satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第291話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しんでる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、衣装チェンジをしました。
雑に描写しちゃったんですけど、多分、イラストでこんなんやでってのをお見せすると思うので、少々お待ちを。
そして、今回はお祭りをわーわー楽しみたい!


《L side》
予定外な衣装チェンジを終えた私達は噴水広場広場付近に出てくる。道が分かれていて、どの道も楽しそうに人々が行き交い、賑わっている。
「雫、肩車してあげる」
「わーい! やってやって!」
この人混みではぐれることを危惧したのか、ティールがしーくんを肩車する。こうして見ると、本当に親子みたいだ。いや、年の離れた兄弟でもいけなくはない、のか?
「で、どこ行こうか?」
「あ! ボクね! わたあめとね、かきごおりとね、りんごあめとねー」
「ストップ。甘いものばっかりだとママに怒られるよ? でも、リンゴ飴は賛成!」
「さんせー!」
ティールの場合、見かけたリンゴ飴屋は片っ端から買い占めてしまいそうだな。やめてくれ。恥ずかしいから。
「しーくん、食べ物以外でやりたいことはないの?」
「ん~……?」
もしかして、花より団子、なんですかね? いや、可愛いからいいけど。
となると、とりあえず近場の甘味系屋台を目指すか。どこだろう。
「こんにちは! よろしければ『祝福』をどうぞ!」
辺りを見回していると、籠を片手に微笑みかける女性が私達に話しかけてきた。
祝福をどうぞ、とはどのような意味なのだろう?
彼女の持つ籠には花の帯飾りやブローチがたくさん入っていた。その帯飾りとブローチを手にして、にこやかに説明していく。
「こちらのアクセサリーは毎年、『明けの明星』から、無償で街の人々や観光客の皆様へ配っているんです。このアクセサリーに使用されている花は特殊加工がされていて、毎年、神子様の舞が始まるときには、とても素敵な光景が見れるんですよ♪」
素敵な光景、ねぇ?
お姉さんの持つアクセサリーは見たところ、不思議な加工がされているようには見えなかった。どこにでもあるアクセサリー……いや、待て。使われている花、どこかで見たことがあるような。
「その光景がまるで、神の祝福を受けているようだと言われているんです。それで、女神祭にちなんで、このアクセサリーをお渡しする行為を『祝福のお裾分け』と呼んでいます。せっかくですので、お二人もお子様とどうぞ♪」
「あ、ありがとうございます」
手渡されたアクセサリーは拳くらいの大きさで、シンプルな緑色の彼岸花のような帯飾りだ。しーくんには白色の彼岸花のブローチ。
いや、彼岸花じゃない。つい最近、これと同じものを私達は見ているし、採取したはずだ。
「これ、『女神の涙』……だよね? あの女性は加工品だって言ってたけど」
ティールも同じことを考えていたのだろう。戸惑いつつも、私に問いかけてくる。
「……うん。女神の涙、だね。ルーメンさんが取ってこいって言った理由はこれに使うためだったってことだ」
しかし、色の指定があった理由までは未だ不明だ。周りは緑色の女神の涙アクセサリーをつけている人が多い。が、それが何に使われるのかは分からない。素敵な光景とやらになるのは決定みたいだけれど。
「女神の涙でなければならない理由があるとは思う。これの特性を使ったパフォーマンスでもあるのかもね?」
「なのかなぁ? ま、今考えても仕方ないか」
そだね。この後、嫌でも答え合わせはしてくれるだろうし、今は気にしなくてもいいかな。
私とティールは適当に帯に挿し込み、しーくんにはポンチョにブローチをつけてあげる。
じゃ、改めてお祭り探索スタート、だね。

適当に街中をぶらぶらしていると、しーくんの目がキラリと光る。
ティール! あれ、やって!」
指差す先にはとある射的屋が。どこか特別なものがあるわけでもなく、普通の射的屋に見える。
しーくんが『やりたい』ではなく、『やって』とおねだりするとは。
「え、雫がやりたいんじゃないの?」
「うん」
「……ぼくがやるの?」
「うん!」
ティールさん。「なんで?」って顔で私を見ないでください。理由は自分のお子さんに聞いてください?
「やるのはいいけど……なんか欲しい景品でもある?」
「ううん。あのね、ティールがやってるとこ、みたいの」
「楽しいかな。それ」
「たのしいの!」
「そ、そうですか」
しーくんの謎主張に根負けしたお父さんは、戸惑いながらも射的屋へと向かった。そして、屋台の人にお金を支払うと、銃を構える。が、すぐに銃を下ろすと、困ったように笑う。
「……あの、どれを狙いましょうか?」
ティールが銃を使うところが見たいだけなら、どれを狙ってもいいとは思うけれど。せっかくだし、欲しいものを獲った方がいい。
屋台に並ぶ景品達に目を向けると、お菓子に雑貨におもちゃに……なんでもござれ状態だ。
パッと見、これだと思うものはないな。残念ながら。
「お父さんの好きにしたら?」
「その注文は困るやつ! し、雫、何狙う?」
「ほあ。じゃあ、あれ!」
しーくんが示したのは、ライフル銃……みたいな形をした水鉄砲だ。
あれで打たれたら痛そうだな。いや、そもそもだ。射的の景品としては打ち落とせないのでは?
「それは大丈夫そう。大きい景品は決められた的を射貫けばいいみたいだから。でも、コルク弾で一発ってのは難しいかな」
大きな景品は目玉にもなるし、そう簡単に獲らせないだろう。流石に絶対に落とせない、なんてことはないと思うけど。ルーメンさんがそういう悪どいお店は許さなそうだもん。
改めて、ティールは銃を構え直し、水鉄砲が貰える的を狙っていく。
一発目、的の上の方を狙ったのか、少しだけ的がぐらついた。そこにすかさず二発目を中心に打ち込み、的を倒した。
……ここまでにかかった時間、十秒もなかったような。
ティール、早くない?」
「そりゃ、早く打たないと的をぐらつせた意味がなくなるだろ?」
いや、そうではなくてだな。
基本的な射的の銃は一発装填。つまり、コルク弾を一つ銃口に詰め、銃のレバーを引き、引き金を引くことで弾が発射される。
予め、銃を二丁用意して、連続して打つならともかく、ティールは今、一つの銃しか使っていない。一発目を打ってから、二発目を装填、レバーを引き、狙いを定めて的を撃ち抜く……この一連の流れを十秒未満で行ったのだ。彼は。
ティールすごーい!」
「そんなことないよ。まだ弾あるし、他にも獲ろうか」
「とるー!」
私のパートナー、怖いんですけど??
その後もしーくんの指し示す獲物を全て撃ち抜いて、屋台の人を大層驚かせたティールは涼しい顔でぐっと背伸びをしている。
ティール、かっこいー!」
「そんなことないって。あんなの、上手にできる人はたくさんいるよ?」
たくさんはいないと思う。少なくとも、私はできないですけど。
当てることはできても、あんな素早いリロードなんてできないし、百発百中で景品を狙うのもできない。
「改めて、ティールって凄腕スナイパーだよね。フォース君もやる方だけど、ライフル握って獲物を狙うのはティールの方が向いてる気がするよ」
「そう? ぼくとしては剣を振るう方が好きなんだけどね?」
ゲットした景品達を自らのウエストポーチ─もちろん、異次元収納のやつ─にしまいながら、にこやかに笑う。
「ボク、しょーらい、ティールみたいにばーんってする!」
しーくんがバーンってするの……?
別にティールは銃専門の人ではないし、彼の専売特許でもないから、構わないけれど。でも、なんだろう。しーくんが銃を構えて敵を討つ姿を想像できない。
しーくんはどちらかといえば、魔法使いなイメージだ。
「しーくんが武器持って戦うところ、想像できないな。そもそも、私の天使を前線に置くなんてできない。一生、後方支援組として働いてて欲しい」
「私欲しかない人選だな、それ」
しーくんの得意分野を考えれば、当然の配置だと思うんだけどな。ま、現状、しーくんが武器を用いてバトルする予定は一切ないので、この話は保留だな。
「バーンってできる才能があるかは、しーくんがおっきくなってから、ティールが見てくれるよ。それまでは水鉄砲で修行だね」
「おー! しゅぎょー、がんばる!」
「待って。さらっとぼくに押し付けた?」
私よりもティールの方が腕が立つんだから、当然でしょ。
文句がありそうなティールは放置し、私はしーくんに目線を合わせる。
「さあって、他にもじゃんじゃん遊ぶぞ! 何したい?」
「うん! あそぶ! あのね、こんどはラルのばんなの!」
…………うん。今なんと?



