satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第444話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から関係者(ラルとティール)から、『悪の大魔王』によるラル誘拐事件の説明会がスタートしてます。今回もその続きからですね!


《A side》
改めて、今回の一連の事件─事件かは知らねぇけど─をまとめよう。
この祭りが行われる際、同時に行われる『悪の大魔王』という抜き打ち試験の対象者に雫が選ばれる。その試験内容は「拐われた仲間、ラルを助けること」だった。
そこで知らせを受けたティール、雫、ウィルさんの三人が雫の力を用いて助けに向かう。そして、現場に到着した際も雫の力を使い、どのように困難を突破するのか、ティールとウィルさんの二人がサポートしつつ、見守る。……本来の予定としては、そんな道筋が用意されていた。
しかし、ウィルさんの代わりに俺達が参加してしまったり、敵側も打ち合わせにない動き(ティールの離脱やフォースの参戦)等々が重なり、当初の計画とは大幅に道に外れてしまう。
……ま、目的にあったラルの救出はできたわけだが、他は散々だったと言えるかもしれない。
「はー……今回に限って、人攫いなんて大掛かりなことをするから、こうも計画とずれるのよ。やっぱ、親方のその場のノリに付き合うんじゃなかった」
「あり? これ、ラルが考えたんじゃないのか?」
「違いまーーす! 人攫い事件にしようってのは、親方の案ですー!!」
……えーと? なんで、校長はそんなことさせたかったんだ?
「私が知るかっー!!!」
と、ラルは天を仰ぐように両手を広げ、ソファの背もたれにだらりと全体重をかける。
「ラルさんを拐うって決めたのは……?」
「親方の馬鹿野郎の仕業だよーー!!」
…………なんつーか、ラルが不憫に思えてきた。
「お前が現場にいない時点で、不測の事態に対応できるわけねぇんだわ。無理矢理にでも自分をねじ込めや」
「できてたら、あんな無茶苦茶になってねぇぇぇ!!…………はぁ。おかえり、フォース君」
声のする方を見れば、トレイ片手に部屋に入ってくるフォースの姿があった。トレイの上には人数分の飲み物がある。
「お前、情緒、大丈夫?」
「無理……」
「あっそう。……ほれ。適当に待ってきたから、好きなもん飲め」
フォースから聞いた割には、ラルのこと、雑な扱いをするんだな。
テーブルに飲み物を並べるフォースはあそこで見た少女の姿……ではなく、いつもの姿だが、一つだけ違うのは、頬に絆創膏が貼られていることだ。
……あぁぁぁ!!! そうだ、俺、フォースを怪我させちまってたんだった!?
「フォース、あの時は悪かった! 怪我、大丈夫か……?」
「? あぁ、別に気にしなくていい。……兄貴の剣をアラシが持っているとは思ってなかったけど」
そいや、戦闘中もそんなことを言っていたような。
フォースは言葉通り、気にしていないみたいで、自分で持ってきた飲み物であるアイスコーヒーに口をつけている。
今なら、詳しく聞ける……か?
「なあ、結局、俺が持ってた剣、なんだったんだ? フォースはあれを弱点だって言ってたけど」
「その言葉通りだ。おれが制御者ってのは知ってるな?」
おう。一応……いつだったか、ステラから聞いた気がする。でも、それがどういう人なのかは、いまいち分からんけど。
「ん~……制御者ってのは、継承者を守る器であり、力。盾であり剣。……簡単に言うと、お前らとツバサと似たような関係性かな」
ふーん? フォースはステラの護衛ってことか……?
「ざっくばらんに言うとね。……おれは何があっても、継承者を守る役目がある。その役目を全うするため、大抵の攻撃じゃ死なないようにできてるんだ。でも、制御者の創り出す武器は、制御者の力を相殺させる。つまり、制御者を殺せるのは制御者の力を持つ者のみ。兄貴はあんなんでも、制御者の力を一部使えるから、おれを殺す武器を創れるって訳」
