好きなもん飲め」
フォースから聞いた割には、ラルのこと、雑な扱いをするんだな。
テーブルに飲み物を並べるフォースはあそこで見た少女の姿……ではなく、いつもの姿だが、一つだけ違うのは、頬に絆創膏が貼られていることだ。
……あぁぁぁ!!! そうだ、俺、フォースを怪我させちまってたんだった!?
「フォース、あの時は悪かった! 怪我、大丈夫か……?」
「? あぁ、別に気にしなくていい。……兄貴の剣をアラシが持っているとは思ってなかったけど」
そいや、戦闘中もそんなことを言っていたような。
フォースは言葉通り、気にしていないみたいで、自分で持ってきた飲み物であるアイスコーヒーに口をつけている。
今なら、詳しく聞ける……か?
「なあ、結局、俺が持ってた剣、なんだったんだ? フォースはあれを弱点だって言ってたけど」
「その言葉通りだ。おれが制御者ってのは知ってるな?」
おう。一応……いつだったか、ステラから聞いた気がする。でも、それがどういう人なのかは、いまいち分からんけど。
「ん~……制御者ってのは、継承者を守る器であり、力。盾であり剣。……簡単に言うと、お前らとツバサと似たような関係性かな」
ふーん? フォースはステラの護衛ってことか……?
「ざっくばらんに言うとね。……おれは何があっても、継承者を守る役目がある。その役目を全うするため、大抵の攻撃じゃ死なないようにできてるんだ。でも、制御者の創り出す武器は、制御者の力を相殺させる。つまり、制御者を殺せるのは制御者の力を持つ者のみ。兄貴はあんなんでも、制御者の力を一部使えるから、おれを殺す武器を創れるって訳」
……そりゃ、使い手が格下だとしてもそれなりに警戒するよな。一歩間違えたら、殺され……るまではいかなくとも、深傷を負う可能性はゼロじゃないから。
「……ほんっとごめん」
「あ~……いいって。気にするな。元々、お前らにおれを殺す意思はなかったろ。殺意のない敵意におれが負けるわけない。……あ、でも、このこと、兄貴には言うなよ」
「えと、それはウィルさんに怒られる……から、とかか?」
「うんにゃ。おれが兄貴に付きまとわれて面倒になるから」
……お、おう。そうか。なら、黙っとくわ。
劇の時や劇終わりの挨拶時もそうだったが、ウィルさんは相当、弟思い……所謂、ブラコン……なんだな。
フォースは何か思うことでもあったのか、ちらりとティールへと目を向ける。
「アラシに兄貴の武器を持たせたのは何だったんだ? おれに対する反抗期?」
「違うって。……ぼくは君の参戦を知らなかったんだから、あれは偶然。というか、フォース自身も言ってたろ。アラシが持っていようと、君は倒せない」
「ははっ……まあねぇ~♪」
ぐぬ……実際、そうだったし、間違ってねぇけど、なんか悔しい。
「フォース君なんて、死んでも死なないような奴だよ? むしろ、もっとやってしまえ~」
「お前はマジでやめろ。あのババァの力は、死なないとしても、当たるとしんどいんだから」
なるほど。だから、ラルの攻撃は真面目に相手していたんだ。
そいや、フォースが参加してきた理由について、ティールもラルも話してなかったよな。本人は知ってるのか?
教頭は雫側にアドバンテージがあるから……って言ってたような?
「あ~? 音符……ノウツに兄貴の相手しろって言われて無理矢理、連行された。ぶっちゃけ、おれが兄貴の相手になんて、なるわけないんだけど」
強すぎるウィルさんの抑止力として、フォースが選ばれたってことか。……結果、ウィルさんはいなくて、こっちが追い込まれてたわけだが。
ここまで黙って俺とフォースの話を聞いていたツバサがぴこっと耳を動かす。そして、小さく首を傾げた。
「あれ……でも、フォースさん、私達にヒントをくれましたよね? 私達がどう動くべきなのかとか。……それに、今思えば、フォースさん、あれを『試験』だって言ってくれてました」
……そう言えば。あの時は、単なる言葉のあやだと思ってたけど、確かに使ってたな。試験スタートって。
ツバサの指摘にフォースは数秒、沈黙するものの、どこか面倒臭そうに口を開いた。
「……おれが到着した時、どこにも兄貴はいねぇし。ついでに、ティールの馬鹿もいねぇしな。なのに、ギルドの弟子数人と妖精に加え、おれが真面目にしてたら……流石にね?」
あぁ……言われてみれば、サポート役のはずのティールもすぐにいなくなって、事情を知ってる奴が誰もいなくなってた。俺らの知るところではないけど、それは望んだ展開ではないもんな。
「あ、そだ。ティール!」
「ん? 何、レオン?」
「穴に落ちた後、お前どーしてたんだ? 上に上がってきた時、ツバサ達と一緒にいたけど?」
あー……ちょうど、フォースが入ってきたから、フォースの話をしてたけど、ティールがはぐれた後の行動も気になるな。
俺達の視線を受けたティールは、なぜか俺達からそっと視線を逸らし、押し黙ってしまう。
何も話さなくなったティールに代わり、ラルがため息混じりに……ついでにティールの脇腹を執拗に攻撃しながら、口を開いた。
「……こいつ、落とされて早々、攻撃されてツバサちゃんに治してもらうまで、ずーっと寝てたよ」
「攻撃?」
「私達の後輩にリムって子がいるんだけど、その子がね。殺気出まくりのティールパイセンにビビって、思わず奇襲しちゃったみたい」
リムさん……あぁ、あの激重設定の劇のシナリオを考えた人か。姿を見なかったってことは、あの場では裏方として、動いてたのだろう。
「後輩を怖がらせるんじゃないわよ、ティールパイセ~ン」
「いや、まあ、怖がらせてたのなら、ごめんって思うけど……でも、そもそも話と違うから……警戒はするだろ?」
それはそう。
ラルが言うには、リムさんに攻撃され、重度の眠り状態にされてしまったティールは、リムさんの手によって、ラルのいる牢屋へと運び込まれたらしい。
結果、ラルを助けに行った雫とツバサと合流でき、ついでにツバサの回復魔法で、ティールの状態異状も回復できたというわけだ。
これで、ティールがツバサ達と一緒にいた理由も分かったわけだが……
「牢屋って……どうやってラル達はそこから出たんだよ? ツバサも雫も鍵なんて持ってなかったろ?」
捕らわれてたラルや、俺達と一緒にいたティールが持ってるはずもない。となると、何かしらの手段で手にしなきゃなんなかったはずだ。
「当初の予定だと、こちらが雫の力を『合格』と判断したら、適当なところでやられるフリをする予定だったな。そこでラルのいる牢屋の鍵も渡すつもりだった。だから、ラルが勝手に出てきたのは結構、驚いたんだぜ? 鍵はこっちが持ってたままだしな」
そう言いながら、フォースはポケットからなんの変哲もない鍵を取り出した。恐らく、それが牢屋の鍵なのだろう。
「ってことで、お前はどうやって出たんだ?」
「ん~……実は、たまたま出れただけなの。ツバサちゃんの髪飾りのお陰でね」
「髪飾り……あ! これ、ですか?」
ツバサはラルの店で貰った星の髪飾りを取り出した。パッと見、この髪飾りが鍵の代わりになるとは思えないが。
「ラルさん、牢屋でこれは売り物じゃないって」
「そそ。それ、元々は転移系の道具でね……ちょっと前に試作した二つで一つの道具の改良版なんだけど」
ラルは自身のポケットから、ツバサの持つ奴とは色違いの髪飾りを取り出した。そして、くるりと裏返して見せてくれる。ラルの持つ髪飾りは留め具部分の金具が壊れてしまっているようで、髪飾りとしては使えなさそうだ。
「あ。ティールは覚えてる? 『神子探し』で使ったピアスのこと。あれの改良版がこの髪飾りなの」
「……ん? あぁ……互いにイメージすると、着地点になる道具を持ってる人のところに転移できるやつか」
「そそ♪ この髪飾りで言うと、ツバサちゃんが持つ髪飾りが着地点。こっちは対になる道具で、双方が互いを強くイメージして、道具に触れると、着地点へ人をワープさせるの。前回と違うのは座標調整をしたのと、ワープ人数の制限を緩めたこと、かな」
そう言うってことは、前のやつは二人用だったんだろう。俺はその実物を見たことないけど。
「まあ、制限を緩めたっていうか……あくまで、できるようにしたってだけ。させたかったら、着地点になりうる人物は道具を持つ人と一緒に転送させたい人をイメージする必要があるし、道具を持ってない人は持ってる人に密着する必要があるけどね」
「ん~……つまり、今回で言うと、ラルとティールはくっついて、ツバサは二人をイメージする必要があったってことか~?」
レオンの言葉にラルはこくりと頷く。
この道具が使えたってことは、牢屋ではこういう脱出を防ぐ何かは仕掛けられてなかったんだな?
「全くなかったわけじゃないよ。魔法や技系統の阻害効果は、これでもかって程、色々ついてたから。でも、道具の効果までは打ち消してなかったね」
「そりゃ、そんなことをしたら、檻にかけた効果を打ち消しかねんだろ」
なるほどな。下手に仕掛けると、矛盾しちまうからか。
とは言え、普通、牢屋に閉じ込められる奴が脱出用の道具を持ち込めるはずもないので、打ち消す必要もないかもしれないけどな。



