satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神様達の日常記録 vol.14

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。今回はフォースと昔の友人達のお話の続き。



☆さくっと登場人物紹介のコーナー☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。クールな性格で制御者達のリーダー的存在でもある。能力を用いて、心あるものと会話することができる。

ルリ:綺麗な青色の小鳥。フォースの友達でもあり、現在はアルフさんの従者の一匹。

ガーラ:煜くような銀色の狼。フォースの友達でもあり、現在はアルフさんの従者の一匹。





★転生の神に仕えるもふもふ達★
ガーラを思う存分、撫でてやった後─その間、ずっとエルに撫でられることに対する不満を漏らしまくってた─ガーラは盛大なため息をついた。
『あんな奴がいるんなら、あんとき、アルフ様の従者になんて、なるんじゃなかったぜ』
『あら。あの頃はあの子、いないじゃないの』
ガーラの頭の上から、おれの肩へと移動したルリが呆れたように呟く。そんなルリの言葉に、ガーラも言葉を詰まらせた。
『いや、まあ……そーだけどよぉ?』
「……あの時?」
『えぇ。私とガーラがアルフ様の従者になった時の話……カルに話してなかったかしら?』
「おれ、二人が従者になった理由、知らないよ」
『あら、ごめんなさい。話したつもりでいたわ』
『あ~……オレも。そいや、再会した時も会えたのが嬉しすぎて、カルマに経緯とか話してねぇな』
ルリとガーラと再会したのは、鈴流と死に別れた後。ある程度、気持ちの整理というか、おれの精神が落ち着いてきた頃だった。それでも、どこか本調子でないとアルフ様に見破られてしまった。アルフ様から「君に会わせたい子達がいる」と聞かされ、訳も分からぬままついていくと、そこにルリとガーラがいたのだ。
恥ずかしい話、あの時は滅茶苦茶、驚いたし、大人げなく泣きまくったなぁ。泣いたのは思い出したくもねぇけど、再会できたのは滅茶苦茶、嬉しかった。
『せっかく時間もあるし、この際だから話してあげるわ。……でも、どこから話そうかしら?』
『だな。あ~……カルマ、オレらの最期は知ってるよな』
「……あぁ。知ってるよ。だって」
おれのせいで、二人は死んだのだ。
悪い大人に捕まらないようにと、おれを守るために死んでしまったのだから。
忘れるはずがない。忘れられるはずがない。
『あーもう! そんな顔すんなっ! 辛気くせぇなぁ!?』
ガーラに顔をペシッと尻尾で叩かれ、ルリには頬をふわりと翼で撫でられた。
『そうそう。それにあれがあったからこそ、私達はこうして、また出逢えたのよ』
『そうだぞ。今更、気に病むんじゃねぇ』
「ん。……ごめん」
『カル? そういう時は「ごめん」じゃないわ』
『もっと別にあるぜ。いい言葉がよ』
「……そうだったな。ありがとう、二人とも」
二人は満足げに頷く。
そして、ルリは「話を戻すと」と続ける。
『あの出来事があって、アルフ様はカルのお兄さんの代わりに転生の仕事に戻るようになるのは、知ってるわよね?』
「あぁ。元々はアルフ様がしていた仕事を兄貴がしてたんだったかな……?」
『おうよ。んで、転生の仕事をするようになったアルフ様の元に、オレらが行くって訳だ。一番乗りでな』
あぁ。なるほど? そういうこと?
アルフ様が仕事を再開させた時、初めて対面した魂がルリとガーラだった、と。
ルリは嬉しそうに頷き、話を続けた。
『アルフ様としては、カルを守って死んだ私達に、次はよい生を送れるようにと、手配してくださったのだけれど……この馬鹿がねぇ』
じとーっとガーラを見つめるルリ。おれも思わず、ガーラを見つめた。
『はんっ! 大したこたぁしてねぇよ。……その、アルフ様にちょっと頼み事をしたくらい?』