~あとがき~
もうちょい、無計画な三人のお祭り徘徊が続きます。

次回、今度はラルのかっこいいところ見てみたーい!
ってことで、まだ遊びます。

なんかテンポ悪いな~……と感じているそこの読者様。正解です。大して計画を立てずに書いてます。なぜなら、プロット担当の相方が書いてくれたものではなく、私がてっきとうに書いてるからです。えへへ((
まあ、とりあえず、祭りを楽しむ三人がおるんだなーって思ってくれたら大丈夫なので、流し読みしてくれていいです! はい!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第290話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でイメチェンしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、女神祭当日、つまり、女神祭スタート! しました!
まあ、まだ祭りっぽいことはしてませんが。今回、するかもしれない。できないかもしれない。
ラル「できないに一票」
やめて。


《L side》
本来、ツバサちゃんの傍にいそうなメアリーさんがしーくんと一緒にいる理由を聞いてみると、どうやらツバサちゃんのご指示だそうで。
「雫様はしっかりされてますが、本日は女神祭。大勢のお客様がいらっしゃっています。人混みに流され、お怪我をされぬように送り届けて欲しいとお嬢様から仰せつかり、雫様にお供しました。それに、お二人にちょっとした用事もあったものですから」
? 私達に用事?
メアリーさんは紙袋をそっと持ち上げ、にっこりと微笑む。
「奥様からお二人に思う存分、お祭りを楽しんで欲しいとこちらで和装の準備をしました。どうぞ、お召し替えを♪」
……奥様から、と言うことはセラフィーヌさんから? なんでそうなった?
「ルーメン様からのご依頼には『衣食住の保証』がされていたと伺っておりますよ?」
え、あ……そこぉ!?
確かに最初受け取った依頼書にそんなことが書かれていた。食と住の保証は分かるが、衣の保証ってなんぞ、と疑問にも思ってはいたが……
「まさか、ここでそれが出てくるとは思わないよね」
「ぼく、その保証の話、すっかり忘れてたよ」
うん、私もだよ。
戸惑いを隠せない私達だが、メアリーさんは全く気にせず、話を続ける。
「奥様がご用意した和装には『接触冷感』や『熱気カット』等施されております。夏が苦手なティール様でも快適に過ごせますよ!」
そういうセールスポイントは聞いてませんけど……特に気にしてないですし。
とはいえ、ここで受け取らないのも失礼だろう。せっかく用意してくれたのだし。
「ありがとうございます。メアリーさん」
「いえいえ! あ、そうだ! 雫様」
何か思い付いたのか、メアリーさんはしーくんと目線を合わせるようにその場にしゃがむと、楽しそうに微笑む。
「雫様さえよければ、精霊衣装にお召し替えしますか? せっかくですもの、一足先にお二人に見てもらいたいですもんね?」
「ほあ。もういーの?」
「はい。恐らく、雫様以外の精霊役のお子様達も着て、お祭りを楽しんでらっしゃるので、問題ないかと」
「そっか! じゃあ、ボクもきがえる!」
え、もう着替えるの?
「さあさ、ラル様、ティール様? 一度ギルドへ戻りお召し替えを! なんなら、私もお手伝いしますので!」
えっ!?
なぜか、私とティールよりもやる気満々なメアリーさんに押し負ける形で、ギルドに逆戻りさせられる。
そのままギルドの空き部屋へ連れ込まれ、まずはしーくんがメアリーさんの手によってお着替えさせられた。
和服ベースに膝丈の青い袴。そして、サメモチーフのポンチョを着た、精霊しーくんが誕生した。
「どお? すごいでしょー!」
何がどう凄いのかは分からないが、可愛いのは確かです。いや、うちの天使はいつも可愛いけれど。今日は一段と素敵です。うちの子が一番可愛い精霊だよ!
「ラル? しゃべんなくなっちゃった。ボク、どこかヘン?」
「気にしなくていいよ、雫。心の中で滅茶苦茶褒めてるだけだよ。ラルも似合ってるって思ってくれてるからね」
言葉に言い表せないくらい、褒めまくってる。うちの子が一番可愛い。誰がなんと言おうと、しーくんがNo.1です。はい。
「ふふ。では、お次はティール様ですね~♪ お手伝いしますよ」
「へっ!? いや、一人で大丈夫で……あ、メアリーさん!? え、力強い……!」
ぐいぐいと押しの強いメアリーさんに拐われてしまった。そういえば、メアリーさん、ツバサちゃんに可愛いお洋服着てもらうの好きだったな。こういうの、元から好きなのかもしれない。
ティール、どんなかっこーで出てくるかな?」
「どうだろうねぇ~……ま、セラフィーヌさんが用意した服だし、変なコスプレとかにはならないとは思うよ」
……和装、か。せっかくだし、あれ、つけてみようかな。となれば、一旦部屋に戻らないと駄目か。
「しーくん、ちょっとここで待っててもらえる? 忘れ物取りに行ってくる」
「うん。わかった! ティールとメアリーお姉ちゃんをここでまってる」
「ありがとう。ま、部屋までそう遠くないし、すぐ戻ってくるよ」

