satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第395話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、サフィア編が終わりました。わっしょい。
今回から、遂に海の国編のまとめ回でございます! これが何を意味するかお分かりですね!!
頑張るぜぇぇぇ!!!
ラル「テンション高くて草」


《L side》
海の国に来て、色んなことがあった。
ツバサちゃんが風邪引くわ、ティールはちっさくなるわ、しーくんは滅茶苦茶に拗ねるし、ツバサちゃんと喧嘩もするし……まあ、こちらは仲直りできたので、よい経験とも言えるか。
それに、セラフィーヌさんが突然、やってくるわ、パーティーに参加させられるわ、サフィアさんと遊ぶわ、なんやら……
別にこちらで探検隊らしいことは、ほぼやってないのに、なんだこの怒涛のイベント尽くし。
「ラル~? 準備終わった~?」
ティール」
……一番のイベントと言えば、ティールとブライトさんの仲がよくなったことかもしれないな。
「? 何?」
「何でもないよ。帰り支度は大体、終わった。ティールは?」
「ぼくは終わったから、こっち来た」
……そう。怒涛のイベント尽くしだった海の国での滞在も今日で終わり。今日、ここを発つのだ。
そのため、ティールも王子様ver.ではなく、普段ver.である。……いや、ここでは王子様ver.がデフォルトだから、そっちが普段ver.と呼ぶべきかもしれない。……ややこしいな。
「……そうだ。ラルに伝えたいことがあるんだけど、今、いいかな」
「ん? ノウツからの仕事話なら、そっち帰ってないから、やらねぇぞって返答してるよ?」
「……だから、ぼくの方に小言が送られてきてるのか」
くそ、あいつめ。ティールを巻き込むな。仕事しなきゃなんないじゃんか。
「まあ、ノウツのやつは、とりあえず、いいや。そうじゃなくて……その、『明けの明星』で少し話したろ? 今後について」
……あぁ、そっちか。
ティールは私をソファの方へ手招きし、座るように促してくる。私は黙ってそれに従った。
ティールは卒業しても、探検隊したいって言ってたよね。それを伝えたってこと?」
「……うん。父上と二人で話した時に」
「そっか。……ブライトさん、何て?」
「いいって」
……へ?
「好きにしろって。……『お前の人生だから、周りのことは気にするな』って」
「……そう、なんだ」
私はティールがいても、いなくても、探検隊を続けるつもりだった。しかし、その道にまだ、隣にいてくれるって確定したら、凄く……凄く、嬉しかった。
ティールはふわっと優しい笑顔を見せ、私の手を握る。
「だから、正式に今後ともよろしくお願いします、リーダー……ってことで」
「承った。こちらこそ、よろしく、相棒」
「了解」
「……ティール! これからも、たんけん、できるの?」
ここまで空気を呼んでなのか、先程までベッドの上で遊んでいたしーくんが、こちらまで駆け寄ってきた。そして、こてんと首を傾げ、ティールに問いかける。
彼はしーくんの頭を撫でながら、笑顔で頷く。
「うん。……まあ、今まで通り、探検だけに没頭できるかは、今後次第だけど……でも、今のところは、探検隊を皆と頑張るつもり」
「ほあ~! じゃあ、ボクもがんばる! ティールといっしょ!」
「うん。そうだなぁ~♪」
……なんとも、微笑ましい光景なのだろう。なのだけど。
ティールはブライトさんに話したみたいだけれど、このこと、セイラさんには話していないんだろうか?
知っていたら、ティールから説得大変だった等の愚痴……いえ、苦労話が飛び出してきそうなんだけど。
ティール君」
「ん?」
「君、お母さんには話したのかい? このこと」
「……」
彼の動きがピタリと止まる。
それだけで、こいつ、やってんな、と悟ってしまった。
「今から、行く? もう最終日なんですけど」
「い、行ってきます……今の時間なら、母上も手が空いてるだろうから」
そうしなはれ。……後、一つ。
「卒業後の拠点なんだが」
「……?」
今、私達の拠点はチーム皆で住んでいる家。あそこは元々、ティールが学園卒業まで住む予定の家。そして、あの家の所有者はティールではなく、ブライトさんだと、過去にティールが話していた。
つまり、卒業後もあそこを使いたいなら、ブライトさんに交渉しなければならない。
「話した? 卒業しても、あの家を拠点にするって。あのまま住むつもりだ~って」
「…………」
長い沈黙の後、ティールはゆるゆると膝をつき、ぺこっと頭を下げる。すなわち、土下座である。
「この後、父上のところにも……行ってきます……」
「お前、探検隊、やる気あんのか」
「申し訳ありません……っ!」
「私も行く。ティール一人に任せられん」
「御意」
「まずはセイラさんのところだ。案内しろ」
「仰せのままに」
ま、ブライトさんには私からも話しておかないとね。今後、あの家に住むのは、ティールだけではないのだし。
ということで、私とティールは、セイラさんとブライトさんのところへ行かなければならなくなったわけで。
「しーくんはどうする?」
「う? ラルたち、おしごとのおはなし、おじいちゃんと、おばあちゃんと、するの?」
まあ、そうとも言う?
「じゃ、ツバサお姉ちゃんとあそんでくる! ふたりは、いってらっしゃい!」
や~ん! いい子だわ~~~!!

