satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第445話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
フォースのことやラルの脱出方法、穴に落ちたティールがなぜ、眠り状態になってしまっていたのか等々……謎のままだった部分が明らかとなりました!
まあ、フォースの力の部分に関しては蛇足感ありますけど。
そんな続きからやってくぜ!!


《A side》
気になっていたことは大体、聞けた気がする。……あ、でも、個人的にもう一つだけ。
「フォース、俺達の前に出てきた辺りで、今回はこっち側とかなんとかって言ってたろ? その、今回はってどういうことだったんだ?」
「んあ? 言葉通りだよ。今回は敵側で参戦してるって意味。前、このふざけた茶番に参加したってだけ」
ふーん……深い意味はないのか。
「んなもんねぇよ。……前々回は対象者として、前回はサポート役で参加させられた。だからまあ、敵側って初めてではあったよ。……いや、元々は参加予定なかったんだけど」
「それで言うなら、私もフォース君に感想、聞きたかったんだよね~? あのフォース君が学校の後輩とやりあうなんてさ! 学校でそういう機会があっても、基本、サボるじゃん?」
さっきまで、だらしない体勢だったはずのラルは、いつの間にかきちんと座り直していた。そして、飲み物片手に笑顔で質問を投げ掛ける。
やりあうとは違うけど、つい最近あった合同実習もフォースのやつ、いなかったもんな。
「……感想ねぇ? 特にないけど……強いて言うなら、暇だった。寝てても倒せる」
という、フォースの手厳しい感想に俺とレオンは言葉を詰まらせる。
まあ、俺達を相手してるより、ラルを相手にしてた時の方が力を出してる感じはあったけども……!
「まあ、兄貴の武器があったとは言え、おれに傷を負わせたんだし、その辺の評価はするけどね。お前さんらも立場は違えど、姫さんを守る護衛ってこった」
フォースはちらりとツバサを見て、ニヤリと笑う。
上から目線の評価にイラッとしなくもないけど、返す言葉もないのも、また事実。ウィルさんから借りた剣がなければ、多分、俺はフォースに一撃なんて与えられていない。
ぐぬぬ~……今後のために聞いておくけど、フォースのあれ、どんくらいの力で戦ってるんだ? 全力を百としてさ」
「一割未満」
あぁ!? あれで一割ないのかよっ!
「うぐー……! マージかー! なら、比較のために聞くけど、ラルとやってたあれは?」
「ん~……二割……ないくらい」
あれでようやく一割越えなんだ……?
「あっはは! うちのチームで一番の戦闘力持ちだからね。私とティールで相手してても五割も出してくれないし? そんなもん♪ そんなもん♪」
フォースの底が知れねぇ……けど、そんなフォースでも、ウィルさんに勝てないって言うんだもんな。あの人、相当強いってことか。あんな感じなのに。
「あ~……兄貴の雰囲気と見た目に騙されんな。あんなんでも強い人だよ」
はー……人は見かけによらない……ってことか。
さて、とりあえず、事のあらましだったり、気になっていたことだったりは聞けたかな。全体的に校長が好き勝手してるんだなってのは分かる。なんつーか、ラルも苦労してんだな……と。
いやまあ、ラルはラルで仲間にあれこれ迷惑かけている気がするので、因果応報なのかもしれない。
「……ねぇ、ラル?」
話も粗方終わりを見せた辺りで、ずっと黙っていた雫が口を開いた。
「ラルたち、あれ、しけんっていってた。でも、ちゃんとしたしけん、ちがったよね……? ボク、ふごーかく? ダメなこ?」
あれこれ変更点もあり、最終的にラルが乱入してしまい、試験自体も有耶無耶になってしまた感は否めない。実際、試験だと言う割には誰も合否を口にしていないのだ。ラルもティールも、フォースもそうだ。
三人はそれぞれの顔を見合わせる。そして、最初に口を開いたのはティールだった。
