satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第399話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で昔話をしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から、アルドアーズとの交流会になってまぁあす!!
そんな中、昔話になりそうってところで終わりました。そんな続きからだ!
そして、この話数でお気付きだろうか。この数字になっても夏休みをしています。終わらんかった。脳内の計画書では、400手前くらいで終わる予定だったのにね。おかしいね。越えますね。


《L side》
──昔。とある二人がいた。
一方は、商人をしながら世界を旅する男。
もう一方は、家の仕来たりに従って旅をする王子。
生まれた国も身分も違う二人が神の気紛れか、何かの縁か。ある日、二人は海が綺麗な国のとある街で、とある事件をきっかけに出会う。事件を経て、二人は意気投合し、友情を育む中で、後々、ひょんなことから男達は旅仲間と相成った。
彼らは商売をしながらも、時に探検隊としての能力を開花させ、道中では様々な依頼を請け負うようになる。
ある日は、凶暴化したドラゴン退治。
またある日は、突然変異を経たムカデ型のモンスター討伐。
別の日には、不可解な行動を繰り返す毛玉のモンスターの大群調査且つ討伐……様々な依頼、事件を二人は、持ち前の腕っぷしと高度な連携プレイで、次々と依頼を解決していった。
そんな経験を重ねれば、当然、互いの友情……絆も深まっていくのだった。
……とはいえ、二人は赤の他人。意見の食い違いや価値観の違いで、ぶつかり合うことは度々あった。喧嘩もまた、相手を知る手段と言えよう。ぶつかり合った後は、互いの理解度が深まり、より固い信頼関係を築いていった。
しかし、その日は何かが違っていた。
きっかけは不明。だが、互いに譲れない「何か」があったことだけは確かである。それを巡り、男らの喧嘩は、今までにない程の大喧嘩に発展してしまった。
一応、二人は大人だった。大喧嘩したその日は野営していたこともあり、別行動はせず、街に到着するまで、共に過ごしてはいた。まあ、互いに一切の口は利かなかったのだが。
そんな状況がしばらく続いた後、二人が目指していた街に到着すると、二人はすぐ、別行動を取り始める。
商人の男は自身の仕事である、商談のため。
王子は金になりそうな依頼を探しがてら、街探索のため。
喧嘩をしていようがいまいが、二人の取る行動は変わらなかった。なので、お互い、別行動をすることに対し、特に気にも留めていなかった。
……だからだろう。二人の背に魔の手が迫っていることにも気付けなかったのだ。
それは突然だった。
一人、街の散策をしていた王子は、突然、数人の大人から襲撃を受けた。
幸い、王子の対人戦闘経験は豊富であり、それなりに応戦できていたものの、襲撃者らは如何せん、数が多い。更に、地の利もあちらに軍配が上がっていた。
まさに、多勢に無勢。
王子は不意を突かれ、襲撃者に捕獲されてしまう。そして、暴力の嵐に見回れ、意識が朦朧とし始めてしまう。
遠くなる意識の最中、王子は襲撃者からとある言葉を耳にした。
「こいつを使って、片割れを誘い出したところを殺す」そのような内容。
……襲撃者の正体が商人の男を狙う暗殺集団であると悟った瞬間、王子の視界は暗転した。

