satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神様達の日常記録 vol.12

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。今回はほのぼの子猫と戯れる回でございます。ごゆるりとお楽しみください。



☆さくっと登場人物紹介のコーナー☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。従者であり、奥さんでもあるミィが大好き。

ウィル:生命の神様。人懐っこい性格。フォースを本当の弟のように可愛がり、皆の頼れるお兄ちゃんでもある。

ミィ:アルフに仕える蒼い目をした白猫であり奥様。誰にでも優しい性格。猫らしく、ぴょこぴょこ動くものに目がない。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。クールな性格で制御者達のリーダー的存在でもある。本作のツッコミ兼振り回され役。





★子猫とアホ毛
ここは天界。様々な神が住まう世界。
そんな天界にある別名、魂の間と呼ばれる部屋は、生命の神であり、自称おれの兄、ウィル様の仕事部屋である。
整理された資料や本、そして道具達。
また、転生順を待つ魂を保管する容器も規則正しく並べられ、とても分かりやすい。
これがあのマスターの息子に当たる神であるなんて、誰が信じるだろうか。
まあ、本人はこの事実をとても嫌がるので口にしないけど。
おれはマスターの仕事を片付けた後─なんでおれがやってるかは聞かないでほしい─、地上へ戻ろうかと思いながら歩いていたら、運悪く(?)兄貴に見つかり、仕事の手伝いをさせられている。しかしまあ、戻ったところですぅの相手をするくらいしかやることはないので、全く問題はないが。
兄貴は現在、鼻歌混じりに書類整理に勤しんでいる。なんでも、アルフ様に提出するための書類だとか。
「にゃっ! にゃっ!」
そして、仕事中の兄貴の頭の上ではミィが兄貴の髪の毛で遊んでいる。ぴこっと跳ねているアホ毛をていていっと前足でつついているところらしい。
ちなみに、ミィはおれと兄貴が歩いていたところ、勝手に付いてきただけだ。なんで付いてきたのかと思っていたが、ここへ来るなり兄貴の頭に登り、アホ毛でじゃれ始めているので、目当ては兄貴だったのかもしれない。
「にゃにゃにゃっ!!」
アホ毛への攻撃をつつくではなく、連続猫パンチに変更。パンチがヒットする度、大きく揺れ動く。
「あー……りゅっち~? 遊ぶのはいいけど、パンチは勘弁ね~? 痛くはないけど、微妙な衝撃が来て、集中できなーい」
「にゃっ!? みっ……みっ……」
兄貴の言葉でミィは素直に攻撃を弱める。
というか、遊ぶのはいいんだ?
「そそ。そんくらいだと嬉しいかなぁ~……で、かーくんはどしたの? しまうのわかんない資料でもある?」
おれがじっと見ていたことに気づいていたのだろう。視線は書類に落としたまま、おれに話しかけてきた。
「あ、いや。……そうじゃなくて。気になるというか、なんというか」
「……もしかして、何かあった? それなら、きちんと聞くよ」
あっ……くっそどうでもいい話すぎて、言い淀んでいたら、兄貴が謎にお兄ちゃんモードになっちゃったよ。違う。そうじゃねぇ!
「あーいや、その、どうでもいいことだから! そんな真剣にならなくていいから!」
「それならよかった♪ で、なぁに?」
「結局、言わせんのかよ。……あー! ミィって、兄貴の頭の上にいるときはアホ毛でよく遊ぶなぁって思って見てただけ!」
「うん? あーまあ、そうね」
と、書類を書く手を止め、自身の髪をいじる。
「俺自身は気になんないけど、りゅっちは気になるの?」
その問いかけにミィはこくこくっと頷く。滅茶苦茶、気になるらしい。
「体は猫だし、ゆらゆらするもんは狙いたくなるのかね。元人間のリュミエールさんでも、さ」
「あはは♪ 猫の本能にはりゅっちも逆らえないのかもねぇ~……でも、そっか。気になるんだ。ふーん?」
兄貴のそのニヤニヤ顔はくっだらねぇことを考えてんだろうな。
変なことしなきゃいいけど……
何やら考え事をし始めてしまった兄貴をよそに、おれは再び仕事の手伝いへと戻る。
兄貴は兄貴ですぐに仕事へと戻り、何事もなくすんなりと一日を終えた。