……そりゃ、使い手が格下だとしてもそれなりに警戒するよな。一歩間違えたら、殺され……るまではいかなくとも、深傷を負う可能性はゼロじゃないから。
「……ほんっとごめん」
「あ~……いいって。気にするな。元々、お前らにおれを殺す意思はなかったろ。殺意のない敵意におれが負けるわけない。……あ、でも、このこと、兄貴には言うなよ」
「えと、それはウィルさんに怒られる……から、とかか?」
「うんにゃ。おれが兄貴に付きまとわれて面倒になるから」
……お、おう。そうか。なら、黙っとくわ。
劇の時や劇終わりの挨拶時もそうだったが、ウィルさんは相当、弟思い……所謂、ブラコン……なんだな。
フォースは何か思うことでもあったのか、ちらりとティールへと目を向ける。
「アラシに兄貴の武器を持たせたのは何だったんだ? おれに対する反抗期?」
「違うって。……ぼくは君の参戦を知らなかったんだから、あれは偶然。というか、フォース自身も言ってたろ。アラシが持っていようと、君は倒せない」
「ははっ……まあねぇ~♪」
ぐぬ……実際、そうだったし、間違ってねぇけど、なんか悔しい。
「フォース君なんて、死んでも死なないような奴だよ? むしろ、もっとやってしまえ~」
「お前はマジでやめろ。あのババァの力は、死なないとしても、当たるとしんどいんだから」
なるほど。だから、ラルの攻撃は真面目に相手していたんだ。
そいや、フォースが参加してきた理由について、ティールもラルも話してなかったよな。本人は知ってるのか?
教頭は雫側にアドバンテージがあるから……って言ってたような?
「あ~? 音符……ノウツに兄貴の相手しろって言われて無理矢理、連行された。ぶっちゃけ、おれが兄貴の相手になんて、なるわけないんだけど」
強すぎるウィルさんの抑止力として、フォースが選ばれたってことか。……結果、ウィルさんはいなくて、こっちが追い込まれてたわけだが。
ここまで黙って俺とフォースの話を聞いていたツバサがぴこっと耳を動かす。そして、小さく首を傾げた。
「あれ……でも、フォースさん、私達にヒントをくれましたよね? 私達がどう動くべきなのかとか。……それに、今思えば、フォースさん、あれを『試験』だって言ってくれてました」
……そう言えば。あの時は、単なる言葉のあやだと思ってたけど、確かに使ってたな。試験スタートって。
ツバサの指摘にフォースは数秒、沈黙するものの、どこか面倒臭そうに口を開いた。
「……おれが到着した時、どこにも兄貴はいねぇし。ついでに、ティールの馬鹿もいねぇしな。なのに、ギルドの弟子数人と妖精に加え、おれが真面目にしてたら……流石にね?」
あぁ……言われてみれば、サポート役のはずのティールもすぐにいなくなって、事情を知ってる奴が誰もいなくなってた。俺らの知るところではないけど、それは望んだ展開ではないもんな。
「あ、そだ。ティール!」
「ん? 何、レオン?」
「穴に落ちた後、お前どーしてたんだ? 上に上がってきた時、ツバサ達と一緒にいたけど?」
あー……ちょうど、フォースが入ってきたから、フォースの話をしてたけど、ティールがはぐれた後の行動も気になるな。
俺達の視線を受けたティールは、なぜか俺達からそっと視線を逸らし、押し黙ってしまう。
何も話さなくなったティールに代わり、ラルがため息混じりに……ついでにティールの脇腹を執拗に攻撃しながら、口を開いた。
「……こいつ、落とされて早々、攻撃されてツバサちゃんに治してもらうまで、ずーっと寝てたよ」
「攻撃?」
「私達の後輩にリムって子がいるんだけど、その子がね。殺気出まくりのティールパイセンにビビって、思わず奇襲しちゃったみたい」
リムさん……あぁ、あの激重設定の劇のシナリオを考えた人か。姿を見なかったってことは、あの場では裏方として、動いてたのだろう。
「後輩を怖がらせるんじゃないわよ、ティールパイセ~ン」
