satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第242話

~前回までのあらすじ~
最後の案内先である図書館へとやってきました。何気に、最近はちょこちょこ出てくるライブの図書館です。
まあ、今回の視点は図書館ツアーしてるわちゃわちゃ組ではなく、男子二人の話なんすけどねー!


イブ達とセイラが図書館ツアーで和気藹々としている頃。
フォースはポチャを図書館の外まで連れ出し、くるりと向き直る。そこには困惑の色を隠せていないポチャがいる。説明もなしにここまで連れ出されたのだ。戸惑わない方が可笑しい。
「ど、どうしたの? 急に」
「急って訳でもねぇけど……単刀直入に聞くわ。お前、どう思ってるわけ?」
「どうって……何を」
「お前の親とか、現状とか。その辺?」
本人に聞く必要はどこにもない。能力で聴いてしまうのが手っ取り早いのだ。だが、フォースはそれをしなかった。能力で勝手に見聞きし、それらを知るのは違う気がしたのだ。回りくどくとも、本人の口から真意を聞き出したかった。……否。聞いてみたいと思った。
ポチャにとって、この話題は触れてほしくないのは、分かっていた。浜辺でブライトに対する態度やセイラの話から、上手くいっていないのは想像に難くない。
それでも、はっきりさせておく必要があると感じた。セイラがどうにかしたいと思っている。そして、恐らく、ポチャのパートナーのピカも同様に。
ならば、フォースにできることは一つ。ポチャの真意を聞くことだ。ポチャ自身、どうしたいのかで、今後の立ち回りも変わる。だからこそ、必要な情報なのだ。
「突然だなぁ……それを聞いて、フォースはどうするつもりなの?」
「お前の返答次第でどうとでもなる。何かするかもしれないし、何もしないかもしれない」
「それ、答えになってる?」
「少なくとも、おれの中では現段階での答えとして成り立ってるよ。お前だって、母親が子供に会いに来たとか、観光目当てだとは思ってないだろ」
フォースの言葉にポチャは反応を示すことなく押し黙った。図星なのだろう。
そして、どこか思案するように空を見上げる。どこまで語ろうか考えているのかもしれないし、どう誤魔化そうか考えているだけなのかもしれない。どちらにせよ、フォースはポチャが何かを話すまで自分から切り出すつもりはないが。
しばらくの沈黙後、ポチャは空から目を離し、ちらりとフォースを見る。
「……フォースが単なる興味本位でこんなこと、聞くわけがないよね。他人の家族の問題なんて、君が一番触れなさそうな話題だ」
「まあね。……実際問題、ペンギン相手だから聞くだけ。別の誰かだったら、んなこと聞く気なんてねぇわ」
「そっか。……それは、ぼくを大切な仲間だって思ってくれてるってことかな。そうだと嬉しい」
それにフォースは答えなかった。単純に照れ臭く感じたのが理由だった。今まで、継承者以外にここまで踏み込んだ経験がないのもあるし、ポチャの素直な言葉に多少面喰らったのもある。
「えっと……フォースが知りたいのは、ぼくが今感じてるものが何なのか……なのかな?」
「そうだな……他はその答えを聞いてから言う」
「分かった。正直、親に対しては何も思ってないよ」
彼の答えは思っていたより意外だった。
セイラはともかく、出会い頭に喧嘩になりそうな雰囲気であったブライトに対しては、何らかのマイナス感情が飛んでくるものだと思っていたからだ。『嫌い』『苦手』『劣等感』……この辺りのものを想像していたのだ。
「父上は何も言わない人だからね。幼い頃は苦手意識がなかった訳じゃないけど、今は離れてるし。……ま、面と向かって話そうとすると、色々言いたいことが出てきて、喧嘩腰になってるのは認める」
「自覚あったんだな」
「一応はね。母上もおんなじ。昔みたいに今でも子供扱いしてくるのは好きじゃないけど……それが愛情なのは理解してる。……だから、二人のことは嫌いじゃないってことは確かだよ。これが、両親に対する気持ち、かな? でも、二人はぼくの親である前に、国の王と王妃だ。そこに劣等感は少なからず感じているよ。ぼくはブライト王のようになれない。セイラ妃みたいに愛される人ではない……って思ってる。その気持ちが劣等感を生んで、結果的に関係が悪くなってるんだろうね」
ポチャはポチャで、自身のことを客観視はしていたのだ。なぜ、二人に冷たく当たってしまうのか。どのように感じているのかを分析できていたのだ。できていて、どうすればいいのか分からないでいる。……そのような状態なのだろう。
「ぼくは、未来の王に相応しい人になるために国を出た。……まあ、あそこから出るための建前ではあったけど。それに、変わりたいって思いがあったのも事実」
「変わりたい?」
「うん。流されるような毎日から逃げたくて……父上のような強い人になりたくて、国を出た。外の世界なら、臆病なぼくを変えられるって思ったんだ。……実際は、ピカに会うまで全くだったな」
「……なるほどね。つまり、父親であり王でもあるあの人に、胸を張ってぼくは強くなりましたってのを見せつけたいと?」
「そこまでは言わないけど……でもまあ、そうかも。認めてもらいたいんだろうね。一種の承認欲求……かな?」
王子としての自分が未熟であると自覚しているからこそ、今のポチャ自身を見てほしいと思っている。家を出て、ここまで成長できたと見てほしい。認めてもらいたいと。
それは、幼子が親に褒めてもらうために努力するようなものなのだ。王族という特殊な立場で、普通な家庭環境になかったポチャだからこそ、子供っぽい理由ながらも今でもそう感じているのだろう。
「そもそも、お前はティール王子になりたいの? 探検隊のポチャになりたいの?」
と、確かめるために問い掛ける。その問いに戸惑いの色を隠せないポチャに、フォースは続ける。
「お前があの二人を嫌ってないのは分かった。現王とその王妃に未熟な王子である自分の存在が嫌いなのは分かった。……そして、お前が今の自分を認めてほしいと感じているのも理解した。でも、終着点はどこだ? お前は何に成る?」
「それは」
「未熟な王子が外での経験を経て、立派な王子に成りましたって言いたい? それとも、新しい道そのものを認めてもらいたい? ポチャ、そこを履き違えると取り返しがつかなくなるぞ」
今のポチャには恐らく、二つの道がある。
いつかは国へ戻り、指導者となる道。
祖国を捨て、一人の探検家となる道。
これは大きな決断になる。一度、選んでしまえば、片方はほぼほぼ閉ざされる道になるからだ。
話を聞く限りだと、その辺はあやふやに聞こえてきた。王子として認めてほしいのか、一人の人として認めてほしいのか。
だから、ここではっきりさせておく必要がある。面と向かって話すために……関係を進めるためには、必要な決断だ。
「今のぼくを認めてもらいたい。それは、王子ではなく、探検隊としてのぼく。……ピカの傍で、一緒にこれからもずっと探検隊をするって……彼女の傍にいるって決めたんだ」
ポチャは迷いのない瞳で力強く答える。
恐らく、初めは立派な王子になりたい気持ちも少しはあったのだろう。だが、ポチャは自分自身で居場所を見つけたのだ。王子ではなく、探索隊の一員のポチャという居場所を。
「ははっ……いいね。その『声』」
「ぼくの本心だからね。……まあ、これを素直に言えたら苦労はないけどさ」
「ん? 素直に話す必要はないんじゃねぇの?」
「え?」
不思議そうに首を傾げるポチャに、フォースは不敵に笑う。
「簡単だ。素直に話ができないんなら、直接ぶつかるしかないってやつだよ。バトルでコミュニケーション取ってこい」
「……えぇぇぇ!!??」



~あとがき~
久々の更新。前回更新、去年の五月だって。ほぼ一年ぶりじゃねぇかぁぁ!!??
ってことで、今やってるのはポチャのお話です。よろしくな!

