satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神様達の日常記録 vol.20

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
今回は前回に引き続き、図書館にてお掃除をする話。なぜ、アルフさんが鈴流を呼んだのかも明らかになるぞい。



☆さくっと登場人物紹介☆
フォース:制御者の一人。鈴流の生涯パートナーであり、彼女のことを大切に思っている。

鈴流:フォースの持つリボンの付喪神。フォースの生涯のパートナーであり、彼のことを真っ直ぐに思っている。

アルフ:転生の神。転生の神ではあるが、色々と任されている偉い人。

チェル:アルフの従者の一匹。白い兎の姿をしており、素直で優しい性格。



★図書館の大掃除。
神と従者とモフモフと。★
ルリとガーラに教えてもらった読書スペース付近まで行ってみると、二匹の言った通り、チェルとアルフ様が本の修繕をしていた。
チェルがとあるページを開き、それをアルフ様へと見せていた。恐らく、そのページを修繕したのだろう。
『こんな感じでいかがでしょう?』
「うん♪ いいね。それじゃあ、その本はあっちのスペースで乾かしてもらえるかい?」
『かしこまりました!』
と、アルフ様の了承を得た本をチェルは自身の頭の上に乗せ、その場を後にする。
「あ! フォースくんと鈴流ちゃん! 来てくれたんだねー!」
こちらが話しかける前にアルフ様がおれ達に気付き、パッと笑みを見せる。それに合わせ、おれは小さく会釈をし、鈴流もペコッと頭を下げた。
「こんにちは、アルフさんっ!」
「こんにちは~♪ フォースくんもありがとうね?」
「いえ。チェルとフィアから話は伺いました。鈴流に手伝ってほしいであってますか?」
「うん。間違いないよ」
あぁ、間違いないんだ。
アルフ様は作業の手を止め、少しだけ申し訳なさそうな表情をこちらに向ける。
「ごめんね? 急に呼び出して、手伝ってほしいなんてお願いしちゃって」
「いえいえ! 私にできることなら、なんでもしますよ! あと、フォースも手伝ってくれますから! ねー!」
まあ、暇だしね。
鈴流の言葉にアルフ様は予想外だったのか、キョトンとした様子でおれを見つめた。
「本当? ファウスさんの方は大丈夫かい?」
「問題ありません。今日のやることは全てやらせましたから」
「あはは♪ さっすが、フォースくん。なら、お言葉に甘えて、手伝ってもらおっかな? この後、ウィルくんも来てくれる予定ではあるんだけど……人手が多いに越したことはないからね♪」
兄貴も来るのか。確かにここまで大がかりな整理なら、兄貴にヘルプ頼んでても不思議ではない。が、途中参加とは珍しいこともあるのもだ。
兄貴は兄貴で仕事中になのか……
「……それで、我々は何をしたら?」
「そうだね。フォースくんは僕と一緒に本の修繕をお願いしてもいいかな」
アルフ様はちらりと積み上げられた本へと目線を移す。どうやら、まだまだ直さなければならない本は残っているらしい。
「分かりました」
「ありがとう。えっと、鈴流ちゃんはね~……っと……お、あったあった♪」
と言いながら、今度は足元のバッグを漁り始めた。そして、とあるものを取り出し、にこりと微笑む。
そんなアルフ様の様子を見て、おれと鈴流は互いに顔を見合わせた。

