satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第403話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アルドアーズの話に乱入してきたルーメンさんとわちゃわちゃっとしてました。


《Te side》
帰りの馬車は行きと同様、王宮の正面で待ってくれているらしく、話を聞くに、ぼく達以外の人達は、すでに準備を終えているらしい。
「セラおばさんも、もう来てくれてるし、ブライトさんやセイラさんも見送りに来てくれてるぞ」
「ブライトさん達まで?……なんか申し訳ない」
「ん? あぁ、気にしなくていいと思うぜ。おばさん、セイラさんと楽しそうに話してたし」
本当に、セラフィーヌさんは母上と仲がいいんだな。セラフィーヌさんがこちらにいらっしゃってから、そういう光景を見かける頻度が高いような?
「ふぉふぉ♪ セラは昔からセイラさんにべったりじゃったからの~」
それはもう……今までの話からも、察してましたけど。
お祖父様は小さく首を傾げつつ、どこか感心したように声を上げる。
「ブライトが見送りとは、珍しいこともあるものだなぁ? ティールとの仲をより戻したからなのか……?」
「それもあるかもしんないっすけど。……多分、迎えに俺の親父が来てるからだと思います」
アラシのお父さん……騎士団長のフェゴさんか。いやでも、そう言われても、フェゴさんと父上の関係性が何なのか、分からないけども。
お祖父様はアラシの説明で納得したみたいだけど、ぼくらは、いまいち理解できていない。
そんなぼく達を見て、ルーメンさんは楽しそうに笑う。
「ふぉふぉ♪ 行けば分かるぞ~」
……そりゃ、そうだろうな。

