satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第434話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラルとフォースが出演する劇が終わりました!!


《A side》
ウィルさんと雫についていくと、さっきの演劇に関わっていたらしいスタッフ達─ラル達以外の演者がいるので多分、間違いない─がいるテントみたいなところへ連れてこられた。
明らかに部外者な俺達だが、二人の姿があるからか、追い出される様子もなければ、邪険にされる様子もなかった。なんなら、入口では笑顔で通されたし。
「お? いたいた。主役二人、みっけ!」
え? あ、本当だ。
まだ着替え等は済ませてないみたいだが、紛れもなくラルとフォースだ。ラルは椅子に座り、フォースは机に腰掛けつつ、二人で何か会話をしているらしい。しかし、俺達のいる場所からは遠くて内容はさっぱりである。
二人の姿を見つけたツバサと雫は目の色を変え、二人の元へ……というよりは、ラルの元へ走り出した。
「ラルさぁぁぁぁんっ!!!」
「ラルーーー!!!」
名前を呼ばれたからか、ラルがこちらを振り向く。その瞬間、あからさまに嫌な顔をした。
そらそうだ。劇は知り合いに観られたくなかったみたいだしな。
「うげ、ツバサちゃんにしーくん……!? え、なんで泣いてるの?」
「……兄貴のせいだろ。くそ、ぶっ殺すぞ」
フォースがこちらをちらっと見て、ウィルさんに悪態をつく。そんなフォースにウィルさんはお構いなしに、曇りのない笑みを浮かべた。
「や~ん♪ 愛しいお兄ちゃんにそれはないんじゃないかな~? けど、ラビアちゃんを一途に愛してたかーくんは素敵だったぞ☆」
「うるせぇ。死ね。あれはおれじゃねぇ」
「そう? 誰かを一途に愛するってのは、かーくんそのものじゃない?」
ウィルさんの指摘にフォースは思うところがあったのか、一瞬言葉に詰まり、気まずそうに目線を逸らした。そして、ぼそっと「……まあ、否定はしねぇ」と吐き捨てるように呟いた。
「……つか、兄貴。これ、鈴流に言うなよ。俺が殺される」
「はいはい♪ まあ? あの鈴流ちゃんに限って、そんなことしないと思うけどね。というか、鈴流ちゃん、見てたんじゃないの?」
「いや? 今、依代、持ってないから見てないと思う」
「わは~♪ 徹底してるな~? 流石、かーくん」
いまいち、状況が分からんけど……まあ、いいや。突っ込めなさそうだし。
「えーっと……おつかれさん、二人とも」
「おつかれ~♪ 祭りの催し物としては激重な内容だったけどなっ!」
「うん。ありがとう、アラシ君、レオン君」
「……マジで疲れた」
そりゃあね。色んな意味で疲れたろうな。
「ラル、しんじゃったの!?」
「劇中では死んじゃったね~」
「なんで、仲良しだったお二人が死ななきゃいけなかったんですか!?」
「さあ……? 脚本書いた、私の後輩に聞いて~?」
ツバサと雫の質問にのらりくらりとかわしていくラル。……うん、流石だわ。
しかし、ラルはラルで台本に不満があったようで、ため息と共にじーっとフォースを見上げる。
「というか、私としてはこんなやつの恋人役なんて、やりたくなかったんだけどね? なぁにが『お慕いしております』だ。慕えるか!!! 誰がこんなやつのために死ぬんだよ、ばぁか!」
「うるせぇな。おれだってごめんだわ。お前みたいなやつのために戦争仕掛けるとか、アホなことしたくねぇ」
「黙りなさい!? 一応、敵国の圧力に耐えかねてってあるんだけど!?」
「ブラットの思いが透けてんだわ。国のためは建前で、本音はラビア奪い返してやろってのがよ」
「そういうもんやろがいっ!!」
あぁ、いつもの二人だなぁ……
そんな二人のやり取りをじっと聞いていたウィルさんがなぜか苦笑しながら、フォースの名前を呼んだ。
「なんかさ、盛大なブーメランしてない? 鈴流ちゃんのためにブラット君と似たようなこと、したよね?」
「あ~……それはそれ。これはこれってやつです」
「かーくん、横暴だなぁ?」
あの、劇の設定と現実の混同は当たり前なの?
「にゃはは♪ まあ、ツバサや雫はともかく……他メンツは分かってて言ってるだろ♪ ところで、なんで二人がキャスティングされたんだ?」
まあ、ある意味、この劇の最大の謎だよな。
レオンの言葉にラルとフォースは揃って、盛大なため息をつく。
ラルはその辺においてあったペットボトルを手に取り、フォースは話すつもりがないのか、押し黙ったままだ。
「……実は私の役、元々はステラちゃんがやる予定だったの」
「ほえ? ステラちゃん……ですか?」
「ほー……つまり、本当はステラとフォースが恋人同士になる予定だったのか?」
「そそ。けど、ステラちゃん、部活の発表があってね。そっちが思いの外、忙しくて、こっちに手が回らなくなっちゃったの。で、私が代役を請け負ったってわけ。じゃなきゃ、フォース君の恋人役なんて私がやるわけないでしょ」
