satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第430話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃん達と初めまして、だったムーンと少しの時間、交流しました。
今回はスカイの店でツバサちゃんらが買い物……!?


《A side》
レオンやツバサも各々、商品を眺める中、俺はなんとなく、目の前にあったイヤーカフを手に取る。
ワンポイントとして、小さな赤い石がはめられているだけの、いたってシンプルなデザインである。もしかしたら、男女兼用なのかもしれない。
これの他にも色々なアクセサリーがあるし、これのどれもがラルの手作りだと言うのだから、正直なところ、驚きを隠せない。
「あいつ、多才だなぁ……?」
探検隊としてだけではなく、モノ作りの才能もあるとは。仮に探検隊を引退したとしても、この道で食ってけるんじゃなかろうか。
「アラシお兄ちゃん! それにめをつけるとは、おめめたかい!」
「うお! びっくりしたぁ~……」
俺の目の前にはニコニコ笑顔の雫がいた。どうやら、いつの間にか店員側に移動していたようで、今の雫は接客モードらしい。
「おめめたかい……お目が高い、か? それってどれのことだ?」
「いま、アラシお兄ちゃんがもってるやつ! それね、こーげきりょく、あげるやつなの。だから、それがあると、アラシお兄ちゃん、つよくなる!」
へぇ……これ、攻撃力アップのバフ付きのアクセサリーだったのか。
「あのね、まほーがつよくなる! よわいまほーも、それをつかえば、どかーんってなるの!」
「え……? それってつまり……魔法使用者限定ってこと!?」
ラルは魔法を使わない。俺の知る限りでも、ティールもフォースも、それに雫だって使わないはずだ。それなのに、魔法使用者限定の道具を作る意味ってある!?
……いや、俺が知らないだけで、実はチーム内にいるのかもしれない。うん。きっとそうだ。
内心、そのように納得していると、ウィルさんが俺の名前を呼びながら、そっと耳打ちしてきた。
「なんか無理矢理、納得しようとしてるとこ悪いけど、ラルちゃんのチームはね、みーんな魔法使わないんだよ~?」
「…………はあ!? ますます、あいつがこれを作る利点がないっすけど!!」
「たはは♪ 言ったろ? 彼女にとっては、これは趣味の範囲。使える、使えないはどうだっていいんだよ♪」
「ラルさんが言うには、思い付いたものは、とりあえず形にしてみたくなるそうです。……それが例え、我々に使えないような代物でも」
あいつ、探検隊やるより、技術者になった方がいいんじゃ?
「にゃはは~♪ ルー爺んとこで重宝されそうな人材だよな~?」
「ふふ。……だとしても、あの方は技術者に転身しないと思います。もちろん、なにかを作っているラルさんは楽しそうにしていますが……それでも、ティールさんと探検してる時が一番、楽しそうなので」
……だから、ラルの中ではあくまでも、趣味の範囲、なのか。話を聞くに、あいつの中での優先順位は、探検隊活動なのだろう。
「……そうだ。もし、アラシさんがよろしければ、そちらを貰ってはくれませんか? 日頃、ラルさん達がお世話になっているお礼として」
「……えっ!? いや、流石にそれは。これ、売り物っすよね?」
「一応は。しかし、ここで残ったとしても、僕達は誰も使えませんし……あ、いや、一人例外はいるか。……でも、あの方も基本、使わないんだよなぁ……ってことなので、普段から魔法を使う方に貰われた方が有意義でしょう?」
そう言われても……
こうして、人に売るってことは、それなりの効果は保証されているはず。そんなものをタダで貰うのはどうなのだろう。ムーンさんは日頃のお世話になってる礼だと言うが、言う程、あいつらの世話をした記憶はない。……いや、ちょいちょいラルに迷惑はしてるけど……だからって、何か物を貰う程ではない。
俺が返答に困っていると、ウィルさんがにこっと笑って、とある提案を提示してきた。
「じゃあ、フェルドくんが使ってみた感想を伝えてあげればいいんじゃない? 最低限の試運転はしてると思うけど、ラルちゃんとしては、もう少しデータは欲しいんじゃないかな?」
「そうですね。いただけるのであれば、欲しいと思ってるかと」
「なら、フェルドくんはお金じゃなくて、データをお代として提供する。……これなら、双方、損はしないよ? どう?」
「そ、それなら……じゃあ、はい。ありがたくいただきます」
なんかウィルさんに上手く丸め込まれた気がするけど……いいか。