「ぼくは合格だと思う。だって、雫はラルを助けたんだから」
「……そうだな。課題だった『ラルの捜索及び救出』は達成している」
フォースもティールの意見に同調するように頷いた。それでも、雫はどこか不安そうな顔をしていた。
「で、でも、たすけたの、ボクじゃない。……こぶん、たおしたのも、ボクじゃないよ……?」
「そんなことない!」
ツバサはソファから立ち上がると、雫の手をぎゅっと握る。そして、真剣な眼差して優しく話し始めた。
「しーくんがいなきゃ、あんなに早くラルさんの居場所を見つけてないし……戦闘の時だって、しーくんの指示があったから、私達は怪我一つしてないよ? それに、しーくんが頑張ってたのは私達がよく知ってるもん。……ね、二人とも?」
「だな。雫の的確な指示のお陰で、戦闘に集中できたし、ツバサの言う通り、怪我もしてないぜ♪」
「あぁ。頼もしい指示だったし、雫のサポートがあったから、俺も安心して前に出て、フォースと戦えた。雫は俺達の助けになってたぞ」
俺達の言葉を聞いても、雫の表情からは、まだ不安の色が消えなかった。こういう時って、周りの評価って素直に受け止めきれないもんだからな。
どうしたら、そんなことなかったと思ってくれるんだろう……?
「雫」
「……ラル」
へらへらと適当な笑顔のラルじゃない。
探検隊の『リーダー』としてのラルがそこにいた。
「答えろ。雫のチームでの役割は?」
「やく、わり……?」
「そう。私達の仲間として、君は何を担っているんだ? 私は君に何を命じている?」
「みんなのサポート……みんなのうしろで、ぶんせきして、さいてきかい、みちびくこと」
「そう。それを今回、一度でも怠った瞬間はあった?」
「そんなつもり、ない。……ないけど……ティールのこと、おっことしちゃった……」
「あんな初見殺しトラップ、索敵能力使う前に察知する方が難しい」
確かに。何の前触れなく落ちたもんな。周りの奴らがスイッチを押した雰囲気もなかったから、あれは裏方にいたリムさんの仕業なんだろう。あれを咄嗟にどうにかする方が難しい。
「……後、あれは落ちたティールが悪い。普段なら回避できたよな、お前」
「はい。仰る通りで……びっくりし過ぎて、回避行動できてませんでした……ごめんなさい……反省します」
……あれをどう回避するのか、聞きたいけど、それは今は置いとくとして。
ラルは気持ちを切り替えるようにこほんと咳払いをする。
「戦闘において、雫は役目を果たしていた。それはツバサちゃん達が証明してくれているし、何より、面と向かって対峙していた人も合格って言ってるわけだしね?」
「おれが決めることじゃねぇけど、個人的には問題ないと思う」
フォースの言葉にラルは小さく頷くと、ソファから立ち上がり、誰もいない扉の方を見つめる。
「……ということだと思うんですが、いかがでしょう? 親方?」
ラルの言葉に示し合わせたように扉をバーンと勢いよく開けたのは、校長……もとい、フェアリーギルドのマスター、プリンさんだ。
「みーんなの言う通りだよ♪ 雫、もーっちょっと、自信持って欲しいな?」
「おやかたさま」
校長はニコニコと笑顔でくるりと謎の一回転。そして、パチッとウインクする。
「君は立派に役目を果たした。それって、成長した姿をボク達に見せてくれたってことだよ? それで不合格なんて言わないよ~♪ ごうか~~く♪ 今回もだ~~~いせいこうっ!」
「「「いや、全く大成功ではない」」」
ラル達の否定は耳に入っていないのか、校長は笑顔で雫に近寄って、ポンポンッと優しく頭を撫でる。
「雫。これからもラル達の助けになってあげて。君の力はラルのチームに必要だし、何より、君達は仲良しだ♪ これから、もっと強くなれるよ」
「! はいっ! おやかたさまっ!」
ずっと不安そうな顔をしていた雫だったけど、校長の言葉で心のモヤが晴れたみたいだ。パッと明るく、いつもの笑顔に戻る。
散々な言われようだったけど、校長も親方としての役割をきちんと担っているんだな。……散々な言われようだったけど。