私がちょっとした忘れ物を取って戻ってくると、ちょうどティールも着替え終わったようだ。
上は涼しげな青色にシャボン玉のような水玉模様があしらわれた着物ベース。そして、下は動きやすいよう、パンツスタイルになっている。そして、メアリーさんチョイスなのか、前髪の一部をピンで上げている。
「その、ど、うかな……?」
どこか恥ずかしそうにしているが、恥ずかしくなる要素なんてどこにもないように思う。
「いいじゃん。似合ってるよ? ね、しーくん?」
「うん! ティール、かっこいー!」
「そうかな……ありがとう」
「ふっふっふー……最後はラル様ですね」
この流れ、私一人でできますなんて言っても無駄な気がする。大人しくされるがままになるか。そっちの方が楽だよね、色々と。
私はメアリーさんのお手伝いをありがたーく受けながらてきぱきと着替えた。……いや、この場合、着替えさせてもらった、と言うべきかもしれない。
オレンジ色の着物に白の花模様が施されている。そして、こちらも動きやすいよう、裾部分にはスリットがあり、下はラップキュロットになっていた。
最後に髪を纏め上げ、簪を挿せば終了。
「お似合いです、ラル様♪」
「あはは。ありがとうございます、メアリーさん」
着替え終わって、二人に合流すると、しーくんがきらきらした目をして、私を見てきた。
「ラル、にあってる!」
「ん。ありがとね、しーくん♪」
しーくんは女の子を喜ばせる台詞をきちんと知ってて偉いな。でも、どこで学んでくるんでしょ。お母さん、気になります。
「……」
そして、ティールはなぜか黙ったまま。心なしか、顔も赤いような?
ティール? どうかしたの?」
「あ……その、結構雰囲気変わるなって思ってさ。えっと、可愛いな、て」
「え……あ、ありがとう……?」
いつもなら、すんなり言ってきそうな台詞をなぜ、そこまで恥ずかしがりながら言うんだ。なんで照れてんだ? え、なんで!?
「あら? あらあら~♪」
メアリーさんはなんで楽しそうなんだ!?
「か、簪、つけて、くれたんだ」
「あ、うん。せっかくの和装だし……柄とお揃いで、合うだろうなって思って。変?」
「ううん。あのときは君に似合うかなって思って選んだけど、間違ってなくてよかった」
……なんだろ。
勘違いさせそうな台詞をぽんぽん言ってくるティールなんだけれど、今日はどことなく意識されてる、のか? 恥ずかしがりながら言ってくる辺り、自覚してると見て取れるのだが。
そうなると、私をただの相棒じゃなくて、女の子として見てるってことになってしまうのだが。
……いや、まさかな。今更、そんなことはないだろう。
「ラル様もティール様も見たところ、問題なさそうですね。それでは、私はそろそろ失礼いたしますね。よきものが見れましたし♪」
服だよな。いいものってのは、服のことだよな??
大満足というご様子で退出したメアリーさん。彼女が抱いた思いについては分からないままだったが、きっと服がぴったりでよかったですってことだ。うん。
「じゃ、当初の予定通り、お祭り見て回ろうか?」
「あぁ、うん。そうだね」
「! ラルとティールもいっしょ?」
「うん。私達のお仕事、夕方からでいいって言われたの。だから、しーくんと一緒だよ~♪」
「やったー! あのね! たくさんいきたいとこ、あるの! いこ!」
こんな風に喜んでくれるなら、祭りを楽しめってフェゴさんのお言葉に甘えて正解だったかも。
よぉし! せっかくだ。家族サービスしよーっと!



~あとがき~
まさか、衣装替えだけで一話使うなんて思ってなかったよ。

次回、お祭り。
わいわいがやがやします。(適当)

ラルとティールと雫の三人でお出掛けするのはツバサちゃんの観光案内以来です。あのときはツバサちゃんとわいわいしてましたが、今回は三人しかいません。
三人だけってのは今回が初めてや……いろんな意味でどきどきするぜ!

ではでは。

LEGENDSアルセウスの話。

本日は小説ではなく、タイトル通りのやつです。唐突に始まる、例のやつ。
ということで! 今年の1月28日に発売されたポケモン最新作、『Pokemon LEGENDS アルセウス』のプレイ感想回でございまーーーす!!
大胆なネタバレはしませんが、軽度なネタバレはあると思われますので、苦手な方は閲覧をご控えくださいませ!





はい。語っていくぞ!
結論から言えば、(個人的には)滅茶苦茶楽しかったです。ポケモン好きには堪らないのではなかろうか。
今回は語りたいことが多いので、見出しを用意しました。こんなこと話してくぜ~的なやつ。目次とも言う(笑)
1、今までとの違い。
2、操作性
3、ストーリーの話。
4、まとめ


1、今までとの違い。
まず、今回は従来のシステムとは大きく異なり、オープンワールドで捕獲メインのシステムになってます。今までみたいにジム戦して、悪の組織倒して、リーグ行って~……という王道パターン(?)ではなくなってます。
そのため、これを本編と位置付けていいのか困る部分もなくはないですが、大昔(?)のシンオウ地方の話なので、本編でいいんじゃないかな! 私はそう思います。システムはそれなりに違いますが!
システムの話をすると長くなりそうなので、簡潔に。
ポケモンの能力値が従来のものとは変更されてる。つまり、独自の数値だと思います。ポケダンの探検隊くらいまでの能力値変化だと思っていただければ。それ以降は……覚えてないけど、本編ポケモンと似たような数値を与えられていたはず。まあ、要はポケモン達のパラメーターがアルセウス独自の能力値だろうなってことですね。
そして、バトルも基本はターン制なのですが、ポケモンの素早さや技の追加効果で連続行動するときがあるってのも大きく異なる点かと。下手したら、ポケモン入れ換えて即瀕死ってのもなくはないです。はい……! その辺は技を選択するときに考えなきゃいけないところなのかなぁと。

で、ここが強調されるべきところかなと思います。オープンワールド! ポケモン初のオープンワールドです!!
剣盾のワイルドエリアも一種のオープンワールド……かもしれませんが、その辺は私、よく分かってないので詳しい人教えてくれ。
はい! 話を戻して。
オープンワールド故に自由度高め! 序盤から寄り道しまくれる! これが魅力の一つではないでしょうか?
序盤では手に入らないような高レベルポケモンも工夫次第で捕まえられるし、ほんっとに自由度高くて感動しました。
そのせいか、気がついたら大量のモンボを投げてましたね。ボックス機能が追加される前、手持ちがミジュマルムックルコリンクビッパ3、という謎編成になるくらい捕まえてました。それくらい手当たり次第にボール投げちゃってましたね~(笑)
同じ捕獲メイン(と言っていいかは分からんが)ピカブイとの違いはなんだろうと思ったとき、図鑑完成するためにタスクをクリアするという目標かあるというのが要因なのかなと。

さて。これは舞台設定にも関わってくるのですが、ここは昔のシンオウ地方。ヒスイ地方にはトレーナーという人々はあんまりいません。ポケモンは怖いものだ。恐ろしいものであると大多数に思われていた時代でもあります。
そのため、トレーナー戦はあんまりないです。大体が野生のポケモン戦です。従来通りの対戦を楽しんでいた方には「あれ?」となってしまうかもしれません。

今回、手持ちの相棒達と共に素材を集めて、クラフトする要素があります。モンスターボールはもちろん、傷薬等々も自らの手で作り出せるのです。お金を払えば買うことも可能ですが、お勧めはしない。お金は別のところで使いなさい……何とは言わないが!(笑)


2、操作性
アクションゲームに明るくない私なので、正直なところ、どうなのかよく分かりません。つい最近、ダッシュ機能とやらを知ったくらい、なんか色々ボタン設定されてます。
あと、アクション苦手(マリオのワールド1で即死するレベルで下手くそ)なので、操作性云々の話をする以前の問題でもあるんですが……そんな私でもクリアまではこぎ着けるので、安心してプレイしていただけるかと。もちろん、アクション要素強めなキング・クイーン戦では、私、何度も死んでます。操作下手くそすぎて、自分に半ギレしながらクリアしました(笑)
ですが、体力ゲージの引き継ぎができるので、途中からコンテニュー可能なのです。救済措置ってやつだな! めっちゃ助かった!←
つまり、ゴリ押し戦法も使えなくないってことですね。私は操作ができなくなって、途中からゴリ押ししました。てへ☆

これは操作性なのか分かりませんが、ライドポケモンに乗りながら、素材採取が一部できません。これは不便なところ。
限定的ではありますが、海を渡るライドポケモンのみボールが投げられる仕様(水中のポケモンを捕まえるためだと思う)なので、問題なく行えますが。基本、陸地で素材集めはするので、ぐぬぬっとなります。なりますが、慣れてきたら、一瞬だけポケモンから降りて、自身のポケモンを出し、すぐにポケモンに乗って移動~……というプロみたいな動きをするようになるので、面倒だけど、慣れるしかないのかなぁと。


