satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第440話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルを助けるべく、ツバサ&雫が地下へと乗り込みました!
二人の続きをお見せしたいところではありますが、その前に残されたアラシ&レオン、いかせてもらいます!


《A side》
「──これで、終わりだぁぁぁっ!!」
ツバサと雫が穴に飛び込んですぐ、レオンの雄叫びが辺りを響かせた。
持ち前の俊敏さで相手を翻弄し、お得意の刀で二人ともノックアウトさせたようだった。
そして、迷わず、こちらへと駆け寄ってくる。
これで、二対一……ではあるけど。
「……なあ、フォース。これ、全力じゃないよな」
「さあ?」
誤魔化す必要がどこにあるんだろう。
ここまで、俺は一度もフォースに攻撃を当てられていなかった。
普段は学生の俺だけど、これでも騎士としての鍛練は欠かしていない。手を抜いているつもりもないし、同年代に比べれば、それなりに腕が立つ方だとも思っている。……それなのに。
俺が剣を振るえば、簡単に避けてしまう。まるで予め、そこに来ると理解しているみたいだ。
そして、フォースは最初の一撃以外、一度も攻撃をしてこず、俺に対して反撃をしてこなかった。だから、俺がずっと攻撃をし続けてる……が、一向に当たる気配がない。
それがずっと続いているもんだから、流石に心が折れるってもので。
レオンが来て、ちょっとでも戦況が変わればいいけど……
「……お待たせ、アラシ! で、この人は……マジでフォース……さん?」
「うん。一応、フォースさんだよ。……いや、この場合は、『中身は』と言った方が正確かな? まあ、この見た目の頃に名乗っていた名前なんて、とっくに忘れちゃったから、その辺は聞かないでね」
適当かよ。
けど、この適当さというか、雰囲気はフォースそのものだ。見た目や話し方、所作は全く違うけど、本人が中身はと言うだけあって、根本的なところは変わっていない。当然と言えば当然なのだけれども。
「ふーん。……で、俺が参加しても後ろの二人は動かないんすねぇ?」
「君ら二人に対して、こちらに加勢なんて必要ないよ。私一人で余裕だから、二人同時にかかってきて? ちゃあんと遊んであげるからさ」
「くそぉー!? めっちゃ余裕だな!?」
それは最初からなんだけど、それはさておき。
レオンが助っ人に加わってくれるなら、一つ、試したいことがある。
「レオン、少しの間、頼めるか?」
「ん? なんか策でもあるのか?」
「策って呼べるものか分かんねぇけど……一応」
「分かった。あのフォースの鼻、へし折ってやろうぜ!」
そこまでのものかも分かんねぇけどな。けどまあ、現状打破はできるかもしれない。
レオンは俺の代わりに前に出ると、間髪入れず、フォースに刀による攻撃をしかける。それをフォースはひらりとかわし、レオンの相手をし始めた。
フォースは俺を気にかける様子はない。気にしなくても、対応できると思っているのかもしれない。
「……鼻をへし折るまではいかなくても、少しくらい、興味は持たせたいよな」
俺はレオンとフォースから少し離れると、ポケットからとあるものを取り出す。
それはラルの店で貰ったイヤーカフだった。雫曰く、攻撃力の増加効果のあるそれを身に付ける。そして、ウィルさんから借りている剣を握り直した。
俺の直感が正しければ、ウィルさんの剣とこのイヤーカフで、フォースに大打撃を与えられる……と思う。もちろん、外さなければ、だが。
「頼むぞ、ラル。お前の作った道具の力……信じるからな!」
俺は他の奴らと比べると、魔力量が少ない。だから、フォースに効くような魔法を使うとなると、俺の力じゃ心もとない。けど、今日は違う。
俺は普段と同じくらいの魔力を注ぎ、先程、ツバサが感情任せに放とうとしていた、“ファイアーボール”の魔法陣を展開させる。使用している魔力量は変わらないのに、いつも以上の威力を肌で感じていた。
これだけの力があれば、問題ない……!
「レオン! 避けろよ!!」
「!? うぉおう!?」
俺はレオンに警告しながら、思い切り“ファイアーボール”をフォースに向けて投げつける。レオンは持ち前の俊敏さで、危なげなくひらりとかわしてくれた。
「へぇ? 意外といい火力じゃん」
フォースも余裕の表情で“ファイアーボール”を避けていた。そして、地面に直撃した“ファイアーボール”は土煙を巻き上げる。
……ここまでは想定内だ。
俺だって、あんな大振りに放った魔法が当たるなんて思っていない。魔力が馬鹿程あるツバサがやるならともかく、平均以下の俺なんて、あのフォースに傷一つつけられるはずもない。
だからこそ、ブラフになる。
「──おらぁぁぁぁぁっ!!」
俺は魔法でフォースの避ける範囲を絞りつつ、土煙を利用し、接近していた。
つまり、本命はこっち。
ド派手な魔法を目眩ましにしながら、俺の放った渾身の一太刀。これが俺のできうる最大限の攻撃だった。
「……っ!」
……だったのだが、俺の切っ先はフォースを捉えることはなく、紙一重で避けられてしまった。でも、今までは余裕で回避していたのに、これはギリギリでかわし、且つ、本気で避けていた。
「……っと? どうやら、避けきれなかったみたいだな?」
長い前髪で分かりにくいけど、フォースの頬からつぅっと血が伝っていた。それをフォースは大して気にするでもなく、親指で軽く拭う。
「……やるじゃん」
「そりゃ、どうも。この剣、フォースが本気で警戒してるみたいだから、何かあるんだろうなって思ってな」
俺としては、もう少しダメージを与えるつもりだったのだが。そこはフォースの技量に負けた形になる。悔しいけど。
「……まあ、ね。その剣は文字通り、私を殺す剣だから」
「ほー? つまり、フォースの弱点ってことか~?」
「そうだね」
やけに素直に頷くな。それに弱点だって言われてるのに、大して焦りもなさそうだ。
「そりゃあね。だって、アラシは私をそれで殺そうとしないでしょ? それなら、焦る必要もないし、畏怖する必要もない」
……確かに。俺はフォースを殺すつもりなんてない。なんなら、怪我させたいとも思っていない。
でも、俺がフォースに有効打があるという事実は変わらない。それがある限り、フォースは俺の攻撃に神経を多少なりとも割く必要がある。
そこに突破口を見出だせれば、俺達にも勝ちがあるかもしれない。
「レオン、この戦法で攻めるぞ」
「おうよ。俺達でフォースに勝っちまおうぜ!」
「……戯れ言が」
魔法を使った不意打ちは何度も使えない。だから、今はレオンの素早さを活かしつつ、俺が奇襲の機会を窺う。……これしかない。



~あとがき~
短いけど、終わり!
なんでかって? バトル描写が苦手だからだよ!!!(いつもの)

次回、穴に飛び込んだツバサ&雫は……?

フォースがちゃんと戦うの、二回目ですね。多分。
前回が剣技大会かな。それ以来、彼は戦闘らしい戦闘シーンなかったので、数年振りっす。
……さて。次の戦闘シーンはいつになるんですかね……そもそもあるんだろうか、そんなシーン?
まあ!? ここはわいわいしながら学園生活を送るのがメインなので! なくてもいいんだが!!(笑)

ではでは。