「うん♪ いい笑顔になった! それにいい返事も聞けて嬉しいよ~♪ さて、と。……ツバサ、アラシ、レオン」
まさか、校長に話しかけられるとは思っていなかった。俺とレオンは思わず、背筋を伸ばし、ツバサはすくっとその場で立ち上がり、姿勢を正していた。
あの穴の中での出来事やラルの話を聞いていたとは言え、俺達にとって、この人はあくまでもレイ学の校長であり、一つのギルドの親方である。普段、会話する機会なんてあるはずもない。
そんな人に名前を呼ばれるなんて……え、なんかしたっけ。それとも、何かさせられる……!?
緊張を隠せない俺達を気にする素振りもなく、校長はどこからか取り出したでっかいリンゴ─もしかしたら、広間で見つけたセカイイチかもしれない─を数個取り出し、お手玉のようにぽぽんっと投げ始める。
「今回はうちのあれこれに巻き込んじゃってごめんね? お詫びにこの後の打ち上げ、た~~っくさん、楽しんでってね! 三人のお家には連絡したから!」
「「「い、いつの間に……?」」」
今度は俺達が声を揃え、ついでに戸惑う番だった。
そんな疑問に答えるつもりはないらしく、代わりににこっと笑う。
「あはは~♪ 楽しいことはみーんなで、楽しむべきだよね! ってことで、ラル、後は頼んだよ~♪」
「…………はい。親方」
校長からのご指名に、ラルは物申したげではあるが、日頃の経験があるのか、文句一つ言わずに素直に頷く。
ラルの返事を聞いて、校長も満足したのか、「じゃあね~♪」と気軽に手を振りながら部屋を出ていってしまう。
「は~……全く! 親方ってば、強引なんだから。ごめんね? 最後の最後まで振り回す形になって……もし、よければ付き合ってくれると嬉しい。もちろん、無理にとは言わないけど」
「いえ! せっかくのお誘いですし、参加させていただきます♪ もう少し、ラルさんやしーくん達と一緒にいたいですから♪」
「ツバサが参加するんなら、俺達も付き合う。……つーか、俺、ウィルさんに剣を返さねぇと」
まあ、フォースに預けるのも手なんだろうけど、せっかく貸してもらったんだし、直接、お礼も言いたいしな。
「はっ……! これ、俺らの知らないラルやティールの過去の話を聞けたりするのか!? 楽しみだな!!」
それを楽しみにしてるのは、お前だけだけどな。
「レオンは何の期待をしているんだ」
「ははっ……ま、今、下にいるのは酔っ払い共だ。……あることないこと、楽しそうに話してくれるんじゃねぇの?」
「げ……そうじゃん。最悪だ」
各々の反応を見て、ラルは小さく笑い、「じゃあ……」と全員を見回した。
「三人も乗り気みたいだし、下に降りよう。せっかくだから、ギルドメンバーやうちのメンバーを改めて紹介しようか。ね、しーくん、お願いできる?」
「うんっ! いこ、ツバサお姉ちゃん♪」
「うん、行こう! しーくんっ♪」
……初めは単なる祭りの散策だったのに、気がついたら、悪の大魔王だの、ギルドの抜き打ち試験だのとあれこれに巻き込まれていたわけだが。
ま、終わりよければなんとやら、だな。



~あとがき~
おわったぁぁぁ!!!!!!
やりたいことを詰め込んだ休日回、これにて終了です。お付き合いありがとうございました。

次回、新章、突入!
ということで、ちょいちょい話に出てきた体育祭編、スタートします。

休日回ってこんなに長くやるものじゃなかったはずなのに、いつの間にこんな感じになったんだろう(汗)
……まあ、いいや!
ということで、休日回改めまして、無事『悪の大魔王』編終了です。
学園パートでは見せられていない一年組の頑張る姿や、雫とツバサちゃんの頑張る姿等々、普段とはまた違った一面をお見せできたのではないかと思います。
元々は一年ズの休日回を書きたいなぁから始まってて、そこから私のやりたいことを詰め込んだ結果、この話が出来上がりました。闇鍋みたいなもんです。はい。
個人的にやりたいことしか詰め込んでないので、ずっと楽しかったです。
繰り返しになりますが、お付き合いいただき、ありがとうございました!

ではでは。