次回、フォースの提案を聞いたポチャが取った行動とは?
……ってところまで書けたらいいね!(汗)

ポチャとフォースは男の子同士ってのもありますが、いいコンビだなぁって思います。
フォースって(一応)面倒見がいいので、誰とでも組ませられる感じではあるんですけどね。あと、メインキャラの男子組なので、仲良しではあります。
ま、好きなコンビはたくさんいるんですけど! 案外、ポチャ&フォースも好きっす。くだらない男子のノリとか書けますし。空海で書いた記憶ないけど(笑)

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第308話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探索してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は、神子探しに本格的に参加しているラル&ティールの猫と戯れる話でした。
ティール「探してない」
ラル「もふもふぅ~♪」
ティール「楽しむな。本筋に戻れっ!!」
一応、レオン君の妨害話だったんだけど、猫と遊ぶ話になってる気がしてて心配。……でも、二人の捜索時間はきちっと妨害してるのでいいか。


《L side》
心行くまで猫達と戯れ……いや、親交を深めた私は猫達を解放して神子探しを再開するべく、離れたところで待機していたティールの元へ駆け寄る。
「おっまたせ! じゃ、改めて二匹でいる狐達を探しましょうか~♪」
「あぁ、探す気はあったんだ? もうやる気失くしたかと」
そんなことはないよ? もふもふする気満々だよ?
「あーはいはい。他の人に捕まってないといいけどね」
「捕まったんなら、何かしらアナウンスがあると思う。それがないってことはまだ大丈夫よ。それに私は信じてるんだ」
私の言葉にティールは少しだけ首を傾げる。そんな彼に私はニッと笑ってみせる。
「あの二人は簡単に捕まらないってね」
「……まあ、うん。そうだね。それはなんとなく納得しちゃうかなぁ」
でしょ?
ということで、早速捜索再開だ~!

雷姫の誘導もあり、近場の精霊を捜索する私達。白狐を見つけるものの、どの子もツバサちゃんではなく、空振りに終わっていた。
「なんで触るだけで分かるの?」
「この私がツバサちゃんの毛並みを単なる精霊と間違えるわけないでしょ!? 舐めんなよ!」
「なんで逆ギレされてんだ、ぼく。じゃあ、ツルギのも分かるの?」
「当然。一回、滅茶苦茶撫でたもん」
あれは、学園での落書き騒ぎのときだ。ツバサちゃんに扮したツルギ君を捕まえたときに『ツバサちゃん』として、目一杯撫でたのである。
そう言えば、きちんと撫でたのはあれが最後だな。
「そんなんだから、ツルギと仲良くなれないんじゃあ……?」
それは関係あるだろうか。それにあの一回はツバサちゃんだと思っていた結果である。……いや、偽者だと分かってて撫で回したけど、当の本人はツバサちゃんに化けてるつもりだし?
というか、あっちが歩み寄ってくんないと、私も優しくできないので。少なくとも、出会い頭に襲いかかるのをやめてくれたら、考えなくもないが。
「無理だろ、それ」
「うん。私もそう思う」
さてさて、話が脱線してきたので、本筋に戻そう。
レオン君達の妨害行為もあちこちで行われているらしく、街のあちこちで参加者達の阿鼻叫喚の嵐が聞こえてきていた。
レオン君は精霊召喚による妨害がメインみたいだけど、他はどうなのだろう?
「……あっちの空、凄いことになってる」
ティールの呟きに私も空を見上げた。
雲一つない夕暮れ時なのに、空にはいくつもの竜巻が発生していた。それによって、空と地上では上手く連携が取れないでいるらしい。
せっかく、空から下を見渡せる翼を持っているのに、あれでは何の意味も持たない。それなら、通信機で連絡を取ってみるもの手なのだろうが、あの竜巻に囲まれてしまっていると、それもままならないだろう。
「シエル君の妨害は空担当ってことだろうな。飛べない私達には関係ないわ」
「そだね。クラウがいなくてよかったね。ま、あいつなら竜巻くらい簡単に退けちゃいそうだけど」
ハーピィのくせに竜並みにタフだもんな……
「うわあぁぁ!?」
空に気を取られていると、遠くの方で叫び声が聞こえてきた。今度は誰だ。
「! ラル、下から何か来る!」
下ぁ!?
ティールの指示に訳も分からないまま、後方へ飛び退く。その瞬間、地面から植物の蔦が伸びてきた。
「ミユルちゃんの妨害……か」
こうも攻撃を仕掛けてるってことは、この付近に狐がいるってことになるが。どこに?
『マスター、前方じゃ。あの十字路の真ん中。二匹おる』
目を凝らしてみると、確かにそこには二匹の白狐がいた。そして、その左側に蔦に捕まったであろう参加者の一名が空にぽいっと投げ飛ばされているところだった。恐らく、先程の叫び声の主は彼なのだろう。
狐達はこの隙を逃さず、ぴゃっと逃げ出して、姿は見えなくなってしまう。
狐が逃げ出したのを待ってから、蔦は投げ飛ばした参加者を捕まえ、そっと地面に下ろした。
怪我をさせるつもりはないように見えるが、なかなか容赦ない妨害だ。
「ミユル、どこからか見てたのかな」
「さあ……? でも、ドライアドは植物と話せる能力を持つ人がいる。ミユルちゃんもその一人みたいだし……その辺に咲いてる花か植木から聞いたんだよ。多分ね」
遠くにいても植物を介して、妨害できるのかもしれない。こっわ。
「……ティール、あとどれくらい?」
「ん~……あと、三十分くらいかな」
ふむ。そろそろ、最終作戦のために中央に戻るか。となると……
「こっちの方が近道だね。行こ」
「了解」
小道をいくつか曲がりながら、大通りに出ると、そこは……泡が漂う謎空間でした。
「……ラルにしては珍しいね。道、間違えました?」
「やめろ。ティールじゃあるまいし」
「ぼくだって地図くらい読めます」
読めても、なんか間違うじゃん。
さて。これはどっからどう見ても、誰かの妨害だよね。アリアちゃんかな?
ティール、泡に何か仕掛けはされてる? 当たったらデバフ付与とか」
ティールはじっと泡を見つめるも、ゆっくりと首を振る。
「……何か混ざってるような感じはない」
そっか。なら、これは視界を邪魔するだけの目眩まし……? いや、意味もなく泡が辺りを漂うはずがない。当たらないが吉だ。
「これ、操作できそう?」
「うん。問題ない」
念には念を入れ、当たりそうな泡に対してだけ、ティールの能力を使いながら進んでいく。少しすると、道の真ん中で屋台飯─言わずもがな、尋常ではない量─を美味しそうに食べるアリアちゃんの姿があった。
ここに来るまではそこまでなかった泡も、彼女の周りには大量に漂っており、まるでアリアちゃんを守る壁みたいだ。
私達以外にも参加者がここを通ろうと挑戦しているらしく、そろそろっと前へ進んでいっていた。
が、死角になっていたところから泡がふよふよと流されてきて、体に当たってしまう。その泡は当然、ぱちんっと弾けてしまう。
「あっ」
参加者がまずいと声を漏らしたのと、アリアちゃんの目が光ったのは同時だった。
パッと取り出した銃を構えて、参加者目掛けて連射する。逃げる暇なんてなかった参加者さんは全弾被弾してしまい、体が泡だらけになってしまった。
「銃は魔力弾でも実弾でもなく、泡になる弾ってこと?」
現状を見る限り、そうらしい。
あの泡に当たる……もしくは、食事の邪魔になりそうな行為をすると、アリアちゃんのあわあわ攻撃の餌食になる、というわけか。
ここを避けてもいいのだが、ここを通った方がショートカットなんだよな。どうにかして通れないだろうか?
ティール、ここの泡をどうにか操れる?」
「それはできるけど……全部を退かしてほしいってのはちょっと難しいかな。アリアが常に泡を作り出すと思うから。……全力でやれっていうなら、確実にどうにかしてみせるけど」
ふーむ。それはティールの無事が保証されないので却下だ。
今の私は雷姫と装備品の小物類しか持っていない。探検隊用の鞄でも持っていれば、あれこれ打破できそうなものなのだけれど。
……ん。装備品、か。
「そう言えば……ティールってそのポーチ、探検隊用のだよね? 探検用の道具は?」
「あるよ。それなりに入ったまんま……だけど」
何するつもりなの、という顔を向ける相棒に、私は自信満々に告げる。
「ここを突破するよ! ティールの力で!」
「………………ぼく?」



~あとがき~
後編っつたな。あれは嘘だ。

次回、アリアちゃんの鉄壁をどう打破する!?