「おれは誰が相手でも嫌だけど」
お、おう。そこはフォースらしいな……
ふと、ラルが何かに気づいたのか、「あっ」と呟いて、ちらっとフォースを見上げた。
「……もしかして、私の役、鈴流さんにやってもらった方がよかった? まあ、今更なんだけどさ」
「うん? そもそも、あいつ、台詞覚えられっかなぁ……? いや、それ以前におれ、台本ぶっ壊す自信あるかも」
「とことん嫁ラブだね。末長く爆発しろや」
「えへ。まあ、否定しない」
「否定してよ。……全く、こういう時だけ調子いいんだから」
……ちょっと待って?
今の話の流れからすると、度々話に出てきた鈴流さんってのは、フォースの嫁……みたいに聞こえるんだが?
「フォース! 嫁ってどういうことだ!?」
やっぱり、こういう話に突っ込みを入れるのはレオンだ。臆せず聞けるのは才能と言えるかもしれない。
レオンの問いにフォースはラルを睨む。当の本人、ラルは明後日の方向を見ていて、フォースと目線を合わせようとしない。
恐らく、確信犯なんだろうな。
「……お前ら相手に誤魔化すのもダルいなな。むやみに言い触らすこともせんだろ」
俺とツバサはしないと思うけど、レオンはどうだろうな。吹聴はしなくても、話のネタにはしてくるかも?
「ネタにされるくらいなら、反応しないだけだから、どうでもいいよ」
「お、おう……なんつーか、フォースらしいな?」
「そりゃどーも。……いつぞやの剣技大会で姿を見せたあいつ、鈴流ってのが俺の嫁。経緯は話すのダルいんで、言わないけど」
なんか、重要なところを隠されたような。
「あ? どうせ、すぅからおれの正体、聞いてんだろ? そういうことだよ」
「いや、どういうこと!?」
確かに、フォースが制御者っていう役割を持つ人ってのは聞いてるけど! だからなんだって話になるわけで!
「……? なら、ウィルさんも……制御者さんなんですか?」
フォースの自称兄を名乗る、ウィルさんの正体か。順当にいけば、そうなる、のか?
なんつーか、人っぽい感じはあまりない気はしていた。人離れしてる雰囲気というか。
ツバサの問いにウィルさんは屈託のない笑みを浮かべた。
「さあ? 俺はなんだろね~? そこは好きなように解釈していーよ?」
掴み所のない回答に、流石のツバサも面食らったようで、戸惑いを隠しきれていない。
「やめときなよ、ツバサちゃん。ウィルさんは適当なことしか話さないよ。……こういう時のウィルさんは特に厄介だから」
「えー! ラルちゃん、つれないなぁ~?」
「どの口が言うんですか。全く本音を見せてくれないじゃないですか。……個人的な感想だけど、こういう時のウィルさん、ルーメンさんより酷い時ある」
それはなかなか……うん、凄いな。
「うーん? 俺は思ったことしか言ってないよ?」
「だから厄介なんです。というか、尚更、質が悪い」
「おれも大概だけど、兄貴はそれ以上だよな」
「えぇ!? 二人とも酷い!?」
うーむ。どうやら、ウィルさんが何者なのかは分からなそうだな。まあ、特別、知りたい訳じゃないけど。
粗方、話のキリがいいところで、ラルが持っていたペットボトルの水をぐいっと飲み干すと、ほっと息をつく。そして、俺達をぐるりと見回した。
「……それで? ツバサちゃん達はこの後どうするの?」
「んと……もう少し見て回って行くつもりです」
「そっかそっか! なら、思う存分、楽しんでってね♪ となると、私達とはまた学校で~かな?」
「はい! あ、そだ、ラルさん。ティールさんはどちらにいらっしゃいますか? まだお会いしてなくて」
「ん、ティール? えーっと、今の時間は……確か」
ラルが答えるより先に、フォースが「あいつなら」と口を開いた。
「ちびっこ相手に王子様やってるぜ。この時間、子供向けのゲームコーナー担当だったはずだ」
……あいつは正真正銘の王子様だけど、ちびっこ相手にってのは、どういうことだ?
フォースの言葉にラルも明確に思い出したようで、なぜか笑いを堪えながらこくこくと頷いた。
「あぁ、そっか。……まだその時間か……くふふ♪ 面白いし、見ていくのも一興だね。ウィルさん、場所は知ってますよね? 三人が興味あるなら、案内をお願いしてもいいですか? 私達、これから着替えて、別の仕事に向かうので」
「おけ~♪ 任せて~」
どうやら、もう少しウィルさんと雫と祭りの散策を行うっぽいな。



~あとがき~
いつもの風景で安心ですね。

次回、王子様をするティールとは。

そういえば、ツバサちゃん達ってフォースのこと、あんまり知らないんですよね。話す機会もないし、必要もないので、話してないのですが。だからまあ、今回、鈴流とフォースの関係がツバサちゃんサイドにお伝えする回をしたのですが。
必要だったかは分かりません。私が楽しかったので、やりました!

ではでは。