私はセイラさんの所へ行く前に、ツバサちゃんの部屋に行き、簡単に事情を説明。しーくんをツバサちゃんに預けた後、セイラさんの仕事部屋を訪ねた。
「は~い、いらっしゃい♪」
私達の突然の訪問にも、セイラさんは笑顔で迎え入れてくれ、快く部屋に通してくれたのだ。
思えば、セイラさんの私室や着せ替え部屋は何度も行ったけれど、仕事部屋は初めてかも。
ブライトさんの執務室とは違い、仕事用の備品の他に、いくつか楽器が飾られている。ギターっぽい楽器が気持ち多めだろうか。……ギターっぽいって表現したのは、名前の分からない民族楽器みたいのもあるからだ。とりあえず、弦楽器なのは分かるけど。
しかし、どの楽器も綺麗に手入れがされており、セイラさんが大切にしているのが素人目にも分かる。
……そして、我々は今、アンジュさんお手製のお茶とお菓子を振る舞われている。アンジュさん、用意周到である。
「母上、公務中に申し訳ありませんでした」
「いいのです。愛する息子が私と話したいのなら、それ以上に大切なことなんてないのですから。それで、お話って? 今日、あちらに帰るから、その挨拶?」
「いいえ。どうせ、見送りに来るのでしょう? ならば、別れの挨拶はその時で問題ありませんよ」
「まあ! どうせとはなんですか。……その通りです! 何がなんでも行きますよ!」
なぜ、そんな自信満々なのだろう。
ティールはすでに若干の疲労を見せつつも、コホンと咳払い。
頑張れ、相棒。
「母上、単刀直入に申します。私は今後も、探検隊を続けることにしました」
「あら~」
「そのため、学園卒業後もあちらで探検隊活動を続けます。本日はそのご報告に。滞在最終日にこのような報告をしてしまい、申し訳ありません」
「……それ、ブライトには?」
「すでに伝えて、了承をいただきました」
「…………そう」
セイラさんは、静かにカップを置き、ふうっと息を吐く。そして、目の前の息子を見据え、真剣な眼差しを向ける。
「もう、決めたことなのね?」
「はい」
「貴方が本当にしたいこと、なのね?」
「はい。今の私が……ううん。ぼくが心からやってみたいって、頑張りたいって思ってることだよ。母さん」
「……そう。それなら、お母さん、止めない。ティールがやりたいって思っているなら、全力で応援します」
「ありがとう、母さん」
セイラさんは、ニコッと微笑む。
その姿はまさに母親そのものだ。この成長を見守る母。……なんだ、泣いて止めるかと思っていたのだが、杞憂だったらしい。
「ラルちゃん」
「はい」
「この子のこと、お願いします。きっと、沢山、ご迷惑をおかけしてしまうけど……できるなら、愛想を尽かさず、一緒にいてくれると嬉しいです」
「はい。……その辺りはお互い様だし、今更、ティールのアホな部分見て、幻滅なんてしないですよ。もう五年の付き合いですから」
「そう……ラルちゃん、ありがとうございます。……よかったですね、ティール。とても素敵なパートナーを見つけられて」
私とティールは互いに顔を見合わせ、一緒に強く頷く。それを見たセイラさんも嬉しそうに笑った。
「……じゃあ、母さん、ぼくら、父さんにも、話をしに行かないとだから」
そう言って、ティールが立ち上がった瞬間、セイラさんもゆっくりと立ち上がる。
あ~……嫌な予感。
「……母さん?」
ティールも私と同じく、嫌な予感がしたのだろう。後退り気味にセイラさんを呼び掛ける。その呼び掛けにセイラさんは答えることはなく、わなわなと震え始めた。
「…………やっぱ、こうなるか~」
「や、やっば! に、にげ─」
「……また、離ればなれは悲しいですーーー!!!」
と、大号泣しながらティールに抱きついた。戦闘では俊敏な動きを見せるティールだが、毎度のことながら、こればかりは避けられないようで、見事にセイラさんに捕まってしまった。
ティールのしたいことは応援しますーー!! でも! でも、まだ一緒にいられないのは、嫌ぁぁぁ!!!」
「い、いい加減、子離れしてくれ!! ぼく、これでも高校三年……」
「私にとっては、いつだって、可愛い坊やなのです!!!」
「はあ!?!?」
……親にとって、子供はいつまでも可愛いのだろう。私も、しーくんを可愛い可愛いって言うのと同じで。
だからまあ、セイラさんを止める権利は、私にはない。
ティールの気持ちも理解してますが、離ればなれは寂しいのです! どう頑張っても、寂しいのです!!」
「知るか! っていうか、なんかすっごいデジャブ! ぼくが修行の話を切り出した時と酷似しすぎでは!?」
「気のせいです!!!」
「嘘だ。絶対、嘘。……ラル! 呑気に見てないで助けてくれよ!」
「いいじゃん。最終日なんだし、好きにさせてあげなよ」
「裏切り者!!」
南無三。
いやはや、お茶が美味しいですわ~♪



~あとがき~
いつもの空気が戻ってきた。
(訳:ようやく、相方プロットに戻ってきたぜ☆)

次回、暴走セイラを止めたり、ブライトと話したり。
こいつを止められるのは一人だけや。助けて、ブライトさん。

ラルとティールのいつも通りのやり取りが見られたり、きちんと子供の未来を考えてあげられるお母さんなセイラが書けて満足です。
なんかいつもの空気感だな~と思います。これぞ、相方の書くプロットだわ(笑)

ではでは。