3、ストーリーの話。
ここからストーリーの話をします。
重大なネタバレをしないように一言でまとめるなら、今流行りの「異世界転生」ですかね。冒頭から「えっ!? あ、そういう感じ!?」ってなってました。
なんていうか、ストーリーよかったです。よくも悪くも、人らしさってのが出てる話だなぁと。主人公を支えてくれる仲間達、とってもよい。そんな話です。
ネ、ネタバレをしないようにストーリーの話はこれ以上はできん……っ!(笑)
私個人としては、とっても面白かったし、後半のとあるシーンとかも納得できるものだったなと。何とは言わないが。
まあ、なんだ。ストーリーと違う話やもしれませんが、今回は全体的に難易度は高めのような気がします。相棒達のレベリングをサボれば、野生戦で死にます。野生戦で。もう一度言おう。野生戦で! パーティー半壊なんてざらだぞ!!←
なので、メインパーティーはきちんと育てましょう! あと、軽率に親分に真正面から突っ込まないようにしよう。死ぬ。

では、恒例! 最後に私のパーティーを紹介です!
クリア時パーティー
みずまる/ダイケンキ♂ Lv.71
おぼろ/ブラッキー♂ Lv.70
むくまる/ムクホーク♂ Lv.69
とらん/レントラー♀ Lv.68
ぽにまる/ギャロップ♂ Lv.69
つねまる/ゾロアーク♂ Lv.62

クリアしてから、もう少しレベルを上げた方がよかったなと思います。私が今回で追加された早業、力業を使いこなせなくて、適当なのがよくないんだけど。大体、誰かが犠牲になってました。すまん、皆。
とりあえず、ブラッキーの高耐久に助けられる場面は多かったっす。ブラッキーは強い。私の推しポケ強い。好き←


現状、ストーリークリアし、クリア後のストーリーも一応、クリアしております。が、まだ図鑑は埋まってないし、タイトルにあるアルセウスにも出会ってないので、まだまだやることは多そうです。のんびりとやっていこうかと思います。
けどまあ、一区切りはついたかな、うん。
小説書きまぁぁす!!(笑)

次回の更新はレイ学更新予定。
お楽しみに~

学びや!レイディアント学園 第289話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ようやく女神祭前日譚が終わりました! やったね!
今回から! お祭りパートです!
楽しんでいくぜぇぇ!!
ラル「リアルは冬ですが、こっちは夏です。いえーい」
暖かいお部屋で書いてるから、気分は夏だよ。大丈夫。


《L side》
女神祭当日。
心地よい風が吹く晴天の中、祭りの開催を告げる花火の音が鳴り響く。それに一瞬遅れ、街の人々、観光客達の歓声も聞こえていた。
目的の屋台や店へ向かう人達、道で披露される大道芸を楽しむ人達、どこへ行こうかと楽しそうに散策プランを練る人達……本当に色んな人がこの祭りを心待ちにしていたのだろうと感じられる光景であった。
そんな中、私とティールはお祭りを楽しむ人々に紛れ──るわけでもなく、ギルドを正面に一望できる噴水広場近くのとある場所にいた。今回の祭りの運営拠点、『女神祭本部』内である。
探検隊仕様の私とティールは、騎士団服姿アラシ君に連れられ、一人の男性と対面させられていた。
アラシ君と同じような服ではなく、見るからに上官ですって感じの軍服。短髪のがたいのいいおじさまである。
「……二人は会うの、初めてだよな? まあ、この状況で察しがつかないことはないと思うんだけど、一応、紹介しとく」
「スプランドゥールの近衛騎士団団長、フェゴ・フェルドだ。いつも息子達がお世話になっているな」
アラシ君似というよりは、イグさん似のフェゴさんは、爽やかな笑顔でご挨拶をしてくれる。性格もイグさんみたい(?)に親しみやすい感じです。いや、あの人を親しみやすいなんて言葉で表現してもいいのだろうか?
「頭が混乱してます、助けて相棒」
「ぼくも似たようなものだよ」
……ええい。空気に飲まれるな、こちらも挨拶せねば。
「こちらこそお世話になっています。私は探検隊スカイのリーダー、ラル・フェラディーネです。こちらは私のパートナーのティール・クランド。微力ながら、我々もお手伝いさせていただきます」
「あぁ、よろしく頼む。とはいえ、そんなに畏まる必要もないぞ」
畏まるわぁぁ!! 言ってみれば私らは雇われ一般兵! あなたはその指揮官。上下関係! 大事!!
……ってのが通じるような人じゃないんだろうな。この人と纏う雰囲気で分かる。なんなら、イグさんの父親ってだけでなんとなく察してた。
「さて、仕事の確認をしよう。二人にやってもらいたいのは、舞披露後、神子様の警護。つまり、ツバサとツルギの警護だ。だから、夕方までは自由にしていて構わない」
……なんと。
一日、警備隊として働くもんだと思ってたんだけれど。
「お前達はルーメンさんの依頼でここにいる探検隊だが、それと同時に客人でもある。それに、お前達にとっては高校最後の夏だろう? 半日とはいえ、思い出作りとしてここの祭りを楽しんでくれ♪」
「フェゴさん、イグさんの何十倍も優しい……イグさんみたいな見た目なのに、滅茶苦茶優しい」
「それは言い過ぎだろ。フェゴさんもイグさんも同じくらいだって」
「馬鹿! ティールはイグさんの本性を知らないだけだよ!! 現実を見ろ!? あの人は悪魔で鬼ですけど!!」
「お前、他人の兄を悪魔とか鬼とか言うなよ? ってか、兄貴にいつも何されてんだ……?」
「一言で言えばサンドバック」
「はあ!? 誤解を招く言い方しないの!!」
えぇ……間違ってないと思うんだけどな。
まあ、冗談はさておき。
依頼されたものが神子様の警護でそれが夕方から。だから、時間が来るまでは遊んでいいと言われても、はいそうですか、とはなれないのが心情ってやつで。
「私達は本来の警護時間まで、警備のお手伝いしますよ。一応、遊びに来たわけではないですし」
「ふむ。……それなら、アラシ。準備したアレ、渡してやれ」
「え? アレって……親父が細工するようにって指示してた通信機のことか?」
「そそ。もしかしたら必要になっかな~って準備してたやつ。……それから、この場に俺らしかいないとはいえ、『親父』呼びするんじゃないっていつも言ってるだろ」
と、フェゴさんは笑顔でアラシ君をデコピンする。見た目、そこまで痛そうに見えないのだが、された本人はおでこを抑え、若干涙目になっている気がする。多分、そこそこ痛かったんだろう。
馬鹿力は親子共々、健在なのだろう。怖いわ。
アラシ君は自身のポケットから小さな通信機を取り出すと、私とティールそれぞれに手渡してくれる。見た目はどこにでもある普通のやつだ。私達も普段から使うような耳に付けて、通信するやつで。
「それは特定の相手にのみ繋がる無線機だ。二人が祭りを楽しんでいる間に不審者を見つけたら、そこに連絡を入れてくれればいい。それと、これも渡しておこうか」
今度はフェゴさんが腕章を手渡す。祭りの関係者がつけているものと同じものだ。
「先程は客人と言ったが、同時にギルド関係者でもあるからな。分かりやすいだろう?」
まあ、つけろと言うならつけますけど。
「……あの、不審者を見つけたらどう対処するとか……そういう決まり事ってありますか?」
私の質問にフェゴさんは一瞬、ぽかんとすると、豪快に笑い飛ばした。
「そんなの俺達の方でやるから気にするな! 二人には見つけたという連絡をするだけで構わんよ。アラシがどうにかするから、二人は楽しむといい!」
「え、待って。俺が対処すんの?」
初耳ですが、という反応のアラシ君。そんなアラシ君にフェゴさんはニッと笑う。
「そうだ。二人に渡した通信の相手はアラシだからな。そもそも、今回の祭りの警備統括はお前なんだから、当然だろ?」
「当然だろ?……じゃねぇし。いや、いいけどさ。今更、連絡相手が一人二人増えても問題ないけども」
「おうおう! 頼もしいな、我が息子よ。じゃ、ちゃーんと対処しろよ~? ってことだから、二人は遠慮なくアラシを頼れな♪」
はーい。
……とはいえ、見つけたら、真っ先に捕まえて捕縛してしまった方が楽なのでは? どこどこで見つけました~……って連絡して、その相手を見失ったら元も子もない。
「おい、ラル。頼むから余計なことはするなよ? 俺の仕事を増やすなよ?」
何を思ったのか、謎の忠告をしてくる、アラシ君。
「大丈夫だよ。要は悪いやつは捕まえとけばいいんでしょ」
「いや、お前は捕まえなくていいからな?」
「時と場合によるかなぁ」
「よりませんけど!? 俺の指示に従え!?」
善処しまーす。
「あ~……アラシ、覚悟してた方がいいかも。多分、色々あると思うな」
「そう言うならティールが事前に止めてくれ」
「それで止まるなら、こんなこと言わないよ?」
「……こんにゃろ」
二人にして何を心配しているのやら。
「さて。何かあったら、その無線機でアラシに指示を仰ぐといい。時間になったら、ここに来てくれたらいいから」
りょーかいです。
「で、アラシ。祭りが終わった後の話がしたいから、こっち来い」
「は? それ、今するひつよ……はい。行きます、行かせていただきます……!」
フェゴさんの有無を言わせない笑顔にアラシ君はがっくりと肩を落とす。
「はぁ……じゃ、ラル、ティール、また後でな」
「ほーい。まったね~」
「行ってらっしゃい、アラシ」
と、フェゴさんとアラシ君が本部を去っていく。
私達は私達で思いがけない自由時間ができたわけだが。どうするかな。
「ラル、この後どうする?」
「ま、あれほど祭りを楽しめって言われちゃったし、楽しむしかないんじゃないかな。とりあえず、しーくんと合流しよう。しーくん、舞の最終チェック終われば時間あるって話だし、一緒に祭りを回ればいいかなって」
「うん。そだね。じゃ、雫を迎えに行こう……と、思ったけど、その必要はなさそうだね?」
うん?
ティールが示す方角を見ると、こちらへ駆け寄ってくるしーくんと、その後ろにメアリーさんの姿が。
しーくんはともかく、なぜ、ツバサちゃんのお付きメイドさんのメアリーさんまで一緒なんだ?