~あとがき~
色々、喋っちゃったぜ……(笑)

次回、色々あった休日回も、そろそろ終わりの時間です。

これで不明瞭だったところが全部明かされましたかね? なんか忘れてたらごめんなさい。とはいえ、忘れるくらいだから、大したことじゃないんでしょうね!←
とりあえず、これで分かったことと言えば、ラルは親方に振り回されてたってことっすね。大変やで。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第443話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルが全員を叱責して、とりあえずは幕を閉じました。締まりのないのがフェアリーギルドらしさですね☆
そして、今回からは説明パートとなります。


《A side》
俺達が街に戻る頃にはすでに日も沈み、祭り自体も終了しているらしい。関係者達による片付けが着々と進められていて、本来の街の風景を取り戻しつつあった。
そんな中を突っ切って、フェアリーギルドへとやってきた。ギルド内はラルが言っていた通り、打ち上げの準備が進められていて、食べ物や飲み物が次々と運び込まれている。
ギルド関係者全員があの茶番に参加していたとは思えないけど……なんていうか、凄まじい切り替えの早さだな。
ラルは辺りをぐるっと見回すと、とあるテーブルに並べられたフルーツを眺める校長を見つけた。
「親方! 二階の応接室を使いますよ!」
「い~よ~♪ ボクはセカイイチ食べてるから! 説明は任せるよ、ラル!」
「あぁ、そうですか。もう好きにしろ。……フォース君、適当に飲み物を見繕ってくれる?」
「うい~す」
雑な返事をしながら、フォースがふらりと離れる。
俺達はラルに案内されるまま、ギルドの広間を抜け、二階へと上がり、『応接室』とやらに通された。
広間は打ち上げ準備で騒がしかったけど、二階は人がいないのか、がらんとしていた。応接室も内装もまあ、どこにでもある感じで、ソファとテーブル、壁をぐるっと囲む棚の数々……という、ありがちの雰囲気である。
そんな部屋のソファに俺、ツバサ、レオンが座り、対面にラル、ティール、雫……はティールの膝の上に座る。
全員が着席したのを確認したラルは、こほんと咳払いをし、「何から話したものか」と眉をひそめた。
「んなもん、全部だ。全部! こちとら、なんにも分かってないんだからな!?」
ある程度の想像はできても、あくまでも予想の範囲。真相は何一つとして分かっていない。一から十まで話してもらわないと困るってもんだ。
「あー……うん。そうだよねぇ……? なら、そうだな。……全部を話す前に、アラシ君達がどこまで把握してるか、聞いておきたいんだけど」
俺達が知ってること……?
ティールから聞いた、『悪の大魔王』のこと。
その『悪の大魔王』にラルが誘拐された─実際はされてなかったけど─こと。
なぜかギルド関係者が『悪の大魔』とその一派を名乗っていたこと。
……とまあ、そんなところか。
簡単にそれらの事柄をラルに伝えると、ラルはこくこくと頷き、ぴんっと人差し指を立てた。
「ふむ。……なるほどね。とりあえず、お察しの通り、今回の件、フェアリーギルドで計画したことであるってのは間違いない。実は、この『悪の大魔王』関連の事件はね、新人の抜き打ち試験みたいなものなの」
「抜き打ち試験……ですか?」
「そう。まず、『悪の大魔王』事件の真相から話していこうか」
──ラルが言うには。
ギルドに加入、或いは加入していた人物がどれだけの実力を持っているか、親方であるプリン校長の独断と偏見による人選で行われる試験らしい。
簡単に言えば、『悪の大魔王』が起こした事件を解決できるかどうか、そこを試されている。それを毎年、一人、或いは数人が選ばれて、巻き込まれていくとのこと。
そのため、俺達が聞いた『悪の大魔王』が起こしたとされる事件に統一性もなく、被害も小さい事件で済まされていたわけだ。その理由も事情を知らない一般客をなるべく巻き込まないようにするための配慮がされていたからだそうだ。
よく聞けば、過去、事件の被害に遭った店や人達は全員、ギルドの関係者だったらしい。
「そもそも、『悪の大魔王』って名前自体、ギルドの関係者しか知らない単語なんだ。言ってしまえば、これはギルド内で行われる身内ドッキリ企画みたいなもんだから。現にぼくらがラルが拐われたって知らせを受けた時、ぼくらの周りに人はいなかったろ?」
……言われてみれば。
俺達はいたけど、逆に俺達以外の人はいなかったように思う。
「そう。……ただ、ヒマワリのところから、アラシ達がいた場所が死角になってたっぽくて、三人に気付かず、ラルが拐われたって言いながら来ちゃったみたい。本来なら、ぼくと雫、ウィルさんの三人だけがいる時に言う予定だったんだ」
なるほど。となると、今回の対象者は雫だったってことか?
ウィルさんは早々に離脱してたし、ティールも穴の下に降りた直後、離脱しちまったしな。
「ピンポーン♪ 大正解だよ、アラシ君。……今回はしーくんのための試験でした」
「……みんなで、ボクのこと、いじめたかったんじゃないの?」