──おれ達がアルフ様達と合流して、数十分が経った。
おれは言われた通り、アルフ様の手伝い。アルフ様が粗方、修繕してくれた本の簡単な仕上げ作業をしていた。
対する鈴流はと言うと……
「えっと……りんごの『り』がこれ……だから、これとこれは一緒の本?」
手元の数枚ある紙の一枚を見てから、二つの本を交互に指差した。それを見たチェルがこくりと頷き、嬉しそうに笑う。
『はいっ♪ 正解です! では、お次はこの表紙と同じ形の文字をもう二冊、探してもらってもいいですか?』
「は~いっ!」
元気のいい返事をして、再び手元の紙とにらめっこしながら、並べられた本達を見比べていく。
鈴流がアルフ様に頼まれたのは、チェルの手伝い……修繕の終了した本の選別である。
おれはてっきり、選別の終わっている本の戻し作業(ルリやガーラがしてたやつ)でもさせるのかと思っていたので、あれの手伝いをアルフ様が指定した時は少なからず驚いた。しかし、字が読めない鈴流のためなのか、イラストと文字がセットになっている幼児向けの学習資料まで用意していた。
元々、それをさせようとしていた……のだろうか。
「もしかして、鈴流ちゃんが心配?」
アルフ様が作業の手を止めず、おれに問いかけてきた。
「珍しく、集中できてないみたいだからね。普段の君なら、とっくに終わってても不思議じゃない」
「……申し訳ありません。そんなつもりはなかったのですが」
「いやいや。責めてる訳じゃないよ♪ 君の気持ちも分かるからね。チェルが一緒にいるとはいえ……読み書きのできない鈴流ちゃんがちゃんとできるか、不安なんだろう?」
アルフ様に隠し事はできないな。……最も、隠すつもりもないのだが。
おれは再び、チェルと鈴流の方を見る。
鈴流は首を傾げながら、アルフ様から渡された資料片手にとある本を指差していた。
「チェルちゃん……この文字、なんて読むの~?」
『に、ですね♪ お肉のに!』
「お肉……おにく……お肉の絵はこれだから……この文字だ!」
チェルは笑顔でこくこくと頷く。それを見た鈴流はぐるりと見回し、いくつか指差していった。
「えっと……これとこれ、あと……これも! 同じ仲間だね!」
『はいっ! 大正解です!』
チェルに正解を告げられ、鈴流はパッと顔を輝かせる。
「やったー♪ えへへ、楽しいね! この作業!」
『ふふっ♪ それはよかったです♪ この調子で、残りもやっていきましょ~♪』
「おー!」
勉強している感覚がないからか、あいつもお遊び感覚で手伝っているのだろう。実際、嫌そうにしている素振りもなければ、苦悩している様子もない。だから、おれが口を挟む必要もないか。
「……不安はありますが、問題はないと思ってます。あいつも楽しそうなんで」
「ふふ♪ まあ、遊び感覚でやってもらってるのは間違いないね。……今回、鈴流ちゃんを呼んだのは、あの子に文字に『触れさせたかった』からなんだ」
「? 触れさせる?」
「そそ。……実はさ、ゆくゆくはここの管理を鈴流ちゃんに任せたいんだよね」
……鈴流がここの管理?
今はアルフ様の管轄だったはずだが……それがなぜ、鈴流にお鉢が回ってくるんだろう。
「元々、ここの管理自体、他の神達におしつ……こほん! どうしてもって頼まれたから、僕がやってるんだけど、僕の管轄はあくまで転生。命に関わる神なんだよね!」
あ~……押し付けられたんだ。
「今、ここの管理をしてるのはミィなのも、僕が管理しているからなんだけど。……けど、ほら。昔と違って、今は鈴流ちゃんみたいな子も増えてきてるからさ~」
鈴流みたいな……もとい、付喪神が、か。
様々な条件はあるが、付喪神は長い時を経て、神と成る。単純な話、世界が長く続けば続く程、付喪神は増えていく。
アルフ様はそんな付喪神にも、天界で何かしらの役割を与えようとしているのかもしれない。
「それにここの図書館の利用者は神々というより、その神に仕える従者達だ。なら、位の低い神が管理しても問題はないかな~って? 仮に管理者が僕でなくなったとても、ミィがここの主なのは変わらないからね」
「ミィのお気に入りの場所の一つですもんね」
「そういうことっ♪ ミィは本が大好きだし、ここは暖かいから、お昼寝にもちょうどいいみたいだからね~」
……本好きと昼寝は関係ない気もするが、まあ、いいや。アルフ様の言う通り、あいつがここで昼寝する姿はよく見かけるからな。
「もちろん。さっき言った通り、ゆくゆくは、だからね。今すぐにって話じゃないよ?」
「はい。アルフ様のことです。この計画のゴールは数年後ではなく、数百年後……いえ、千年、二千年後の話なのでしょう?」
「あはは♪ 流石、フォース君だね♪ まあ、今は鈴流ちゃんに神としての生に慣れてもらうのが最優先だからね。この話は長期的に見てるんだよ」
鈴流は図書館に来たのも初めてだし、第一、文字は読めなくてもいーもん、なんて言ってたやつが相手だからな。
まあ、それはどうでもよくて、だ。
付喪神を気にかけてるにしても、なぜ鈴流なんですか? 他にも適任者はいるのでは」
「ん? 鈴流ちゃんが僕の管理下にあるからだけど。まあ、一応ね?……って、あれ。もしかて、ファウスさんから聞いてない?」
おれは黙って首を振る。
鈴流に付喪神としての道を示したのは、他でもないおれのマスターだ。力を司る神であるマスターが、人だった彼女に『神』としての力を与えた。その結果、人として、輪廻転生の輪から外れてしまったので、アルフ様にも何かしらのご迷惑をかけていたのだと思う。……だが、アルフ様が何かを言ってくることはなく、おれは勝手に黙認しているものだと認識していた。或いは、マスターとの間に何かしらの取引でもあったのではと勘繰ってもいるけど……そこまでの頭があの人にあるのかは不明である。
「あ、ウィルくんみたいに直属の部下って感じじゃなくて、何て言うか……教育係みたいな? 神としてのあり方を教える先生役だね」
「あぁ……なるほど。でも、それならマスターがやるべきでは? あの人が鈴流を神にさせたんですから」
「理屈で言えば、そうなんだけどね。ファウスさん、やることだけやって、後は僕に丸投げしてきたからさ~♪」
うぅん……マスターらしいと言えばらしいのだが……なんでその辺が雑なんだ。
そう言えば、エレル達を迎え入れた時も力を与えるだけ与えて、残りはおれに丸投げしてたな……そういうところだよ、あの人の悪いとこは。
「申し訳ありません、アルフ様。うちのアホがご迷惑を」
「気にしないで♪ 僕の管理下って言っても形だけだし。それに僕が背後にいるってだけで、大抵の神は鈴流ちゃんに手出しできないから、都合いいでしょ?」
「それは……そうかもしれませんけど」
「そうだよ。それにさっきも言った通り、この関係は形だけだから、今回の図書館の件以外に僕から何かを強要することはないよ」
だから安心してね、と付け加え、アルフ様はにこりと笑う。
「君達は今まで通りに過ごしてくれればいい。……だって、互いに離れ離れは嫌だろう?」
……そうか。アルフ様もミィと長い間、離れ離れになっていた。だから、おれ達を気遣ってくれているのか。
おれは手元の本を撫で、小さく笑う。
「そうですね。……確かに、二度とごめんですよ。あんな体験は」
「ふふ♪ だよねぇ~? 僕もおんなじ気持ちだよ」
アルフ様はぐっと背伸びをして、新たな本に手を伸ばす。そして、いつも通りの笑顔をおれに向けてきた。
「フォースくん! 残った修繕作業をさっさと終わらせて、戻し作業は大遅刻してるウィルくんに丸投げしよう! ね!」
「え!? あ、はい……そう、ですね?」
そういえば、来るはずの兄貴の姿はまだなかったな。……アルフ様、顔には出てないけど、それなりに気にしてるのかも……?
その後、かたり遅れてやって来た兄貴に片付け作業をぶん投げたことは言うまでもないだろう。



~あとがき~
おしまい!

次回、通常運転に戻りますよ!!!
体育祭じゃぁぁぁ!!!

鈴流とアルフさんの関係性については、相方が考えてくれました。ありがたや~!
もちろん、本編(空と海)にはそんな設定ないんですけど、ここはコラボ作品の醍醐味です。本来、関り合いのないキャラ達が関わる世界線で楽しんでくれると幸いです。

ではでは!

