satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第289話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ようやく女神祭前日譚が終わりました! やったね!
今回から! お祭りパートです!
楽しんでいくぜぇぇ!!
ラル「リアルは冬ですが、こっちは夏です。いえーい」
暖かいお部屋で書いてるから、気分は夏だよ。大丈夫。


《L side》
女神祭当日。
心地よい風が吹く晴天の中、祭りの開催を告げる花火の音が鳴り響く。それに一瞬遅れ、街の人々、観光客達の歓声も聞こえていた。
目的の屋台や店へ向かう人達、道で披露される大道芸を楽しむ人達、どこへ行こうかと楽しそうに散策プランを練る人達……本当に色んな人がこの祭りを心待ちにしていたのだろうと感じられる光景であった。
そんな中、私とティールはお祭りを楽しむ人々に紛れ──るわけでもなく、ギルドを正面に一望できる噴水広場近くのとある場所にいた。今回の祭りの運営拠点、『女神祭本部』内である。
探検隊仕様の私とティールは、騎士団服姿アラシ君に連れられ、一人の男性と対面させられていた。
アラシ君と同じような服ではなく、見るからに上官ですって感じの軍服。短髪のがたいのいいおじさまである。
「……二人は会うの、初めてだよな? まあ、この状況で察しがつかないことはないと思うんだけど、一応、紹介しとく」
「スプランドゥールの近衛騎士団団長、フェゴ・フェルドだ。いつも息子達がお世話になっているな」
アラシ君似というよりは、イグさん似のフェゴさんは、爽やかな笑顔でご挨拶をしてくれる。性格もイグさんみたい(?)に親しみやすい感じです。いや、あの人を親しみやすいなんて言葉で表現してもいいのだろうか?
「頭が混乱してます、助けて相棒」
「ぼくも似たようなものだよ」
……ええい。空気に飲まれるな、こちらも挨拶せねば。
「こちらこそお世話になっています。私は探検隊スカイのリーダー、ラル・フェラディーネです。こちらは私のパートナーのティール・クランド。微力ながら、我々もお手伝いさせていただきます」
「あぁ、よろしく頼む。とはいえ、そんなに畏まる必要もないぞ」
畏まるわぁぁ!! 言ってみれば私らは雇われ一般兵! あなたはその指揮官。上下関係! 大事!!
……ってのが通じるような人じゃないんだろうな。この人と纏う雰囲気で分かる。なんなら、イグさんの父親ってだけでなんとなく察してた。
「さて、仕事の確認をしよう。二人にやってもらいたいのは、舞披露後、神子様の警護。つまり、ツバサとツルギの警護だ。だから、夕方までは自由にしていて構わない」
……なんと。
一日、警備隊として働くもんだと思ってたんだけれど。
「お前達はルーメンさんの依頼でここにいる探検隊だが、それと同時に客人でもある。それに、お前達にとっては高校最後の夏だろう? 半日とはいえ、思い出作りとしてここの祭りを楽しんでくれ♪」
「フェゴさん、イグさんの何十倍も優しい……イグさんみたいな見た目なのに、滅茶苦茶優しい」
「それは言い過ぎだろ。フェゴさんもイグさんも同じくらいだって」
「馬鹿! ティールはイグさんの本性を知らないだけだよ!! 現実を見ろ!? あの人は悪魔で鬼ですけど!!」
「お前、他人の兄を悪魔とか鬼とか言うなよ? ってか、兄貴にいつも何されてんだ……?」
「一言で言えばサンドバック」
「はあ!? 誤解を招く言い方しないの!!」
えぇ……間違ってないと思うんだけどな。
まあ、冗談はさておき。
依頼されたものが神子様の警護でそれが夕方から。だから、時間が来るまでは遊んでいいと言われても、はいそうですか、とはなれないのが心情ってやつで。
「私達は本来の警護時間まで、警備のお手伝いしますよ。一応、遊びに来たわけではないですし」
「ふむ。……それなら、アラシ。準備したアレ、渡してやれ」
「え? アレって……親父が細工するようにって指示してた通信機のことか?」
「そそ。もしかしたら必要になっかな~って準備してたやつ。……それから、この場に俺らしかいないとはいえ、『親父』呼びするんじゃないっていつも言ってるだろ」
