satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第348話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でペコペコしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、元気になったツバサちゃんの手により、ティールも元通りになりました。
今回はその後の話です。


《Te side》
ラルの言葉で昨日のあれが夢じゃないことを理解した。
突然、幼児化し、記憶もその当時までに巻き戻ってしまったこと。
そのせいで、ラルや雫を忘れてしまったこと。
ラルの手引きによって、両親に思いの丈をぶちまけ、本来の子供らしさというか、あるべき姿に戻れたこと。
その夜、その反動からか両親に滅茶苦茶甘えまくった等々……全て思い出し、あれが嘘でもなんでもないと理解してしまった。
いや、あれが実年齢なら可愛いもんだけど、本来はこっちだ。もう高校生なんですがっ!!
「……人生最大の黒歴史になりそう」
「うぅ……本当にごめんなさい、ティールさん」
ツバサは何度もそう謝り、雨に濡れた小動物並みにしょんぼりしている。
事情はアラシやレオンが説明してくれたので、把握はしている。それを聞いた上で、ツバサに悪気はないとぼくも思っていた。あれは事故で、たまたまぼくが近くにいたから起こってしまった現象なのだ。
「大丈夫だって。あれは仕方なかったんだろうし、こうして元に戻してくれたから気にしないで。今はなんともないし」
ティールさん……」
「俺も悪かったよ。バタバタしてたとはいえ、ツバサの魔力暴走の話はするべきだったな~……って。そしたら、ティールが縮むなんてなかったかもだし?」
レオンも申し訳なさそうにしながら、ペコッと頭を下げる。
まあ、事前に聞いていたら、不用意に近付かなかったかもだけど。それであれを防げたかは今となっては謎である。それに……
「……ある意味、ぼくでよかったかも」
「? と言うと?」
「ラルや雫に被害……って言うと違うかも知れないけれどさ。二人に何かなくてよかったから」
今回はたまたま体が縮むだけ……幼児退行するだけに留まったけれど、それはぼくだったからそうなっただけかもしれない。
仮に同じことになったとして、ラルにはぼくと出会う以前の記憶がない。そんな状態の彼女がぼくと同じように幼児退行なんてしたら……なんて、考えたくもない。
雫だってそうだ。何かあったらなんて、考えたくもない。
「それにさっき、父も言ってたけど、いい機会になったよ。多分ね」
「そう言ってくれるんなら……こっちとしてはありがたいけどなぁ」
「ぼくも不注意だったし、幼児化して迷惑かけたから……お互い様ってことで手打ちにしよう?」
あまり掘り返したくないことばかりだし。うん。
「はい。……しーくん、本当にごめんね」
「……むぅ」
ツバサはぼくにくっついて離れない雫と目線を合わせるものの、目を伏せながら謝った。しかし、雫はむすっとしたまま、ツバサを見つめるばかりだ。
そりゃ、ぼくが開口一番、雫に向かって、「誰ですか」なんて言ったらなぁ……拗ねますよね、はい。
ラルが雫にどう説明したかは分からないけれど、少なくともこの状況を見ていれば、原因はツバサの魔法であるのは一目瞭然だ。となれば、怒りの矛先─怒ってるかは分からないけど─は彼女に向いてしまうわけで。
「…………やだ」
たっぷり考えた上で、雫はツバサの謝罪を受け入れなかった。
その答えにツバサはショックを受けたようで、その場から動かなくなってしまう。
「ツバサお姉ちゃんがまほうかけたから、ティールはわすれちゃったんだもん。……かなしかったから、ゆるさない」
「雫、ツバサだってわざとじゃ」
「ラルだって、かなしそうだったもん」
……ラル。
ぼくはラルに視線を向ける。
「──昨日のティール、すっごく可愛かったんですよー! 素直で甘えたさんだったんですっ! ラルちゃんにも見せたかったですねぇ」
「素直なのは今更ですけど、甘えたは見たことないので見たかったですね!」
「写真に残せばよかったです。ねえ、ブライト~? ブライトにもだいすきーってしてましたもんね?」
「……そうだったかな」
「ラルちゃん、ブライト照れてます! 照れてますよー!」
「久々にティールからの愛情表現だったからですかねぇ~♪」
……あれのどこが悲しそうにしていた人なんだ? っていうか、なんつー話をしてくれてんの、あの母親はっ!! 後でどうにかしなくては……でも、今は雫とツバサの仲を取り持たないと。そのためには雫の機嫌をどうにか直さないと始まらない。
ぼくは雫と目線を合わせ、ぽんぽんっと優しく頭を叩く。
「ごめんな、雫」
「…………ティールはもう、わすれない?」
「忘れない。というか、あんなの何度もあってたまるか。……だから、大丈夫だよ」
「ぜったい?」
「絶対……そうだね。絶対忘れない」
本当のところ、あぁいうトラブルはよく遭う方な気がするので、絶対大丈夫かと問われると困ってしまうのだが。けどまあ、幼児化&記憶巻き戻しに見舞われるのは、今後そうないだろう。
「……じゃあ、ゆるしたげる」
「ありがとう。……ツバサのことも、許してあげられそう?」
「…………あとで」
後でか~……まあ、やだって言われるよりはましか。
「ツバサ、もう少し後なら、雫の機嫌も直ると思うから、その時にもう一度、話しかけてみて? その時はきっと普通になってると思うからさ」
「うぅ……分かりました……」
雫だって、ずっと根には持たないだろうから、大丈夫なはずだ。言ってみれば、ちょっとしたすれ違いで喧嘩したようなものだろう。前向きにとらえるのなら、これはこれでいい経験かもしれない。
お互い気の済むまで(?)謝り倒したところで、ぼくはラル達の方を見てみるも、そこにはラル一人しかおらず、両親の姿はなかった。
「……二人は?」
「ん? 仕事があるからってどっか行っちゃった。ティールはツバサちゃん達と話してたし、邪魔しちゃ悪いからってそっと抜けてったよ」
と、優雅にティーカップを傾けながら教えてくれた。
父上はともかく、母上は何か突っ込まれたらって考えたんじゃ……まあ、いいか。いないもんは仕方ない。
ぼくから少し遅れて、ツバサがラルの元へと駆け寄ってくる。その勢いのまま、思い切り頭を下げた。
「ラルさん! ごめんなさいっ! ラルさんにもご迷惑をおかけしてしまって」
「え? あぁ……いや、私は別に」
しょぼんとするツバサにラルもどう話そうか少し悩んでいるのか、困ったように笑っていた。
「そんな顔しないで。……終わりよければ全てよし、だよ。ティールも元通りになったわけだし……ね?」
「ふにゅ……ラルさん……!」
「ツバサちゃんが元気になってよかった」
ラルは小さく微笑み、その場から立ち上がると部屋を出ていった。
……なんだろう。いつものラルなら、元気になったツバサをモフモフというか、撫でるくらいはしそうなものだけれど。結構、淡白だったな。病み上がりのツバサを気遣った……? いや、それだけが理由なのか?
さっき、雫が「ラルも悲しそうにしていた」と言っていたのは、あながち間違いでもないかもしれない。

