satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第270話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
今回でついに270話……あとさんじゅーで、さんびゃく……さん、びゃく……だと?
ラル「記念すべき……かは、謎ですが、今回もまだまだルーメンさんとお話ししていきます」
ティール「情報量多くてパンクしそうだけど、よろしくお願いします」
さんびゃくっ!!
ラル「それを返事みたいに使うんじゃない」


《L side》
水神の子……前々からしーくんの使うものは水関連の技や能力だから、水に関係する神様なんだろうとは思っていたが……本当にそうだったとは。
「ラル達が行った『深海の神殿』は、水神様が気紛れで作ったダンジョンなんじゃ。そして、そこで眠っていた雫は水神の力を一部を受け継いでおってな。いずれ、従者として仕えるはずじゃよ」
それが、水神の子ですか?
私の問いにルーメンさんは静かに頷いた。
「『水神の子』は育て人にかなり影響を受けるんじゃよ。善良な者になるか、悪なる者になるか、とな。それがまた、地上の海に出てしまう程の存在なんじゃよ」
従者なのに、そこまで影響を与えるの? もうそれは神様と同じなのでは……? ま、まあ、あれか。神の力を一部受け継いでるせいなのか?
確かにしーくんの攻撃技、滅茶苦茶お強いけど。そういうことか。そういうことか?
「そういった理由もあって、初めは水神様のダンジョンが発生した場合、『明けの明星』で攻略するつもりでおったんじゃが、ちぃと問題が発生しての。気がついたら、スカイの主らが攻略し終わっておったんじゃよ」
……それはなんとタイミングが悪い。
確かに、私達の攻略後はどこかのギルドの管理下に置かれていると聞いていた。そのギルドとやらが、『明けの明星』だったのかもしれない。
「事情を知らなかったとは言え、横槍というか……その、すみませんでした」
「あぁ、いや。謝罪はいらんよ。こちらも急にダンジョンが発生するとは考えておらんかったからな。後手に回ってしまったのも事実じゃよ。……しかし、結果的に雫がいい子で育っているようで安心したわい」
のほほんとした笑顔でお茶を飲み、ほっと一息つくルーメンさん。
ここまでルーメンさんがしーくんを……否、『水神の子』をここまで気にする理由とはなんなのだろう。ルーメンさんが少なからず、神の血を引く者だから? それだけの理由でそこまでするか?
「……儂が雫を気にかける理由は一つじゃ」
私の考えを読んだのか、或いは最初から話すつもりだったのかは分からない。それでも、ルーメンさんはしーくんを気にかける理由について話していく。
「大した理由ではないんだがの~……先程話した『ブレスガーディアン』の内、一人が水神様の弟君でなぁ。その関係もあって、『水神の子』を保護する方向で動いておったんじゃよ」
ふむ。ルーメンさんの感覚的にはしーくんは半分、身内みたいなものなんだろうか。……ん?
私は納得しかけた思考を一旦停止させる。
ブレスガーディアンとは、ミルティアを含めた六人の元神様で構成されている。つまり、ミルティアの子孫であるルーメンさん達もそれにあたるわけで。いや、今現在そうなのかはさておき。
ルーメンさんのお孫さんであるツバサちゃんとその周りにいる幼馴染み達も……六人、いる、よな。
そして、その六人の中で水系統は一人だけ。つまり、しーくんと彼女は……
「ルーメンさん。ブレスガーディアンは今でも存在しているんですよね」
「もちろん。初代ブレスガーディアン達の目的の一つにこの地に自らの子孫を残すこととあるからの。実際に儂らはここにおるわけじゃしのぉ」
「……それは理解してます。その言葉が真実なら、現代のブレスガーディアンは」
私達の知るあの青少年達ではないか、と。
そう言葉を続ける前に、ルーメンさんはニッコリと笑い、全てを肯定するように頷く。
その頷きが意味するのは、ツバサちゃんやアラシ君達は、それにあたるという事実に他ならない。
あぁ、もうっ! なんつーおとぎ話の世界だよ……っ! 私はもうお腹いっぱいだよっ!
「つまり、だ。しーくんは水神の血を引く子孫だとして……アリアちゃん、初対面のしーくんをじっと見てたのは、そういうことかぁ」
「え、何それ? 初耳だけど」
呑気に首を傾げる我が相棒。話してなかった私も私だが、あれがそんな重要だとは思わないじゃないですか。
「私らの知らないところでしーくんの正体を見破られてたって話だよ。それに何かの害があるわけじゃないけども」
「そ、そうなんだ……ぼく、次元が違う話ばっかでキャパオーバーしそう」
大丈夫。私もだから。
何がともあれ、間接的にしーくんとアリアちゃんが関係あって、それをルーメンさんが気にする理由だったわけで。
……しーくんの秘密の特訓とやらも、ルーメンさんが私達を呼んだ理由の一つなのだろうか? アリアちゃんが水神と少なからず関係があるなら、何かしていそうだなと考えずにはいられない。
しかしまあ、何かあったとして、私にそれを見通すことは不可能だ。しーくんは意外にも(?)多才なのだ。どの能力を伸ばすものなのか……もしくは、身につけるための特訓なのかは見当もつかない。……つける必要もないけど。
「とまあ、色々話したが……以上が主らをここへ呼んだ理由になるかのぉ。何かと騙すような真似をしてすまんかったの」
すまんと本当に思っているかが気になるところである。それを聞ける程、私は天然ではないけれど。
えぇっと……要約すると、三つの理由があったのかな。
知られたくない女神の秘密を見通す可能性のある、私の能力を見極めたかった。