王宮の正面まで来ると、アラシの言っていた通りの人達が集まっていた。
ルーメンさんと一緒に来たと思われる商人達、帰り支度を進めてくれていたであろう王宮の人達やアラシ率いる騎士団。
そして、父上達。
母上とセラフィーヌさんは、互いの別れを惜しんで─主にセラフィーヌさんが─いる横で、父上とフェゴさんが会話をしている。
「またしばらく、お姉様とは会えないと思うと寂しいですが……仕事が落ち着いたら、また来ますね!」
「うん。その時は連絡してね。突然だと、都合がとれないかもだから」
「大丈夫です。ライトくん以外に突撃訪問なんてしませんよ~♪」
それはそれでどうなのだろう。
母上達のは、見慣れた光景だけど、父上とフェゴさんって何、話すんだろ。
悪いと思いつつも、ラルと一緒になって聞き耳を立ててみる。
「……世話になったな、色々と」
「それはどういう意味だ?」
「色々は色々だ」
「ふぅ~ん? まあ、俺は何もしてないけどな? 時々、セラから話を聞いていた程度だ。……けどまあ、よかったなって言っとくよ」
いたずらっ子のような笑みを浮かべるフェゴさんに、父上はばつの悪そうな顔をしつつも、こくりと頷いた。
「……難しいもんだな、親って」
「あっはは! 確かにな! 難しいよなぁ、分かるわ~」
「お前、本気でそう思ってんの?」
「思ってる思ってる。めちゃくちゃ思ってます」
「嘘臭いんだけど」
「んなことないぞ? あ、そうそう。合同訓練、サンキューな? アラシ含め、新人らを一手に引き受けてくれて」
「おい、話逸らすなよ。……まあ、いいけど。それこそ、それに関しては、俺は何もしてない。あれはゼニスが指揮していたし……とはいえ、うちの騎士団達にも、いい刺激になったってゼニスも言っていたし、今回の訓練は大成功なんじゃないか?」
「そりゃ、何よりだ♪ また何かあったら、ルー爺経由で連絡してもいいか?」
「もちろん、構わないよ」
父上、フェゴさん相手には、かなり砕けた口調で話すんだな。
そんなやり取りをしている二人を見てなのか、母上達が小さく笑い、会話に参加してくる。
「ほ~んと、昔から仲良しだね~」
「ですです。私としては、いつの間にか仲良くなってたんですけどね。フェゴとライトくん、いつの間に仲良くなったんだろ~って昔から思ってますよ? ライトくんの口調訓練をしてたのは知ってますけど」
「どの口が言ってんだ、こいつ」
「本当にな。……我々の仲を深めるきっかけを作ったのは貴女ですよ、セラさん?」
「えぇ~? 心当たりないんだけどなぁ」
「「マジかよ、こいつ」」
……なんだろう。昔からの友人って感じの空気感だな。表現があってるのか、分かんないけど。
「話には聞いてたけど……父上が実際に砕けた口調で話すのを見るの、違和感が凄いなぁ」
「まあ、私達が見慣れてるのはいつものブライトさんだもん。仕方ないね」
隠れていた訳ではないのだが、ここでようやくぼく達の存在に気付いたらしい。母上がこちらに向かって、手を振った。
「あら、いつの間に! 待ってましたよ、ティール♪ ラルちゃん達も♪」
「お待たせしました、母上。……あの、母上、先程の父上は」
「ん~……? あぁ、ブライトの口調? フェゴ君相手だと、いつもあんな感じですよ」
「昔、ライトくんの性格を徹底的に変えよう大作戦があってね? フェゴと特訓してた時期があったのよ」
セラフィーヌさんがにこやかに笑いながら、父上の口調について教えてくれる。
「……でも、なんで口調というか、性格を変える必要が……と、思ったけど、海の国の情勢のせいか」
「うむ。ラルの予想通りの理由じゃ。当時はあまり治安がよくなくてな? ライトの身を守るためにも、その方がよいと思うてな。つまるところ、変装の一種じゃな」
「送り出したこちらとしては、あの融通の利かないブライトが、あぁも風変わりするとは思っていなかったがな。どのような手を使ったのやら」
流石のお祖父様でも、その辺を予測していなかったってことか。まあ、予測するもんでもないけど。
「ふふ♪ 私としては、普段見られないブライトが見れて、いいですけどね~? 今じゃ大変貴重ですよ! 流石に公共の場ではいつも通りに話しますけど。そうじゃなきゃ、あの二人はいつもあんな感じです♪」
普段、砕けた口調で話す必要がないし、父上の性格上、それが合わないから使わないのだろう。
だからだろうか。母上は大変、ご満悦の様子だ。言葉通り、普段、見られない父上の姿を見られたから、なのだろう。
「昔はあちらが当たり前だったので、よく耳にしましたけれど、今はもう繕う必要がないでしょう? だから、レアなんですよ、俺口調のブライト。頼んでもしてくれないし」
……そりゃあ、しないだろうな。父上だし。
母上が未練がましく、じーっと父上を見つめる。この視線を無視することができなかったようで、父上が呆れた様子で「なんだ」とこちらを見る。
「ブライトの変化に、ティール達がびっくりしてたんです~! その説明をしてたんですよ?」
「……あぁ、それはすまなかったな。驚かせてしまったのか」
「あ、いえ。話には聞いてましたので……お気になさらず。しかし、父上もそのように話されるんだな、とは」
ぼくのこの言葉に、父上は思わずと言った様子で苦笑を漏らす。
「今では、フェゴと話す時だけなんだが、未だにその癖が抜けなくてな。……こいつと話す時は、絶対にこう話さなければと……何て言うのだろう。擦り込みみたいな感じだろうか」
「俺はいいけどな。困らないし」
「そうだろうな。……まあ、直そうと思えば直るんじゃねぇの?」
「ほ~う? 本当か? こっちに戻っても、今まで変えてこなかったのに?」
ニヤニヤと笑うフェゴさんに、父上もニヤッと笑う。
「別に変える必要がないから、変えなかっただけに過ぎないからな。なんなら、今からでも変えてやろうか?」
「お~お~! いいね、強気じゃねぇの。まあ、すぐにボロが出そうだけどな~?」
「……否定できないのが悔しいな。フェゴ相手には『私』としてよりも、『俺』である方が楽に感じるんだよなぁ……? 他の人じゃ、そうはいかないのに。……ティール達が違和感を感じるのなら、直すよう努力するが」