ムーンさんが袋に入れてくれると言ってくれたので、イヤーカフを手渡していると、レオンがいつものムカつく笑顔を俺に向けてきた。
「お、いいじゃーん! この中では一番の適任者だもんな! なんせ、いっちばん、魔力量少ないから、体感もしやすいもんな!」
「黙れ」
しかしまあ、その通りなのが腹立たしい。ツバサは一番魔力持ってるし、レオンは人並みだけど、コントロール下手なせいで、これの効果なのか、自身の馬鹿力のお陰なのか判断つかなそうだし。
「まあまあ! 喧嘩しないの~!」
「あ、お二人も何か気になるものがあれば、プレゼントしますよ。何かありますか?」
ムーンさんは、レオンとツバサにもそう問いかける。
……もしかしたら、ムーンさんは最初からそのつもりだったのかもしれない。俺達に日頃のお礼として、何かを渡したいと思っていたのかも。
じゃなかったら、元々、売り物のやつを俺達に無償で渡そうなんて思わないもんな。せめて、値引き交渉に融通するとか位だろ。
二人はぐるっと品物を見回す。
俺と違って、ツバサもレオンも戦闘で何か不自由しているわけじゃない。すでに自分の武器はあるし、普段も何かの補助アイテムを使うような戦闘スタイルでもない。……なんなら、戦闘に明け暮れる日々ですらないのだ。戦闘用の道具なんて必要としていないだろう。
「ムーンさん、この辺のってなんなんすか?」
「日常生活を少し楽にする道具……と言えば、分かりやすいですかね」
体感温度の調節してくれるスカーフとか、眼精疲労軽減してくれる眼鏡とかあるよ~」
へぇ……そんなのもあるんだ。
あの様子だと、レオンは日常生活で使えそうな道具を選びそうだな。どれにするかは分からんけど。
一方、ツバサは女の子らしくアクセサリーを見ていた。そんなツバサに雫はどこから取り出したのか、パッと何かを差し出していた。
「ボク、ツバサお姉ちゃんは、これがいーとおもう!」
「? それ、髪飾り?」
それは、夜空のようにきらきらした星形のチャームが特徴的な髪飾りだった。
ツバサは雫に言われるがまま、自身の髪にあてがい、「どうかな?」と照れ臭そうに、はにかむ。
「ん! ツバサお姉ちゃんにおにあい! ね? アラシお兄ちゃん!」
「へ!? あ、お、おう……その、い、いいんじゃないか……?」
……びっくりした。急に俺に振ってくるんだもんな……
「ほんと? じゃあ、これにしようかな……?」
「わーい! じゃあ、おつつみ、します!」
ツバサは雫にお勧めされた髪飾りにするらしい。
その横で、レオンはシンプルなデザインの眼鏡をかけ、くいっと持ち上げながら、「これにしよーっと♪」と楽しそうに笑っていた。
「そちらは目の疲れを軽減してくれる眼鏡ですね」
「俺、部活で細かい字とかよく見るんで! そこで活用させてもらいます!」
「……お前が前々からかけてんのは知ってるけど、やっぱ似合わねぇな」
「うるせー! 眼鏡はどんな人でも知的に見せてくれる、魔法アイテムなんだぞ!?」
それと似合うかは別問題だろうが。あと、中身はアホのまんまだからな。
……まあ、それはさておき。
レオンのやつも、俺と同じように袋に入れてくれるらしいので、一度、ムーンさんに手渡される。
値札や丁寧に包装してくれるのを見て、やっぱり申し訳なさが込み上げてくる。
ラルは商売をする気がなかったとしても、一回はこうして並べられてたわけだ。それをタダで貰うのはな……俺達ばかりが得しているような。
「……ムーンさん、本当にいいんですか? これ、貰っても」
「はい。先程も申したように、ラルさんとティールさんがお世話になってますから♪」
「私達だって、あのお二人には、お世話になってるのに」
雫から商品を受け取りつつ、ツバサもどこか申し訳なさそうにしている。そんなツバサにウィルさんがにこっと笑った。
「なら、ラルちゃんに感想なり、感謝なりを伝えてあげればいいよ。きっと、ラルちゃん、喜ぶよ?」
「……はい! そうします!」
「ふふ。これからも、あの二人と仲良くしてくださいね」
ムーンさん、あの二人の保護者か何かなのだろうか……? 見た感じ、ラル達より年上っぽいけどさ。



~あとがき~
ムーンさん、完全に親目線。

次回、次なる目的地は……?

作中で明かされることがないので、ここで。
ムーンが言っていた例外はフォースのことです。彼は過去の継承者に仕えていた頃の姿をコピーできます。その継承者が魔法使用者なら、彼もまた魔法を使えるので、今でも使おうと思えば、使えるってな感じですね。
なので、ラルの作る道具に魔法使用者用のがあれば、フォースが実験台になってることが多いです。
ちなみに、フォースが魔法を使うシーンが今後あるかは不明っす(笑)

ではでは。