本来、ここは素通りしようかなと思ってました。実際、相方との作戦会議でも「これは素通りするかなぁ?」なんて話したんです。でも、レオン君をあれほど取り上げておいて、他メンバーは素通りなんて寂しいなと思いまして。もちろん、全員を取り上げるのは厳しいので、もう一人くらい、攻略してもらおうと。で、アリアちゃんのならどうにか突破してくれそうな気がしたので、ラルとティールが頑張ります。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第307話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でもふもふしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールも『神子探し』に参加することとなり、それに当たっての作戦会議みたいなことをしました。
今回はきちっと探しますぞ!


《L side》
雷姫の探知を頼りに精霊が二匹で逃げているエリアへとやってきた。
「! ラル、いた!」
ティールが指差した方向に白い影が二つ。そして、それを追いかける複数人の大人達がいる。
「あ、あれがツルギ達だったらどうしよう?」
「うーん……そんときはそんときだけど」
こんなあっさりと見つかって、捕まるような子達ではないと思う。まあ、偏見だが。
それに、ハンデの話もある。目の前の大人数名に簡単に捕まるとも思えない。一旦は様子見で適当に距離を保ちつつ、追いかけるの方が吉だ。大人達と一緒に妨害に巻き込まれるのもごめんである。
いざとなれば、雷姫の“身体強化”で大人達は追い越せるし、問題ない。
『マスター、屋根の上からも精霊の気配を感じるぞ』
雷姫に言われ、ちらりと上を見る。
そこにも一匹、白狐がいる。こちらをじっと見つめるだけで、逃げも隠れもしていない。
……一匹だけなら、現状、優先順位は低い。とりあえず、放置で。
「追いかけるだけじゃ埒が明かねぇ!」
追いかけていた大人の一人がさっと呪文のようなものを唱えると、植物の蔓でできたネットを作り出す。そのネットを狐達に向けて発射した。
『マスター、別の精霊が来る』
雷姫の言葉通り、物陰からいきなり飛び出し、狐達とネットの間に割り込んできた。そして、バチンっと大きな火花を散らしたかと思えば、ネットが一瞬にして焼き切れてしまう。
「んなっ! ね、猫ぉ!?」
「にゃう」
突然の猫の出現に思わず大人達も足を止めた。にんまりと笑った黄色の猫はじりじりと詰め寄ってくる。
それはどこか、レオン君を思わせる不適な笑み。となると、あれは……?
「にゃふふ~♪」
「お、おい……なんか狙われてねぇか? つか、この猫、バチバチ言ってね?」
「え、猫の癖に……? ってぇ!?」
仲間の言葉を確かめるためなのか、そっと猫に手を伸ばした一人がすぐにその手を引っ込めた。
「こ、この猫、電気纏ってやがる! 強めの静電気くらいの威力だけど」
それは意味があるのかないのか分からないけど、まあ、好んで触ろうとは思えないか。
「にゃん?」
「こん?」
と、もう一匹が狐達に近寄って、こてんっと首を傾げる。それに倣って、狐達も首を傾げた。
「……にゃう♪」
何がどう会話が成立したのかは不明だが、後から現れた猫もにんまりと笑い、先に出てきた猫─分かりにくいので、先に出てきた猫をイチ、後の方をニイとでも呼ぶ─と合流し、二匹で大人達を追い詰めていく。
イチとニイはそれはもう楽しそうに大人達を狐から遠ざけようとしている。
この場では攻撃は使えない。だから、大人達としては攻撃して追い払うこともできない。……と、なれば。
「なんで俺達が猫に狙われてんだ!?」
「い、一旦引くぞ! この状況じゃあ、神子様を狙うなんて無理だ」
「せっかく見つけたのに……いって!! 近づくな!! 地味に痛い!!」
と、慌てたご様子でその場を立ち去っていく。猫達もこれで諦める……はずもなく。
イチとニイの目がキラリと光ると、「遊んでくれ!」とでも言うように全力疾走で大人達を追いかけていく。
「なんで着いてくるんだよぉぉぉぉ!!!???」
「立場が! 立場がおかしいって!!」
「にゃおぉぉぉんっ!!」
「みゃあぁぁぁんっ♪」
ご愁傷さまです。
後ろの方にいた私らには目もくれず、二匹の猫は大人達を颯爽と追いかけていってしまった。
ふと、狐達のいた方向を見てみるも、あんな茶番を眺めるほどお馬鹿さんではないようで、とっくに姿を消していた。
「レ、レオンらしい精霊だったね?」
「そだね。ま、あの二匹だけとは限らないし、私達も目をつけられないように─」
『マスター、ちと手遅れじゃ』
えっ?
どこからともなく現れた新たな猫。イチとニイと変わらず、にやりと笑う。
「にゃん」
「え、あれ、ぼくらを狙ってるのか……?」
「にゃんっ」
ティールの言葉に返事をし、それが当然のように彼に近づいた。ティールは驚きつつも、鍛えられた反応速度で猫の飛び付きから逃れる。伊達に探検隊を五年も続けてはいないということだ。
しかし、猫の方はその一回で諦めるはずもなく。
「にゃんっ!」
「ひえぇっ!? なんでぼくばっかり!!」
再びティールに飛び付こうとしては、それを彼が避ける。そして、猫がまた飛び付き、それを避ける。……それを何度も繰り返し、いたちごっこ状態になってしまった。
「ラ、ラル! 助けて~!!」
「いいなぁ、猫に好かれる人生。ティール、得してるなぁ」
「絶対に違う! レオンのせいだよ! レオンの意思がそうさせてるんだってー! って、いったぁ!?」
いくらティールの反応がよくても、相手は小さく小回りの利く猫。そう何度も避けられる相手ではない。
また、直接触らなくとも、電気が通れる程の近さまで寄ってしまえば、静電気は発生する。ティールはそれの餌食になってしまったと言える。
ティールは強めの静電気を受け、猫から必要以上に距離を取り、何の意思か魔具である懐中時計を構える。
「攻撃技は違反行為だぞー」
「防御のための構えだよ!!」
「にゃおーん♪」
一発、ティールにお見舞いして満足したのか、今度は私の方を見る。今度はお前の番だ、とでも言いたいのか。
『マスター、どうするのだ』
「ふっふっふ……私のこと、無視してるのかと思っちゃってたよ、猫ちゃん。さあ、かもーーん! 私は逃げも隠れもしません! おいで~♪」
「はあ!? 頭、バクってんの!!??」
『……マスター』
ティールの突っ込みと雷姫の呆れ声は無視し、飛び付いてくるであろう猫を両手を広げて、正しくウェルカム状態で迎え入れる。
猫は猫で「覚悟しろ!」とでも言いたげにキッと睨むと、勢いよく飛び込んできた。もちろん、広げていた両腕でキャッチしてやる。
「よっと……んふふ♪ 可愛いやつだな? ほれほれ~♪」
「にゃ、にゃあ? にゃ……にゃにゃ~ん♪」
私の反応に戸惑いつつも、猫は撫でられて気持ちいいのだろう。すぐに幸せそうに喉を鳴らし始めた。
短毛種ながらも、触り心地のよいもふもふ感。そして、程よく鍛えられている身体。身体だけで言えば、野生の猫って感じだが、毛並みは完璧に家猫並みに整えられている。
「よきかなよきかな~♪ 短毛種は短毛種のよさがある! 気持ちいいもふもふだ~♪」
「なう~ん♪」
「え、な、なんで?」
「私に雷属性の攻撃なんて無意味だよぉ。雷姫ちゃんのエサだ、エーサ♪」
雷姫は電気を操れる。その能力を使い、本来、私が受けるはずの電気を雷姫が自動的に吸収してくれているのだ。
もちろん、これは雷姫を装備しているからこそできる芸当だ。雷姫なしだと、普通に私も静電気は受けてしまう。
「ズ、ズルくない……?」
「何を仰いますの。私は自分の武器の能力を生かしてるだけだよ? ティールだってスイちゃんやセツちゃんの力、使うでしょ?」
「いや、使うけど……そういうことなの? っていうか、そういうことできるなら、ぼくを助けてくれてもよくない?」
「いやぁ、猫に追いかけ回されるティール、見てて面白くてさ?」
「意地悪……っ! 鬼!!」
いや、それは言いすぎだろ。
『……ふむ。まずまずじゃの。我としては、マスターを食らう方が好みだ』
うん。怖いこと言わないでね。
「にゃにゃにゃんっ!!」
「げっ!? なんかいっぱい来た!?」
どこかでレオン君が見ていたのだろうか? 私を倒すべく多くの猫をこちらへ寄越してきたのかもしれない。
「合計七匹。……あれを一度に近づけられたら、いくら静電気並みの攻撃力とは言え、ちょっとあれだな」
「ラル、流石に逃げよう」
「だねぇ~……? いや、でも、七匹の猫が同時に飛び込んでくるのは魅力的では……?」
「魅力的じゃないっ! 行くよ!」
ティールが強引に私の腕を掴み、一気に走り出した。撫でていた猫は肩に乗せ、とりあえず、ティールに従って走っていく。
「なんでその猫は大人しくラルに従ってんだ!?」
「ん? もうちょっと撫でられたいんだよね?」
「にゃっ!」
と、元気よく肯定。なんて可愛いんでしょう。よしよし、ブラッシングもしてあげようね!
「敵のくせに!? ラル、これに制限時間あるの忘れてないよね!」
「大した時間はかからないよ。私の鍛えられたブラッシング力を舐めないでほしいな?」
「何言ってるか理解できない!」
無駄話をしながら逃げてはいるが、先程の大人達の例がある。あの子達がレオン君の精霊である以上、ただ逃げる私達を諦めてよそに行くとは考えにくい。
ちらりと後ろを振り返ってみると、当然のように私達を追いかける猫軍団。あの数を短時間で引き離すのは難しいが、時間をかけて撒くことは可能だ。しかし、ティールの言う通り、これには制限時間がある。はてさて、どうしたものか。
数秒だけ考え、一つの答えに辿り着く。
……うん。手っ取り早く、懐柔しちゃおっかな?
逃げていた足を止め、くるりと振り返る。突然、足を止める私にティールも驚きつつも、その場で立ち止まった。
「ちょ、ラル? どうしたの?」
ティールは一定距離離れてて。私があの猫ちゃん達をどうにかして見せるから」
「でも、ラルだってさっき」
そう。一匹で強めの静電気。それが七匹同時に襲いかかってきたら、嫌だな、とは言った。
しかし、それはあくまで雷姫の力を借りなかった場合の話だ。
私は肩に乗る猫をそっと撫でる。私は感じないだけで、この猫はずっと私に対して電気を放っていた。それを雷姫が無効化──それを喰らい続けている。
「雷姫、この子だけの電気で満足してないよね?」
『当然』
だよね。……信じるよ、私の愛刀の力を!
私は目一杯両手を広げて、七匹全員を受け止める覚悟を決める。
「さあ! 私に飛び込んでこーーい! んでもって、全員、もふもふさせろー!!」
「もふもふ!? いや、趣旨変わってんだが!?」


