satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第429話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、お祭り当日を迎え、ツバサ一行は現地に到着。そこでウィルと再会し、お店まで案内してくれることになりました。
まさか、ツバサ一行とウィルが絡むとは誰も思ってなかったでしょう。せっかくなので、仲良くしてほしくてな。
え、何がせっかくなのでって? それは……まあ、色々だよ!!()


《A side》
……なんっだ、これ。
ウィルさんに案内された店はどこの店より、ひときわ賑わっている店だった。
品揃えはバラエティー豊か。言ってしまえば、ジャンル問わずに置いてあるようだ。
装飾、雑貨、おもちゃ、書籍、探検用道具類……本当に、フリマで売れるもんは、全部置いてるって感じ。
そこで店員しているのは、雫と男の人で計、二人。ウィルさんと同じくらいに見える、大人の男性。
その人は、アシンメトリーの白髪に紺色のメッシュが特徴的な人で、朗らかな笑顔を浮かべ、一人の客を対応していた。
そして、雫もまた、数人の女性客を相手していて……その中の一人と話をしているらしかった。
雫と話している女性は、一対の花をモチーフにしたピアスを手に取り、雫にそれを見せていた。
「これ、いくら?」
「ん? んとね……」
と、雫は手元の電卓をポチポチと打ち、画面を客に見えるように掲げると、満面の笑みを見せた。
「これくらい! ですっ!」
「あら! そんなに安くていいの……?」
「ゆ? うん。あのね、これ、ラルがおためし? で、つくったの。だからね、このおねだんです!……もしかして、おねえさん、かってくれるの?」
雫が小さく首を傾げ、そっと上目遣いで女性を見上げる。その目にやられたのか、雫が頑張る姿にハートを掴まれたのか……女性客は大きく頷き、他にもいくつかのアクセサリーを手にして、雫に見せる。
「これとこれも! 合わせて全部、買います!!」
「ほわ! こんなに! ありがとー!」
雫はふわっと笑って、差し出されたアクセサリーを受け取ると、一つ一つ丁寧に小袋に詰め、小さな手提げの袋に入れる。
「おねえさん、おつつみ、できました! おねだんね、このくらい!」
「はーいっ♪」
もう、雫の笑顔で女の人、イチコロじゃん……
このやり取りを見ていた女性客らの心も雫は射止めてしまったらしい。次々と雫にアクセサリーを差し出していく。
「わ、私も! 買います! くださいっ!」
「私も、これ買います!」
「ほわわ~♪ おねえさんたちもありがとー!!」
「「「きゃー! 可愛い~~~!!!」」」
……ラルみたいな人、この世にいるんだな。いや、あれは雫が罪作りなだけ?
その一方で、メッシュのお兄さんは、探検用の道具を片手に、ひたすら唸り続ける男性客を相手にしていた。
「なあ、これとこれを買ったら、安くならない?」
「そちらの商品は値引き交渉に応じないようにしています。なんせ、安全性と効果が保証された一品ですから。……ですが、そうですね。こちらとこちらなら、お安くしてもいいですよ?」
客の持っている道具と見た目は似たようなものなので、効果も同じもの……なのだろうか。しかし、安くしていいって言うなら、今、客が持っているやつより、性能が劣るのかもしれない。
案の定、客は勧められた方を見ると、渋るように眉を潜める。
「でもなぁ……」
「よろしいのですか? これらを手掛ける我がリーダーは気紛れです。今回、たまたまこうして、商品としてお出ししてますが、リーダーは普段、この手のもので商売をしたがりません。……この意味、お分かりですか?」
「う、ぐ……」
「つまり、この機会を逃すと二度と手に入りません。だって、同じものをリーダーは作りませんから。ここに並ぶのは、全てが一点ものです。……さあ、どうされますか?」
「……えぇいっ! 買った!」
「ありがとうございます♪」
二人とも、手段は違えと、ちゃんと客に商品を買わせている……いや、買ってもらっている。
