satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第402話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アルドアーズの回想(後編)がありました。書いてて、新鮮でしたね。あんな軽い(?)アルドアーズは二度と出てこん。
今回はそんな回想……思い出話を聞いたラル達の反応からです。


《L side》
「──この出来事を経て、誰が呼び始めたか……『友のために暴れ回る赤き獅子の王─赤獅子』とね」
アルドアーズさんの語ってくれた昔話、どこにどう突っ込めばよいのやら……
「お、お祖父様……そ、の」
「ん?  あ~……何。心配はいらんよ、ティール。昔の話だ」
不安そうに見つめるティールを安心させるように、アルドアーズさんはいつも通りのおどけた笑顔を見せる。
「……ん」
「私としては、ルゥの本音を聞けた、よい機会だったさ。あいつと本当の親友になれた……一つの大きな出来事と言っても相違ない。必要な出来事だよ」
昔話とはいえ、殺されかけたって言うのに、笑顔でそう言えるのは、数多の修羅場を潜り抜けた歴戦の戦士─という表現が適切かは、さておき─だから……なのだろうか。
やっぱり、アルドアーズさんの底が知れない。普段は、ルーメンさんにお仕置きばかりされる、変人おじいちゃんなんだけど……かと思えば、今回みたいな壮絶な経験を何度も経験している風だし。真面目な顔も、何かを企み、達成させようとする狡猾さもある。
うーん? どれがアルドアーズさんの本当の顔なんだろう?
「赤いライオンさんなのは、じいじが血塗れだったから……ですかね?」
「多分。……噂の中にあった、高貴なる血ってのは……お祖父様のかな」
そうだろうね。話を聞くに、高貴なのは、アルドアーズさんしかいない。
そして、噂といえば、一つの逸話も存在していた。
─その男が通る道には、必ず真っ赤な血の跡が残り、その姿は赤く染まる獅子が如し─
これはアルドアーズさんを助けようとしたルーメンさんの姿なのだ。
その過程で浴びた敵味方の返り血が道を赤く染めていたんだろうし、ルーメンさん自身も戦闘でボロボロになっていたから、真っ赤になってたわけで。
その姿を見た人が『赤獅子』なんて呼び始めたんだろうな。
要するに、『赤獅子』の始まりは、親友を助ける男の話が発端であるらしい。
「アルドじーちゃんを助ける、ルー爺の話ってことだな~?」
「そだね。簡潔でよろしいですなぁ、レオン君」
「いや~♪ それほどでも! アルドじーちゃんの話、思った以上に暗くてさぁ?」
「仕方あるまい。暗殺集団に捕まったんだからの。どうしても死の匂いは付きまとう」
まあ、否定はしません。
それでも現実味をあまり感じないのは、現実離れしているからなのか、目の前の人物が、あっけらかんとしているからなのか。
「それにしても、ルゥはなぜ、このことをひた隠しておるんだろうなぁ? まあ、特別、面白い話ではないのは確かだが」
アルドアーズさんの疑問は、最もかもしれない。確かに、人を選ぶような内容ではあるが、簡潔に話すことも可能である。例えば、友人を助けた時にそう呼ばれるようになった、とか。それくらいの伝え方をしたって問題なさそうに見えるが……そう思う反面、ルーメンさんが他人に話さなかった理由も、なんとなーく想像できるのも事実である。
恐らくだが、助けた友人ってのが、アルドアーズさんってところが肝のような……?
「そら、周りにお前が理由で呼ばれるようになったなど、誰にも知られとうないわ」
「ルゥ……! その言い草はあんまりではないか?」
……びっくりしたぁ。
扉近くでルーメンさんがこちらを……というか、アルドアーズさんをじとーっと見つめながら、会話に入ってきた。その側にはしーくんとリランがいるので、彼らがルーメンさんに気付き、部屋に招き入れたらしい。