~あとがき~
新キャラだったり、懐かしのキャラだったりでしたね。

次回、メアリーさんがやってきた理由とは。

祭りだ祭りだと騒ぎましたが、祭りっぽいことをまだやってないです。もう少ししたら、ラル達に祭りを楽しんで貰うつもりなのですが……!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第288話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、無事にリンゴヨーグルトゼリーの完成に一役買ったティールとリランの飛行訓練やら、いつかのセカイイチ泥棒事件の顛末をお話ししました。
今回は飛行訓練の続きです。


《L side》
私がなぜ、ここでリランの飛行訓練をしていたのかと問いかけると、ミユルちゃんが説明してくれた。
なんでも、舞の練習も終わり、時間ができたからだと言う。今日は一般客もギルドに入ってこないし、中庭ならのびのびと練習ができると。
「会長さん達もご存知かと思いますが、リランは白竜と呼ばれるドラゴンの一種だと言われてます。ですが、未だに上手く飛べなくて」
それはさっきの超低空飛行だったり、衝突事故だったりを見て、薄々勘づいてはいたけれど。
「白竜はすでに絶滅したと言われる種族だ。……リランに飛び方を教えてくれる仲間もいないってことだね」
一応、モンスターとしてのドラゴンは存在するけど、当然、そんなモンスター相手に飛び方を教えてやってくれ、なんて通用するはずもない。
「そうです。なので、現状、白竜に一番近い竜族のシルが時々、あぁやって教えているんです」
竜族の“竜化”だね?」
「はい♪」
竜族の特徴の一つ、“竜化”は文字通り、人から竜へと姿を変える能力のことだ。
ちなみに。
竜族が何らかの理由─仕事で変化するってのが一番多い理由らしい─で竜へと変化する者は、国から定められたチョーカーをつけることが義務付けられているそうな。
まあ、モンスターと間違われないように視覚で判断できるようにしているのだろう。
シエル君も例外ではなく、竜族の印が刻まれた紫色の石が特徴的な黒いチョーカーを身に付けている。
「リラン、もう一度、よく見てるんだよ?」
「あんっ!」
ツバサちゃんとしーくんの手助けもあり、復活したリランは飛行訓練を再開させるようだ。
シエル君が光に包まれると、彼の髪色と同じ、薄く透き通るような水色の鱗を持つドラゴンへと姿を変える。
ドラゴンのシエル君はふわりと体を浮かばせ、リランのお手本として翼を羽ばたかせた。
シエル君の竜化を見るのはこれが初めてではない。なんなら、シエル君以外にも学園内で資材運びと称して竜族の生徒達が飛ぶ姿を時折見かける。
とはいえ、だ。
「前に見たときより小さい気がする」
竜族の竜化は練習次第で体の大きさを自在に操れるそうですよ? あれはリランに飛び方を教えるときのサイズです」
意外と融通の利く能力なんだな。
確かに飛び方を教えるだけなら、そこまで大きくなくていいもんね。
「ちなみに、シルの本来の大きさは大体三メートルくらいですね♪」
「えっ!? シエルってそんなにおっきくなるの!?」
そりゃ、ドラゴンだもんな……
そんな話をしつつ、しばらくはリランの飛行訓練を見学していた。……まあ、しーくんが楽しそうに眺めていたので、切り上げるタイミングを図っていたとも言えるのだけれど。
ある程度応援したら満足したのか、しーくんは私達のところへ戻ってきた。
「ただいま!」
「ん。もういいの?」
「うん! リランにがんばれーってげんきあげてきたから、もういいの!」
そっかそっか~……うちの子、なんて健気で可愛いんでしょう。
「じゃ、私達も部屋に戻ろっか。色々話に付き合ってくれてありがと。皆は練習頑張ってね」
「いえいえ。そういえば、明日は会長さん達もお仕事があるんですよね? 頑張ってください♪」
「ありがとう、ミユル。君達も舞の披露があるんだろう? ぼくら、見るのは初めてだから楽しみにしてるよ」
「ふふ。ありがとうございます。精一杯、頑張りますね♪」
明日はそれぞれの役割を全うするため、互いに激励し合う。
まあ、私とティールは恐らく、普段と変わらない仕事内容ではあるのだけれど。


──これは、どこかの世界のとある場所。
多くの書物に囲まれたとある一室にて、一人の少年と一匹の子猫がそこにいた。
子猫は少年の膝の上で丸くなり、彼の手で優しく撫でられていた。
少年は優しい眼差しで子猫を見やり、楽しそうに話しかけている。
「いよいよ、女神祭が始まるね~? お土産いっぱい買ってくるから、楽しみにしててね?」
「にぃ~♪」
一人と一匹に穏やかな時間が流れる中、控えめながらも部屋の扉をノックする音が響いた。その音に彼らの耳がぴくんっと動く。
少年は流れるような長い銀髪を揺らし、扉の方を見ると、外にいるであろう人物に声をかけた。
すると、がチャリと扉が開けられ、そこから一人の青年が入ってくる。
男性にしては少し長めの髪は柔らかな乳白色をしている。そして、ルビーのような赤い目を少年に向け、青年はにっこりと笑った。
「おっまたせ! こっちの仕事と準備はちゃんと終わらせてきたよ。と言うことで、早速出発しよっか♪ ルフさん」
『ルフさん』と呼ばれた少年は、彼の言葉に肯定するようにニッと笑う。
「そだね、行こっか。ウィルくん!」



~あとがき~
私にしてはめっちゃ短い。多分、いつもの半分くらいです。まあ、ここがきりがいいんで、許してたも……!