不安そうな表情を浮かべる雫にラルは大袈裟に思えるくらい、首を横に振る。そして、がばっと思い切り雫に抱き付いた。
「やだやだやだー! 可愛いしーくんにそんなこと、するわけないじゃーん! というか、そんな計画、私が許すわけないし! 大体、しーくんを苛める奴がいたら、私が粛清しちゃうんだから!!」
「あー……はいはい。冗談はおいといてね~」
ティールが適当にあしらうと、ラルはきょとんとした顔でティールを見上げる。
「え? 冗談じゃないけど?」
「頼むから冗談にしてくれ。……こほん。話を戻すけど、今回は雫がどれだけの力をつけたのか、それを確かめるための試験だったってことだね。……まあ、ぼくらとしては反対だったんだよ? チームの一員とはいえ、まだ幼いし、雫は……その、素直で優しいから、ね」
……ティールが何を言いたいか、なんとなく分かる。後々、冗談ですまない可能性があるってことだろうな。
「けど、親方に押しきられる形でぼくらも渋々ね」
「まあ、私達じゃ、親方には逆らえないしね~……妥協案として、ティールとウィルさんをしーくんにつけることを条件に私も了承したの。……けど、蓋を開けてみれば、ツバサちゃん達はいるし、ウィルさんはいないし、ティールは早々に離脱してるし。……おまけにフォース君が敵側で参戦しちゃってるし……ったくもー! 私の書いた計画書はどこやったんだよ、あのアホ親方は!?」
……あぁ、一連のシナリオ、ラルが書いたんだ。
「ちなみに、ラルの当初の計画としては、どんな感じに進む予定だったんだ~?」
「ん? そうだね……まあ、大きな路線変更はないよ。しーくんの指示の下、ティールとウィルさんに『悪の大魔王』をやっつけてもらって、私を助けるみたいな。何かあっても、ウィルさんとティールなら、大抵のことはどうにかしてくれるからさ」
な、なるほど……つまり、ウィルさんやティールがいれば、ある程度、不測の事態は対応できる算段だったのか。だから、ラルの中で、二人を雫の側に置くことが条件だったんだな。
「ご、ごめんなさい、ラルさん。私達、しーくんの試験だったのに、勝手についてったりして……」
「ううん。ツバサちゃん達は悪くないから謝らないで? 知らなくて当たり前なんだし。……けど、ティール。君は反省会な? とりあえず、一応の言い訳は聞いておこうか?」
「あ、その、ごめんなさい。……けど、あんなにラルのことを心配してるツバサを置いとけないし……無理に残して、後をつけられる方が厄介なことになりかねないだろ? 大体、ぼくだってあそこでの離脱は予想外だったよ」
「まあ、あれはあっちの独断専行っぽいけどねぇ……? 親方達からすると、ウィルさんとティールってカードが強すぎたんだろうけど。その分、こっちは数を少なくしてたんだから、大目に見ろや」
……そういう問題か?
まあ、それは置いといて、だ。
ここまでの話をまとめると、この一連の茶番劇は元々、雫の腕試し、抜き打ち試験だった。ラルが拐われたのも、あそこで『悪の大魔王』達とバトルになったのも、その一環だった……と。
「そそ♪ つまりは、そういうことだね。……ま、ここまで計画がーとか、色々言ったけど……個人的なことを言うと、ツバサちゃん達が来てくれて嬉しくもあったんだよね、私は」
ラルの言葉に俺達は首を傾げる。そんな俺達を見て、ラルはにこっと笑う。
「そこの護衛二人は、仕方なくかもしれないけど……ツバサちゃんが来てくれたのは、私を本気で心配して、助けようとしてくれたからだよね? その気持ちは予定されたものじゃなく、嘘偽りない事実だから。それは凄く嬉しかった」
「ラルさん」
「だから、改めて言うね。……ツバサちゃん……それと、レオン君とアラシ君も。しーくんと一緒に助けに来てくれてありがとう」
「……っ! いえ……! 本当に無事でよかったです、ラルさんっ!」
ツバサは心底、嬉しそうに満面の笑みを見せる。
ぶっちゃけ、最初の方から嫌な予感はしてたので、ツバサ程の熱はなかったけど……ま、何もなくてよかったのは、そうだと思う。とは言え、面と向かって礼を言われるとは思ってなかったので、多少、照れ臭い気もするけど。
……待て待て。俺はなんで、こいつの礼で照れ臭いなんて、思ってるんだ?
「にゃはは♪ 気にすんなって♪ ラルの言う通り、俺達はツバサについてっただけだから!」
「そ、そうそう! レオンの言う通りだ。……大体、俺は別にお前の心配なんて、一ミリもしてないし。だから、そんな畏まって礼なんてする必要もねぇし……される覚えもないっつーか」
誰に何を指摘されたわけでもないのに、言い訳がましく、つらつらと言葉が出てくる。
そんな俺を不信に思ったのか、ラルが小さく首を傾げる。
「…………ねぇ、アラシ君」
「……な、なんだよ?」
「まさかとは思うけど、照れてる?」
「はあ!? んな訳ねぇし!? お前の感謝ごときで照れ臭くなんか……っ!」
「あっは♪ 私はそこまで言ってないんだけどなぁ……? そっか。私の『ありがとう』に照れ臭く思っちゃったんだぁ?」
あぁぁあ!? なんで言わなくていいことまで言ってんだ、俺えぇ!?
「んふふ。可愛いところあるねぇ、君は」
「う、うるせえぇぇぇ!!!」