兄貴のアホ毛話から数日後。
あれから何かあった……わけでもなく、平和な日常がのんびりと続いていた。
今日はとある神に仕える従者から、マスターへ仕事だと手渡された書類の束を抱え、マスターの部屋へと向かっている最中だ。
その従者によれば、提出期限は来週。急ぎではないのだろうが、あのサボり魔馬鹿マスターのことだ。今のうちに急かしておかなければ、期限なんて間に合うはずもない。
必要な資料を揃え、机に縛り付けておけば、嫌でもやるだろ。そのための準備をしなくては。
「にゃーーー!!」
どこからともなく、ミィの叫び声が聞こえてくる。その声に思わず、足を止めた。
その声は近くの休憩室から聞こえてくるらしい。声からして、相当慌てているみたいで、ミィに何かあったのだと思わせるのに十分だった。
「にゃ! にゃにゃにゃーーー!」
「え、ちょ! りゅっち!?」
ふむ? ミィだけでなく、兄貴もいるのか。
なら、大事ではない……? 少なくとも、ミィに危険はなさそうだ。兄貴の驚いた声に別の意味で少し、不安は残るが。
休憩室へ駆け込もうとしていた歩を緩めた辺りで、兄貴の制止声が響いてきた。
「わーー!! りゅっち! 待って待って!? ごめーーん! 行かないでぇ!? ってうわぁ!?」
何してんだ、うちの兄貴は。
「みぃいぃぃぃぃ!!!」
「おい、あに……って!」
兄貴に文句を言いながら入ってやろうと思っていたところに突然、ミィが休憩室の入口から飛び出してきた。そして、驚くおれと目が合うと、素早い方向転換の後、凄まじいジャンプ力でおれ目掛けて飛び込んでくる。
「にゃにゃにゃー!」
「まっ、おれ、今、手塞がってます、ちょ、ミィさぁぁんっ!?」
おれに飛び付くミィを見て、書類とミィを天秤にかける。そして、おれはミィを抱き止めることを選択した。
散らばる書類に足を取られてしまったのと、思いの外、勢いよく飛び込んできたミィの威力を殺しきれずに、後ろへと倒れてしまう。
「いってぇ~……! ど、どうしたんだよ、ミィ?」
「にゃあ! にゃう~!」
理由を説明するでもなく、ただただおれの胸に顔を押し付け、大号泣状態だ。
見たところ、変なところはない。怪我とか病気とかではないと思うのだが……如何せん、ミィにおれの能力は効かない。何があったのか直接聴けないのだ。
「ミィ、そんなに泣くなって」
こんなに泣くミィも珍しい。アルフ様関連なら分からんでもないけど、アルフ様がどこかへ行くなんて話は聞かないし、喧嘩したって話も聞かない。
判断材料がなさすぎる。……いや、待て。休憩室からは兄貴の声も聞こえてきていた。なら、兄貴なら、ミィの泣いている理由を知っているんじゃ?
「りゅっち! ごめんって、そんなショックを受けるとは思わなくて! 元に戻し……って、かーくん!? 大丈夫!?」
「おれはまあ、平気だよ」
ミィに遅れ、兄貴もまた休憩室から飛び出てきた。が、散らばった書類に廊下で座り込むおれを見て、こちらはこちらで驚いたのだろう。慌てて助け起こしてくれた。
そして、兄貴の手助けもあり、すぐに書類も集まった。せっかくなので、場所も休憩室のソファへと移動して、本題へ。
「さて、説明してもらっていいかな? ウィルにぃ?」
「あ、はい」
「ミィはなんで泣いてたんだ?」
「ちょっとした悪戯のせいです」
悪戯ぁ?
おれはぐすぐすと未だに泣き止まぬミィを宥めつつ、兄貴の話を聞いていた。
「ほら。少し前にかーくんと俺の髪の話、したでしょ? りゅっちが俺の髪でよく遊ぶ~ってやつ」
「あぁ、うん。覚えてる」
「で、なんとなく俺のアホ毛消してみたら、りゅっちはどんな反応するのかなーって思ってしまいまして」
「……今日、それを実行した、と?」
「はい。で、かーくんが遭遇した事態に合流するわけですね~……え、えへへ~♪」
笑っても誤魔化されんぞ。おれは。
兄貴の髪の話が出てきた時点でなんとなくくっだらねぇ空気は察してはいたが……なんだかなぁ。真面目に心配したおれの気苦労を返せ。