二人が対応していた客がいなくなると、一旦、波が引いたらしい。ようやく、俺達が近づけるようなった。
ウィルさんがお兄さんに向かって、ひらひらと手を振り、話しかける。
「やっほ~♪ むーくん、繁盛してるねぇ~?」
「ウィルさん。……いえいえ、僕達は何も。これは全て、ラルさんの努力の賜物ですから」
「ウィルお兄ちゃん! あ! ツバサお姉ちゃんたちも! こんにちはー!」
「こんにちは、しーくん。店番、偉いね~♪」
「んふふ~! ラルがね、きょうのおしごとだよって、まかせてくれたの! だから、がんばるのー! ツバサお姉ちゃん、なんでいるの?」
ティールさんから、ここのお祭りのこと、教えてもらったの」
なんか、店の前で長話が始まっちゃいそうな予感。客として来てないのに、それは流石に迷惑なんじゃ……
雫とツバサの様子を見て、ウィルさんがお兄さんの肩を叩いた。
「……むーくん、しずちゃん連れて、端っこ行っといで。その間、俺がここ、見とく」
「よろしいのですか?」
「うん。しずちゃん、三人と話したそうだし……むーくんだって、挨拶くらいしたいだろ?」
「……ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。雫さん、少し休憩にしましょう。その間、ウィルさんがここにいてくださるようです」
「ほあ! わかった! ウィルお兄ちゃん、ありがとー!」
「いいのいいのー! 行っておいで~♪ あ、そこのおねーさんと、おにーさーん!! 寄ってかなーい!?」
ウィルさんがすでに順応してる……!?
「ツバサお姉ちゃん、いこ! あっち! きゅーけースペースあるの!」
「う、うん!」
ウィルさんの適応力に驚く暇もなく、俺達は雫の勢いに流されるような形で、話しやすい場所へと移動した。
「……初めまして、僕は探検隊スカイの隊員、ムーンと申します。皆様のことはお話で聞き及んでいました」
どんな話をしているのか気になるけど、知らない方が幸せって言葉もある。こちらから聞く必要はない……うん。
「初めまして! 私はツバサです。で、こっちは私の友達の……」
「レオンでーす!」
「アラシです。よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします♪ 本当なら、他のメンバーもご紹介したいところですが……生憎、別行動中なんですよね。後、二人程いるのですが」
「ともとね、クラウってゆーの!」
「……? ウィルさんもスカイのメンバーなのですか?」
「いえ。あの方はよく手伝ってくださるだけで、チームメンバーではありません」
となると、ラルのチームは計七人のチーム?
「はい。そうなります」
探検隊って、そこまで人数いるようなイメージがないから、七人って多い気がする。大体、ソロとか、コンビとか、よくてトリオ……多くても、四人組程度だと思っていたけど。
「うちの場合、ラルさんとティールさんが主な探検隊活動を行い、他メンバーは裏方なんです。例えば、僕のメインの仕事は情報収集担当で、相方はここにはいない、とも……灯という少女です。雫さんの相方はクラウさん。よくお二人で配達とか地形調査とか行ってます」
「クラウ、おそらとぶ、ハーピィーだから! で、ボクはまわりをかくにんしたり、マッピング、とくいだから!」
ふむふむ……どうやら、適材適所で主な仕事を割り振っているらしい。それを決めているのはリーダーであるラル……っぽいな。
「んと……つまり、表に出るのは、ラルさんとティールさん……?」
「その通りです。もちろん、ラルさんの指示があれば、僕も探検隊らしい仕事をしに行きますけどね」
「たんけんのちしき、ラルとティールがいちばん! だから、みんな、ふたりにおまかせするの」
「ふふ。そう言うことです」
「話を聞いてると、フォースはピンで動いてるのか?」
「えぇ。あの方に相棒は必要ないですから。強いて言うなら、ラルさんやティールさんとよく一緒にいますけど……それでも、一人でお仕事されることの方が多いですし、なんでもできますからね」