~あとがき~
私生活で色々ありすぎて、更新がまばらになってます。すんません……!

次回、説明会は続く!

最後のラルとアラシ君のやりとり、相方プレゼンツです。ありがとうございました。
原案(私)だと、アラシ君はあそこまで反応しないのですが、ふと相方に質問したところ、「照れ臭く思うけど、アラシはそこで黙るような奴じゃない」と言われました。どうやら、アラシ君はそこまで大人しくないらしいです←?

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第442話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサ&雫がラルと再会を果たしました!(ただし、鉄格子越し)
ラルを牢屋から出す手立てに難航を示していましたが……ラルには何か考えがあるご様子。
今回はフォースと対峙するアラシ&レオンのその後からです。


《A side》
ウィルさんが貸してくれた剣が偶然にもフォースの弱点……これは願ってない幸運だったが、その幸運も長くは続かなかったらしい。
結局、あの不意打ち以降、俺達はフォースに攻撃を当てられていなかった。もちろん、俺も全く同じ戦法が通じるとは思ってない。だから、レオンと一緒に攻撃をしつつ、隙があれば俺が剣で一撃を……とは思っているんだが。
「はあ……はあ……こ、こいつの隙、どこにあんだよ……!?」
「し、知らない……! つーか、俺らと同じくらい、動いてるはずのに……ちくしょー! めっちゃ余裕だな!?」
レオンの言う通りだ。こっちの体力だけが減っていくばかりで、フォースに目に見える疲労とかがない。最初から全く変わっていないとも言える。
「まあ、これくらいで音を上げてちゃ、制御者の名折れっていうか……? ウィルにぃ程じゃないけど、これでも、色々と経験してるんだよね。そうね……私一人で軍隊くらいは壊滅できるよ?」
……それが本当なら、俺達が相手できる奴じゃねぇよ。
それでも、俺達がまだ立っていられるのは、フォースが本気になっていない……手加減をしてくれてるから、なんだろうな。くそ。
「なあ、アラシ……どうすんだ? このままじゃ、埒が明かないぞ。フォースが俺らを倒すつもりがないから、まだ助かってる……けど、だからって俺らに勝機があるようにも思えねぇ」
「あぁ、お前の言う通りだと思う。実際、フォースは俺達を倒そうと思えば、倒せると思う。……それをしないってことは、完全に舐められてるし、弄ばれてるんだよ」
「なんだよ~……ま、こうして俺らの会話を邪魔してこないし……そうなんだろうけど」
もし、フォースを倒したいんなら、あと数人味方がいればよかったかもしれない。けど、無い物ねだりはしても仕方ないってやつだ。
或いは、ツバサと雫がどうにかして、ラルを助けてくれるまで時間稼ぎをしてやれればいい……そう考えるのであれば、この役回りは今のところ、成功はしてる。
けど、今の状況からすれば、それはフォースも分かってて、付き合ってるってことになる。だって、フォースもあの二人が穴に飛び込んでいくのは見てたんだし。
「なあ、フォース。お前は何がしたいんだ?」
「何って……私は、私の役を全うしてるだけだよ。適度に相手するのが私の役目」
「それは俺達の邪魔か? それとも─」
「! おっと、タイムオーバーだ」
? タイムオーバー……?
俺の言葉を遮ったフォースは、人間離れした跳躍力で大きく後ろに後退する。それと同時に、さっきまでフォースが居た場所に凄まじい電撃が襲った。
「レオン、何かしたのか……?」
と、レオンの方を見るが、当の本人は慌てた様子で首を振っていた。
「え!? いや、俺じゃない! 俺じゃない!! 自慢じゃないけど、もうあんな攻撃できる元気も気力もねぇよ!? つーか、効かないって分かってるし!?」
なら、あの攻撃は……あんな攻撃をできる奴は……一人しかいない?
そう思った矢先、俺達の前に一人の少女が現れる。
ブロンドの髪を靡かせつつ、そいつは持つ刀の刀身に紅い電流を纏わせていた。
「「──ラル!!」」
思わず、俺とレオンが声を揃えて名前を呼ぶ。ラルはちらりとこちらを振り向き、薄く笑った。そして、すぐにフォースに向き合って、目にも止まらぬ速さでフォースの正面へと前進した。
「なんで、お前がいるんだよ! こちとら、聞いてないぞ!? 雷姫、“身体強化”! 轟け、雷鳴っ!」
刀身に纏わせた電流を強め、フォースに向かって斬りかかる。当然、フォースはひらりとかわしたが、その瞬間、牙狼族の少女から、いつもの人族の青年姿に戻っていく。
「あぁ!? ふざけんな! いきなり、斬ってくる奴があるか!?」
「うるさい。黙れ。質問の回答だけをしろ」
「横暴かよ」
「うるさいっ! 雷姫!!」
「だあぁぁ!? やめろ! やめろ!!」
俺達とやり合ってた時は余裕だったのに、ラルの相手をしてる今はその余裕を感じない。
ラルの攻撃をフォースは、自身で創り出した剣で受け止め、反撃を試みる。が、ラルは冷静に刀で攻撃を受け流し、再び攻撃へと移る──と、目で追えたのはここまでで、正直、二人の剣撃が速すぎて、よく分からなくなってきた。
「……あははははっ♪」
!? び、びっくりしたぁ……
今まで、沈黙していた校長が笑い出した。突然のことで意味が分からなかったが、校長の何か触れた……んだろうか?
「ラル、そっちにつくのは聞いてないな~? 君はこっち側、でしょ?」
「うるさいです! 大体、真っ先にシナリオブレイクしたのはどっちですか!」
ラルは校長に向かって叫ぶと、一旦、フォースへと攻撃をやめ、刀の切っ先を校長へと向ける。
「私は初めに提示された条件があったから、許可を出したのであって、こんな展開は望んでないんですよ!?」
「え~? そこはアドリブってやつだよ~♪」
「アドリブが利きすぎなんだわ!!! とにかく! 私は今の現状を見て、これが最善だと思ったんです! さあ、相手は誰! なんなら、全員まとめて相手しましょうか!?」
……二人の話から察するに、この悪の大魔王によるラル誘拐事件は、(予想してたけど)何か仕組まれた茶番……ってことなんだろうな。全く全体像が見えないんだが。
「……アラシ、レオン!」
声が聞こえた方を見てみれば、ティールが落ちた穴から出てくるツバサがいた。そんなツバサに続くように雫も顔を覗かせている。そりゃ、ラルが出てきたってことは、ツバサ達も戻ってくるよな。
「ツバサ! 雫も! そっちは大丈夫だったのか? ティールは?」
「うん。私達は大丈夫! それにティールさんも一緒だよ! ほらっ♪」
と、ツバサが指差した方を見れば、いつの間にか、ラルの近くへ歩み寄るティールがいた。ティールの腰には二振りの剣がある。いざとなれば、抜けるようにしているらしい。
「親方達がこれ以上やるっていうなら、容赦しません。ぼくだって、早々に排除されるなんて聞いてませんよ? それに、君がいることも予想外。なんでいるんだい、フォース?」
「おれだって、お前がいないなんて聞いてねぇ。つか、引率役の兄貴はどうした?」
「そ、それは……アラシ達がついてくるって言うから……仕方なく……?」
「は? アラシ達が来て、兄貴抜かしたら、パワーバランスおかしくなるだろ」
「ってことは、ティールもシナリオ壊してるってこと!? 聞いてない! 酷い!」
「ご、ごめんなさい!!」
ラルは大きなため息をつくと、刀を鞘に納める。そして、腕組みをしながら、今度は教頭の方を睨み付けた。
「……で? フォース君を呼んだの、お前だよな? なんで呼んだ。ふざけてんの?」
「当初の予定では、そちらにアドバンテージがありすぎると思ったんだ! すぐにやられてしまっては、面白くないだろう!?」
「面白さを求めるな!! 安全を求めろ、くそ音符!!! その場の思い付きで、勝手に予定を変更するな!!」
「あはは♪ でもさ、ラルは動いちゃ駄目だよ~? 大人しく捕まる役目だもん」
「親方は黙って!? そもそも、大人しく捕まってらんなくしたの、誰ですかねぇぇぇ!!?? とにかく、全員、正座しろぉぉぉ!!!」
……なんか、いつもの雰囲気になった……気がする?
勝手に騒ぎ始めたラル達を見て、俺とレオンは安堵のため息をつく。
こっから戦闘再開とはならないだろ。万が一、なったとしても、ラルとティールがどうにかしてくれるはずだ。
「どうやら、なんとかなったっぽいな~?」
「まあ、恐らくだけど」
ラル救出に向かった二人は怪我なんかもしてないみたいだし、俺達も怪我は一切ない。強いて言うなら、気力と体力と魔力……あとは、精神を持ってかれたくらいか。
「アラシお兄ちゃん、レオンお兄ちゃん、フォースお兄ちゃんのあいて、だいじょぶだった?」
「ん? おうっ♪ フォースのやつ、手加減してくれてたっぽいからな~? 悔しいけどな」
「その手加減がなきゃ、とっくにやられてたと思う。……俺達でフォースを食い止めてたってよりは、俺達が食い止められてたのかもな」
まあ、それはそれとして。
「この状況、誰か説明して欲しいよな」
「それな~? ツバサ達はラルから聞いたか?」
「ううん。説明は後って言われちゃった」
ツバサの言葉に雫も頷く。
つまり、詳しい事情を知ってんの、あそこで騒いでる連中だけってことね……なら、あの騒ぎが落ち着くまでは、俺らは待ちぼうけか。
適当に座って待ってるか。勝手に帰ってもいいけど、ここまで巻き込まれたんだ。説明くらいはしてもらわねぇとな。

