satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第396話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、王宮滞在最終日、伝え忘れていたあれこれを伝えるべく、セイラの元へ! そんでもって、大号泣なセイラさん! 大人気ない!!(笑)


《L side》
大好きなティールが、まだしばらく家に戻らないことを知り、セイラさんの暴走は止まるところを知らない。
最早、ティールはされるがままになり、反抗の意思すら見せなくなっている。まあ、これはいつもの光景ではあるが。
少し位はセイラさんの好きなように~とは思うが、流石に、このままずっとはまずい。とは言え、私は止める権利がないので、別の方に止めてもらうことにしました。
……お、来たかな?
わんわん騒ぐセイラさんに代わり、ノックされた扉を開ける。
「お忙しいところ、すみません。お願いいたします」
「……はあ。セイラ、お前というやつは」
「父さん!?」
そう。こそっと──いや、私としては堂々と、ブライトさんに連絡したのだ。わーわー騒ぐ二人には、それは聞こえてなかったみたいだけど。
私の電話口から、セイラさんの声が聞こえてきたのだろう。ブライトさんは説明も聞かず、すぐに行くと言ってくれたのだ。
そして、今。マジで、すぐに来てくれた。神様である。
「セイラ、離れろ」
どうやったのか、ブライトさんは簡単に二人を引き離し、ティールを私の方へと投げて寄越す。セイラさんはブライトさんに拘束されてしまった。
流石、ブライトさん。慣れているのか、とても手際がいい。
「わっ、ぷっ!」
「おっと。大丈夫? ティール」
「……うん、ごめん」
いいってことよ。
多少はよくても、流石にあれが長引くと、今後の予定も狂う可能性あったし。
「ブライト~~~!! 離してください、ティールと最後のハグをしなければっ!!!」
「何が最後だ。一生、ここには戻らんと言っているわけではないだろう」
「でも! でも!! 今のティールとは最後ですー!!」
「そんなことを言ったら、いつだって最後になる。キリがない」
「ブライトの馬鹿っ! 意地悪っ! 偏屈!」
今現在、ブライトさんは正論しか言っていない気がするのは、私だけだろうか。言論でブライトさんに勝てないのを悟ってか、セイラさんはむっとしながら、適当な単語で罵倒する。それらはブライトさんに全く効いていない様子。
「好きなだけ言え。……全く、二人とも困っているだろう。いい歳した大人がみっともない」
「いくつになっても、我が子は可愛いし、離れがたいものですっ! ブライトはいいのですか!?」
「子は親の元を巣立つもの。時折、連絡を寄越したり、こうして顔を見せてくれるだけ、ましでは?」
「……うぐ。そうでした、ブライトはそういう人でした」
どうやら、ブライトさんに完全に諭されてしまったようだ。セイラさんは暴れることもなく、しゅんと大人しくなる。
「……すまないな、二人とも。大丈夫か?」
「私は被害ゼロなので」
「ぼ、ぼくも……想像以上だっただけで、想像できてなかったわけじゃないから。ありがとう、父さん」
「構わん。……セイラ、ティールに抱きつかないか?」
「今回はもうしません」
「…………そうか。なら、解放しよう」
ブライトさんは呆気なくセイラさんを離す。そして、簡単に身なりを整えると、くるりと踵を返す。
「では、三人とも。邪魔したな」
「はい。ありがと……じゃ、ない! ブライトさん、ついでに少し伺いたいことが!」
「? なんだろうか?」
どうせなら、ここで拠点の話をしてしまおう。
「……いいよね、ティール?」
「え、あ、うん。そっか。そうだね。……ごめん、ちょっと忘れかけてた」
うん、気持ちは分からんでもない。
セイラさんの仕事部屋なのだが、場所を借りることにして……
改めて、ソファに腰掛け、二人を見据える。
「ブライトさん。実は、先程、セイラさんにティールと卒業後も探検隊を続ける旨をお伝えしたのです。それで、あんなことに」
「なるほど。……そういえば、お前には話してなかったな。すまん」
「すまん、じゃないです! 心の準備が必要なの、分かります!?」