それは……なんとなく、見てて分かる。
ラルもティールも、何かとフォースを頼りにしている雰囲気はあるし、実際、生徒会でも書記と会計を兼任している。つまり、会長であるラルからは、一人で二人分の仕事を任せても問題ない、と思われているのだろう。
「そう言えば……皆さん、どこか目的の店や欲しい物があって、フリマのエリアへ?」
「あ、いえ! 実はスカイの皆さんのやっているお店を探してました」
「……僕達の?」
「まあ、そっすね! 知り合いがやってるって聞いたら、覗きたくなるじゃないっすか♪」
レオンの言葉が純粋に嬉しかったのか、ムーンさんは柔らかな笑みを浮かべ、ペコッと頭を下げる。
「そうでしたか。それはありがとうございます♪ なら、ぜひ、ゆっくり見ていって下さいな」
「はいっ! アラシ、レオン、いいかな?」
「もちろん。そのためにここまで来たんだしな」
「そーそー! 俺もゆっくり見てみたいし!」
「では、そろそろ戻りましょうか。何かあれば、遠慮なく聞いてください」
ムーンさんに促され、俺達はスカイのお店へと歩を進める。
そんな中、俺はふと、気になったことを思い出して、ムーンさんに質問してみた。ついさっき、何かあれば聞けって言ってたしな。
「……そう言えば、ムーンさん。さっきのお客さんとのやり取り、聞いてんすけど……あそこの商品、ラルの手作りなんすか?」
「えぇ、大体は。もちろん、使わなくなった既製品もありますよ?」
「ラルのね、いろいろあるよー! およーふくもあるし、どーぐもあるよ!」
つまり、なんでも作ってるってことだな。何者なんだよ、あいつ。
全員で店に戻ると、店員として馴染みまくっているウィルさんがいた。テキパキと複数相手に接客をこなしている。
「前に会った時、散々な言われようだったけど、あの人、実はできる人なのか……?」
「にゃはは♪ 人は見かけによらないってやつだな~♪」
そうなると、その言葉の典型的なタイプかもな。
……さて、さっきは話に夢中で全然、見れてなかったからな。どんなものがあるのやら。
とにかく、たくさんの商品があるのは目に見えて分かっていたが、実際、近くで見ると、商品の豊富さに驚かされる。
アクセサリー、一つにしても、女性もの、男性ものと取り揃えているし、なんなら、可愛らしい洋服も何着か並べられている。こちらは女性もの……というよりは、小さい子向けっぽいけど、それでも、かなり完成度の高い服。
「ラルさん、剣技大会で着てた私のお洋服も作ってたって言ってたし……メアリーともよく、お洋服の話、盛り上がってたもんね。好きなのかも?」
にしたって、本格的すぎじゃね?
好きこそものの上手なれ、とはよく言ったものだな。
俺達が商品を眺める中、雫達は店番してくれたウィルさんと話をしているところだった。
「ウィルお兄ちゃん! ただいまっ!」
「おかえり、しずちゃん。むーくん、話できた~?」
「はい。お陰さまで。お時間、ありがとうございました」
「いえいえ~♪ じゃ、俺は抜けちゃうね~」
そう言いながら、ウィルさんは俺達の方へやって来て、ぐっと背伸びをする。そして、たまたま俺が横にいたからか、こちらを振り向き、にっと笑ってきた。
「で、フェルドくんは何か買うの~?」
「買う買わない以前に何があるか見てたんすけど……ラル、これ一人で全部、作ったんすかね……?」
「あ~……そだね。基本、そう。もちろん、一人じゃできないものは、誰かしらに手伝いはお願いしてるみたいだけど……ラルちゃんに言わせれば、これ、ぜーんぶ、趣味の範囲らしいよ?」
「……趣味の範囲、越えてるだろ」
俺の目線の先には可愛らしい洋服がある。フリルとレースが多くつけられた、ワンピースドレス……みたいなやつだ。
「だよね~! 俺もそう思う♪」
「……っすよねぇ」



~あとがき~
雫に店番させたラル、確信犯だと思います。

次回、お店を物色するぜ。

ちゃんと出るのは初めてなムーンさん。一応、夏休み編でちろっと出てはいたんですが。
チームの優しい(?)お兄さんです。よろしくね!

ではでは!