次回、女神祭スタート!
うえーい。祭りだ! 祭りだー!!

最後のあれは気にしないでください。どっかでウィルとルフさん出てきますので。
この二人は誰やねんって方は、このまま本編の続きを待っていただくか、番外編『気ままな神さま達と日常記録』シリーズを読んでくれれば分かるかと思います。そこに出てくる二人です。なので、予習復習するのもありですよ!(宣伝)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第287話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとイグさんがおデートしたり、リアさんとほのぼの会話したりしました。
それの続きっすね! お祭り前日譚!


《L side》
あの後、リアさん達とは別れ、私としーくんはティールを迎えに行くことにした。
「ラル、ティールはどこ?」
「ん~……まだ食堂にいると思う。迎えに行くって言ったから」
ヒノさんにスカウトされたティールはリンゴを使った商品(?)開発を手伝うため、食堂に残った。それがまだ終わっていなければ、いると思うのだが。
「あ、おと、とまった!」
「ん? あら、そうだね。練習、終わったのかな」
「きっと、そう! あのね! ラル、あした、ちゃんとみててね? ボク、がんばるから」
「もちろん。しーくんの頑張る姿は一瞬たりとも見逃さないよ」
見逃すわけないじゃないですか。我が子がこの夏、頑張って練習した成果を見れるんだもん。仲間として……いえ、親として、見逃すなんてあり得ない!
「ついたよ! あけよ!」
私としーくんとで、食堂の扉を開ける。
すると、中から数人の話し声が聞こえてくる。どうやら、まだ開発は続いているらしかった。
「……邪魔しないようにはしっこで座ってよっか」
「はーい」
あの様子だと私達の入室にも気づいていなさそうである。まあ、別に構わないのだけれど。
商品開発担当らの中心には私の相棒であり、しーくんの父親、ティールがいる。ティールの前にいくつかの容器が並べられ、その一つを手に取った彼は、小さなスプーンでリンゴデザートらしきものを口に運ぶ。
「う……うぅぅまぁぁぁ~♪」
うっとりとした表情でそれを堪能すると、感想を述べるでもなく、再び食べ始める。
そんなティールを観察していたヒノさんは手元のメモ帳にさらさらっと何かをメモする。
「ふむふむ。先程のゼリーより、反応は良さそうですね。少しだけヨーグルトの酸味が強くなっていると思うのですが、いかがでしょう?」
「ん~……そう、ですね。確かに酸味は強いですが、その分リンゴの甘味も感じられるので、とっても美味しいですよ? あ、でも、この容器だとリンゴの果肉が取りにくいかもしれません」
え、あいつ、リンゴだけじゃなくてそれを入れる容器も気にするの? え、なんで。
「さっすが、ティールさん! カズキ先輩の仰った通り、リンゴ愛に溢れる方ですね! すっごく助かります~♪」
「いえいえ。ぼくなんかでよければいくらでも手伝いますよ。このリンゴヨーグルトゼリー、とっても美味しいので、無限にいけます♪」
リンゴに限って食いしん坊キャラやめろ。恥ずかしい。
「では、こちらのゼリーの感想もお願いできますか!」
「喜んで!」
変な同盟組むな。めっちゃ恥ずかしい!
「ラル、ティール、何してるのー?」
「うーん。多分、お祭りで出す品の最終チェック、かな? リンゴヨーグルトゼリーだってさ」
私と別れてからずっと続けているのだとすると、どれだけのリンゴヨーグルトゼリーとやらを食したのだろう? 恐ろしくて聞きたくもないが。
私の相棒はリンゴが関わるととことんアホになりやがる。なんなんのだ、あのリンゴ王子は。ぐでっと夏バテにやられていただらしないティールはどこに行ったのだ。
「ほあ~……ティール、アリアお姉ちゃんみたいだねー」
「リンゴ限定だけどね」
食材の配分やリンゴ種類等々、差異はあるだろうがベースは同じもののはず。それなのによくもまあ、永遠と食べ続けられるものだ。味が違うなら未だしも、ほぼ味が変わらないゼリーを永遠と食べるなんて考えられない。
「……うん。ぼくとしては七番が一番美味しかったです♪」
ヒノさんに見えるように空の容器を持ち上げ、満面の笑みを輝かせる。そんなティールを見て、ヒノさんも満足げに頷いて見せた。
「ふむふむ……他のメンバーのアンケートでも、七番が一番票を集めてますし、明日はこれでいきたいと思います! ティールさん、ありがとうございました。助かりましたよー!」
「こちらこそ、貴重な体験をありがとうございました。明日、楽しみにしてますね」
明日も食うんかい! 今、飽きる程食べてませんでした?
「はいっ! ぜひ、来てください! お待ちしてます♪」
と、互いに熱い握手を交わした後、ようやく私達の存在に気づいたらしいティールが、私達に向かって手を振ってきた。
「滅茶苦茶、他人のフリをしたい」
「うゆ? ティール、リンゴのかい、おわった?」
「リンゴの会じゃないよ。一応、試食会だよ。リンゴヨーグルトゼリーってやつの試食会ね。主役はリンゴそのものではないかな~」
ま、スカウトされたティールさんにはあまり関係なさそうですけど。
「ごめんね、二人ともお待たせ!」
「まあ、ヒノさん達の手伝いが無事に終わって何よりだけど。……私と別れる前より元気になってない?」
というか、心なしか肌艶もよさそうである。
「え? そうかな? きっとたくさんのリンゴゼリー食べたからだね」
いや、リンゴにもゼリーにもそんな効果ないだろうが。やめろ、架空のバフ効果があるみたいじゃないか。
……まあ、いい。部屋に帰ろう。
ティール、たくさん、たべたー?」
「うん。どれも美味しかったよ~♪」
しーくんをだっこし、楽しそうに笑うティール。そりゃ、リンゴ大好きな彼にとってはどれも美味しかったのだろうが。
「あの、ティールさん」
「ん? なんで、さん付け……? まあ、いいや。なぁに?」
「とっても満足そうなところ、申し訳ないんですが。無粋な質問よろしいですかね」
「? うん、いいよ」
「試食会って似たようなやつ何度も食べるんですよね? 飽きません?」
私の至極全うな疑問に、ティールは不思議そうに首を傾げる。
「番号によってリンゴとヨーグルトの割合や種類が違うし、それによって味もがらっと変わってくるから、いくら食べても飽きないよ?」
「……さいですか」
……いや、いい。この話の反論はやめる。意味がない。
リンゴの話はここまでにし、別のどうでもいい話をしながら、中庭までやって来た。
「そう、その調子で」
と、中庭から聞き覚えのある声……シエル君の声が聞こえてきて、思わず足を止める。
そこではツバサちゃん、シエル君、ミユルちゃんの三人とリラン一匹が見慣れない訓練(?)のようなものをしていた。
リランがふらふらと飛行しているのだ。
「そう、風に乗って飛ぶ感じだよ。そのまま、もう少しここまで飛んでみて!」
シエル君は、赤ちゃんのあんよを見守るお父さんみたいにリランから少し離れ、手を叩きながらリランを呼んでいる。
呼ばれたリランは元気よく一鳴きすると、ふらふらっと進み始める。ちなみに、その高さ、約一メートルと言ったところか。
危なげに飛ぶリランをツバサちゃんが応援しながら、魔法で補助、ミユルちゃんはその隣で応援していた。
現状を整理すると、リランの飛行練習(?)を三人が手伝っている、でいいのだろうか。
「リラン、飛ぶんだ。めっちゃ低いけど」
「そりゃ、一応、ドラゴンだし……? でも、今にも落ちちゃいそうだね?」
それは言ってやるな。
「リラン、とぶの、はじめてみた!」
「「あぁ……確かに?」」
しーくんの指摘に、思わず私とティールは声を揃えて同意する。
どこまでもドラゴンの威厳なんて感じず、むしろ、犬っぽさが際立つ白竜、それが私達の知るリランだった。そんなリランが─ふらふらながらも─ドラゴンらしく、飛行するところは初めて見た。
リラン、ちゃんとドラゴンだったんだなぁ……
「そういえば、さ。前にツバサのお見舞いに行ったとき、リラン、飛んでなかったよね? ほら、ラルを追いかけてたとき」
「……あぁ、木の上に逃げたときか。そう言われると、そうだね。あのときは単にあの高さまで飛べないだけだと思って逃げたんだけど……」
今も一匹の力で飛んでいるのではなく、ツバサちゃんの補助付きで、かなりの低空飛行だ。つまり、現状リランだけの力では飛べないのだろう。
「……あら? 会長さんと副会長さん?」
「ほえ? あ、ラルさん! ティールさん! しーくんも!」
私達に気づいたミユルちゃんの呼び掛けにツバサちゃんも釣られてこちらを見て、パッと笑顔を見せてくれる。
「こんにちは。……こうしてちゃんと話すのは久しぶりだね。ミユルちゃん」
「はい。夏休み入る前の……セカイイチ泥棒対策会議以来です」
はは、嫌なことを思い出させてくれる。
セカイイチ泥棒……あ、ラルが剣技大会以降、園芸部に何度か出向いてたやつ? その後、どうなったか聞いてなかったけど、どうなったの?」
嫌なことを! 思い出させてくれるじゃないの!!
「……まあ、一応は解決した。お互いが妥協する結果に持っていったとも言える」
「ふふ。その節は会長さんにお世話になりました」
結論から言えば、プリン校長に盗るのをやめさせることはできなかった。だから、園芸部にお願いし、一本だけ校長専用の木として置いてもらうことにした。
「もちろん、やめてもらうのが一番だから、それを目指して何度も交渉はしたよ。けど、『アレ』を食らう手前までいった日には交渉自体を諦めたよ」
「あ、あぁ……そうだね。それはもう諦めるしかないな」
ということで、園芸部の方々に妥協していただいたというわけでありました。
事情を知らない部員の方々に納得してもらうには時間がかかったけど、まあ、結果、平和的に終わったのでよかったと思います。
「その代わり、その専用の木以外から収穫しないよう、会長さんには再度、交渉お願いしました♪」
「うわ……そ、そうだったんだ。……いつだったか、校長室から帰ってきたとき、滅茶苦茶疲れて帰ってきて、そのままずーっと寝てたのってそういうこと?」
「その一本以外から収穫しない約束取り付けた日です」
「……お疲れ様」
口約束では安心できないから、何枚か書類作って契約書書かせましたよ! その書類は控えを作り、生徒会、園芸部、校長─に持っててもらうのはかなーり不安なので、ノウツに預けた。流石に─の三者に書類を保管してもらっている。
ここまでしないと駄目な校長ってなんだ。
今思い出しても涙しか出てこん……くそが。こんの駄目校長……お子ちゃま校長のお馬鹿……!
「ラル、よしよし。げんき、だして? ボクのげんきあげるからね」
我が子の優しさが身に染みる!!
……とまあ、セカイイチ泥棒事件に関してはひっそり(?)と幕を下ろしているのである。
「うわぁっ!?」
「わふんっ」
どうでもいい事件の結末を話している間に、リランが飛行に失敗して、シエル君のところに突っ込んだらしい。
慌てて、ツバサちゃんとティールのだっこから降りたしーくんがリランの下へと駆け寄り、助け起こしに行く。
……すっかり、セカイイチ泥棒の話になってしまったが、なぜミユルちゃん達はこんなところでリランの飛行訓練をしているのだろう?