白フードを被り、猫の仮面をつけた人物がどこからか現れた。そして、仏頂面で一点を見つめる青年に話しかける。
「ありゃあ? やっぱ、駄目か~♪」
「君のせいだからね。責任取ってくれないと困るんだけど」
猫の仮面の人物──レオンはそれを外し、ニコニコ笑いながら、ティールの言葉を否定した。
「いやいや~? それは濡れ衣ってやつだって。俺だって想定外だったぞ。ラルに電気効かないなんて知らなかったし?」
「そこじゃなくて」
ティールは見つめていた先、そこには彼のパートナーであるラルがいる。
彼女は現在、レオンが呼び出した精霊達に囲まれ、心底嬉しそうに戯れ──もとい、猫達のもふもふを堪能していた。
「ラル相手に小動物を襲わせた責任取って」
「にゃはは! あれも予想外♪ 俺としては上手く呼び出せたんだぜ? 魔法や技に対して強力な電撃を、人間相手には静電気程度の電撃を使い分ける雷猫……だったんだけどな? どっちにしても、ラルには無意味だったみたいだな♪ いや、ある意味、効果覿面……かな?」
電撃は効かなくとも、彼女にとっては“もふもふ”攻撃が何より効果抜群だったらしい。レオンが描いた計画とは全く異なるものの、スカイの二人にとっては十分な足止め行為となった。レオンとしては、嬉しい誤算となったわけだ。ティールにとっては、全く嬉しくないだろうが。
「まあ、俺の仕事は参加者達の妨害だし? 今回は許してくれ、な?」
「……確かに、そうだけどね」
「にしし♪ 俺はそろそろ別のとこの妨害行ってくるわ♪ んじゃあな!」
「このイベント中、二度と出会わないことを祈ってる」
「それはティールの運次第だな~♪」
レオンは再び仮面をつけ直すと、猫のような身のこなしで屋根を伝い、その場を立ち去った。ティールはそれを無言で見つめていたが、すぐに手元の懐中時計に目を落とす。
「……大幅なタイムロスだな」
──『神子探し』終了まで、残り一時間。



~あとがき~
長いけど、書いてて楽しかった。満足!(笑)

次回、神子探し後編。
……になるといいな!

え。時間経ちすぎじゃね?? って思われるかもですが、そもそもラルとティールは出遅れ組。そこから更に、作戦会議~猫精霊達と戯れまであるので、そこそこ時間が経ったと思ってくだされ。
ってことは、それなりに猫と戯れてるってことです。誰だ。時間限られてるから効率的にやらねばと作戦立てたやつ。戯れるんじゃない!

この話、私がやりたくて、相方の許可もいただいてそれなりに加筆してます。楽しかったです。久々にラルがもふもふに埋もれるところを書きました。いつの間にか私の中で、彼女はもふもふマスターになってた……そんな称号与えたつもりなかったんだけど、まあ、いいか。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第306話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で会議する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、舞が終わったかと思えば、楽しい楽しいゲームが開催されるぜ!!
要は鬼ごっこみたいなもんかと。相方がそういってた気がする。(適当)