しーくんとリランへお礼のつもりか、頭をぽんぽんっと撫でた後、ルーメンさんはアルドアーズさんに歩み寄ると、盛大なため息をつく。
「そりゃあ……普通なら、友を助けたという理由で『赤獅子』という二つ名が知れ渡る件について、気にはせん。しかし、相手はお前だぞ、アズ。夜遊び、女遊びが趣味の残念な奴を助けたと知られるのは、かなーり恥ずかしいんじゃよ」
「そこはそんな奴を助ける寛大な男として通じるだろうさ。……恐らくだが」
「阿呆! 自分でも不安になっとる時点でアウトじゃろうが!」
まあ……どう受け取るかは、受け取り手に委ねられる訳だし、その辺は想像するしかない。
誰にでも手を差し伸べる優しい人、勇敢な人、偉大な人とされるか。
あんな人のために命を懸けるなんて、みたいに……と呆れられるか、嘲笑されるか。
どちらもあり得そうな反応ではあるけど、私としては普段の姿を知るギルドメンバー達なら、前者で受け取ってくれそうだけどね。
「とにかく、じゃ。ワシはお主が原因で『赤獅子』と呼ばれるようになったなんて、周りに知られたくない。今後、ほいほいと喋らんようにな」
「残念だなぁ~……私とお前のふか~い絆を表すには、いいエピソードだと思うのになぁ?」
楽しげに話すアルドアーズさんだが、一方のルーメンさんは冷ややかな目を向ける。
「お主と深い絆があると思われることすら心外じゃがな」
「ルゥ!? 流石に傷つくが!?」
「勘違いするな。別にお主との間に絆を感じなくなったわけではない。単にアズと特別な関係であると、周りに思われるのが嫌なだけじゃ。……仮に、これがサフィアさん相手なら、喜んで受け入れるんだがなぁ?」
「なぬ? お前と言えど、サフィアは渡さんが!?」
「やれやれ……そう言うなら、いい年して若い子をナンパするでないぞ。その話を聞く度、ワシはお主と友人でいるのが恥ずかしくなるのだぞ?」
「今更、何を言う。それを踏まえた上で付き合っているのだろ?」
「それはそれ……というやつじゃよ。……踏まえたというか、諦めているというか。この辺は、サフィアさんと同じ考えじゃよ、ワシは」
話を聞けば聞く程、アルドアーズさんって元気だなぁと思う。
けれど、年齢関係なく、どんな女性と親しくなれるのは、アルドアーズさんの立派な(?)特技だよね。そこだけは感心する。……まあ、その特技をナンパにしか発揮させてないのは、残念な気もしなくはないが。
「にひひ♪ 若い女の子と仲良くするのが、元気の秘訣だったりするんかね~? 俺にはよく分からんけど!」
「う? 楽しく過ごすのはいいことだと思うよ? レオンも好きなことしてると、元気になれるでしょ?」
「まあ、活力は湧いてくるよな。そーゆーことなのかもな~?」
ツバサちゃんのそういう純粋なところ、好きですよ。えぇ。
「身内のぼくとしては、元気の秘訣だとしても、さっさとやめてほしい趣味だけどね……」
そら、そうでしょうね。
ふと、ティールは何かを思い出したのか、小さく何かを呟く。そして、仲良く(?)会話を交わすルーメンさんとアルドアーズさんの方を向き、アルドアーズさんの名前を呼んだ。
「むぅ? どうした?」
「……ハニー・キャットのミヨちゃん、格好いい彼氏さんがいるらしいですよ、お祖父様」
? なんの話だろう?
私だけでなく、他の人達もぽかんとしているので、理解できていないのは、私だけではないらしい。
しかし、アルドアーズさんは心当たりがあるようで、少し驚いたように目を見開いた後、「……どこでそれを?」と首を傾げている。そして、ちらりとルーメンさんを見上げる。
「ルゥ、何か言ったのか?」
「知らんわ。ワシはアズのお気に入りの店なんて興味ないからの。大体、万一もないが……興味があったとして、どの店のどの子がアズと仲がいいかまで、把握できるわけがなかろう」
