satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第350話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルの抱えていた闇部分をぶちまけたところで終わりました。なんなんや、あいつら……
このレイ学のジャンルってコメディとかそういう明るいやつだったと思うんだけど……闇部分なんていらなかったはずなのに。なぜだ???


《Te side》
溜め込んでいた思いを全て吐き出して疲れてしまったのか、しばらくするとラルは静かに寝息を立て始めていた。
そんな彼女をベッドに寝かせてやり、そっと頭を撫でる。
……正直なところ、あそこまでラルが弱ること自体がレアなので、どこか嬉しく思うぼくがいる。許してくれ、ラル……!
「まだお昼前だけど……おやすみ、ラル。ちょっと出てくるね」
本当なら起きるまで傍にいてやりたいんだけど、ぼくは少しやることがあった。
……父上と話の続き、約束しておかないと。
そう思い、ラルの部屋を出て、そのまま父上の執務室へやってきた。ラルの話では父上はサロンを出た後、仕事をしているらしいので、恐らくここにいると思うのだが。
ノックをし、部屋の中から返事が聞こえてきた。扉越しでくぐもった声だったけれど、父上の声だ。
「……ティールです。今、少しだけよろしいですか?」
「入れ」
その言葉を聞き、ぼくはそっと扉を開ける。
初日と変わらず、何かの書類仕事をしている父はぼくを見ず、淡々と仕事を片付けていた。
昨日の件もあり、仕事が滞ってるのかもしれない。けど、正直なところ、父上の顔色というか調子というかその辺はいつも通りなので、判断しかねる。
「お忙しいところ申し訳ありません……陛下」
「構わん。……用件は?」
「昨日はご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」
「……先程も言ってなかったか」
言ったけど。
「面と向かって言っておこうかな、と。……母はともかく、陛下には……父上にはお時間を取らせてしまったので」
「問題ない。あれくらい、仕事に支障が出る程ではない」
それもあるけど、他にも色々やった気がするんだよな~……恥ずかしいから言わないけど!
父上はちらりとぼくを見る。
「用件はそれだけか?」
「いえ、どちらかと言えば、こちらが本題で……その、先日の話の続きをどこかでしたいと思っています」
「……話?」
「はい。……お時間のある時にお願いしたく」
父上はしばらく考え込んだあと、書類に滑らせていた筆をぴたりと止める。
「…………あぁ。本来なら昨日するはずの」
「はい」
「分かった。今日の晩に時間を作る。夕食後、改めてここに来い」
「ありがとうございます。失礼しました」
ペコリと頭を下げ、父上の執務室を出る。
部屋を出てすぐ、ぼくは長いため息をつきながら、その場にへたり込んだ。
「き、昨日の今日であそこまで変わらないってある……?」
昨日は幼児化したぼくと話して、夜も一緒に寝たのに……あそこまで変わらないもんなのか!? いや、何か変わってても驚くんだけど!
なんというか……よくも悪くも父上は父上だ。らしいと言えばそれまでだが。
いや、変わっていない方がありがたいか。変に力を入れる必要もないわけだし。
話をするって約束もできたことだし、ラルのところに戻ろうかな。

父上との約束の時間が近くなった辺りでラルがゆっくり体を起こしてきた。
ちなみに、雫の世話は母上がウッキウキで相手していたので、いっそ一日任せることにしたのは内緒である。雫が寝た辺りでこちらに連れてきてもらえる約束にはなっているが。
「随分寝てたね? もう夜だけど……おはよう?」
「……うん」
ぼーっとどこかを見つめていたラルだったが、意識が覚醒してきたのだろう。自分が何をしたのか思い出してきたようで、隠れるように布団を自身の方へ引っ張った。
そんな布団からちょこんと顔を覗かせつつ、ラルがぼそっと何かを呟く。しかし、ぼくと距離もあってか、よく聞き取れなかった。ぼくはベッドに近づき、傍に座って安心させるようににこっと笑ってみせる。
「ごめん、遠くて聞こえなかった。よかったら、もう一回言って?」
「…………ごめん」
「? 何が?」
「わけわかんないこと、いっぱい言っちゃったなって。……困らせちゃったよね」
「あ~……正直、ぼくはあれを全部理解してないのが本音だね。けど、困ってないから安心してよ」
「……」
ラルはなぜかぼくと目線を合わせようとはせず、布団にくるまったまま、そっぽ向いていた。
「もしかして……恥ずかしがってる?」
「……それ、口にして言うこと?」
「図星なんだ」
「…………うっせ。我ながら、子供っぽいといいますか、駄々っ子だったなって思ってるんです。……恥ずかしいに決まってるでしょ」
とはいえ、あれはあれでラルの本音だと思うんだけどな~?
「ぼくは嬉しかったけど?」
「は? なんで。私のヒステリーなとこ見て、何が嬉しいわけ?」
「ラルの中でぼくは特別枠だったって知れたからかな。理由はなんであれ、誰かの大切なところに置いてくれるって言うの? そう思われてるのは悪い気しないだろ」
たっぷり十数秒の沈黙の後、ラルは盛大なため息をつく。
「……筋金入りの馬鹿だな、お前は」
「なぜそうなる……?」
「相手が私でよかったね。私はティールのダメダメなところも知ってるので、これでトントンです。よかったよかった」
「何が!? 全然繋がらないけど!?」
ラルはそれ以上説明する気はないようで、ふわりとあくびを漏らす。
「今更だけど……しーくんは?」
「母上のところ。多分、母上と遊んでる。昨日、ぼくがあんなんになって、ちびっ子と遊びたいみたいだから、気にしなくていいよ」
「ふうん。……今、夜なんだよね?」
「まあ、そうだね」
「じゃ、もう一回寝る……昨日、寝れなかったから」
「え。ご飯とか着替えとかは……」
「適当にやる。おやすみ」
そう言うと、ぼくに背を向けた状態でごろんと寝っ転がり、ぼくがいくら声をかけても返答してくれなくなってしまった。
いや、あの……着替えはともかく、ご飯を適当とは……? ここ、ぼくらの自宅ではないんですけど……?
しかし、ラルが起きてくる様子はなく、どうしようもなくなってしまった。
うーん……とりあえず、元のラルに戻った……のか? 分からないけど。
約束の時間もあるし、そろそろここを離れないとな。
聞いてるか謎だが、一応、声をかけておこう。
「ラル。ぼく、今から父上と話があるから行くね? 今日は……部屋に戻る前にもう一度、覗きに来るよ。……おやすみ」



~あとがき~
短いんですけど、きりがいいので終わります。最近、安定した長さを維持できないのが悩み。うぐぐ。

次回、ブライトとティールの話。

幼児化事件関連の話もあと少しで終わるぞい。まあ、私のあと少しって、あんまりあてになりませんけどね!
こっから、十話も書くことはないんで大丈夫。大丈夫。

ではでは。