ラル達は一頻り騒ぎまくった後、ラルだけが俺達の方へ向かってきた。ちなみに、他の連中はラルの言葉通り、正座させられている。そして、レオンとツバサが倒した子分達はいつの間にか、いなくなっていた。
「皆、巻き込んじゃって、ごめんなさい」
と、開口一番、頭を下げながら謝罪してきた。
「……とりあえず、一から全部、説明してもらえるか?」
「もちろん。……けど、こんなところじゃなんだから、ギルドに来ない?」
ギルドってことは、フェアリーギルドか?
「そ。この後、お祭りの打ち上げをギルドでやる予定なの。そこでお詫びって訳じゃないけど、好きに飲み食いしてくれていいから」
説明はして欲しいとは思っていたけど、まさか打ち上げに呼ばれるとは。
「私達、ギルドの関係者じゃないのに……いいんですか?」
「ここまで巻き込んでたら、関係者みたいなものだよ」
まあ……それはそうかも。
ぶっちゃけ、俺らは無理矢理ついてきたみたいなもんだけど、ここはラルのご厚意に甘えるか。経緯は知りたいしな。
俺達の話が聞こえていたのか、正座されていた一人の校長がすくっと立ち上がった。そして、笑顔でくるりと一回転する。
「やったね~~~! 待ちに待った打ち上げパーティー! 皆となら楽しそうだからね! 行こう♪ 行こ~う♪」
「お、親方~……今は大人しくしましょう。ラルにまた怒られれちゃいますよ」
「手遅れだろ。このアホ妖精、マジで適当すぎるわ」
「親方様はこのようなお方だからな……仕方ない」
「だぁれが立っていいって言いました!? ちゃんと反省してるんでしょうね!?」
「ん? でも、皆でギルドに行くんだよね? それなら、座ってちゃ、移動できないよ?」
確かに。
校長はラルの言葉を聞かず、ルンルンでどこかへ行ってしまう。
「……くそ、自由人め。ノウツ、あのアホ親方、一人にさせないでよね」
「分かっている。……親方様! お待ちください!!」
教頭も校長の後を追いかけ、どこかへ消えてしまう。
残されたのは俺達とラル、ティール、フォースだけ。
正座していたティールとフォースも立ち上がると、俺達の方へ寄ってくる。
「……ラル、ぼくらも移動しようか。アラシ達には全部、説明するんだろ?」
「そりゃあね。……私達も行こうか。出口はこっちだよ」
ラルの案内で案外、あっさりと外へと出てこれた。ちなみに、あの部屋から外までの道順はややこしくて全く覚えられなかった。
あそこ、マジの要塞かなんかだったのか……?



~あとがき~
とりあえず、悪の大魔王事件は終わりです。長かった……!

次回、悪の大魔王とはなんだったのか、この盛大な茶番劇がなんだったのか等々、真実を語るぜ!

強引な幕引きっぽい感じになりましたが、とりあえず戦闘は終わりです。
ちなみに、ラルは本気ではないけど、それなりに力を出してフォースとやりあってます。まあ、それはフォースも一緒なんですけど。少なくとも、アラシ&レオンとやっていた時よりは出力上げてます。けど、本気ではないんですよね。
この二人、いつか本気モードを見せる日が来るんでしょうか……?

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第441話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アラシ&レオンVSフォースの一部をちらっとしました。
フォースのバトル描写は剣技大会以来ですかね? 言っても、あれとはまた毛色の違う戦法を使用しているんですけども。
さてさて。今回は地下に降り立ったツバサ&雫の様子からです。