ツバサ達と別れた後、ぼくは雫を連れ、その足で母上の元を訪れた。仕事中の母は突然訪れたぼくを邪険にせず、笑顔で出迎えてくれた。
ティール、どうかしましたか?」
何もなければ、昨夜の醜態を言いふらすなと釘を指すところだが、それよりも聞きたいことがある。
「昨日、ラルの様子って母上からどうでしたか? ぼくの目にはいつも通りに写っていたように思うのですが……フィルターかかって見えてた気もしなくはないので」
「? ラルちゃん? 特に変なところはなかったと思います。流石、頼れるリーダーって感じでした~♪」
頼れるリーダーね……
「母さん」
「? なぁに?」
「少しの間、雫を見ててくれないかな」
「それは構いませんが……ティール、今日は急ぎの仕事はなかったと思うわよ?」
「知ってる。……仕事じゃなくて、私用だから。……ごめん、雫。ちょっとラルのところに行ってくるね」
「ん! いってらっしゃい!」
笑顔で手を振る雫に手を振り返しながら部屋を出た。
……さて、どこにいるかな。



~あとがき~
一話では終わらんかった。

次回、ラルとティール。
闇落ち寸前(もう手遅れ感もなくはないが)の彼女をティール君に何とかしてもらいやしょう。

もうちょい軽い感じの終わり方を想像していたんですけど、私が調子乗ってシリアス増したせいで、軽く終われませんでした。
大丈夫。この話が終わればいつもののほほ~んなやつに戻るんで!!

ではでは。