「したところで、あぁなるのは変わらないくせに」
「そうですけどっ!」
否定せんのかい。
……コホン、話を続けよう。
「それで、ブライトさん。私達からお願いがあるんです」
「ふむ、なんだろうか? 私にできることなら、できる限り、善処するが」
私はティールに目配せする。彼は小さく頷くと、私から話を引き継いだ。
「我々が探検隊を続けるに辺り、今、住んでいる家を今後も、使用したいと考えています。しかし、あの家は元々、父上の所有物です。そのため、利用許可をいただきたいのです」
「ほう」
「……もし、できるのであれば、所有権を私に譲っていただきたいと考えています」
おや。それは初耳だ。ティールが個人的に考えてたのかな?
しかしまあ、そちらの方が都合はいい。仮に、ティールが所有者になれば、引っ越し云々の心配をしなくても、よくなるわけで。
「……そんなことか。私は構わない」
「本当ですか?」
「あぁ。元々、あそこはお前が学園に通うために、ルー爺から買い上げた土地と住居だ。つまり、お前のために用意した場所。……今更、私に許可なぞ取らなくても、好きにしてくれていい。所有権もお前に譲ろう。手続きが必要だから、すぐに譲渡はできないが」
え、めっちゃトントン拍子に事が進むぅ……え? いいんすか?
「あぁ。……それとも、探検隊のリーダーはラルさんだから、あの一帯の所有権もラルさんの方が都合がいいかな? それなら、そのように話を進めてもいいが」
「や、その辺りは、どっちでもいいんですけど……まあ、ティールに引き渡した方がスムーズだと思うんで、そっちでお願いします」
「分かった。そうしよう」
……もしかして、ティールがこれを言い出すの、予測していたのかな? ブライトさんには、私達に言う前に探検隊を続けるって伝えていたみたいだし。
「……? 父上、あの家ってルーメンさんから買ったんですか?」
「あぁ。流石に、陸の国の不動産関係にに明るくなくてな。ルー爺に融通してもらった」
「そういえば、目一杯、サービスしてもらったんですよね~? だから、学生一人が住むには、大きなお家ができちゃったんです。ふふ、びっくりですよね?」
こちとら、ルーメンさんが……というか、『明けの明星』が不動産関係に手を出してることにも驚きだよ。あそこ、やってない事業がないのでは?
「当初の予定では、ティールの卒業後、あそこは別邸として管理しようと思っていた。となれば、あれくらいが妥当だろう」
「そう言われると、そうなりますねぇ?」
そうなのかな……? あそこ、そこそこでっかい家ですけどね。
……っと、話が逸れてしまったけど、これからも、あの家は私達が使ってもいいってことだよね?
「うん。……つまり、卒業後も問題なさそうだね?」
「そうだよね? よっしゃ! やったね、ティール!」
「そだね。……申し訳ありません、父上。突然、このようなことを申し上げ、ご迷惑をおかけしてしまい……」
「気にするな。私にできることなら、これからも協力する。何かあれば言ってくれ」
「……ありがとう、父さん」
……ふふ。微笑ましい光景じゃないの。
よし、今度こそ、やらなきゃいけないことは終わりだ。後はのんびりお迎えを待つだけだ。
「戻ろっか、ティール。しーくん待ってるよね」
「だね。……では、ぼくらはこれで失礼します」
「私も。仕事を残してきているからな。……そうだ。セイラ、先日、北西部に現れた鉱山型のダンジョンの報告書は……?」
「急かさないでくださいませ。今、書きます。あらゆる鉱石の痕跡が眠っていて、それはそれは、心踊る場所なのですよ、あそこは!」
「心は踊っていてもいいから、筆も走らせろ」
「はーい。……そだ、近いうちに、ティール達に調査をお願いしちゃおうかしら? 鉱山ダンジョン♪」
……仕事の話はまた今度、お願いしま~す。今はそんな気分じゃないので!



~あとがき~
ブライトって、時々、セイラに容赦ない。これが長年の付き合いってやつか。

次回、お迎えを待つ面々。

ブライトとセイラのやり取りを書くの、結構好きなんですよね。好きなんだけど、放っておくとずっと喋り倒すので、気を付けないと駄目なんですけども。
けど、今後、この夫婦を書くことがあるのか分かりませんし、思う存分やっとくに越したことはないですね……!

ではでは。