~あとがき~
なっげ……そして、いつかのセカイイチ泥棒事件。しれっと解決してました。

次回、飛行訓練の話。

ラルの知られざる苦労がここで明らかになりました。これ、完全に胃痛枠ですな。ドンマイ。
そして、ラルの言う『アレ』とは、親方の有名な『アレ』でございます。えぇ、もちろん、ご想像にお任せします。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第286話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探索してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
イグさんとラルのデートが決まりました。
くそぉぉぉ!! 羨ましいな、くそぉぉぉ!!
ラル「厄介オタクがいるぞぉ」
うるせぇぇぇ!!


《L side》
トンカチの音や祭りの準備で街は大いに賑わっていた。
普段も活気溢れる街ではあるが、今日は一段と賑わっているように思える。明日、行われる祭りのお陰なのだろう。
「こうして見ると、準備は佳境って感じですね」
「そりゃあ、街一番のイベントって言っても間違いないからな♪ 街の人達も総出で張り切ってるんだよ」
まあ、そうだろうな。
街の人達は誰もが楽しそうに明日の準備に励んでいる。こうした協力があってこその女神祭なのだろうな。
……それはともかくとして、だ。
私はなんでこの人と街を歩いているんだ。……リアさんに言われたからだよ、畜生。
「なんだぁ? お前が俺と兄妹デートしようって言ったくせに不服そうな顔してるな?」
「言ってねぇです。デートしたいなんて! これっぽっちも! 言ってねぇわ!! 私一人でもいいって言ったのに、リアさんが心配だからって……!」
「実際問題、土地勘のある俺といた方がスムーズだぞ」
ぐぬ……!
手元の小さな紙袋に目線を落とした。これにはリアさんに頼まれた茶葉が入っている。
イグさんの言う通りだ。この賑わいの中、一度も行ったことのないお店を探すのは一苦労だったろう。これを買うにも、そこそこ時間をかけていたかもしれない。
「現にラル、店までの道間違えそうになってたし、俺がいて助かったろ?」
「ぐっ……うっせぇです。それは、あれですよ。旅の醍醐味ってやつです」
「んなこと言ってると、ギルドに帰れなくなるぞ~」
「それはない! あんな目立つやつ、方向分からなくなるわけがない!!」
「あっはは! それは言えてる~♪」
くそ。そういうところが嫌いなんだ。
「なんだよー? この前の模擬戦、まだ根に持ってるのか? それとも、勝手にセラおばさんに指導頼んだことを怒ってる?」
どれだって言われれば、全部だよっ!!!
……はあ。リアさんの頼みじゃなかったら、イグさんと一緒に買い物なんてしないのに。絶対に、しないのに!
「──このくらいで大丈夫そうかぁ?」
ふと、声のした方を見上げると、魔法を使って足場のような物を作っている人を見つける。ギルドの人ではなさそうだから、街の人、だろうか。
「いいんじゃねぇか? ルーメン様から言われている規定だとそこが限界だからな」
「んじゃ、他の奴らも誘って強度チェックするか!」
「よし。一応、強度もあるが……途中から走り回ったりするからな、そこも含めて確認よろしく!」
……何を作っているんだろう。普通に見れば、階段上に作られている足場なんだけど。何のための足場なのだろう。祭りに必要そうなのは会話から推測できるが、何に使うのかまでは分からない。
私が歩みを止めたからだろう。イグさんが不思議そうに問いかけた。
「ラル? どうかしたか?」
「イグさん、あれってなんですか?」
「ん……? あぁ、あれか~♪ 祭りのための休憩スペース作りってところかな?」
休憩スペース?
「毎年、大勢の人がここにやってくるのさ。陸の国だけじゃなく、海や空からも、な? もちろん、ちゃんとした休憩スペースはあるんだが、そこでは収まりきらないんだよ」
ふぅん。臨時の休憩スペース作りなのか。……それにしては、走り回るとかなんとか言っていた気が。
「あとは、あれだ。祭りの最後に花火が上がるから、それの鑑賞スペースにもなるぞ」
……それ、走り回る云々関係ないよな。
「理由はそれだけですか?」
「おう。それだけだけど?」
嘘だ。
はっきりと分かる。休憩スペースにしろ、鑑賞スペースにしろ、街の人の言う「走り回る」というキーワードにイグさんは触れていない。つまり、まだあの足場には何らかの役割が存在するはずだ。
しかし、それを問い詰めたとしてもイグさんは教えてくれないだろう。教えるつもりがあるなら、最初に教えてくれるはずだから。
なら、聞くだけ無駄。しつこく聞いたところで、おもちゃにされるのがオチだ。
よし、さっさと帰ろ。