《L side》
何の因果か、街中へ逃げ出した神子二人を捕まえる『神子探し』に参加する運びとなった私とティール。
早速、街中へ駆け出し、手当たり次第に探す──等という愚行をしている暇はない。
この街は広い。加えて、制限時間は二時間。対象は数十匹に対し、たった二匹を見つけること。なんの策もなしに達成できるミッションではないのだ。
私は作戦会議と称し、近くに合ったベンチに腰掛け、思考を巡らせる。
私とティールは索敵に長けているとはいえない。全くできないとは言わないが、向いているとも言えない。少なくとも、この広い範囲から特定の人物を見つけられる程の精度を持ち合わせていない。そんなことができるのは、チームだと二人だけ。
一人はずば抜けた索敵能力を持ち、後方支援に長けたしーくん。そして、もう一人は高い気配察知と探知能力、加えて、人の心や魂の色を見分ける能力持ちのフォース君だ。
しーくんは駄目って言われたので、力は借りれない。となると、後者のフォース君だが。
「こんなことにフォース君を呼び出すのは怖い……っ! 報復が、怖いですっ!!」
もうあれだ。「貴様、こんなくっだらねぇことで呼んだの? 覚悟はできてんだろうなぁ?」というお怒りの笑みを浮かべて詰め寄ってくるフォース様の姿が浮かびます……っ!
「その……フォースの力を借りるのはありなの?」
そこは問題ないと判断している。
いくら情報通でなんでも知っているようなルーメンさんでも、フォース君の力までは知らないだろう。だって、フォース君は力の全てを情報源となりうるツバサちゃんに伝えていないし、この前の剣技大会でも見せてすらいない。
だから、フォース君と協力したところで問題はないはずだ。バレりゃしない。
「まあ、そりゃそうか。……でも、呼んだとして来るの? こんな人でごった返したところ……やるっていうかな? こんな状況で」
絶対に来ないだろうし、来たところでやるって言ってくれないぃぃ!!
つまり、索敵に強い二人をこれに巻き込むのは不可能。
──では、どうするか。
私達の持つ手札でどうにかしなくちゃいけない。
私は探検隊バッジを起動させ、街の地図を空中に表示させる。
「ラ、ラル? いつの間にこれを?」
「本来は街の警護をするつもりだったからね。予め、インプットしておいた……で、これにダンジョンと同じように敵と仲間の位置を表示させる、と」
青い丸が三つ表示された。これは私とティール……そして、本部待機しているだろうしーくんのものだ。そして、数えきれないほどの赤い丸。本来なら、これは敵を意味するマークなのだが。
しかし、思った以上に敵として表示される数が多い。これ、もしかして参加者とごっちゃになってるな? まあ、意味合いとしては敵だけど。
ここから対象者を絞るのは、バッジだけじゃどうにもならないな。絞るためにはバッジの設定変更、そして、探る対象者のデータを組み込む必要がある。現状、データを書き加えるためのパソコン機器もない。でもまあ、ある程度の位置関係が分かれば、脳内で予測立てられる。
「……雷姫、精霊の魔力パターン探って、位置関係を割り出せそう?」
『む。読めなくはないが……想像以上に数が多い。恐らく、小僧や小娘らが精霊を呼んでおるのだろ。……あの白狐のみを探るのはちと厳しい』
「いいよ。とりあえず、精霊だけを知りたい」
『うむ。それならば……しかし、街全体だと、索敵範囲が広すぎる。……これでは漏れが出るやも知れん』
「大丈夫。探るのは北側だけだから。範囲もそこだけでいい。それならいけそう?」
『それなら問題ない。しばし待たれよ』
雷姫が刀から人へと姿を変え、ふわりと街を見渡せる程の高さまで宙に浮かぶ。
「ねえ、ラル? なんで北側だけなの?」
うん? あぁ、そうだな。
もちろん、南側にも狐はいるだろう。しかし、そこにツバサちゃん達はいないと思う。
「その根拠は?」
「いつだったか、アラシ君と警備の話をしたでしょ? 私達の範囲は北側だって教えてくれたよね?」
街の地図を見せられ、異様に広い警備範囲に文句を飛ばした日。アラシ君が示した範囲は北側だった。この辺に二人がいるから、お前達はこの辺に行け、と言われたのだ。
「もちろん、それが嘘かもしれない。けど、現状、街全体を探し回る程、時間も余力もない。なら、少しでも範囲を狭めた方がいい」
「なるほどね。了解」
「待たせたな。マスター、パートナーよ」
雷姫はふわりと着地をし、地図の何ヵ所かを指差していく。
「この付近で精霊らしき存在を感知した。それが狐かは分からぬがな」
「ふむ。……そう、だな」
他の参加者は私達より先に街に出て、狐達を追いかけているはずだ。つまり、複数人の参加者が群がるところに狐はいる。
しかし、私達は手分けしても二ヶ所しか回れない。もう少し絞るか。
「……ここを見てみよう。近いから」
「? それなら、こっちの方が近くない?」
と、ティールが指差した範囲は確かにここから一番近いところだ。
「二人の性格を考えて、別々に行動してるとは思えないんだよね。ほら、ここで生活してるときって、基本的に二人一緒にいたでしょ」
片方に仕事や用事がない限り、あの双子はいつも一緒にいた。朝練に参加するときも、ご飯を食べるときも、その道中だってそうだ。
「……確かに、ラルの言う通りかもしれないな。ってことは、ラルが示したところの方が可能性はあるね」
「そ。つまり、狙うなら二匹一緒にいる精霊だよ。……ま、ツバサちゃんはともかく、ツルギ君はこれを読んで精霊達に指示している可能性もあるけど、それを考えても仕方がない」
まずは近くの複数反応のあるエリアにゴー、だ。
「作戦としては逐一、雷姫で精霊の位置関係を探知しつつ、二匹で逃げる狐を探す、だ」
「了解。二手に別れる?」
「ん……いや、止めておこう。あっちが二人同時に行動してるなら、私達も二人の方がいい」
「OK。最後に一ついい?」
「どうぞ」
「制限時間ギリギリになっても捕まらなかった場合、どうする?」
「……そのときはそのときで考えがある。つっても、捕まえられるかは五分五分くらいだけどね」
これを伝えるかは少し悩んだ。
ある意味、最終手段のようなものだ。使わないに越したことはないが。
「……まあ、軽く説明はしておくよ。ギリギリになっても捕まらなかった場合の最終目的地は噴水広場。街の中心部に行く。そこで二人同時に捕まえる」
「……ギリギリになっても捕まらないのに、そこで一網打尽にできる、の?」
「恐らくは。……ま、上手くいけば、だけどね。詳しい話は時間迫ってから伝えるよ」
「了解」
……うし! 行きますか!



~あとがき~
作戦会議だけでおわったぁぁぁ!!??

次回、ラルとティールによる捕獲作戦!

索敵に向いている二人がチームにいない今、ラルはどのように場を動かすのでしょうかね。たのしみたのしみ~♪

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第305話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃっとしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、神子二人による舞による演舞が終了しました。いえ~い!
が、ラストにミルティアからの新たな伝言(?)を聞き、ラルが若干の動揺を見せていました。
まあ、それはそれとして。
ラル「えっ、放置されるの」
少しだけ! 少しだけだから!!
ラル「作者の少しだけは信用できねぇぇぇ!!!」