気ままな神様達の日常記録 vol.19

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
前回の続きっぽい感じですね。指名を受けた鈴流とそれに付き添うフォースの話です。



☆さくっと登場人物紹介☆
フォース:制御者の一人。生前の名前はカルマ。この名前で呼ばれることは滅多にない。

鈴流:付喪神。元は人間で赤の継承者として、フォースと過ごしていた。現在は自由気ままな神様ライフを送っている。

ルリ:アルフの従者の一匹。生前、フォースと仲がよく、今でも彼のことを『カル』と呼び、慕っている。大人なお姉さん気質。

ガーラ:アルフの従者の一匹。ルリ同様、フォースと仲がよく、今でも彼のことを慕っている。意外とツンデレだったり。



★図書館の大掃除。
神と従者とモフモフと。★
おれと鈴流は『叡智の図書館』へ向かうため、長く続く廊下を歩いていた。厳密に言えば、鈴流はおれの周りをふよふよと浮いているだけで、歩いてないのだが。
「……そいや、アルフ様がなんで鈴流に用があるのか聞いてねぇや」
「あはは♪ フォースってば、ファウスさんを説教するのに夢中だったもんね~♪」
うるせぇ。別に夢中になってねぇわ。
大体、あのアホが不甲斐なくて、どうしようもなく救いようのない馬鹿なのが悪い。
……なんてことを鈴流に説いたところで意味はないので、ぐっと我慢するとして。
「で? 鈴流に心当たりはないわけ? アルフ様に呼ばれる理由」
「え? ん~ん? なーんにも!」
……ですよねぇ。
鈴流はあっけらかんとして無邪気な笑みを浮かべている。
鈴流は常におれと一緒にいるとはいえ、天界に姿を現すことはほとんどない。その理由も特にないようで、本人曰く、わざわざ天界で姿を見せる必要性を感じていないらしい。
「私がアルフさんと会う時って、いっつもフォースと一緒だもん。だから、私個人の関わりなんてないよ?」
「それもそうか」
「でしょ~? まあ、行けば分かるさ! ごーごー!」
鈴流はくるりと旋回し、おれの前を通過して飛んでいく。鈴流はいつも通り、自由奔放である。対して、おれはのんびりと後ろからついていった。

目的地の図書館に到着し、重苦しい扉を開ける。すると、大量の本で埋め尽くされた棚が無数に並ぶ空間が目の前に広がった。
「ひょわ~~~! 本がいっぱい!」
「あれ? お前、ここに来たことなかったっけ?」
「ないっ! だって必要ないもん」
思い返せば、一度たりとも来たこともないんだったか。そもそも、文字の読み書きができない鈴流にとって、この場所は最も縁遠い場所なのかもしれない。
「そいや、お前から文字の読み書きを覚えたいとも言われなかったな」
「うん。だって、フォースが読んでくれるでしょ?」
……さいですか。
さて、アルフ様はどこにいるかなぁっと。
おれは本棚の間を縫うように辺りを見渡しつつ、奥へと進んでいく。
「あ、フォース! あそこにフォースのおともだちがいる!」
「あ? 友達?」
鈴流が指差した方向には、大量の本を乗せた荷車を引くガーラの姿と、そんなガーラの頭の上にちょこんと座るルリの姿があった。
あちらも鈴流の声が聞こえていたのか、ちらりとこちらを振り向いた。そして、荷車をパッと離して、こちらへと駆け寄ってくる。
『カル♪ それに鈴流ちゃんも。ごきげんよう♪』
『よお、お二人さん! チェル達の伝言、聞いて来てくれたのか? サンキューな!』
ルリはガーラからおれの肩の上に移動し、ガーラも楽しそうに尻尾を振る。
おれはガーラの頭を撫でながら、思わず苦笑してしまう。
「うん。まあ、それはいいんだけど……ガーラ、荷車を置いてくるのは駄目なんじゃない?」
『問題ない。誰も盗りゃしねぇさ』
そういう問題か……?
まあ、こいつらとは久々の再会ではあるので、とやかく言うことは止めておこう。
「アルフ様の従者達が整理してるってのは知ってたけど、お前達もいたんだな」
『おうよ。見ての通り、ここはめっちゃ本があるからな。普段、地上で働くオレらにも召集がかかったってわけだ♪』
『アルフ様やミィちゃんだけじゃ、いつまで経っても終わらないでしょう? だから、みぃんなで手分けしてやっているのよ』
「ほへ~……そうなんだね! なら、二人は何してたの? たくさんの本、運んでたみたいだけど」
鈴流は少し離れたところに放置されている荷車へと目を向ける。従者の中でも一番の力を持つガーラが運び役に適してるのは分かるけど。
『アルフ様の選別が終わった本を戻す作業だな』
『ちなみに……ミィちゃんとフィアちゃんも別のところで同じ作業をしているわ』
運ぶだけでなく、戻し作業もガーラ達が担っているのか。
しかし、ミィには念力があるが、他の奴らにそんな力はなかったはず。そして、アルフ様の従者は全員が動物だ。本棚に戻すなんて、簡単な作業じゃないはずなんだが……
なんてことを考えていると、ルリとガーラはどこか楽しそうにふっと笑い始める。
『うふふっ♪ カルってば、私達がどうやって本を戻すのか気になるのかしら?』
『あっはは! まあ、そうだよな~? カルマと違って、オレ達には器用で便利な手足なんてないわけだし?』
「え? え?? 今、フォース、何か言ってた?」
「いんや。何も。……もしかして、分かりやすく態度に出てたか?」
「ううん。出てないよ……? 二人は分かったの? フォースの考えてたこと!」
『まあな。これはオレ達の長年の付き合いってやつだ♪』
ガーラは嬉しそうにニヤリと笑う。ルリも楽しそうに頷いている。
む……まあ、ガキの頃からの付き合いだしな。こいつらにしか分からない何かを感じ取られているのかもしれない。不本意ではあるが、こいつらになら、まあ別にいいかと思う自分がいる。
「う~……私だってフォースとは、ながーい付き合いなのに~」
『ふふんっ♪ そこは諦めな、嬢ちゃん。オレらとカルマには切っても切れねぇ縁があんだわ♪』
「むー! それなら、私にだってあるもん! ガーラくんの意地悪ー!」
なんで張り合ってんだ、こいつら……?
このまま放置していると変な方向にヒートアップしそうだし、辱しめを受けるのはおれだけのような気がする。……うん。さっさと止めるべきだな。
「二人とも落ち着けって。おれにとっては、鈴流もガーラもルリも特別だよ。家族みたいなもんなの。ほら、家族に優劣はつけないだろ?」
「そーだけどー!」
『ガーラも大人げないわ。貴方がカルをだぁいすきなのは分かるけれど、そこは奥様に譲るべきなんじゃないかしら?』
『うるせぇ。それはそれ。これはこれだ! こっちはガキの頃からカルマのことを見守ってきたんだぞ!』
「あ~……ありがとな、ガーラ。でも、恥ずかしくなってくるから、そろそろやめてくれな? ルリ、話を戻して」
『ふふ、そうね♪ 私達が本を動かせる理由だったわね。カル、手を出してくれる?』
そうそう。……なんでそれを聞くためだけに、鈴流とガーラが張り合い始めるのかさっぱりだ。
ルリはおれの目の前に飛んでくると、差し出した指先に留まる。そして、さっと片足を持ち上げた。
そこには普段、つけてない紫の足環がつけられている。
『実はね、これのお陰なの。アルフ様が手掛けてくださった道具を使って、ミィちゃんと同じ念力を使っているの。ちなみに、ガーラとフィアちゃんもね』
……本当だ。ガーラの体毛で見えにくくなっているが、前足にアンクレットみたいなやつを身に付けていた。
なるほどねぇ……アルフ様ならそういう道具を簡単に作れるだろうな。
と、アルフ様で思い出した。
「なあ、二人とも。アルフ様の居場所、知らない? おれら一応、アルフ様の頼みでここに来てるから……内容をアルフ様から聞きたくってさ」
『お? それならチェルと一緒にあっちにいるぜ。なんて言うんだっけ?』
『読書スペースね。そこで本の修繕中なの。たくさんの本に囲まれてるからすぐに分かるわ』
「なるほどな。教えてくれてありがと。行ってみる……鈴流、行くぞ」
「はーい!」
おれ達はルリとガーラと別れると、教えてくれた読書スペースへと向かう。
彼らの話の通りなら、マスターが汚してしまった本の修繕をしているのだろう。
「ふんふんふ~ん♪」
「……上機嫌だな、お前」
図書館にやって来た時と今とでは、明らかに雰囲気が違う。特別、何かあったとは思えないけど。
「ふふっ♪ なんかね~……嬉しくなっちゃって」
「? 嬉しい?」
「うんっ♪ フォースが楽しそうだったから!」
……そう、か?
「フォース、ガーラくんとルリちゃんと話してる時、とっても楽しそうにしてるんだよ? 私と話してる時とはまた違う感じで」
「……そうなの?」
全く心当たりはないのだが。
「そうなのっ! あ、そこに妬けちゃうなんてことはないんだけどね? さっき、フォースも言ってたじゃない? 家族みたいなものって。きっとそういうことなんだろな~って!」
ふーむ……そうなのだろうか。
あの場では『家族』なんて表現をしたけれど、実際、家族がどんなものなのかは分からない。おれに血の繋がった血縁者なんて存在しないから。
ウィルにぃだって、兄貴なんて呼んでるけど、実の兄ではないし。
「私も家族のあったかさは分かんないけど……フォースと一緒にいると安心する。きっとそういうことなんだよ、家族って!」
「そういうもんかね」
「そうなのですっ♪」
よく分からんけど、まあ、鈴流が楽しそうにしてるならいいや。