と、フェゴさんは笑顔でアラシ君をデコピンする。見た目、そこまで痛そうに見えないのだが、された本人はおでこを抑え、若干涙目になっている気がする。多分、そこそこ痛かったんだろう。
馬鹿力は親子共々、健在なのだろう。怖いわ。
アラシ君は自身のポケットから小さな通信機を取り出すと、私とティールそれぞれに手渡してくれる。見た目はどこにでもある普通のやつだ。私達も普段から使うような耳に付けて、通信するやつで。
「それは特定の相手にのみ繋がる無線機だ。二人が祭りを楽しんでいる間に不審者を見つけたら、そこに連絡を入れてくれればいい。それと、これも渡しておこうか」
今度はフェゴさんが腕章を手渡す。祭りの関係者がつけているものと同じものだ。
「先程は客人と言ったが、同時にギルド関係者でもあるからな。分かりやすいだろう?」
まあ、つけろと言うならつけますけど。
「……あの、不審者を見つけたらどう対処するとか……そういう決まり事ってありますか?」
私の質問にフェゴさんは一瞬、ぽかんとすると、豪快に笑い飛ばした。
「そんなの俺達の方でやるから気にするな! 二人には見つけたという連絡をするだけで構わんよ。アラシがどうにかするから、二人は楽しむといい!」
「え、待って。俺が対処すんの?」
初耳ですが、という反応のアラシ君。そんなアラシ君にフェゴさんはニッと笑う。
「そうだ。二人に渡した通信の相手はアラシだからな。そもそも、今回の祭りの警備統括はお前なんだから、当然だろ?」
「当然だろ?……じゃねぇし。いや、いいけどさ。今更、連絡相手が一人二人増えても問題ないけども」
「おうおう! 頼もしいな、我が息子よ。じゃ、ちゃーんと対処しろよ~? ってことだから、二人は遠慮なくアラシを頼れな♪」
はーい。
……とはいえ、見つけたら、真っ先に捕まえて捕縛してしまった方が楽なのでは? どこどこで見つけました~……って連絡して、その相手を見失ったら元も子もない。
「おい、ラル。頼むから余計なことはするなよ? 俺の仕事を増やすなよ?」
何を思ったのか、謎の忠告をしてくる、アラシ君。
「大丈夫だよ。要は悪いやつは捕まえとけばいいんでしょ」
「いや、お前は捕まえなくていいからな?」
「時と場合によるかなぁ」
「よりませんけど!? 俺の指示に従え!?」
善処しまーす。
「あ~……アラシ、覚悟してた方がいいかも。多分、色々あると思うな」
「そう言うならティールが事前に止めてくれ」
「それで止まるなら、こんなこと言わないよ?」
「……こんにゃろ」
二人にして何を心配しているのやら。
「さて。何かあったら、その無線機でアラシに指示を仰ぐといい。時間になったら、ここに来てくれたらいいから」
りょーかいです。
「で、アラシ。祭りが終わった後の話がしたいから、こっち来い」
「は? それ、今するひつよ……はい。行きます、行かせていただきます……!」
フェゴさんの有無を言わせない笑顔にアラシ君はがっくりと肩を落とす。
「はぁ……じゃ、ラル、ティール、また後でな」
「ほーい。まったね~」
「行ってらっしゃい、アラシ」
と、フェゴさんとアラシ君が本部を去っていく。
私達は私達で思いがけない自由時間ができたわけだが。どうするかな。
「ラル、この後どうする?」
「ま、あれほど祭りを楽しめって言われちゃったし、楽しむしかないんじゃないかな。とりあえず、しーくんと合流しよう。しーくん、舞の最終チェック終われば時間あるって話だし、一緒に祭りを回ればいいかなって」
「うん。そだね。じゃ、雫を迎えに行こう……と、思ったけど、その必要はなさそうだね?」
うん?
ティールが示す方角を見ると、こちらへ駆け寄ってくるしーくんと、その後ろにメアリーさんの姿が。
しーくんはともかく、なぜ、ツバサちゃんのお付きメイドさんのメアリーさんまで一緒なんだ?



~あとがき~
新キャラだったり、懐かしのキャラだったりでしたね。

次回、メアリーさんがやってきた理由とは。

祭りだ祭りだと騒ぎましたが、祭りっぽいことをまだやってないです。もう少ししたら、ラル達に祭りを楽しんで貰うつもりなのですが……!

ではでは。