《L side》
ミルティアの言伝てに関して、現状、私から何かできることはない。この件は一旦、置いておこう。
「……ふむ。もうそろそろ、ラル達の出番かの?」
は? 出番?
ルーメンさんに聞き返そうとした瞬間、お腹の底まで響くほどの音で太鼓を打ち鳴らすシエル君に思わず、ステージへと視線を移した。
すると、ステージに更なる変化が起こっていた。
ステージの両脇……もっと言えば、ステージを形作る噴水から水柱が二本吹き上がっている。その水柱はステージすら突き抜け、約三メートル程の高さを保っていた。
水柱にはステージ同様、薄い膜が張られているのだろうか。小さな足場のようなものが見えていた。
そんな水柱が出来上がると、ツバサちゃんとツルギ君はお互いにハイタッチを交わし、魔法で宙を蹴りつつ、軽やかな足取りで水柱へと昇ってしまう。
「ここまで、私達の『神子神楽』を見ていただき、ありがとうございました!」
「皆様に僕達の『祝福』の加護が少しでも届いていることをお祈りしています!」
と、双子は息ぴったりでぺこりとお辞儀。
数秒の後、顔を上げた二人は満面の笑みを浮かべている。舞のときとは違い、いつもの笑顔。……いや、なんなら、どこか楽しそうにすらしていて。
「そして、ここからは……」
「皆様お待ちかね……!」
「「『神子探し』のお時間ですっ!」」
二人ともパッと両手を広げ、楽しそうに『神子探し』の開催を宣言する。
あの……いや、別にお待ちかねしてないが。何、神子探しって?
……なんて思っているのは私だけなのだろうか。周りの観客達は大盛り上がりで大歓声を上げていた。なんなら、雄叫びを上げてすらいる。
え、私が知らないだけ? 私だけが置いてかれてますか!?
ティール、神子探しって何……?」
「……ぼくも知らない」
あ、圧倒されてたのは私だけじゃないみたいです。よかった。
「『神子探し』は神子が二人いる年にのみ行われる催し物だよ。所謂、ゲームみたいなものかな?」
困惑する私達にアルドアーズさんが優しく教えてくれる。
二人いる代だけ……ってことは、基本的にはやらない催し物ってことですか?
私の質問にアルドアーズさんはゆっくり頷く。
「代替わり時は三年間、先代神子と当代神子の二人になるから、そのときはやっておったはずだ」
となると……例えば、ルーメンさんからセラフィーヌさんに代わるときに三年間、やってたってことか。そして、当代の神子は双子で元々二人だから、毎年のように開催されている……或いは、される予定なのだろう。
り、理解はした……が、結局、『神子探し』は何をする催し物なのかが分からない。言葉通り解釈するなら、神子を探す……んだろうか?
思考を整理させていると、ルーメンさんが高らかに笑い始める。
「ふぉっふぉっふぉっ♪ さて、ここからはお主達の仕事の時間じゃよ」
仕事の時間。……そうだ。ルーメンさんから言い渡された最後の依頼はなんだった?
「ワシからの最後の依頼じゃ。……お主らはワシの可愛い孫達を捕まえられるかの?」
……残っていた依頼。それは、神子の捕獲、護衛。ツバサちゃんとツルギ君の捕獲、護衛が最終依頼。
つまり、この『神子探し』とやらに参加し、二人を捕まえ、守ることが依頼内容……!?
いや、待て。落ち着け? 捕獲はそれで当てはまるけれど、護衛は当てはまらないよな?
どういうことなのかちゃんと説明してほしい。
……という意味を込めて、目の前のおじいちゃんを見つめてみるが、ニヤニヤと笑うだけで説明は一切してくれない。
くっそが! 何か企んでる! そういう顔してる!!
い、一応、口にしてみるか。期待はしてないけれど。
「……ルーメンさん? ご説明はしてくれないのでしょうか?」
「ほっほっほっ……♪ それはツルギ達がちゃーんとしてくれるさ」
あんたの! 口から聞かせろやっ!! 依頼主だろーーがっ!!!
文句不満は山積みだが、それを口にしては埒が明かない。私は心を落ち着かせるために何度か深呼吸をし、ステージへ視線を戻す。
ティールもまた、困惑した表情を浮かべたままだが、私と同じようにステージを見る。
「では! ただいまより、『神子探し』のルール説明を行います♪」
「ルールは単純明快! 制限時間内に街中を逃げ回る《白い狐》に化けた僕達を捕まえること!」
この前、イグさんと街中で聞いた「走り回る」ってやつ、これのことだったのか。
二人から説明されたルールを大まかにまとめると、覚えておかなければならないのは三つ。
一つ、制限時間は二時間。その間にダミーとして精霊召喚された十数匹の白狐から神子の二人を見つけ、且つ、捕まえなければならない。
二つ、捕獲の際は、デバフ、妨害、索敵等の捕獲に関する技、魔法、術の使用可。
三つ、悪意のある工作、攻撃系統の技、魔法、術使用は直ちに騎士団に取り締まり案件となる。
こんなところだろうか。
しかし、二つ目の捕獲に関する技や魔法、術使用に関しては、あまり期待はできない気がする。双子は魔法耐性が強いと予想できるし、となれば生半可な妨害は意味をなさないだろうな。
「また、私達はまだまだ子供です。先程の舞で体力をかなり消耗しちゃいました。……なので、ハンデを設けさせてもらいます」
「ハンデ内容は簡単。今回の舞の演奏をしてくれた演奏者達の妨害です」
「妨害内容は演奏者達ごとに違いますので、お気をつけを。……あと、妨害に巻き込まれないようにお気をつけくださいね?」
つまり、参加者に不利な妨害をツバサちゃんサイドも行っていくらしい。
となると、ますますこちらの妨害はハードルが上がるってものだ。捕獲しようと仕掛けた罠を演奏者達がささっと解除してしまう可能性が高い。
普通にしようと思ったら難易度、高くないか? これ。
アラシ君は……事前に聞いている通りなら、この後は騎士団の仕事に戻るだろう。となると、アラシ君個人からの妨害はない。少なくとも、こちらが攻撃的にならない限りはアラシ君は手出ししてこないと言える。
レオン君は雷属性の妨害。
アリアちゃんは水系統の妨害……あるいは食べ物を使った妨害もあり得る。いや、どんな妨害だよと思うけども。
ミユルちゃんは植物を使った妨害。
シエル君は空からの妨害、或いは空中から探そうとする参加者への妨害。
……こんなところか。
ここまで考えたところで、私はほうっと息を吐き、にこりとルーメンさんに微笑みかける。この期に及んで、笑って誤魔化されんぞ。
「ルーメンさん」
「む? なんじゃ、ラル?」
「状況はある程度、理解しました。捕獲とは、これに参加して二人を捕まえればいいと。でも、護衛ってなんですかね。それだけがさっぱり分からないんですが」
「うむ。まあ、そりゃそうじゃの~♪ すまぬな。実のところ、最後の依頼、あれは悪戯心が働いてしまってな~?」
あぁん!?
衝動のまま、ルーメンさんに掴みかかろうと一歩踏み出したところで、ティールに羽交い締めにされる。
「落ち着いて。勝てっこない」
「うるっせえぇぇぇ!! 一回殴ってもよくない!? 殴ろうとしても許されると思う!!」
「許されないから。……ごめんなさい、ルーメンさん、話をどうぞ」
ぐぬぬぬぬ~……っ!
「ほっほっ♪ 実際にお主らに受けてもらいたかったのは、洞窟の調査、及び石の採取の方。……神子の捕獲、護衛はついでみたいなものでな? ほれ、神子の捕獲だけ書いてもおもしろ……いや、変に勘ぐられる可能性もあるじゃろ。護衛とつけておけば、色々と誤魔化せるかなぁと思うてな~♪」
なぁにが面白くないって!? そして、何を誤魔化すつもりだったんだ!!??
「じゃから、最後の依頼については失敗したとしても咎めはせんし、何ら問題はない。……しかし、今後を考えるに孫達を捕まえた方が後々よいと思うんがの~?」
……何言ってんだ、このおじいちゃん。意味が分からないんですが。
と、ここまでの一連の流れを黙って見ていたアルドアーズさんが小さくため息をつく。
「相変わらず、ルゥは若い子らを騙すのが好きらしい。悪趣味だなぁ」
「なぁに……若いうちに色々と経験しておくべきだと思うとるだけじゃよ?」
「経験、ねぇ……?」
そう呟くと、訝しげにルーメンさんを見るも、アルドアーズさんはそれ以上、何も言わなかった。あの様子から、何度も似たようなやり取りはしているのだろう。
……経験とかそういう問題か、これは?
本部ではなんとも醜い争いが繰り広げている中、会場では参加者達のボルテージが最高潮に達していた。
そんな彼らのための説明をある程度終えたツバサちゃんは、にっこりと笑いながら人差し指をぴんっと立てる。
「──では、『神子探し』を開始……する前に、一つ補足させてください♪」
「今回、上手く僕達を捕まえた参加者には更なる祝福を授けます!」
「その祝福は一年間、ほんのちょっぴりいいことが起きる……そんな細やかなものではありますが、是非とも頑張って私達を捕まえてくださいねっ!」
補足説明を終え、二人は互いに目配せをすると、ほわっと二人の周りが白く淡い光に包まれ始める。
「それでは、大変お待たせしました……」
「ただいまより『神子探し』の……」
「「──始まりですっ!!」」
開始の合図と共にツバサちゃんとツルギ君は複数の白狐(精霊)達を召喚し、本人達の体も狐へと変化させる。
散り散りになってその場から駆け出していく精霊達に混じり、二人も街中へと消えていってしまった。
参加者達もまた、街中へ消えていった狐達の後を追いかけ、各々走り出していく。
「すっごい勢いだったな……ちょっとびっくりしちゃった」
「うふふっ♪ そうでしょ? ほら、ティールくん達も急がないと遅れちゃうわよ?」
「えっ」
「確かに。……お二人とも頑張ってあの子達を見つけて、捕まえてくださいね♪」
「えっっ!?」
なぁんで私達も参加する流れになってんだ。
いやまあ、依頼として捕獲を受けてしまったし、これに参加するのが道理なのかもしれんが。……失敗してもいいと言われてしまったし、真面目になる必要性も……いや、待て。
失敗してもいいとは、つまり、その可能性も少なからずあると思われている。私達では簡単に捕まえられないのでは、と思われている。……かも、しれない。
もちろん、そんな風に思われてない可能性だってある。あるけれど、少しでもそう思われるのは、いただけない。
そんなの、私のプライドが許さない。
「……ティール」
「うん?」
「スプランドゥールでの最後の仕事、行くよ」
その言葉にティールは私からそっと離れる。そして、どこか嬉しそうににっこりと笑った。
「うん。了解だよ、リーダー」
よし。じゃあ、早速だけど、どう動くか。
最短ルートを模索するなら、しーくんに索敵を任せて、私達が捜索に出るルートだろうか。となると、しーくんと合流して……
「おぉ! そうだった、ラル!」
「? はい、なんですか?」
「このイベントで雫の力を借りるのは禁止じゃ♪」
満面の笑みで何を言っておられるのでしょう、このおじいちゃんは。
「雫の索敵能力の高さについては知っておる。それを使われたら、他の参加者達が勝負にならんじゃろ? 公平を期すためと思って協力しておくれ?」
仲間の力を借りることが不公平だってのは、暴論やろがい!!
「それに、主らならば、雫の力を借りずとも捕まえることは可能じゃろう?」
ルーメンさんの挑戦的な笑みに何も言えなくなる。やってみせろ、と言わんばかりである。
あーあーあー!! やってやる! やってやろうじゃないの!!!
「ルーメンさん! アルドアーズさん!! しーくんがここに来たら、ここで待っているように伝えくださいっ! 行くぞ、ティール!」
「は、はーい……行ってきます、ルーメンさん。お祖父様。雫のこと、お願いします」
私は雷姫がきちんと装備されているか確認しながら、本部を出る。私に数秒遅れて、ティールも本部を出てきた。
「うむっ♪  頑張るのじゃぞ♪」
「雫くんのことは任された。二人とも、気を付けてなぁ~?」
と言う、二人からの労いの言葉(?)を背に私達は多くの参加者から遅れながらも街へと繰り出した。
やってやる! 見てろよ、こんにゃろー!!!