「いや、まあ、怖がらせてたのなら、ごめんって思うけど……でも、そもそも話と違うから……警戒はするだろ?」
それはそう。
ラルが言うには、リムさんに攻撃され、重度の眠り状態にされてしまったティールは、リムさんの手によって、ラルのいる牢屋へと運び込まれたらしい。
結果、ラルを助けに行った雫とツバサと合流でき、ついでにツバサの回復魔法で、ティールの状態異状も回復できたというわけだ。
これで、ティールがツバサ達と一緒にいた理由も分かったわけだが……
「牢屋って……どうやってラル達はそこから出たんだよ? ツバサも雫も鍵なんて持ってなかったろ?」
捕らわれてたラルや、俺達と一緒にいたティールが持ってるはずもない。となると、何かしらの手段で手にしなきゃなんなかったはずだ。
「当初の予定だと、こちらが雫の力を『合格』と判断したら、適当なところでやられるフリをする予定だったな。そこでラルのいる牢屋の鍵も渡すつもりだった。だから、ラルが勝手に出てきたのは結構、驚いたんだぜ? 鍵はこっちが持ってたままだしな」
そう言いながら、フォースはポケットからなんの変哲もない鍵を取り出した。恐らく、それが牢屋の鍵なのだろう。
「ってことで、お前はどうやって出たんだ?」
「ん~……実は、たまたま出れただけなの。ツバサちゃんの髪飾りのお陰でね」
「髪飾り……あ! これ、ですか?」
ツバサはラルの店で貰った星の髪飾りを取り出した。パッと見、この髪飾りが鍵の代わりになるとは思えないが。
「ラルさん、牢屋でこれは売り物じゃないって」
「そそ。それ、元々は転移系の道具でね……ちょっと前に試作した二つで一つの道具の改良版なんだけど」
ラルは自身のポケットから、ツバサの持つ奴とは色違いの髪飾りを取り出した。そして、くるりと裏返して見せてくれる。ラルの持つ髪飾りは留め具部分の金具が壊れてしまっているようで、髪飾りとしては使えなさそうだ。
「あ。ティールは覚えてる? 『神子探し』で使ったピアスのこと。あれの改良版がこの髪飾りなの」
「……ん? あぁ……互いにイメージすると、着地点になる道具を持ってる人のところに転移できるやつか」
「そそ♪ この髪飾りで言うと、ツバサちゃんが持つ髪飾りが着地点。こっちは対になる道具で、双方が互いを強くイメージして、道具に触れると、着地点へ人をワープさせるの。前回と違うのは座標調整をしたのと、ワープ人数の制限を緩めたこと、かな」
そう言うってことは、前のやつは二人用だったんだろう。俺はその実物を見たことないけど。
「まあ、制限を緩めたっていうか……あくまで、できるようにしたってだけ。させたかったら、着地点になりうる人物は道具を持つ人と一緒に転送させたい人をイメージする必要があるし、道具を持ってない人は持ってる人に密着する必要があるけどね」
「ん~……つまり、今回で言うと、ラルとティールはくっついて、ツバサは二人をイメージする必要があったってことか~?」
レオンの言葉にラルはこくりと頷く。
この道具が使えたってことは、牢屋ではこういう脱出を防ぐ何かは仕掛けられてなかったんだな?
「全くなかったわけじゃないよ。魔法や技系統の阻害効果は、これでもかって程、色々ついてたから。でも、道具の効果までは打ち消してなかったね」
「そりゃ、そんなことをしたら、檻にかけた効果を打ち消しかねんだろ」
なるほどな。下手に仕掛けると、矛盾しちまうからか。
とは言え、普通、牢屋に閉じ込められる奴が脱出用の道具を持ち込めるはずもないので、打ち消す必要もないかもしれないけどな。



~あとがき~
色々、喋っちゃったぜ……(笑)

次回、色々あった休日回も、そろそろ終わりの時間です。

これで不明瞭だったところが全部明かされましたかね? なんか忘れてたらごめんなさい。とはいえ、忘れるくらいだから、大したことじゃないんでしょうね!←
とりあえず、これで分かったことと言えば、ラルは親方に振り回されてたってことっすね。大変やで。

ではでは。