~あとがき~
今回でアルフさんの従者はこれで全員出たな。

次回、お掃除後半戦。

本編では(恐らく)出てこないルリ&ガーラ。生前のフォースの過去を知る数少ない友人なんですが……というのを初登場時にも言ったような気がする。
彼らといるフォースはやっぱり、昔の性格が出てきている気がします。もちろん、今のフォースも嘘偽りない彼なんですけども!

ではでは。

気ままな神様達の日常記録 vol.18

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
今回はファウスの従者……ではなく、アルフさんの従者達がメインです。お楽しみに。



☆さくっと登場人物紹介☆
ファウス:力の神様。自堕落な神で、毎回のように部下のフォースに仕事を手伝ってもらう日々。

フォース:制御者の一人。下界ではやる気なし、サボりの常習犯だけど、天界ではクソ真面目でファウスに叱責を飛ばしてる。

エレル:制御者の一人。仕事は好きではないので、ファウスの仕事もあまり手伝わない。(というか、手伝えない)

ユウ:制御者の一人。フォースがいない時は積極的にファウスの仕事の手伝いをするいい子。でも、大抵、キャパを越える仕事量なので、てんてこ舞い。

ラウラ:制御者の一人。仕事はできるが、性格が性格なので、滅多に手伝わない。でも、鬼ではないので、状況が状況であれば手伝ってくれる。

ミィ:白い子猫でアルフの従者。アルフの遣いとして、一番の古参。本をこよなく愛する読書家。

チェル:白い兎でアルフの従者。年上(先輩)に対して、丁寧な物腰で接する。フィアのことを姉のように慕っている。

フィア:紺色の鳥でアルフの従者。従者としては一番の若手だが、持ち前の気品のよさと冷静さで誰よりも落ち着いた物腰で接する。



★神の遣い、最後のメンバー★
ここは天界。様々な神が住まう世界。
そんな天界のとある一室にて、オレンジ髪の少年が机に突っ伏していた。
「フォースさま……これで、最後……のはず……や、やっと……おわっ……た……です?」
恐る恐るといった雰囲気で問いかけてきたそいつには目もくれず、おれは無言で手元の書類を抜けなく確認していく。
記入漏れがないか。サイン忘れはないか。期日は問題ないか等々……
それら全てを確認し終えてから、書類全てを取り纏め、ちらりとマスターを見下ろした。
「お疲れさん」
「あ、ありがとう……ござい、ました……一生分の働きをした気がします……あの山を一日で終わらせたんだもんな。……つまり、これはもう、しばらく休んでもいいのでは!?」
「戯れ言が。寝言は寝て言え。クソ上司」
書類の山を作ったのはマスターが仕事を溜め込んだせいだ。その遅れを今日中に取り戻したにすぎない。つまり、だ。
「明日には別の仕事が振ってくるぞ」
「そんな殺生なぁ~……!」
「当たり前だろうが。毎度毎度、こんなに仕事を溜め込みやがって。馬鹿なんじゃないの?」
「や~……ほら、仕事ってしたくないじゃない? いつだって寝て過ごしていたいじゃない?」
……これが世の人々が崇め奉る神様の実態です。もうこの世の終わりだよ。
ちなみに。
こんなクソアホ神様であるファウスが司るのは、力である。戦が激減した現代において、何の効力も持たない駄目神に成り下がった……わけがなく。
悲しいかな、下界にはマスターが管理しているレア武器─神器がいい例─とか、人々に与えている能力とか、今でもそれなりに管理しなきゃなんない「あれこれ」は存在する。
……何が言いたいかって、この駄目神が寝て過ごせるはずがないってことで。
「寝言は寝て言え」
「その台詞、二度目では!? 分かった! もう休みが欲しいなんて言わない! でも、せめて、もうちょっと労いの言葉をくれてもいいんじゃないかなぁ!?」
「自分で自分の首を絞めてたくせに、なんで労いの言葉が必要なんだよ?」
「君の上司が頑張ったからですけど!」
「お前の仕事なんだから、頑張るのは当然だろ。つか、労いの言葉ならおれが欲しいわ。おれ、全く関係ないんですけど」
事の発端としては、休日、家(すぅ達との暮らしてる方)で本を読んで過ごしていたところに、マスターが泣きながら助けてくれって言われたところから始まる。
訳を聞いてみれば、仕事が溜まりに溜まって首が回らなくなったので、助けて欲しいという救難要請だった。
この時点で無視してもよかったのだが、如何せん、他の神様方にご迷惑をかけてしまっているので、無下にできなかったのである。
「フォース! さっき頼まれたやつ、お届けできたよー!」
と、元気よく入室してきたのは、おれの仲間の一人、エルだ。
「サンキュ。こっちは全部片付いたから、残りも頼む。他の奴らは?」
「後で来るよー! これを渡せばいいんだね! えーっと……?」
「それ、兄貴から拝借した資料」
「ウィル様ね。りょーかいっ♪ 返してくる!」
忙しないなぁ……まあ、あれくらい動いてくれた方がさっさと終わるけど。
エルが出てって数分後、ユウとラウラも戻ってきてくれた。
「さっき、エレルちゃんとすれ違ったよ。もう終わりそうなんだって?」
「あぁ。残りを届けたり、資料を元に戻せばね。……二人とも、頼めるか?」