──ラルとティールが出ていった本部にて。
セラフィーヌとアルフォースもそれぞれの仕事のためか、数分前に本部を出ていき、残されたのはルーメンとアルドアーズの二人のみとなる。それでも、すぐに誰かはやって来るのだろうが。
つかの間の親友二人のみの空間。しかし、それに嬉々として浸る程、付き合いは短くない。
アルドアーズは隣でまったりと茶を啜るルーメンを一瞥し、呆れた様子で問いかける。
「ルゥ」
「なんじゃ? アズも茶、飲むか? そこに茶やらなんやらがあるから勝手に飲んでよいぞ~」
「では、遠慮なく。……ではなくてだ。先程は口を挟めんかったから黙っておったのだが」
静かにお湯を注ぐ音の後、再び、アルドアーズが口を開いた。
「二人のあの様子、あの『ジンクス』についてを知らんように見える。お前、話しとらんな?」
「おん? お~……そういえば、そうじゃった。いやはや、うっかりうっかり♪」
嘘つけ、わざだ、と思う。思うが、アルドアーズが知るルーメンという男は、こういう場面はあくまでシラを切る男である。突っ込んだところで、意味がないのを知っている。
「まあ、あくまでジンクスじゃ。後でも問題はなかろ?」
それはそうだ。しかし、ラルに言ったあの言葉は確実にジンクスを意識していたはずである。それなのにルーメンはわざと伝えなかった。
「……本当にお前という男は性格が悪いと思う」
「ほっほっほっ……お互い様じゃ」
「はん。……お前程ではないよ」
出来上がった茶を一口含み、ルーメンの隣に座る。
そして、先程、血気盛んに出ていった二人─主に血気盛んだったのはラルのみだが─を思い出す。
「ま、なるようになるか。……頑張れ、ティールや」



~あとがき~
長いけど、きりがいいところまでやりたかった。許してくれ!
そして、まさかの護衛任務はやらなくてもいいってよ。私も!! びっくりだよ!!!

次回、神子探し開催。

舞披露ら辺は真面目モードだったのに、ここにきて一気にいつものレイ学雰囲気に戻ってます。
やっぱ、はちゃめちゃしてる方が楽しいし、お偉いさんに振り回されるラルを書くのは楽しいっす。もちろん、真面目ラルも好きだけどな。
んでもって、ラスト部分は入れるか悩んだんですけど、入れちゃいました。それとなく大人な雰囲気なおじいちゃん二人。無邪気にじゃれ合うだけじゃないんだぜ!?(笑)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第304話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で観覧してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、舞が始まる~……みたいなところで終わりました。
ラル「前回のあとがきにあった次回予告、もう一度言ってみてよ」
え? 何か言ったっけ??
ラル「え?」
……え??