《T side》
フォースさんの相手をアラシとレオンに任せ、私達は地下へと降り立った。
上は─どういう仕組みなのか分からないけど、─明るくなってたのに、ここは真っ暗。私の魔法で照らしてみるものの、どこか心許ない。
校長先生の合図で明るくなったし、ここも何かスイッチみたいなのがあるのかな。それとも、管理してる部屋みたいのがある……とか?
「しーくん……明かりのスイッチとか、その辺にありそう?」
「ん~……」
空中に浮かぶスクリーンをじっと見つめていたしーくんは、しょんぼりした様子でゆっくりと首を振る。
「このちかくにはない……ありそうなとこ、あるけど……べつのかいそう……」
ま、まだ地下があるんだ……もしかして、ラルさんはもっと下……?
「ううん。ラルはボクたちとおなじとこ、いる。……! ティールもいっしょだ。こっち」
しーくんが指差した先は長い通路が続いていた。この先に二人が……でも、敵もいるかもしれないんだよね。
「ん~ん……? ここにはほかのひと、いないみたい。……でも、きをつけておくね」
「ありがとう、しーくん♪ 行ってみようか」
「うん」
しーくんに周囲の警戒をしてもらいつつ、私は辺りを照らしながら先に進んでいく。しばらくは何もない通路が続くだけだったけど、とある角を曲がったところで、頑丈そうな檻に囲まれた牢屋が並ぶところへ出てきた。
「ほわ……もしかして、ここにラルさん達が……?」
「うん……たぶん。……ラルー! ティールー!! どこー!!」
周囲に誰もいないことを確認済みのしーくんは思い切り叫んだ。けれど、しーくんの声が空しく響くばかりで、返事は返ってこない……と思っていたら。
「! こっち!!」
「ふぇ!? ま、待って! しーくん!」
私には何も聞こえなかったけれど、しーくんは何かを聞いた……ううん。これは感じ取ったって言った方が正しいのかも。
前を走るしーくんに着いていけば、一つの牢屋の中に私達の捜し人はいた。
ラルさんはびっくりした様子で私達のことを見上げていた。
「しーくん……? それに、なんでツバサちゃんまで……?」
「ラル!」
「ラルさん!!」
「ラル! けが、してない!? こわいこと、されてない!?」
「してないし、されてないよ」
ラルさんの言う通り、見えるところに怪我はなさそう。ボロボロになってる……なんてこともなさそうだし、酷いこともされてない……のかな。
「よかった……本当によかったです……!」
「……ツバサちゃん?」
ラルさんの無事な姿を見たせいか、ずっと張っていた糸がぷっつりと切れてしまった。
だんだん視界がぼやけてきて、それはついに目から溢れ落ちてしまう。一つ、また一つと止まらなくなってしまって。
「え、ちょ……ツバサちゃん!? だ、大丈夫? どこか怪我でもした?」
「いえっ……ちが、くて……なんか、ホッとしちゃって……うぅ……よかったですうぅぅぅっ!!」
「うんっ……! よかったぁぁっ!!」
「しーくんまで!?」
……ありゃ、しーくんも私と同じみたい。
安心感から、わんわん泣き続ける私達をラルさんは戸惑いながらも檻の隙間から手を伸ばして、頭を撫でてくれる。
「なんか……ごめんね? 心配、かけちゃったみたい……? 二人とも、そんなに泣かないで。私は大丈夫だから」
優しくて暖かいラルさんの手。安心させるような声……うん、いつものラルさんだ。
ラルさんは私達が泣き止むまで、ずっと頭を撫でてくれていた。ようやく、私達が話せるまでに落ち着くと、伸ばしていた手を引っ込め、困ったようにはにかんだ。
「それで……これは、どういうこと?」
「ラルさんが拐われたって聞いて! 私、いてもたってもいられなくって!」
「はぁ……なる、ほど? それで、二人は」
「たすけにきたの。ほんとは、アラシお兄ちゃんとレオンお兄ちゃん……ティールときたの。……でも、ティール、わな、ひっかかっちゃって」
「……あぁ。ティールなら、そこにいる」
と、ラルさんは自分の背後を指差した。指した方向を魔法で照らしてみれば、確かにいる……いる、けど。
ティールさんは私達があれ程、騒いだにも関わらず、ぴくりとも動いていなかった。
ティール! ラル、ティールはだいじょぶなの!?」
「大丈夫だよ。寝てるだけだから」
ね、寝て……!? あ、よく見れば、微かに体が上下してる……かも?
「呼吸や脈は正常だから、多分、重度の眠り状態。あれこれ試してみたけど、全然、起きなくてね。……だから、高度な回復魔法かポーションでもないと起こせないと思うよ」
「それなら、私が回復魔法を試してみます! けど、そのためにはここの檻をどうにかしないと……ですね」
私達とラルさんの間にあるのは頑丈な檻。無理だと思いつつも、檻を揺らしてみるものの、びくともしない。人の力でどうにかなる物じゃなさそう。
「うむむぅ……ラル、らいひめは?」
「この檻、ご丁寧に全属性耐性が付与されてるみたいで、大抵の攻撃は無力化されちゃうたい。とはいえ、雷姫なら壊せるとは思うけどねぇ……周囲の人を感電死するレベルの力を出す必要があるかな」
「うみゅ……そっか……」
ラルさんだけなら、どうにかできるけど、今は私達もいるし、ティールさんもいる。どうにかするのは難しいのかな……
逆に言えば、このバフを消せればいいんだろうけど……うーん?
「結構、複雑な術式で付与されてますね……流石、全属性耐性……」
牢屋だし、それくらいはしても、何にもおかしくはないんだけどね。だって、捕まった人が簡単に逃げられたら意味ないもん。
でも、今はその頑丈さが恨めしいよ~……!
「らいひめ、ダメなら……ラルがぴ……ぴ、ぴん……?」
「ん~と、ピッキングかな? ごめんね、ピッキングツールを持って来てないんだ」
うん……元々はお祭りの警備とか、お手伝いのために来てたはずだもん。そんなお仕事の時に使わないよね、そういうツール。
破壊もダメ。
バフ消しもできない。
鍵の解錠もできない。
……と、なると。
「転移魔法……じゃなくて、ラルさん、移動系の技は?」
「使えない。それに牢屋だし、何かしらの対策はされてると思うよ?」
う……! た、確かに……!
つまり、八方塞がり……!?
「せっかく、ラル、みつけたのに……たすけられないの……? はやくしないと、アラシお兄ちゃんとレオンお兄ちゃん、フォースお兄ちゃんにやられちゃうのに……!」
せっかく泣き止んだのに、しーくんの目にはまた、うるうると涙が溜まっていく。
「しーくん! お、落ち着いて!? 落ち着いて考えれば、何か方法があるはず……!」
例えば、どこかに鍵ある、とか! 鍵のありそうな部屋を捜す……とか……でも、ここはまだまだ広そうだし、肝心の鍵をフォースさん達の誰かが持っていたとしたら。……そうなったら、今度こそ、フォースさんをどうにかして止める方法を考えるしかなくなる。その方法が思い付いてたら、私としーくんはここにいないんだけど……!
「……フォース君? フォース君がいるの?」
「ん。あのね、おやかたさまたち、ボクのじゃま、するの。みんな、ボクのこと、いじめて、たのしんでるの!」
「……上にいるのは、アラシ君とレオン君で間違いない? 他にしーくん達の味方は来てないの?」
「ゆ? うん……そだよ?」
「……」
ラルさんは数秒、何かを考えるような素振りを見せていたけど、すぐに大きなため息をついた。
「思っていた以上に状況はまずそうね。……となると、早急にここから出たいけど……檻がな……あぁ、もう。ティールが起きていれば、しーくんと合わせ技で無理矢理、破壊できたかもしれないのに」
恨めしそうにティールさんの方を睨むラルさん。けれど、ティールさんが反応を見せるなんてことはない。
一番、現実的なのは、この檻を開けることなんだろうけど……その道具がないんじゃ、それすらもできないもんね。
「ラルさんの言う、ぴっきんぐ……の代わりになるような道具があれば、いいんですよね?」
「……! ツバサお姉ちゃんのアクセサリー、つかえないかな! あれ、ほそいもん!」
うん……? あ、しーくんが選んでくれたアクセサリーのことかな。
髪に留めるために細い金具はついているけど……これで開けられるものなのかな?
「ラルさん、これ、使えますか……?」
私は肩掛け鞄から、ムーンさんのご厚意でいただいた、星の髪飾りを取り出した。それを見たラルさんは何度か瞬きをして、突然、勢いよく立ち上がった。
「それだあぁぁぁっ!!」
「ほえ……? これで開けられそうですか……?」
「ううん。開ける必要はない。というか、それ、売り物にするつもりなかったのに、なんでツバサちゃんが持ってるんだろ……まあ、今はそれをツバサちゃんが持っている幸運に感謝すべきかな」
えーと、つまり、どういうことでしょう……?
私だけじゃなくて、しーくんも現状を理解していないみたいで、不思議そうにラルさんを見上げている。もちろん、私も同じように見上げているんだけど。
ただ、ラルさんだけは自信満々に微笑んでいた。
「ツバサちゃん、その髪飾りに祈ってみて? 私と……あと、ティールが君の隣に立つイメージをしながらね。それをしてくくれば、私達はここから出られるから」
「? え、えと、どういう……?」
「説明は後! 今は早く上の惨状をどうにかするのが先だから。……どう? できそう?」
ラルさんに向かって差し出していた髪飾りを自分の元に戻し、ぎゅっと握る。
なんだかよく分からないけど、ラルさんがそう言うんなら、きっと、大丈夫。
私は一回、大きく深呼吸をして、深く頷いてみせた。
「……私、やってみます」
「ありがとう、頼んだよ。……さあて、ここからは、悪ふざけがすぎた野郎共を説教する時間だ」
……あれ。もしかしなくても、ラルさん、怒って……る?



~あとがき~
ラルのいる安心感よ。

次回、悪の大魔王戦も終盤!

ラルがどうやって檻から出るのか、どうやって事態の収拾を図るのか等々は次回以降で明らかになります。
お楽しみに~

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第440話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルを助けるべく、ツバサ&雫が地下へと乗り込みました!
二人の続きをお見せしたいところではありますが、その前に残されたアラシ&レオン、いかせてもらいます!