「……とまあ、話の始まりはこんなものか」
アルドアーズさんは語りを止めると、目の前のカップを持ち上げ、コーヒーを一口。
……いや、これ、コーヒーブレイクできるような内容じゃねぇぞ!?
黙って聞いていたが、途中から喧嘩し始めるわ、なんか襲われるわ、捕まるわ、暗殺集団出てくるわ……情報過多もいいところだが?
「アルドアーズさん、整理させてもらってもいいですか?」
「ん? もちろんだとも」
まず、登場人物を明確にしよう。
話に出てきた商人の男はルーメンさん。
王子はアルドアーズさんだろう。
そして、ルーメンさんの命を狙う暗殺集団も出てきたな。
彼らにアルドアーズさんは捕まった……それが今、語られた話の最後。
「ふむ。昔話風に語ってみたが……不要だったかな? ラルさんの言う通り。話に出てきたのは、私とルゥ。敵は、ルゥの命を狙う不届き者共だよ」
「お祖父様、過去にそのようなことが……?」
「まあ~……言ってしまえば、大して珍しくもないがの。これ以外にも何度かある。……が、大抵、下準備を済ませた上で捕まりに行くもんだから、突然、捕まったのは初めてだったなぁ。……そうそう。私を狙った者ではなく、ルゥが標的だったのも、当時は驚いたもんさ」
下準備を済ませた上で捕まりに行くのは、最早、捕まったと読んでいいのだろうか。わざとってことだよな? いや、分かるよ。敵の懐に飛び込む格好の場だもの。
「いやはや、私も応戦したんだがねぇ……大喧嘩した時、ルゥが手加減なしに殴ってきやがってな。その怪我が完治してなくてなぁ……その場で撃退できんかったのは、あいつのせいだ」
「ルー爺の全力パンチを受けたってこと?」
「そうさなぁ……恐らく、殺さない程度の全力パンチだったと思うぞ。過去を振り返っても、あれ以上を食らった経験はない」
ひぇ……怖。
何が原因でそんな大喧嘩に発展したのやら……話では理由は分からないってなってたけど。
「ははっ♪ 殴り合いに関しては、売り言葉に買い言葉だったの。きっかけは……内緒にしておこうか。今更、語るには、ちぃとばかし、恥ずかしい理由でなぁ?」
そう言われると、更に気になるけれど……話してくれなさそうだな。
……と、話が逸れてしまったけど、暗殺集団はルーメンさんを狙っていたんだったか。なんで? 一介の商人ですよね、ルーメンさんって。当時は今程、重鎮ってこともないでしょうに。狙う理由なんてなさそうだけど。
そう問いかけると、アルドアーズさんは苦い顔をして、言いにくそうにしながらも、口を開く。
「あの頃のルゥは……当時、同じギルドメンバー……『明けの明星』の仲間に命を狙われておったらしい」
「仲間から!?」
「ん~~~……はぁ。あまり、この手の話を子供らにしたくはないが……ツバサは聞いたことがあるかな? 昔のギルドについて」
ツバサちゃんは悲しそうな表情でこくりと頷く。
「……少し、だけ」
「そうか。……昔の『明けの明星』の治安はよろしくなかったらしい。ツバサはどの程度まで聞かされておる?」
「んと……じいじが親方になる前のギルドが半分くらい乗っ取り……? されたって。あと、建物も半壊したって。……私はこれ以上は知らないの。私とツルギがもう少し大きくなったら、聞かせてあげるって、お母さん達には言われてて」
「ふむ。触り程度か……まあ、ツバサの歳では、教えられるのはそんなものよな」
くそう……滅茶苦茶、闇が深そうな話だけど、好奇心が止められない。気になる……気になる、けど……アルドアーズさんも話せそうな内容を探っている辺り、本当に私達に聞かせたくない内容なのだろう。特にツバサちゃんには。
なら、無理に聞き出すのはお門違いだ。
「……さぁて、休憩もこのくらいして、続きにしようか。私が襲撃者に捕まった後の話からだな?」



~あとがき~
あんなお節介おじいちゃんにも壮絶な過去があるってことです。はい。

次回、アルドアーズの回想。
なんと、若い頃のアルドアーズ視点だ。最初で最後だねぇ。

このおじいちゃんズ、(本編にはマジで絡まないのに)かなり暗い過去をお持ちです。多分ですけど、彼らだけで一つの話が書ける程度の設定はもりもりのはず。いやぁ、なんでなんだろう。
まあ、この場では暗い過去がチラ見えしてても、「そういうものなんだなぁ」とか「そんな過去があるのかぁ」くらいの認識でいいです。フレーバー的な認識で問題ないですので!
ふわっとした気持ちでお読みくだされ。

ではでは。