『はぁ? ちょっとぉ? あなた、天界にいるはずのカルに会わせろって、アルフ様に楯突いてたじゃないの』
クスクスと楽しそうに笑いながら話すルリだが、今現在、神に仕えるおれとしては、笑いながら聞ける話ではなかった。
「ガーラ!? 死んで早々に何してんの!?」
『うっせぇ!……魂になった状態でも、オレの鼻は健在でよ。天界に来てすぐ、お前の匂いに気づいたんだ。だから、カルマがここにいるって確信した。……それなのにあの神、気づかねぇフリしやがってぇぇ!!』
当時のことを思い出し、イラついたのか、前足をダンダンッと何度も振り下ろす。しかし、その前足はふかふかのクッションの上に振り下ろされてるため、なんの被害もない。ご丁寧に爪が引っ掛からないよう注意しながらである。
……周りに配慮できているし、意外と冷静なのかもしれない。
『びっくりしたわよ。魂になって、あまつさえ、神様に逆らおうとするんだもの。まあ、そんなガーラは、アルフ様に即大人しくさせられてたけどね?』
そりゃ、そうなるだろう。
アルフ様は転生の神。魂を次の生へ導く者だ。魂相手にどうこうされるお方ではない。
『でもね、大人しくさせられた後も、ガーラはカルに会わせろって聞かなかったのよ。会わせてくれなきゃ、この場で悪霊になってやるーって』
『……ふん。そこにいるって分かってて、会いに行かねぇわけがねぇだろ。天界にいるってことはよ、カルマも……って思うだろうが』
「ガーラ。嬉しいけど……なんか複雑」
『はあ!? 素直に喜べっ!』
あ、はい。嬉しいです。めっちゃ嬉しいです。はい!
『うふふっ! まあ、その甲斐あって、アルフ様の従者になれたんでしょうけれど』
『まあ、なったはいいが、実際に会えたのは大分後だったけどよ。なったばっかの時は、カルマの精神は壊れかけてて、すぐに会わせられる状態じゃねぇってさ』
「それは……ごめん」
『いいって。ちっせぇガキがあんな目に遭えば、誰だってぶっ壊れる。……ま、その後も、タイミングが合わないだの、今じゃねぇだとか、まーったくカルマと会わしてくんねぇんだよな、アルフ様!』
そもそも、おれはアルフ様の従者ではなく、マスター……ファウス様の従者だからな。そこら辺は仕方ないように思う。
『まあ、いいじゃない。こうやってカルとも出逢えたんだし。……でも、アルフ様が私達を受け入れたのは、なぜなのかしらね? 私達、元々は地上の生き物にすぎないのよ? いくらガーラがうるさく迫ったからといって、簡単に従者にするかしら? それにあの頃のアルフ様は、お力を取り戻したばかり。そんな時に私達を傍付きにした理由が未だに分からないのよねぇ? カルには分かる?』
そう言われると……どうなのだろう?
おれも元人間で、神に見定められた一人ではあるけど、おれには“強き力”の継承者であり、─当時は全く知らなかったけど─兄貴の封印の器という理由があった。しかし、ルリとガーラは違う。どこにでもいる生き物の一種にすぎない。
それに、二人はミィみたいに、アルフ様にとっての特別な存在でもない。
「ふーむ。……確かに、普段のアルフ様なら絶対にしない。説得して、次の生を受け入れさせるだろうな。つか、適当に喚いて従者にしてもらえるんなら、今頃、アルフ様は動物園の園長だよ」
『おい。カルマ? その言い草はオレへの当て付けか?』
『そうよね。いくらガーラが大騒ぎしてウザかったとはいえ、あなた程度の魂を無視することは可能よね』
『ルリ、てめぇもかぁ!?』
『事実じゃない』
『くそがぁ! 二人してオレを馬鹿にしやがってぇ!!』
ダンダンッとクッションに八つ当たりするガーラ。しかし、クッションに対する配慮は忘れていないので、被害はゼロ。とても賢くていい奴だ。
「まあ、なんだ。ガーラの訴えがあって、従者になったのは事実だから、そんな怒るなって」
『まあ? かなーりウザかったと思うけど?』
あの、ルリさーん? 追い討ち、やめてぇ?
「あはは♪ ルリやフォースくんの言うことも一理あるかもね~♪」