「嘘をつけ。お前の街だ。調べようと思えば、いくらでも手段はあろう?」
「あるが、そのために労力を使うのはもったいない。時間の無駄じゃ」
「そこまで言う……? しかし、犯人がルゥでないなら、ティールはどこからその情報を?」
スプランドゥールでたまたま耳にした……にしては、ピンポイント過ぎる。
となると、情報の出所は恐らく……
「……えーと、その、お祖母様が」
「サフィ?」
ティールは困ったように言い淀むものの、ここまで話してしまった以上、周りが納得できるような説明をしないとどうにもならない。
……仕方ない。助けてやるか。
「……もしかして、夢にでも出てきたの?」
「! う、うん。昨晩。……あぁいうの、夢枕に立つ……っていうの? お祖母様が言ってたような気がして……?」
私の言葉に乗ってきたティールは自信なさげながらも、それっぽい説明をした。
あの日、ティールとサフィアさんが二人になった瞬間にでも、教えられたんだろうか。どういう話の流れで、そうなったのかは分からないけれども。
アルドアーズさんはその内容にショックを受けたのか、がくっとその場で項垂れ、頭を抱えた。
「なぜ、なぜ……なぜ、私の夢には出てきてくれんのだ、サフィ!!」
……あ、ショックなの、そっちなんだ。
皆の前で辱しめを受けたことを嘆いているのかと思ったが、そんなことはなく、むしろ、ティールの夢にサフィさんが出てきたことの方がショックのようだ。
「そんなお前だからこそ、サフィアさんも会いたくないんじゃよ」
「……なぬ!? 今は落ち込む友を慰めるのが正しいんじゃないか!?」
「うるさい。慰めたところで、お主が騒がしいのは変わらんじゃろ」
「ルゥ!?」
「天寿を全うしてからサフィアさんと逢うんじゃろう? 情けない声を出すではないわ」
「それはそれ! これはこれ!!」
「何、訳の分からんことを」
本当に。
しかしまあ、それくらい、アルドアーズさんは、サフィアさんと会いたいのかもしれない。
普通なら、いい話なんだけど……伝えてきた話の内容が内容なのは、ちょっとね?
「失礼します。ルー爺、騎士団の方も陸の国に帰る準備がかんりょ……? なんだ、これ?」
「お、アラシ君。お疲れ様」
丁寧な物腰で部屋に入ってきたのは、騎士団姿のアラシ君だ。報告にある通り、アラシ君も騎士団の帰り支度をしていたのだろう。それらが終わり、私達のお迎えがてら、ルーメンさんに報告に来てくれたらしい。
そんな彼がこの惨状─というか、アルドアーズさんの悲しい姿─を目にすれば、戸惑うのは無理もない。何も知らないんだもん。
「お疲れ様、アラシ。これについては、言及しないでくれるとありがたいかな。お祖父様は放っておいて大丈夫だから」
「お、おう? そう、なのか?」
「そうじゃのぉ……ティールの言う通りじゃ。こんなアズは放っておいて、ワシらも帰り支度を進めようかの」
「こんなとはなんだ! こんなとは!!」
あはは……いや、本当に仲がよろしいことで。
私達は先導してくれるアラシ君に続いて、ぞろぞろと部屋を出ていく。
……長かったような、短かった海の国での滞在。特にティールにとっては、かけがえのない時間になったと思う。
『──』
誰かに話しかけられた気がして、後ろを振り返った。背後にある窓の外で、青い蝶が空をひらりと舞っている。
私にはその蝶がサフィアさんみたいに思えて、思わず、笑みが溢れる。
本当にあの人は家族が好きなんだなぁ。
「……こちらこそ、楽しかったです」
そう伝えれば、蝶はどこか満足したように空へと消えていく。
「さて。……私も帰ろう」


~あとがき~
雑な締め方ぁ。

次回、遂に帰るぞ!

ほうっておいたら、あのおじいちゃんズは好き放題話し始めるのでよくないです。いや本当に。
好きなんだけどね、あの二人のやり取りは。でも、明後日の方向に話が持ってかれそうになるのだけは解せん。

ではでは。