現状、関係者のみしか立ち入らないギルドは日の高い時間帯でもがらんとしている。
だからだろう。入口付近に立つリアさんとしーくんを遠くからでも見つけられたのだ。
「二人とも、おかえりなさ~い♪」
「ラルー! イグおにーちゃーん! おかえりー!!」
しーくんは私達の姿を見つけると、パーッと駆け出してお出迎えしてくれる。そんな愛しの天使を受け止めるべく、私はその場に膝を着き両手を広げた。
「んー! しーくん、お出迎え、ありがと~!」
「えいっ♪ どーいたしましてっ!」
迷いなく私の胸に飛び込んできたしーくんをぎゅーっと抱き締める。
そんな私の横で、イグさんは小さく首を傾げ、しーくんに遅れて近くへ寄ってきたリアさんに話しかけていた。
「珍しいな、リアがここで出迎えるなんて」
「ふふ。実はイグ達が帰ってくる少し前まで、子供達をお見送りしてたの。二人とは入れ違いだったみたいね」
もうしばらく、しーくんを堪能していたいけれど、お使いの品を渡さなければ。
私はそっとしーくんから離れ、リアさんに紙袋を差し出した。
「リアさん。これ、頼まれていたものです。確認をお願いしても?」
「ありがとう、ラルちゃん。急にお使いなんて頼んでしまってごめんなさいね? でも、お陰で助かったわ」
いえ、まあ、暇でしたし。
……やっぱり、イグさんを人選したのは実は嫌がらせではと思ってしまうのだけれど。いや、リアさんは本当に善意でイグさんと行った方がいいと言ってくれていた。悪意があったのは、イグさんだけだ。多分。
「ん~? なんだ、ラル~」
私にじとーっと見ていたのに気づいたイグさんが、これまたニヤニヤしながら問いかけてくる。そんな彼の問いに答えず、ふいっと視線を外した。
「なんだ、反抗期か~?」
「うっせぇわ」
貴方に対しては年中反抗期だよ。
ふと、どこからか楽器の音色が幽かに聞こえてくる。それは笛だったり、太鼓だったり、和楽器の音色や管楽器や金管楽器のような洋楽器の音色の混じる不思議なもので。
急に黙る私を不思議そうに見ていたが、リアさんとイグさんも楽器の音色に気づくと、納得がいったようにふわっと笑う。
「……あぁ、ツバサちゃん達が練習しているのね」
「みたいだな。そういえば、雫」
しーくんに頼まれたのか、ひょいっと抱き上げ肩車をしていた。イグさんの肩の上で元気よく返事をし、手を上げる。
「雫も明日は精霊役で参加するんだろ? ちゃんと役はこなせそうか?」
「うん! いっぱいいーっぱい、れんしゅーしたから! だいじょーぶ!」
「おお~♪ それは楽しみだ!」
「ん! ボク、ちゃーんとおしごと、かんすい、するの! みててね!」
「任せとけ~♪ 雫の勇姿はちゃーんと見てるからな~♪」
くっ……自信満々なしーくんが可愛い……どこで完遂なんて言葉を覚えたんでしょう。賢いしーくんも素敵……!
……それにしても、だ。
数日前、ミユルちゃんとシエル君がこちらへやって来た辺りからこのような楽器の音色が聞こえるようになった。どんな楽器があるのかまでは流石に分からず、辛うじて太鼓だけははっきり聞き分けられる。ぶっちゃけ、私自身、音楽に精通しているわけではないから、これ以上の判別ができないだけかもしれない。
先日のアラシ君やレオン君の言葉から、彼らによる演奏なのだろうというのは察しがつくが、それにしては、聞こえてくる音色の数と彼らの人数が合わない気がするのだ。
私が知らないだけで、アラシ君達に他の協力者がいるのだろうか? それとも、なんらかの手段でアラシ君達だけで演奏しているのだろうか?
ちなみに、この疑問の答えは、イグさんやリアさん、舞の練習をしているしーくんは知っている。が、何度か聞いてみたものの、一向に教えてくれないので、すでに聞くのをやめていた。
「さて、私達はそろそろ行きましょ……っと、いけない。ラルちゃん」
「はい! なんでしょう?」
ギルドを見上げていた私にリアさんはそっと可愛らしい包装紙に包まれた何かを手渡してきた。
感触からして、何かの茶葉、だろうか?
「これ、最近完成した夏バテ防止用の紅茶のティーバッグ。元々、夏バテ防止にいいんだけれど、それは更に改良したやつなの♪ アップルティーみたいな風味のする紅茶だから、ティール君と一緒に飲んでみて?」
「うわっ……ありがとうございます! 凄く助かります! って、アップルティー風味のってことは……もしかして」
ティール用に作ってくれていた、のだろうか?
リアさんは私が口にしなかった疑問を肯定するようにそっと頷き、小さく笑う。
「この季節のティールくん、お仕事がない日はずっとぐったりしているもの。ラルちゃんも大変でしょ?」
「あ、はは……五年も一緒ですし、もう慣れちゃいました。けど、本当にありがとうございます。これ、試してみますね」
「えぇ、ぜひ♪」
ティールも羨ましいものだ。こうして気にかけてくれている先輩がいるのだから。
……まあ、私にも言えることかもしれないが。



~あとがき~
しれっとデート終わっちゃった。
くそう、ラルめ。羨ましすぎる!

次回、ティールを迎えに行きます。
もしかしたら、久々にとある人達に会えるかも。

本当はイグさんとラルのデートシーンをたくさん書きたかったんです。でも、ラルは楽しくデートしてくれないので、書くのをやめました……
いつか、イグさんが楽しそうにデートするシーンを書きたい……!

ではでは。