satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第361話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、最後の仕上げ(?)みたいな場面をお見せしました。いや、仕上げなのか……?
とりあえず、祭り前の仕上げだと思ってくだされば!
今回からはそんな種蒔きが功を奏すのか!?
という女神祭でのお話です。お楽しみに。


女神祭当日。
普段から観光地としても名高いスプランドゥールだが、今日は祭りもあるためか、いつも以上に賑わっていた。
そんな中、ライトはセラフィーヌの付き人として大通りを歩いていた。目指す先はセイラが出演するという演奏家達の集まるエリアだった。
上機嫌なセラフィーヌは鼻歌混じりに辺りを見回し、街の雰囲気を楽しんでいるようだった。この後、神子としての役目もあるのだが、そんなことはお構いなしにはしゃいでいる。
一方のライトはと言うと、どこか眠そうにふわりと欠伸を噛み殺していた。祭りがつまらないから……という訳ではなく、ここ数日、祭りの準備と平行して、通常業務も適当にこなしていたため、寝不足気味であるためだ。まあ、こちらはこちらで通常運転でもある。
「ねえねえ、ライトくん! すごいでしょ、これがうちの夏祭りなんだよー!」
まるで自分事のように誇らしげに語るセラフィーヌ。一応、関係者ではあるため、あながち間違ってはいない。
セラフィーヌの言葉にライトも辺りを見回す。どこの店も活気が出ていて、街行く人々も楽しそうにしている。そんな光景を眺めつつ、少女の言葉に同意した。
「そうですね。話には聞いていましたが、ここまでの賑わいを見せるとは」
「ふふ~ん♪ でしょでしょ! あ、ライトくん! ポテト食べたーい!」
「ポテトでいいんですか。もうお金はあまり残ってないですよ」
と言うのも、ライトがルーメンから「セラのご飯とか遊びで使う金はここから使え」と
セラフィーヌ専用のお財布を受け取っていた。その財布から、ゲームの屋台で使ったり、駄菓子屋で買い物したりとちょこちょこ使っているため、残り金額も少なかった。
それを分かっているのか、いないのか、欲望に忠実な少女は「いいよ!」と満面の笑みで答えた。
いいと言われた手前、否定するのもおかしな話。ライトは黙ってセラフィーヌの言われた通りにポテトを購入し、彼女に手渡した。
「ありがと、ライトくん♪」
「どういたしまして。それにしても、お嬢」
「ふぁ~に~?」
「なぜ、俺がお嬢の付き人に? 自分で言うのもなんですが、俺と祭り回ってて楽しいですか?」
ポテトを頬張りつつ、セラフィーヌはライトを見上げる。
付き人なら、ギルドメンバーなら誰でもいい。別にライトでなくたって問題はない。……その通りだった。ライトの認識は間違っていない。彼の疑問も最もだ。
セラフィーヌの本心を言えば、確実にライトを祭りへと引っ張り出すための口実が欲しかったにすぎない。それがなければ、ライトと祭りを回る必要はなかったかもしれない。
しかし、一つ言えるとすれば。
「ライトくん、女神祭、初めてなんだもん」
「……?」
「初めのライトくんをセラが案内しなきゃって思ったの」
この言葉も本心からだった。
普段、あれこれ口出してはいたが、セラフィーヌはライトが嫌いではない。なんなら、セラフィーヌが何を言っても、やろうとしても、側にいて付き合ってくれるライトを慕っている。きっと、普通の大人なら注意なり、静止なりし、無理矢理やめさせようとすらするはずなのに、ライトはそれをしない。
そんな彼の優しさがセラフィーヌには心地よかったのも事実であった。
「……もしかして、やだった?」
「いいえ。お心遣い、感謝します」
「えへへっ♪ あ、こっちだよ、ライトくん。お姉様のいる所!」
セラフィーヌはライトの手を引き、道を曲がる。ライトはそれに黙って従っていた。