「もちろん♪」
こういう時、大抵トンズラするラウラですら、手伝ってんだから、余程、切羽詰まってたんだろうな。……いや、そうなる前に取りかかれやって話なんだけども。
おれはユウとラウラに書類を手渡し、二人を送り出す。
「え、あの子達……俺がこんなんなってるのに、心配の言葉もなかったよ……?」
「日常茶飯事だからだろ」
「ひえん……俺の部下達がみぃんな、冷たい……」
それこそ、いつものことだ。
さて、おれはやることはやったし、帰るか。
「フォースくん、フォースくん」
「? どうした。なんか忘れもん?」
先程、部屋を出て行ったはずのラウラが扉から顔を覗かせていた。
「君にお客様。……僕はちゃーんと伝えたからね? じゃあね~♪」
と、言いたいことだけ言って、さっさと言ってしまう。が、なぜか扉は閉めずに行ってしまったのだが。
「……なんなんだ、あいつ?」
説明もなしに勝手な行動をするのは、ラウラらしくもあるが……というか、おれに客、か。扉を完全に閉めなかったのは、その客とやらがいたから?
おれが扉まで出向く前に、そのお客とやらがひょっこりと顔を覗かせた。
「にゃあ!」
「ミィ……?」
アルフ様の従者、白猫のミィだ。でも、こいつなら、自分の念力で扉を開けられるんじゃ?
なんて思っていたら、訪問者は一匹ではなかったらしい。
『ファウス様、こんにちは!』
『お邪魔します♪』
部屋を訪れたのは二匹の獣。
一匹は赤い目が特徴的な真っ白な兎。
もう一匹は綺麗な尾を揺らす、紺色の鳥。
お察し通り、この二匹もアルフ様の従者である。兎の方はチェル。鳥の方はフィアって名前だ。
「おりょ……チェルちゃんはともかく、フィアちゃんが来るなんて珍しいね? 君、アルフさんの部屋から出ててこないのに」
『えぇ。普段はそうなんですけれど、今回はアルフ様の頼みでここへ来ましたの』
『それとは別件で、ミィさんがファウス様にご用があるみたいです!』
「にゃっ!」
「ほ~……? ミィちゃんが俺に? フォースにじゃなく」
「にゃにゃっ!」
ミィはマスターの言葉を肯定するように何度も頷く。
こう言っちゃなんだが、ミィがマスターに用事なんて早々ない。それこそ、アルフ様に頼まれて~ってなら、まだ分かるけど、今回はそうじゃなさそうだ。
まあ、何にせよ、こいつらに聞いてみりゃ分かるか。
「それで? ミィ達の用件って?」
『はいっ♪ それでは……まずはアルフ様のご依頼から! これから、アルフ様とその従者達で『叡智の図書館』の大整理をすることになってるんです』
もうそんな時期か。
『叡智の図書館』は世界のあらゆる知識が保管されている神聖な場所だ。下界ではすでに存在しない書物も、あそこなら保管しているから、おれとしては、調べ物にはもってこいの場所である。
そんな図書館はミィが主(?)として、住み着いているからか、アルフ様が管理している……みたいな感じになっている。
……厳密に言えば、アルフ様の管轄ではないらしいのだが。
『それで……もし、フォースさんのご都合がよろしければ、この後一緒に来ていただけたらと思いまして!』
ん? おれか。
元々、このまま帰ろうとしていたし、図書館に行くのは構いはしないのだが……あ? ちょっと待て。
「……来る? 手伝うの間違いじゃなく?」
『はい。もちろん、手伝っていただけるのなら、大変助かりますわ。……実は、アルフ様のご指名先は、フォースさんではなく、鈴流さんなの』
「……アルフ様が鈴流を呼んでるってことか?」
『はいっ! アルフ様が言うには、ぜひ、鈴流さんに手伝っていただきたいんだとか! 強制はしないって言ってたので、お二人がよろしければ、なんですけど』
うーん?
アルフ様と鈴流はこれといった共通点はない。そもそも、鈴流は付喪神。兄貴みたいに、誰かの下についている神ではない。だから、アルフ様と鈴流に特別な接点があるとは思えないのだが……まあ、いいや。
あの方の思考を読もうなんて、千年早いってやつだ。……おれみたいな凡人には分かるはずもない。
「分かった。こっちが完全に片付いたら行く。後、おれも蔵書整理、手伝うよ。アルフ様にもそう伝えてくれ」
アルフ様の従者は皆、動物だ。人の手が一人でもあった方が早めに終わるだろう。
『わ~! ありがとうございます、フォースさん!』
『あら♪ それは助かりますわ。ありがとうございます、フォースさん』
チェルは嬉しそうに耳をピコピコと動かし、フィアも翼を扇子のようにして、口許を隠しながら優雅に微笑む。
とりあえず、アルフ様の頼みとやらは分かったけど、ミィの用事が何なのかが分からない。分からないけど……
「にぃ~……」
「え? え? なんで、そんな不機嫌なの……?」
言葉が通じないミィだけど、明らかに不機嫌なのは分かる。つまり、マスターがミィに対して何かしたんだろう。とは言え、マスター本人は心当たりがなさそうだが。
そんなマスターの様子が気に食わなかったらしい。ミィの瞳がキラリと光り、目にも止まらぬ早さでマスターに襲いかかった。
「にゃにゃにゃっ!!!」
「うぎゃあぁぁ!? いきなりの猫パンチはやめてください!?」
『ありゃりゃ~……ミィさん、大分お怒りモードだね、お姉ちゃん』