それに付随して、私達の探検隊としての能力を計りたかった。
ブレスガーディアンの一人であるアリアちゃんと関係のあるしーくんを見極めたかった。
……これらが大まかな理由、か?
「お気になさらないでください。ルーメンさんなりの理由があったとぼくらも理解できましたから。それにぼく個人としては、ルーメンさんと色々話せてよかったと思ってます。……父のこととか、特に」
「そうか? それならよかったがの~」
ほのぼのとお開きムードで話す二人の横で、私は未だに思考の海を漂っていた。
なんだろう。絡まっていた疑問と謎の糸が全てほどけたはずなのに、何かまだ引っ掛かっている。
──まさか、まだ明らかにしていないものがある、とでも?
それはなんだ。ルーメンさんは私達に何を語っていない?
引っ掛かっているということは、一度は私の中に浮かんだもののはずだ。考えろ。思い出せ。考えろ。
「ラル? どうかした?」
ティールの問いかけには答えず、ハッと顔を上げる。そして、目の前の彼を見据える。
「……どうして、『奇跡の洞窟』だったんですか」
「ふむ? と言うと?」
「私の能力で女神の過去を視せたかったのは、分かります。でも、その舞台は『奇跡の洞窟』でなくてもよかったはずです。女神と関係深い場所があそこだけ、なんて言わせません」
能力を計りたいなら、場所なんてどこだっていい。なんなら、ダンジョンなんて危険なところではなく、安全なところで能力を使わせればいいはずだ。それに、まだある。
「私達の力を見極めるなら、あそこでなくてもよかったはずです。手段なんていくらでもあるでしょう。例えば……貴方自ら、私達を相手にする、とかね。それに、奥地のあれも……ルーメンさん、貴方の仕組んだものですよね」
ベヒーモス型のゴーレムが人為的なものであるのは明白である。ユウアちゃんが把握していたのだし、試練だと言っていたのだ。
「わざわざ、あんなゴーレム二体を用意したのも悪趣味だと思いますが」
「ちょ、ラル。言い方」
「だって、そうでしょう。私達にとって、ベヒーモスとはどういう存在? 単なるボスクラスのモンスターではないよね? お互い、度合いは違えど、トラウマになっている位には因縁のある相手でしょう?」
私の言葉にティールは押し黙る。
他にも強いモンスターは存在する。それでも、『あえて』ベヒーモスを置いたのは意味があるはずなのだ。それが人為的なものであれば、尚更。
ルーメンさんがどこでその情報を得たかも謎だが、それは今はいい。
「今まで語ったことが本当なら、わざわざこんな回りくどいやり方をする必要なんてどこにもないはずです。一つ一つは単純なものですまされる。なのに、それをしなかった。……結局のところ、貴方はあのダンジョンで私達の何を試していたのですか? なぜ今更、ベヒーモスを私達にぶつけて、試練のようなことをさせたのです?」
なんとなく、話に出てきてはいたものではあるが、明言を避けられていた。
先程まで話していたものが嘘だとは思わない。しかし、あえて話していないことがあるとも思ったのだ。
それが今、語ったものだ。全て引っくるめて、スカイとしての能力を試すためじゃよ、なんて言われたらそれまである。深読みもいいところだ。それはそれで恥ずかしいってやつだ。
……さあ、どう答える?
「……ふむ」
私の話を一通り聞いたルーメンさんは、私から視線を外すことはなく、一口お茶を飲む。
そして、ニヤリと笑い、「お見事!」と言い放つ。
それを聞いた私とティールが呆然とするのは自然の理である。
「上手く話を逸らしたつもりじゃったんがなぁ? 再び、そこの話に突っ込むとは、度胸があるのぉ」
まあ、ここでシラを切られてたら、終わりでしたけどね!? 恥ずかしさで死ぬところでしたけどね!?
「全て、お話していただけますよね?」
「うむ。ここまで言われては隠す必要もないからの。主らをあそこへ向かわせたのは……色々と都合がよく、また試験会場としてうってつけだったから、かのぉ。ワシがやってほしいことと知りたいことが一度にすまされる場所とでも言うべきかの」
やってほしいことは依頼内容にあるもので、知りたいことは今まで語ってくれた内容ってことだろう。
つまり、全ての条件に当てはまる場所が『奇跡の洞窟』だった、と。
ルーメンさんはこくりと頷く。
「そして、あそこにアレをおいた理由だったか。アレにした理由はお主らがどう対処するのか見てみたかったんじゃよ。己よりも強い敵が目の前に現れたとき……そして、トラウマとどう向き合うのか、どう立ち向かうのか見たかったんじゃ」
はぁ……それをなぜ、ルーメンさんが見たかったのか疑問に残りますが?
「ふむ。まあ、なんだ……この件はこちらとしても慎重にならざるを得ないでなぁ」
「慎重に……? というか、試験会場ってことは、ぼくらは何の試験を受けていたんでしょう……?」
「……そうじゃのぉ。まあ、ここでうだうだしても仕方がないの。なぁに、難しいことは何も試しておらんから、安心せぇ」
と、ルーメンさんは一呼吸置くようにお茶を飲む。数秒の間が空き、コトンと湯呑みが置かれる音だけが響いた。
「ラル、そして、ティールよ」
私達の名を呼び、真剣な眼差しで向き直った。直後、ゆっくりと口が開く。



「お主ら、レイ学を卒業したら『明けの明星』に来ないかの?」



「「………………は?」」



~あとがき~
はい。勧誘だよ。勧誘。

次回、ルーメンのギルド勧誘の意図とは。

普段は何て言うんでしょう。……改行技? というか、そういうのはあんまり使わないんですけど、このルーメンおじいちゃんの台詞だけは少しの間を空けたくてだな。
あと、なんか目立つやん?? そういうことだよ。

ではでは。