「今年もたくさんの人が来てくれてよかった! ってことは、お姉様の演奏もたくさんの人が聴いてくれるね!」
「そうですね。……まあ、あいつはそういうの慣れてそうですから、緊張しなさそうですが」
「お姉様の演奏、楽しみ~♪ あと、お歌! 歌うかな?」
「どうでしょう? 俺は出ることしか聞いてないから……詳しいことまでは。着くまでのお楽しみってやつですね」
「確かに。お楽しみは取っとかなきゃね♪」
他愛ない話をしながら、目的地を目指す二人の前に突然、不満そうな声が聞こえてきた。
『いーちゃ! もーやだ!』
『まわり、たのしーのに、すっちゃたち、きゅーくつ!』
と、ライトのバッグから飛び出したキラキラと液体……もとい、ライトの相棒の二振り、聖剣の雪花と水泉だった。
雪花と水泉の言い分としては、周りは楽しそうなのに、自分達だけバッグに詰められ、つまらない。こちらも一緒に楽しみたい。……そういうことらしかった。
わーわー叫ぶ聖剣にライトはため息をつきながら、冷めた目でじっと見上げる。
「あー……うるさ。つか、仰々しくお前ら装備したくないから、そこに突っ込んでたのに。家に置いてきてもよかったんだぞ、こっちは」
『なーんだとー!? いーちゃのおに!』
『そーだそーだ! いーちゃのあくま!』
「置いてくなんてだめだよ! ライトくん、いじわる!」
「……なんでお嬢まで?」
言い合っていたのはライトと聖剣だけだったはずだが、そこになぜかセラフィーヌが頬を膨らませ、聖剣の味方をしていた。
「だって、ライトくんが二人を戻そうとするから!」
「戻したい理由、言いましたよね? 俺」
「でも、みんなといる方が楽しいもん。ね、すっちゃん、せっちゃん!」
『ねー! ふぃー、わかってるー!』
『ねー! ふぃー、やさしいのらー』
「俺が悪いのか、これ。俺が間違ってんの?」
多数決なら、一対三でライトの負けである。そうでなくても、このお転婆トリオを納得させられるだけの理由をライトは思い付かなかった。
仕方ないので、聖剣を剣に戻し、装備することで妥協した。二人はこのまま、ふよふよと浮いていたかったらしいが、それはそれで人の目につく。二人が剣に戻らなければ、即刻引き返すとライトが言えば、二人は─セラフィーヌを入れると三人─しょぼしょぼしつつ、聖剣はライトに帯剣された。
そんなやり取りもありつつも、ようやく目指していた演奏家達のエリアへと辿り着いた。
ここでは、一つのステージを音楽家達が歌や楽器、パフォーマンスを披露しており、ライトとセラフィーヌが来た時には、ちょうど、セイラのステージが始まるところだった。
「お姉様だ!」
「タイミングよかったみたいですね。……お嬢、空いている席に座りましょう」
「うんっ!」
セイラは男性とデュエットで演奏を披露するらしい。二人ともギターを持ち、セイラはギターを弾きながら、歌も歌っている。
「はわ~……お姉様きれい~♪」
『せいちゃのおうた、ひびくのら!』
『となりのひともおじょーずなの! せいちゃのおともらちかなー?』
セイラはパートナーと目配せをしつつ、息を合わせて演奏をする。その光景はとても楽しげである。
普段のセイラはソロで音楽をしているため、誰かとする姿は珍しい。だから、彼女自身も楽しんでいるのかもしれない。実際、演奏者の二人は楽しそうだし、二人の奏でる音は調和の取れた完成度の高いものである。
そんな二人の作り出す音楽をセラフィーヌとライトは心行くまで堪能したのだった。



~あとがき~
続きまでぶわっと書きたかったけど、長くなりそうな予感しかしなかったので、終わり。
なんか中途半端やけど、許せ……!

次回、セイラと合流。
祭りはまだまだこれからだぞい☆

セラさんと聖剣らはなんか仲良しです。
ルーメンさんとも仲良しだったので、その延長線ですかね? 理由は知らん←

ではでは。