『うふふ♪ まあ、あの惨劇を目の前にしたらね。ミィさんの気持ちも分かるわ』
チェルとフィアはミィの不機嫌な理由、知ってるのか?
『はい。ミィさん、ファウス様に怒ってるんですよ。そりゃあもう、カンカンなんですから!』
『というのも、ミィさんの用事もファウス様を叱責するためですわ。ここまでの道中でも、ファウス様のこと、あんぽんたん、とか、毎回毎回、とか色々と言っていたんですよ?』
「……そいや、お前らはミィの言葉、分かるんだっけ」
おれの言葉に二匹はこくりと頷く。
『ま、分かるって言いましたけど、完全には分かりませんけどね~……? 何て言うか、片言程度です』
『それにミィさんの言葉を私達が片言程度に分かるのも……ミィさんと似たような存在だから、なのでしょう。単語程度ならすんなりと理解できてしまうんですよ』
ミィと似たような存在。
おれはちらりと二匹……いや、二人を見る。
アルフ様の従者であるルリとガーラと、チェルとフィアは魂の色が違う。そりゃ、個々の特性があるんだから、色が違うのは当たり前なのだが、前提として、二人はあの二匹と魂の質が違う。
もっと言えば、この二人、人間の魂の質を持っているのだ。だからこそ、ミィと似たような存在、と言えるのかもしれない。
そして、何の因果か、おれはこの二人と似たような魂の色を持ってるやつを知っていた。だからだろう。こいつらを見ていると、時々、とある白い姫様と青い王子様の姿がちらつく時がある。
「……はぁ。世間って案外、狭いもんだよな」
『? フォースさん? どうかしましたか?』
チェルが不思議そうに首を傾げながら、おれを見上げる。そんな仕草すら、あの姫さんを彷彿させるのだから、血筋ってのは恐ろしいものだ。
「いんや。なんでも。……で? 結局、ミィはなんでマスター相手に怒ってるんだっけ?」
『あら、そうでした。その話をしていましたね。先日、返却された本が汚されていたんですよ。……あぁ、『返却』というより、『戻ってきた』が正しいかもしれませんわ』
つまり、マスターの部屋の扉に施された魔法で戻された本がってことか。
『そうです! その本がなんかよく分からない液体まみれになって、酷い有り様なんですよ。それも、一冊だけじゃなくて、何冊も。そりゃ、ミィさんもカンカンになるでしょう?』
『その本の修繕をアルフ様が行っているんです。……アルフ様はそこまでお怒りではないのだけれど、ミィさんは見ての通りですわ』
と、フィアが指し示す先には、マスターに飛びかかって、これでもかと怒りを露にするミィの姿がある。そして、マスターは未だにその理由を理解していないらしく、頻りに首を傾げていた。
『ミィさんの怒りも当然だよ! 私達の中でも一番の読書家だもん!』
『あら? チェルちゃんも相当な読書家ではなくって?』
『えっ! そんなことないよ!? 私が読むのは、薬草とか魔法とか……あと、機械のこととか! その、自分の興味のある分野だけだもん。……なんなら、お姉ちゃんの方が読んでるんじゃない?』
『どうかしら。今は昔程、多くの知識を必要としてないから……だから、今の私もチェルちゃんと同じ。興味のある分野しか読まないわ』
『ほんとかな~……?』
ふむ。つまり、マスターの手元から戻ってきた本が謎の液体で汚れて戻ってきた。それが一冊や二冊の話ではない、と。
『えと、そうですね……まあ、十数冊くらい、ですかね? ね、お姉ちゃん?』
『えぇ。そこまで多くはないけれど、少なくもない……くらいの数だったと思うけれど』
なるほど。
マスターが本を元に戻さないのは日常茶飯事だ。だからこそ、アルフ様はここの扉に魔法を施してくださっている。
よくはないが、そうした方が効率的だし、確実に元に戻るからこその手段だった。……しかし、だ。
「マスター」
「いてて……え。な、何? 俺、今、ミィちゃんの猫パンチ攻撃を耐え忍んでるとこなんだけど」
「お前、アルフ様に余計な仕事増やしてんじゃねぇぞ」
「……え? アルフさんに? 何の話……って、痛い痛い痛い!?」
おれはお構いなしにマスターの首根っこを掴み上げ、ギリギリと締め上げていく。
「そうでしょうねぇ!? お前が知らないうちに図書館の大切な本を汚してんだからなぁ!? お前のちんけな脳みそよりよっぽど大切な知恵の結晶なんですけど!?」
「フォースさん!? 俺のことをなんだと思ってるんですか!?」
「うるせぇ!!」
「反論の余地なし!?」
──おれがマスターを締め上げている横で、ミィは呆然とした様子でおれ達を見上げていた。
「み、みぃ……?」
『あらあら♪ 予想はしていたけれど、結局、こうなるのねぇ』
フィアはどこか楽しそうに笑い、チェルは戸惑ったようにフィアを見つめた。
『ね、お姉ちゃん。この後、どしよっか?』
『……そうねぇ。まあ、私達の仕事は終わっているし……ミィさんのお仕事もフォースさんが請け負ってくれたみたい。……なら、私達は主様の元へ戻りましょう』
「にゃあ」
『そ、そだね……!』
と、小さな動物達が部屋をそろそろと退出した。
あいつらがいなくなった後もおれはマスターに説教をしていたんだが……まあ、その辺は特筆する必要はないよな?