「まあ、なんもなくてよかったけど。……ったく、ミィ。んなことで大泣きすんなよ。見た目は子猫でも中身は大の大人でしょうよ、リュミエールさん。大先輩らしく、笑ってスルーしてくれませんかねぇ」
「みゃあ~!」
この感じは「私にとっては大事だよー!」って感じかな……いやいや、どう考えても、どうでもいいだろ。これ。
「兄貴も兄貴だ。こんなことに時間を割くくらいなら、もっと有意義に時間を使え。神の名が泣くぞ」
「神様でもくだらない無駄な時間は必要だよ」
「黙れ。やるにしても相手を選べ」
「すみません。つい、出来心で」
全く……まじでどうでもよかったな。こんなことに巻き込まれるとは、おれの運が悪かったのかもしれない。しかし、このままでは少し……いや、かなりまずいのは明白だ。
「ミィ。いい加減、泣き止め。でないと兄貴がまずいことに巻き込まれる」
「みゃ……?」
「俺? なんで?」
一人と一匹は不思議そうに首をかしげる。ミィはともかく、兄貴のその反応は駄目だろ。
「……あのねぇ、ウィルにぃさんや。ミィは誰の従者でどう扱われてるんでしたっけ?」
「? そんなの、ルフさんの従者さんで奥さんで、めっちゃくちゃ大切に……され、て」
思いの外、事態の深刻度は高いとようやく理解したらしい。兄貴はみるみる青ざめていく。ソファから立ち上がったかと思えば、床に正座し、切羽詰まったようにおれに─正確にはおれの膝に座るミィ─向かって懇願し始める。
「りゅっち、即座に泣き止んでください、お願いします! 一生のお願いです、りゅっちさまー!」
「み、みゃあ……?」
最初ほどではないにしろ、未だにポロポロと涙を溢すミィ。あと数分もすれば、涙は引っ込んでくれるかもしれない。
まあ、そんな猶予があればよかったんですけども。
「ウィ~ルくんっ?」
「ひぃ!? ル、ルフさん!? いつの間に!」
気配を殺し、兄貴の背後に立つのはニコッと笑うミィの守護者様こと、アルフ様である。笑ってはいるものの、当然、目は笑っておらず、兄貴の肩を掴むその手は必要以上に力が込められていた。
「あ、あの、これはなんでもなくて! 悪ふざけが過ぎたというか! なんかそういうやつでして!! 決して、りゅっちを泣かしたいとかそういう悪意はなくてですね!!」
「うんうん。話は大体聞いてたよ。まあ、ここじゃ何だし、あっちでゆーっくり話そっか? 二人でじっくりと、ね?」
「え!? 話を聞いてたなら、そこまで怒らなくても……ってか、二人!? 二人はちょっと都合が……あーー!! 掴まないで! やだぁぁ!!」
さよーならー……と。
ずるずると引きずられるように退出していく兄貴を見送り、おれは小さくため息をついた。
「マスターと言い、兄貴と言い……なんでアルフ様の怒りに触れるようなことをするんだろうか」
「み、みぃ~……」
放置してても泣き止むとは思うんだが……あぁ、もう! 仕方ないなぁ!
「おれの仕事が落ち着いたら、クッキーでも焼いてやる! だから、もう泣くなって!」
「みゃおー!」
クッキーという単語につられたのか、すっと涙が引っ込んだ。なんなら、先程までの大号泣は何だったのかと問いたくなる程の笑顔である。
「現金だな、お前」
「にゃ?」
「……まあ、いいや。先にマスターの部屋に行って、この書類を置きに行こう。で、まあ……資料集めは……明日でも問題はないか」
書類を届けて、クッキー焼いて……そのあとにアルフ様の話が続いていたら、兄貴の救出に行こう。続いていたらの話だが。



~あとがき~
粘っていれば、フォースのお菓子をねだれるのでは思っての行動だったら、策士すぎるぞ、ミィさん。でも、そんなことないと思ってる。

次回、フォースととある従者達の話。
今まではどったんばったんしてましたが、次回はそんなことないです。多分。

アルフさん、ここまで怒ることしかしてないな……(笑)
本当にこの扱いでいいのかと相方に何度も聞いたけど、「大丈夫( ^ω^ )」としか言われんかった。大丈夫らしいです。

ではでは。