《A side》
「──これで、終わりだぁぁぁっ!!」
ツバサと雫が穴に飛び込んですぐ、レオンの雄叫びが辺りを響かせた。
持ち前の俊敏さで相手を翻弄し、お得意の刀で二人ともノックアウトさせたようだった。
そして、迷わず、こちらへと駆け寄ってくる。
これで、二対一……ではあるけど。
「……なあ、フォース。これ、全力じゃないよな」
「さあ?」
誤魔化す必要がどこにあるんだろう。
ここまで、俺は一度もフォースに攻撃を当てられていなかった。
普段は学生の俺だけど、これでも騎士としての鍛練は欠かしていない。手を抜いているつもりもないし、同年代に比べれば、それなりに腕が立つ方だとも思っている。……それなのに。
俺が剣を振るえば、簡単に避けてしまう。まるで予め、そこに来ると理解しているみたいだ。
そして、フォースは最初の一撃以外、一度も攻撃をしてこず、俺に対して反撃をしてこなかった。だから、俺がずっと攻撃をし続けてる……が、一向に当たる気配がない。
それがずっと続いているもんだから、流石に心が折れるってもので。
レオンが来て、ちょっとでも戦況が変わればいいけど……
「……お待たせ、アラシ! で、この人は……マジでフォース……さん?」
「うん。一応、フォースさんだよ。……いや、この場合は、『中身は』と言った方が正確かな? まあ、この見た目の頃に名乗っていた名前なんて、とっくに忘れちゃったから、その辺は聞かないでね」
適当かよ。
けど、この適当さというか、雰囲気はフォースそのものだ。見た目や話し方、所作は全く違うけど、本人が中身はと言うだけあって、根本的なところは変わっていない。当然と言えば当然なのだけれども。
「ふーん。……で、俺が参加しても後ろの二人は動かないんすねぇ?」
「君ら二人に対して、こちらに加勢なんて必要ないよ。私一人で余裕だから、二人同時にかかってきて? ちゃあんと遊んであげるからさ」
「くそぉー!? めっちゃ余裕だな!?」
それは最初からなんだけど、それはさておき。
レオンが助っ人に加わってくれるなら、一つ、試したいことがある。
「レオン、少しの間、頼めるか?」
「ん? なんか策でもあるのか?」
「策って呼べるものか分かんねぇけど……一応」
「分かった。あのフォースの鼻、へし折ってやろうぜ!」
そこまでのものかも分かんねぇけどな。けどまあ、現状打破はできるかもしれない。
レオンは俺の代わりに前に出ると、間髪入れず、フォースに刀による攻撃をしかける。それをフォースはひらりとかわし、レオンの相手をし始めた。
フォースは俺を気にかける様子はない。気にしなくても、対応できると思っているのかもしれない。
「……鼻をへし折るまではいかなくても、少しくらい、興味は持たせたいよな」
俺はレオンとフォースから少し離れると、ポケットからとあるものを取り出す。
それはラルの店で貰ったイヤーカフだった。雫曰く、攻撃力の増加効果のあるそれを身に付ける。そして、ウィルさんから借りている剣を握り直した。
俺の直感が正しければ、ウィルさんの剣とこのイヤーカフで、フォースに大打撃を与えられる……と思う。もちろん、外さなければ、だが。
「頼むぞ、ラル。お前の作った道具の力……信じるからな!」
俺は他の奴らと比べると、魔力量が少ない。だから、フォースに効くような魔法を使うとなると、俺の力じゃ心もとない。けど、今日は違う。
俺は普段と同じくらいの魔力を注ぎ、先程、ツバサが感情任せに放とうとしていた、“ファイアーボール”の魔法陣を展開させる。使用している魔力量は変わらないのに、いつも以上の威力を肌で感じていた。
これだけの力があれば、問題ない……!
「レオン! 避けろよ!!」
「!? うぉおう!?」
俺はレオンに警告しながら、思い切り“ファイアーボール”をフォースに向けて投げつける。レオンは持ち前の俊敏さで、危なげなくひらりとかわしてくれた。
「へぇ? 意外といい火力じゃん」
フォースも余裕の表情で“ファイアーボール”を避けていた。そして、地面に直撃した“ファイアーボール”は土煙を巻き上げる。
……ここまでは想定内だ。
俺だって、あんな大振りに放った魔法が当たるなんて思っていない。魔力が馬鹿程あるツバサがやるならともかく、平均以下の俺なんて、あのフォースに傷一つつけられるはずもない。
だからこそ、ブラフになる。
「──おらぁぁぁぁぁっ!!」
俺は魔法でフォースの避ける範囲を絞りつつ、土煙を利用し、接近していた。
つまり、本命はこっち。
ド派手な魔法を目眩ましにしながら、俺の放った渾身の一太刀。これが俺のできうる最大限の攻撃だった。
「……っ!」
……だったのだが、俺の切っ先はフォースを捉えることはなく、紙一重で避けられてしまった。でも、今までは余裕で回避していたのに、これはギリギリでかわし、且つ、本気で避けていた。
「……っと? どうやら、避けきれなかったみたいだな?」
長い前髪で分かりにくいけど、フォースの頬からつぅっと血が伝っていた。それをフォースは大して気にするでもなく、親指で軽く拭う。
「……やるじゃん」
「そりゃ、どうも。この剣、フォースが本気で警戒してるみたいだから、何かあるんだろうなって思ってな」
俺としては、もう少しダメージを与えるつもりだったのだが。そこはフォースの技量に負けた形になる。悔しいけど。
「……まあ、ね。その剣は文字通り、私を殺す剣だから」
「ほー? つまり、フォースの弱点ってことか~?」
「そうだね」
やけに素直に頷くな。それに弱点だって言われてるのに、大して焦りもなさそうだ。
「そりゃあね。だって、アラシは私をそれで殺そうとしないでしょ? それなら、焦る必要もないし、畏怖する必要もない」
……確かに。俺はフォースを殺すつもりなんてない。なんなら、怪我させたいとも思っていない。
でも、俺がフォースに有効打があるという事実は変わらない。それがある限り、フォースは俺の攻撃に神経を多少なりとも割く必要がある。
そこに突破口を見出だせれば、俺達にも勝ちがあるかもしれない。
「レオン、この戦法で攻めるぞ」
「おうよ。俺達でフォースに勝っちまおうぜ!」
「……戯れ言が」
魔法を使った不意打ちは何度も使えない。だから、今はレオンの素早さを活かしつつ、俺が奇襲の機会を窺う。……これしかない。



~あとがき~
短いけど、終わり!
なんでかって? バトル描写が苦手だからだよ!!!(いつもの)

次回、穴に飛び込んだツバサ&雫は……?

フォースがちゃんと戦うの、二回目ですね。多分。
前回が剣技大会かな。それ以来、彼は戦闘らしい戦闘シーンなかったので、数年振りっす。
……さて。次の戦闘シーンはいつになるんですかね……そもそもあるんだろうか、そんなシーン?
まあ!? ここはわいわいしながら学園生活を送るのがメインなので! なくてもいいんだが!!(笑)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第439話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、敵陣(?)の全容が明らかになりました。そして、最後の子分、五号はフォース(女の子ver.)でした。
アラシ「どういうことなんだよ……」
フォース「あっはは~♪」
アラシ「笑い事じゃないからね!?」