~あとがき~
五周年! 新キャラ!!
もういないと思ってた? 私もですわ!

次回、図書館の整理。

アルフさんの従者、チェル&フィアでした。
え? フィアって名前のキャラいなかったかって? 誰かににてる? いやぁ、偶然だよ、偶然←
ということで、答え合わせはまたいつか。

ではでは。

レイ学5周年!

タイトル通りです。
もう例年通りなので、さくさくいくぞ!!!!

今年のコンビはレオン&ステラ。
いやぁ……レオン君は3周年辺りに出したかったんですが、如何せん、私の出してないキャラとの関わりがなくって、ここまで引き伸ばしてしまってました。
そして、そして!! これで私のメインキャラは1周しました。わーい。
……私の! キャラは!!
ということで、来年以降は被りが出るかもしれないし、メインキャラじゃない子が出てくるかもしれません。来年の今頃、どんな話をしているかによりますね……!

相方作! 体育祭の風景。
これに関しては多く語るまいよ……!
今後に期待!!!!(訳:次回予告風イラストなので、マジでなんも言えん)

そして、今年もいただいております。
相方からのコメントです~!


はい。以上でございます。
コメントにある通り、今、もらっているプロットだけで今年は乗り越えようとしてます。どれだけあれば、1年間連載し続けられるのか、という相談の上、昨年のうちに無理のない範囲で作成してもらい、ある程度の量をいただいております。
まあ、我々の事情ではあるので、今後、読者様に何かあるわけではないし、プロットなくなったから、連載滞る云々は特にないのでご安心を。
滞る時は私の私生活が危うくなった時だけなのでね! ねっ!!! ないといいな! そんなこと!!!!

まあ、何が言いたいかって、特に何も変わらずこれからもやっていくので、よろしくお願いします!
次回はいつもの特別編をいくつか投稿するぞ! まだ書けてないけど!! 投稿日までにはなんとかするぜ!!!!

ではでは。

今年もよろしくお願いします!

年が明けました。
新年早々、何かと暗いニュースが多いスタートとなりましたが……暗い気持ちのままでいては、自分の心にもよくない。いつも通りでいくぜ!

ということで。
今年も昨年と変わらず、ゆるゆる~っとした感じにやっていくつもりでございます。好きなことを好きなように進めていきます。

今年もよろしくお願いします。

次回の更新はレイ学関連の何かになるかと思います。まあ、今のところ、なんも終わってないけどね!!!

ではでは。

よいお年を!

今年も残すところ、あと2日となりました。
長かったような、短かったような……というのを毎年のように感じている気がしますね。

そして、私の仕事納めはありません! なぜなら、年末に連休がないからです!! とはいえ、正月明けに連休あるので、そこでのんびりしようと思ってます。
年末年始お休みの方も、片方だけ休みの方も、私のように年末年始は仕事に奔走する方も……体調にだけはお気をつけを。私はすでにやらかしました! 私のようにはなるな!!!←

最後に。
個人的な環境変化もあり、下半期の後半辺りは更新頻度が不定期ではありましたが……今年もお世話になりました! 無事(?)今年1年、走りきることができました~!
来年もよろしくお願いします!

ではでは! よいお年を!

学びや!レイディアント学園 第446話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんらの休日回……というか、休日回という皮を被った悪の大魔王事件編でしたね……(汗)
今回からは新章です。体育祭です。いやぁ、学校らしいね~!