休憩室の入り口で一枚の紙をひらひらと見せながら、アルフ様が会話に入ってきた。
『アルフ様!』
「やあ、二人に次のお仕事持ってきたよ~♪」
『ありがとうございます、アルフ様。では、早速……あ、でも』
ルリはちらりとおれを見る。まだ話したりないとでも言うように。ガーラも言葉にしないものの、おれとまだ離れたくないという気持ちが聴こえてきた。
「この案件、そんなに急いでないし、出発はまだ大丈夫だよ。だから、フォースくん。君さえよければ、ルリとガーラともう少し、お話ししてくれないかな?」
「! もちろんです、アルフ様」
『ありがとうございます、アルフ様っ♪』
『……本当にいいのかよ?』
「うん。君達は天界にいる方が少ないし、こうやってフォースくんと会えないだろう? だから、今日くらいは思う存分、話しなさい♪ で、さっきの話をちょこっと聞いちゃったんだけど」
……うん? あぁ、ルリとガーラを従者にした理由、ですか?
「そそ。僕としては、そこまで深い理由はなかった、が答えだよ。あの頃、前々からミィ以外の従者を増やせって言われていてね? で、そんな時に僕の従者にするための条件に当てはまる、ルリとガーラがやって来て、特例として従者にしたの♪」
『条件?』
「うん。僕が従者にする条件はね? 強靭な精神力を持っていること、これが最優先事項なのさ。まあ、他の決め手としては、二人とも元々、動物で僕の遣いにしやすかったってのもあるけど。ほら、僕の仕事って、地上を彷徨う魂の回収でしょ? そういうのって、動物の方が都合いいんだよね~♪」
そういえば、アルフ様の従者はミィを含めて動物が多いな。そういう理由か。
「……で、話は変わるんだけどさ。フォースくん」
「? はい」
「あっちの方でファウスさん、液体みたいにぐでーっと溶けてたよ? 大丈夫?」
大丈夫じゃないっすかね。ぐでっとするのは、いつものことなんで。
「あ、そうじゃなくってね。仕事、大丈夫かなって話」
「……仕事、ですか?」
「うん。確か締め切りは今日かな? ファウスさんから僕に渡すはずの書類があるとか、なんとかってユウくんから聞いててさ。終わってるなら、ぐでっててもいいんだけど。でも、僕、その書類もらってなくて?」
アルフ様はにこにこと笑いながら話す。
おれもまた、にこりと笑って見せた。
「恐れ入ります、アルフ様。少しの間、ルリとガーラをお借りしても?」
「うん。いいよ~♪」
「ありがとうございます。……いいかな、二人とも」
『えぇ。カルの頼みなら聞かないわけにいかないわっ!』
『オレ達に任せとけ。カルマの主さんが逃げてもすーぐ見つけてやっから♪ 乗れよ、カルマ! ひとっ走りして、噛みついてやるぜ』
了解。頼りにしてる。
「あ、ガーラ? 噛みつくのはいいけど、手加減はするんだよ?」
『わーってますよ♪』
あ、アルフ様的にも噛みつくのはいいんだ。
おれはアルフ様に一礼すると、ひょいっとガーラに跨がる。おれを乗せたガーラは力強く地面を蹴りあげ、いきなりトップスピードで走り出した。
「わ、ばっ……か! 速すぎだろ!?」
『はっ! なんなら、もっと速くできるぜ?』
『ねぇ? このまま、カルの主様に突進しましょ。突進♪』
……ま、いいか。それくらいしても仕事をしなかった罰にもならないし。



~あとがき~
ちょいと長くなってしまいましたが、ご愛嬌ってことで許してください。
そして、どう頑張ってもファウスは酷い目に遭う。そんな運命に立ち向かえ、ファウスや。来年はいいことあるさ。まあ、相方の気が向けばな。

次回、レイ学本編へ戻ります。
祭りの前日のお話。つまり、まだ祭りはやらん。

ルリとガーラと話すときのフォースは、若干いつもより子供っぽくというか、いつもみたいに大人びたような、クールな話し方をしてません。無意識的にカルマだった頃を思い起こさせるからですかね。
ウィルと話してるときにもごく稀に出てきますが、ルリとガーラ程ではないです。もしかして、ルリとガーラの方がお姉さんお兄さん力があるのでは?? ウィル、頑張れ。

ではでは。