《T side》
突然、上から現れた女の人がフォースさんだとは思えなかった。思えなかったけど、しーくんの様子とあの瞳の色、そして、時々、聞こえてきた話し方や声にフォースさんだって感じる部分があった。
だから……あの女の人はフォースさんなんだろうなって。……今でも信じられないけれど。
気持ちを切り替えて、こっちはこっちで、なんとかしなくっちゃね!
私はダグさんの攻撃を避けて、次の一手のための魔法式を構築する。
「フォースさんが女の人になってたのは驚いたけど、だからって、皆の足手まといにはならない!」
そう。ラルさんを助けるために、ここまで着いてきたんだもん。ちょっと状況はややこしくて、よく分からなくなってきたけど、それでもラルさんの居場所は分からないままだし、安否の確認もできていない。校長先生は無事って言ってたけど……私の目で確認するまでは分からない。
「……“ストーンバレッド”!」
「“アクア・ショット”!」
ダグさんの岩の弾丸と私の水の弾丸はお互いに相殺されていく。これで何度目だろう。
ギルドの人ってことは、ダクさんも探検隊……? の、人なのだと思う。だからって言うのも変だけど、私の攻撃には、冷静に確実に対処していた。純粋な力比べは私の方が上のような気がするけど、ダクさんは今までの経験を最大限に利用して、対応してくる。
つまり、これを何度繰り返しても拮抗状態のまま。……なら、今度は。
「“アトパース”!」
相手の視界を奪うため、“アトパース”で一定範囲に水蒸気を発生させた。もちろん、ただ目眩まししたかった訳じゃない。
「あなた方はしーくんのお知り合いみたいですから、なるべく傷つけないようにします。……“バブル・シュラップ”!」
私はパチンと指を鳴らして、“アトパース”で隠しておいたもう一つの魔法を発動させた。
きっと、今頃、ダクさんの周りを囲わせておいたシャボン玉が弾けている頃。
“バブル・シュラップ”は眠り状態にしてしまう煙を閉じ込めたシャボン玉を作る魔法。その煙を吸い込んだら、相手は一瞬で眠り状態にできる。
“アトパース”の霧が晴れてくれば、私の思った通り、ダグさんは深い眠りについているようだった。なんだか騙し討ちしたみたいで心苦しい気もするけど、戦闘だもん。これでよかったよね。
「ふー……よし」
これで私は自由に動ける。アラシとレオン、どっちかの加勢をしに行こう……けど、どっちに行こうかな?
レオンは残りの子分さんを相手にしてて、アラシはフォースさんの相手をしている。校長先生と教頭先生は……参戦することはなく、様子を見ているだけ。
今のところ、レオンは二人を相手にしていても余裕がありそうかな。なら、私はアラシの方に行こう。あのフォースさんの相手だもんね……
私はアラシとフォースさんの方へ駆け出した……んだけど、その途中で足を止める。たまたま、私の視界の端っこで忙しなくスクリーンとキーボードをいじるしーくんがいたから。
ちらりとアラシの方を見て、まだ大丈夫そうだったから、私はしーくんの方へ方向転換して、そっちに駆け寄った。
「しーくん!」
「……ツバサ、お姉ちゃん」
「! しーくん……」
私を見上げるしーくんは、今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。それでも、何かしなくちゃって必死な顔にも見える。
「あのね……よにんのこぶんたちには、かてる。おやかたさまも……みんなできょーりょくしたら、たぶん……」
しーくんの言葉に少し驚いた。
一ギルドの親方なのに、子供の私達でも勝てちゃうって事実が意外だった。でも、その理由をしーくんが教えてくれた。
「あのね、おやかたさま、ぜったいにほんき、ならないから。ともだち……なかまに、ほんきでたたかうひとじゃないの。そーゆーひと、だから……だから、だいじょーぶなの」
「そうなんだ。えと……手加減、してくれるってこと?」
こくりとしーくんは静かに頷く。
だとすると、しーくんがこんなに悩む理由は一つだけだ。それはきっと……フォースさんの存在。
「でも……でもね、フォースお兄ちゃんはむりなの。なんかい、けーさんしても、シュミレーションしても、まけちゃう。どうしよう、ツバサお姉ちゃん。……こぶんとおやかたさま、たおさないと、ラル、たすけられないのに……たおせない。たすけられないよ……!」
今まで、必死に堪えていたものがぽたりと溢れた。そこから一つ、また一つと溢れ落ちていく。
「どうしよう……ボク、ラル、たすけられない。ティールも……おちちゃったティールも、さがしにいけないよ……ふたり、たすけられない……っ!」
「しーくん、だい……っ」
大丈夫だよって言いそうになって、押し留まる。だって、大丈夫じゃないのを一番理解しているのは、しーくん本人だ。しーくんは、私には分からないくらい、いくつもシュミレーションして、結果、突破口がないって分かってしまっている。そんな子に無責任に「大丈夫」だなんて言えない。言えなかった。
「私も……私も考える! 一人じゃ思い付かなかったことも、二人なら何か、思い付くかもしれないから!」
私はしーくんの隣に座って、鞄からペンとメモ帳を取り出す。
「もし必要なら、新しい魔法考える。私、得意なのっ! しーくんが必要だと思う効果を生み出せるような魔法、考えてみせるから……だから、助けられないなんて、言わないで?」
しーくんの頬を伝う涙をそっと拭い、優しく抱き締めた。安心させるために……ラルさんがいつも私にしてくれるように、優しく頭を撫でる。
「しーくんは一人じゃない。私もいるし……今、頑張って戦ってくれてるアラシやレオンもいるよ。だから、ラルさんとティールさん、絶対に助けよう」
「ツバサお姉ちゃん……」
「それに、今、しーくんが諦めちゃったら、本当に助けられなくなっちゃう。そんなの私は……ううん、アラシもレオンも嫌だって思ってる!」
私は改めて、アラシとレオンの方を見る。二人とも今はなんとかなってるように見えるけど……
「しーくん、レオンが相手してる二人はこのままでも大丈夫なのかな?」
「うん……リンお姉ちゃんのデバフにきをつけてたら……レオンお兄ちゃんがかつ。レオンお兄ちゃんのスピードなら、ふたりとも、おいつけないから」
よしよし……問題はやっぱり、アラシの方か。
「私がアラシの加勢をすれば、なんとかなるかな? 倒すまでいかなくても、フォースさんのこと、止めることができそう?」
しーくんは否定するように首を振った。
そうだよね……さっきも勝てないって言ってたもん。私の提案もすでにシュミレーション済みってことか。
「ん~……なら、先にラルさんを助けに行くのは?」
「……へ? さきに?」
「うん。だって、今のところは二人でなんとかなってるし……私は動けるようになったもん。なら、二人で助けにいけるよね!」
そう。何も全員を倒す必要なんてない。私達はあくまで、ラルさんの救出が目的で、目の前の人達……そして、フォースさんを倒すことじゃない。
「それに、こっちがラルさんを助けたら、フォースさんとも戦う理由もなくなるよね?」
「そ、か。……そうだね……そうだけど、アラシお兄ちゃん、ひとりでだいじょぶ? このままだと、アラシお兄ちゃん、やられちゃう。……さんぷんごくらいに」
「さ、三分後……!?」
それにはちょっとびっくりするけど……でも、アラシがやられても、レオンもいる。もしかしたら、レオンが合流できて、時間も延びるかもしれない。
「だ、大丈夫! アラシもレオンも強いから。……二人でフォースさんを抑えてくれるはず!」
「……わかった。お兄ちゃんたち、しんじる。けーさんだけじゃ、せんきょーはわからないもんね。ふたりがどんなふーにさよーするのか、わからないし……たおすんじゃなくて、あしどめ、なら、もっとじかん、かせげるかもだから」
「そ、そうだね!」
うぅ、しーくんの話は少し難しい……けど、方針は決まった!
「行こう、しーくん!」
「うんっ! こっちだよ!」
よくよく考えてみれば、フォースさんはあの時、ヒントをくれていた。
ラルさんを捜せるのはしーくんだけ。そして、手駒を上手く使え……これって、私達を上手く動かして、役割分担させろってことなんだと思う。フォースさんは一度も、「おれ達を倒せ」なんて言ってないから。
私達はその場から立ち上がり、しーくんの示す先へと駆け出した。その先にはティールさんが落ちてしまった落とし穴がある。
「アラシ! レオン! ちょっとの間、二人でお願いっ! 私達でラルさん、助けてくるっ!」
「……了解っ!」
「おうっ! 任された!」
いつもなら止められるところだったかもしれないけど、今はそんなことを言ってられない。それに、しーくんの真剣なところを見て、二人も許してくれたのかもしれない。
大穴に飛び込もうとした時、全員が飛ぶ手段がないと止められてしまった。けど、今は違う。私としーくんだけなら、いける。
「しーくん、しっかり捕まっててね」
「ん!」
私はしーくんをしっかりとだっこすると、落とし穴へと飛び込んだ。
そして、魔法で自身の背に水の翼を出現させて、風魔法を操った。鳥が旋回するように、下へ下へと下降していく。
ラルさん、待っててくださいね……!



~あとがき~
年上組がいないので、ツバサちゃんや雫が頑張るぜよ。

次回、VSフォース。
後輩二人は太刀打ちできるのか……!

ここのシーンを描いていて、ツバサちゃんがめっちゃお姉ちゃんしてるなぁと思いました。
普段のツバサちゃんはしっかりしてるけど、やっぱり末っ子なのもあり、お姉さん感はあまりなかったんですが……
ツバサ&雫はツバサちゃんがお姉さんしてていいですね。新たな発見にもなる。

ではでは。