《L side》
秋晴れの広がる空の下、中等部、高等部含む全生徒らは、学校指定の体操服に身を包み、学園の敷地内の運動場にて、一同に集まっていた。
いつだって、活気のある生徒が多いレイ学だけれど、今日は一段と違った雰囲気を見せていた。その理由は一つ。
本日、全生徒参加の体育祭の日だからである。
私はいつメンであるティールとフォース君に加え、中等部のステラちゃんとリーフちゃんと一緒に運動場の観客席に座っていた。
「毎年のことだけど、始まる前なのに結構、盛り上がってるよねぇ」
「まあ、人数も多いからね。中等部だけじゃなくて、ぼくら、高等部の生徒も集まるわけだし」
全生徒合わせて、千弱はいるからなぁ。
レイ学の体育祭は、何度も言うように中等部、高等部合同である。そのため、二日間に渡って行われる行事。
私達は予め、決められた組に分かれ、これまた決められた競技で競い合って、紅白戦を行うわけだ。
会場は学園内の運動場。剣技大会でも使用された会場を今回、体育祭のメインステージとして使用される。ちなみに、毎年、交互に会場を使うのだが、今回は普段、中等部が使用する運動場である。
そして、普段は校内の行事を取り仕切る生徒会だけれど、体育祭に関しては、ほぼノータッチである。剣技大会とは違い、体育祭は実行委員会を大人数で取り仕切っているため、生徒会の仕事はない。まあ、前準備の手伝いはしたけど、当日、何かしなきゃいけない……なんてこともない。
まあ、ここの体育祭は完全に身内で楽しむものであり、外部からの来場者もいない。つまり、生徒会の出る幕はないのである。
「うぇ……人多い……帰りたい……」
「えと、フォース、大丈夫? まだ開会式も始まってないよ~?」
「大丈夫じゃない。めっちゃ帰りてぇ」
「んもう。そんなこと言わないの。すーくん、今年で最後なんだよ? 最後くらいちゃんとして!」
「関係ねぇわ。帰りたいもんは帰りたい……」
人混みがアレルギー並みに苦手なフォース君はすでにグロッキーなんですけども……まあ、それは想定内というやつである。隣に座るステラちゃんが渇を入れているが、当人へはあまり響いていないご様子。……それもまあ、想定内。
そんなことより、だ。
「ステラちゃん、そのツインテール、フォース君にしてもらったの~?」
「あ、えへへ……♪ 実はそうなんですよっ!」
リーフちゃんはいつものポニーテールなのだが、ステラちゃんはピンクのリボンでツインテールにしていた。普段、下ろしている髪を結んでいると、違った印象になる。要するにめっちゃ可愛いってことが言いたいんだけども。
「フォース君、やるやん」
「…………? 何が……?」
可愛い女の子をありがとうって話だよ。
……と、私達がくだらない話をしていると、体育祭の開始時刻になったのだろう。会場に設置されているスピーカーから、お馴染みの声が聞こえてくる。
『中等部、高等部の諸君! レイ学体育祭会場へようこそ! 今回の体育祭のメイン司会を務める、高等部冒険科三年、放送部所属のリュウだ! そして、俺の相方は……』
『高等部魔術科一年、キャスです! よろしくお願いします!』
剣技大会でも司会をしていた二人だ。高等部のお昼の放送でも活躍する二人なので、私達にとっては馴染み深い声ではある。
「……? 一年の方、なんか変わったな。声に覇気がある……ような」
「夏休み中、リュウ君がキャス君を特訓したんだってさ。自分が受けたイベントの司会のバイトにキャス君も連れてったらしくて」
「あいつと夏の間一緒だったのか? あの一年、大変だったろうな」
それは私も思う……けど、その経験がキャス君の自信になったらしく、こうしてハキハキした放送をするようになったらしい。ただ、これは司会としてのキャス君であり、根っこの部分は変わっていないご様子。
「この前、放送部に行った時、キャス君にも会って話したけど、おどおどした感じは変わってなかったもん」
「へー……彼なりにスイッチの入れ方を覚えた、のかな?」
多分、そんな感じ。
開会式は順調に進み、リュウ君とキャス君による前説があり、体育祭の基本ルールが説明されていく。
簡単にまとめていこう。
一つ。体育祭の開催日は今日、明日の二日間。
一つ。参加する生徒は、決められた色の鉢巻を身に付けること。
一つ。観客席から運動場へ移動する際はその両方を繋ぐ階段を利用する。ちなみに、基本、競技中は消滅しているので、乱入はない。
一つ。観客席は決められた席はなく、自由に座って構わない。マナーを守って楽しく観戦しましょう。
一つ。参加競技数に指定はないが、一人、一つの競技に必ず参加すること。
一つ。自身の競技以外の時間は基本、自由時間となる。観客席で応援するもよし。会場から少し離れ、休憩するもよし。
一つ。競技中は自身へバフの付与は禁止。
……こんなところだろうか。後は競技毎にルールが設けられているくらいだが、それは始まる前、個々で説明があるだろう。
『──さぁて、簡単な概要を話し終えたところで、中等部と高等部代表による選手宣誓といこうか!』
リュウ君の言葉に代表者と思われる生徒が運動場の中央へ駆け寄ってくる。恐らく、体育祭実行委員の子だろう。それと同時に中等部の校長、高等部の校長も中央へと歩み寄った。
彼らはそれぞれ、校長先生の前に立ち、バッと手を上げる。
『宣誓!』
『僕達、私達は!』
二人の実行委員は会場全体に聞こえる程、大きくよく通る声で選手宣誓をしていく。両校長らはそれを笑顔で聞いているのだが……
「おい。妖精の奴、寝てるよな」
「うん。寝てる」
「あれは完全に寝てますなぁ。多分、誰も気付いていないっすわ」
プリン校長お得意の開眼させた状態での就寝中である。
「あの、私、いつも不思議なんですけど……なんであれで動けてるんでしょう?」
「確かに。……あのままで出てきてるから、多分、皆さん、気付いてませんよね? 実際、ワタシも三人が話してなかったら分からなかったです」
「知るかよ。つか、おれが聞きたいわ」
「あはは……目を開けたまま寝る人はたまーにいるけど……自然と動くのは校長くらいかもね。ぼくもあんなことできる人、校長以外に知らないから」
いや、普通はできないからね?
至近距離で目を合わせているはずの生徒も校長の様子に気付くこともなく、選手宣誓は問題なく終わる。
そして、選手宣誓が終わったってことは、いよいよ、体育祭の開始となるわけで。
『そんじゃあ、開会式も無事、終了したってことで……?』
『二日間に渡って行われる……』
『体育祭のスタートだぜ!』
『体育祭のスタートですっ!』
二人の言葉に体育祭開始の合図である雷管の音が辺りに響いた。それに合わせ、生徒達も楽しそうに声を上げていた。
「私達にとって、最後の体育祭か~……なんかしみじみしちゃうな~♪」
「いや……始まったばっかで何言ってるの、君は?」
「えー!? いいじゃん! そういうのに浸っても!!」
「浸ることを否定はしないけど、早すぎるってば」
ぐぬぅ~……そうかなぁ? まあ、いいや。
さて、遂に始まった体育祭は当然、チーム戦である。私達も所属する色があるわけでして……
ティールだけ仲間外れなの、ウケるわぁ。流石の運ですね」
「仕方ないよ。これ、くじだったんだから」
そう。ティールだけ白組、他は紅組なのだ。いやはや、ラストの体育祭に相応しい組み合わせですわ~♪ 思い出に残るという意味ではさいっこうである。



~あとがき~
学園ものらしいお話のスタートです。

次回、競技スタート!

今回、いろんな競技の模様をお送りする予定です。大体、私のキャラ視点になりますが、中には相方のキャラ視点もありますので、お楽しみに!

ではでは!