「へ!? あぁ、いえ。ぼくはそのままでいいと思います。それ程、フェゴさんを信頼している証でしょうから」
「信頼……信頼、ね。まあ、そうかもしれんな」
「昔、一緒になってじゃじゃ馬娘を御した仲ではあるし、そういう意味では戦友かもな……?」
「ははっ……そら、そうだ。言えてんな」
苦労したんだなぁ……まあ、何がとは言わないけど、ね。
しばらく、集まった人々で雑談をしている中、帰り支度を終わらせてくれた騎士団や王宮の人達から、いつでも帰れるとの話が出る。
それを聞いたフェゴさんは、アラシ達に帰路に付くように指示を出す。
それを聞いて、ラル達も周りの人達に別れを告げながら、馬車に乗り込んでいく。それにぼくも続こうとしたところに、とんとんっと誰かに肩を叩かれる。
「なんっ……なんだ、お祖父様でしたか」
「おや。思った以上に驚かせたみたいですまんね」
いや、こちらが勝手に驚いただけなので。
振り返ってみれば、にこやかに微笑むお祖父様がいた。さっきまで、ルーメンさんと話をしていた気がするけど、何かあったのかな。
「何かぼくに話が……あ、ミヨちゃんの話、あれ以上のことは知りませんよ!?」
「あはは♪ その話はよい。……そうではなくて、少し気になることがね」
気になること?
お祖父様は一瞬、馬車に目を向け、すぐに視線をぼくへと戻す。
ティール、いつの間にラルさんとペアリングを着けるようになったんだい?」
……あぁ、これか。
お祖母様にいただいてから、何となく着けていた指輪。それはラルも同じのようで、あの日から身に付けてくれているみたいだった。
確かに、デザインがほぼ一緒だし、ペアリングに見えるな……気にしてなかった。
「実は、お祖母様からいただいた宝箱を整理していたら出てきたんです。ちょうど、魔法付与もされた魔法具みたいなので、ラルに一つあげたんです。……駄目でしたか?」
別に間違ったことは言ってない。ちょっと改編してるけど。
お祖父様はなぜか嬉しそうにしつつ、そうかそうか、と何度も頷く。
いや、なんでこんなに嬉しそうなんだ?
ティール、私から一つアドバイスをやろう」
「……はあ」
「ペアリングをつけるなら、左手の薬指にしておきなさい。ラルさんもちょうど、そちらに着けているからなぁ」
「……? なぜ、左手の薬指に?」
「指輪というのは、身に付ける場所によって意味合いが変わる。……二人なら、その指が一番、お似合いってだけさ♪」
ふぅん……そういうのがあるんだ。アクセサリーって奥深いのかも?
「そうさなぁ……ネックレスやペンダントにあしらわれるモチーフや石によっても、それぞれの意味がある。それらを知っておけば、贈り物する際も楽しいやもしれんな?」
「お祖父様、そのようなことをどちらで学ばれるのです?」
「うん? 独学だよ。まあ、趣味みたいなものかな?」
……らしいな、という言葉で片付けるのはよくないんだろうか。でも、お祖父様だしなぁ。
ぼくは言われた通りに指輪をつけ直す。相手はお祖父様だ。何か企みはあるんだろうけど、悪いことではないだろうし、実際、どこにつけても効果は変わらないし、サイズ調整も自動でしてくれるから問題ない。
「お祖父様? なんで、こっちがいいかは教えてくれないんですか?」
「ん? そうだねぇ……それは自身で調べてみるといい♪」
……分かりました。そうします。
ティール~? そろそろ行くってよー!」
「はーい! 今、行く!」
窓から手を振るラルに応えつつ、ぼくはお祖父様にペコッと頭を下げる。
そして、小走りに馬車へと乗り込むと、ラルの隣に座ると、彼女がこてんと首を傾げた。
「アルドアーズさんと何話してたの?」
「ん? ん~……世間話?」
「なんだそりゃ。けどま、またしばらくここには来られないだろうし、積もる話もあるのかもね?」
いやぁ……ぼく個人としては特にないけど。もしかして、お祖父様はあったのかな。なんやかんや、スプランドゥールでもここでも、お祖父様とはあんまり話してなかったな。
……悪いことしたかもしれな……いや、海の国に来て早々、城下町に行こうとしてたんだっけ。じゃあ、いいや。
ティール、結構ドライよねぇ」
「お祖父様が悪い」
「あはは♪ ま、私は嫌いじゃないけどね。アルドアーズさん」
それ、本人に言ったら駄目だからね。絶対に調子乗るから。
ティール!」
窓の外で母上が思いっきり手を振っていた。一応、この国の王妃なので、振る舞いには気を遣って欲しいのだが。
「冬休みになったら、また帰ってきてもいいですからね! 待ってますから!」
「お心遣い、感謝します。現時点ではそのような予定はありませんけど」
ティール~!!!!」
「容赦ねぇなぁ、ティールさんは」
いや、本当のことだし。
ぼく達を乗せた馬車は、一度、スプランドゥールに寄り、セラフィーヌさん、ルーメンさん、そして騎士団の仕事があるらしいアラシと別れることに。
最終的に、行きのメンバー(アラシ除く)でぼく達の家まで帰ることになった。
色々あった夏休みだけど、学生最後の夏休みとしては、文句無しの充実した休みだったんじゃなかろうか。
まあ、ラルの言う、学生らしい夏休みだったかは分からないけど。
ぼくにとっては、かけがえのない夏休みになったのは事実だ。
『これから』を許してくれた両親のためにも、より一層、探検に学校、勉強に励まないとな。



~あとがき~
夏休み終わりじゃぁぁぁ!!!!

次回、学園に舞台を戻します。

指輪の話、入れるか否かずっと悩んでたんですけど、やりたくてやりました。じゃないと、貰った後、身に付けてるかどうか、うやむやだな~って思って。
ちなみに、海の国の風習として、結婚指輪を身につける習慣はないです。ただ、指輪でなくとも、アクセサリーを贈る風習はあります。これは空海本編の設定と相違ありません。
だから、ティールは指輪を付ける場所の意味を知らないのです。知ってたら、すんなり変えたりしてないので(笑)
じゃあ、ラルはどうなのかって話なんですが……彼女は意味を知っててそっちにつけてます。つけてるけど、悪い男を遠ざけたい魔除け(?)の意味合いが強いのは内緒たぜ☆

ではでは。