《L side》
ぽろんとミユルちゃんのハープの優しい音色が響いた。
すると、噴水周りの縁の方から花が急速に成長し、美しく花びらを広げる。
花がいきなり咲いたのは、ミユルちゃんの力だろう。けれど、この花が舞に彩りを添えるためだけに咲いたとは思えない。
それに、あの形……洞窟で見たものに似ている気がする。
「洞窟? 奇跡の洞窟?」
「そそ。ティールがビビってたやつに似てない?」
「一言余計! でも、そう言われると似てるかも?」
「おや。ティール達は『エコーフラワー』を知っとるのかい?」
エコーフラワー?
「主に奇跡の洞窟で見かける花ですね。普通の花とは違い、特定の花びらを触ると、周囲の音を録音したり、再生したりするんです。……あそこに咲いているのは少し違いますけれど」
つまり、噴水周り花と洞窟で咲いてるエコーフラワーとは少し違うってことだろうか?
アルフォースさんはにこりと笑うだけで、それ以上は説明しない。見ていれば分かる、とでも言いたげである。
それを信じ、今は目の前の舞を見てみるとしよう。
完全に咲いたエコーフラワーは私達にスピーカーとなる花びらを向け、曲を奏で始める。
その曲が流れ出し、アラシ君達も各々の楽器を用いて曲を紡ぎ始め、精霊役達もどこから取り出したのか小さな打楽器を曲に合わせて、楽しげに鳴らし始めた。
そんな中、ツバサちゃんとツルギくんは神楽鈴へ魔力を流し、ツバサちゃんは扇子へ、ツルギ君は双刀へ変化させていた。
二人はこれ以上にない真剣な面持ちで曲に合わせ、舞を始めた。
ツバサちゃんは扇子を華麗にそして優雅に魅せ、ツルギ君は刀を繊細にかつ力強く用いて観客を魅了していく。
「──♪」
「──♪」
二人はステージで舞ながらも、唄を奏でる。
それは聞いたことのない言語で、どんな意味なのかさっぱり分からなかった。
「あれはどこの言葉だろうね……?」
ティールにも分からないんなら、私にも分かりません。
「そりゃあ、そうだろうね。あれは女神に捧げる唄だからの。あの歌はミルティアが用いていたとされる天の言葉を主に使っておる」
天の言葉……つまりは、天界の言葉?
それなら、ウィルさんやフォース君にならなんて言ってるのか分かるのかな。
「主にってことは、他の言語も使うってことですか?」
「無論さ。私達の言語もしっかりと使われておるよ?」
アルドアーズさんの説明通り、少しずつ、私達にも分かる言葉が聴こえてくる。
「……“母なる光よ集え”」
「“我らの元へ”……」
二人の言葉に反応するように身に付けていた帯飾り──『女神の涙』が光り出し、小さな緑の光の玉を作り出しては、その光が空へと昇っていく。
私だけでなく、周りで同じようなアクセサリーを持つ人々からも全く同じ現象が発生していた。また、無数の光は緑一色だけではない。白、赤、黄色、青……何色もの光の玉が辺りに漂い、淡く輝いている。
それらの光はツバサちゃん達の舞に合わせるかのように、彼女らのいるステージへと集められていく。その仮定で光達は互いに共鳴し合うように、一つ二つと繋がり、やがて小さな光は、ステージを覆ってしまう程の大きな木へと変化していた。
元々は光だからか、ステージ付近は淡く発光しているだけで、ステージ上にいるツバサちゃん達を隠してしまう程ではない。それでも、そこにあると思ってしまうくらい、存在感を感じずにはいられなかった。
「うむっ♪ 今年も上手い感じに幻影が作れたの~♪」
「なぁ、ルゥ? あの大木、大昔にあったとされる『世界樹』がモデルか?」
「そうじゃよ。ツバサ達のリクエストでな。あれを作りたいと言われてしまってなぁ~? おかげで、材料集めに緑色を多く必要としたわい」
……材料ってのは、女神の涙のことだ。つまり、私達の依頼にあった緑色を多めに採取してほしいってのは……これを作るため?
「相変わらず、孫に甘いな」
「おや? そこはお互い様じゃろ?」
「……否定はせんわ」
おじいちゃん同士の話は置いておいて。
光の大木が完成し、ずっと演奏の手伝いをしていた精霊役のしーくんが持っていた鈴をどこかへしまうと、すっと両手を前に突き出した。そして、何やら力を込め始め、集中モードになる。
あの様子からして何かの技を使おうとしているのだろうが……一体、どんなものを?
しーくんは普段、支援系統の技しか使わない。攻撃技等が使えない訳じゃないけど、如何せん力の加減が苦手なのか、百の力で使っちゃうのだ。そんなところも可愛いのだけれど。
言い換えるなら、じょうろでのんびり水やりしようと思ったら、ジェット噴射並みの強さで辺りを吹き飛ばしながら水やりしちゃった、みたいなやつだ。
「“アクアリング”!」
バッと手を横に広げると、しーくんの周りに大きな水の輪が出現する。本来、“アクアリング”は回復技だが、今はバトル中ではない。となれば、本来の使い方をするために使用したはずがない。
「……だいじょぶ。れんしゅーしたもん」
と、しーくんが呟いた。いや、この距離だ。本当に聴こえるはずがないのだが、そんな風に口が動いた気がしたのだ。
しーくんは“アクアリング”から小さな水の玉を作り始める。それも一つ二つではなく、数えきれない程だ。
前はあんな繊細な操作はできなかったはずなのに。ティールみたいにやろうとしても、なぜか大量の水を出してしまって、周りを水浸しにしていたのに。
「上手くなってる。凄く」
「……うん。私達が見ない間にね」
「ふぉっふぉっ♪ 雫の見せ場はこれからじゃ。アリアとの修行の成果、きちんと見てやりなさい♪」
ルーメンさんの言葉に私は再度、しーくんを見つめる。
真剣な表情で作り出した水の玉をどこかに狙いを定めていた。ぴたり、と標準を合わせ、あの子はパッと顔を輝かせると、複数の水の玉を辺りを漂っていた光目掛けて発射させる。一つ、また一つと水が光を捕らえていく。
そっか。そうなんだね。しーくんは……雫は、強くなったんだね。私が思っている以上に強く。そして、早く成長している。
「これは……放っておいたら、私達よりも強くなっちゃうかも」
「……あはは。それはまずい。まだ、自分の子供に負けらんないな」
うん。そだね。
しーくんの手によってほとんどの光が水に捕まった頃。ツバサちゃんとツルギ君は自身が持っていた神具を宙へ放り投げ、互いの道具と入れ換える。つまり、ツバサちゃんが刀をツルギ君が扇子を手にした。
それと同時に辺りに鈴の音が響く。すると、精霊役の子達の持つ楽器が虫取り網に変化した。
「なんで、虫取り網?」
「あれがツルギ達の持つ神具の力だよ。使用者の意思によって、他の神具の形を個別に変えてしまうのさ」
うん。……それは分かるが、なぜ網にしたのだ。優雅な舞のために楽器を用いてあるのは分かる。が、そこに網て。
「網は何かを捕まえるために使用するものじゃろ? この場で捕まえなければならないものとは、なんじゃろうなぁ?」
……まさか。
ルーメンさんのにやりと笑った。それだけで、この頭を過った考えは嘘ではないと裏付けてしまう。
しーくんを含め、精霊役の子供達は皆、虫取り網を片手に辺りを漂う水の玉(光入り)を次々と捕まえていく。それも満面の笑みで、楽しそうに。しかし、無作為に集めているわけではなく、同色だけを集めているみたいだ。赤は赤、青は青、みたいに。
無邪気な精霊達の手によって、同属性の光達は、網の中で少しずつ大きくなっていった。
網の中で大体、大人の顔程に大きくなった水を子供達はそっと両手で包み込むように持ち上げる。そうして、子供達はゆっくりとだが、全員がステージに上がり、神子二人を囲うように位置取りし始める。
子供達全員が二人を囲うように円になると、再び、扇子と双刀を宙へ放り、本来の持ち主へと投げて返した。
二人が同時にそれらをキャッチすると、一際大きな音で鈴が鳴り響き、背中合わせになる。
「“光よ、我らの言の葉を聞き届け”」
「“光よ、我らにその真の姿を示せ”」
ツバサちゃん、ツルギ君の順で文言を言い終えると、足元には巨大な魔法陣が出現した。その魔法陣が強く輝くと、子供達の持っていた水の玉がパチンっと次々に弾け、中から本物の動物の形をした精霊達が現れた。
精霊達の体は先程の光の色と同じで、赤や青、白や緑等の色をしている。
しーくんらが集めた光達が、ツバサちゃんとツルギ君の魔法によって精霊へと変化したのだろう。
光を精霊へと変化させた二人は再び、舞を再開させる。子供達もまた、呼び出された精霊達と共に楽しそうに踊り始める。
舞と曲が盛り上がりつつ、恐らく終盤に差し掛かっているのだろうと感じ始めた頃。
子供達の周りで踊っていた精霊達はパートナーとなっていた子供の頬にキスをすると、そっと傍を離れ、幻影の大木の頂上を目指して空を駆けていく。
精霊達が木の天辺まで辿り着くとパッと消え、それと同時にアラシ君達の演奏、ツバサちゃんとツルギ君による舞が終了した。
辺りが静寂に包まれた瞬間、幻影の大木の頂点がキラリと光る。そこから少しずつ、木が光の粒になって、空から雪のように降り注ぎ始めた。もちろん、雨や雪と違って実体のない光だから、直接触れはしない。
それでも、思わず手を伸ばしてしまいたくなるほど、とても幻想的で、華やかで、儚い光景だった。
「最近、こういう光景に恵まれるなぁ」
確かにそうだ。『奇跡の洞窟』で散々、幻想的な光景を見てきたと思ったのに。全く、それを軽く上回ってくれるじゃない。
ティールに話しかけようと口を開こうとした瞬間。そっと私の耳元で誰かが囁いた。
「っ!?」
「……? ラル?」
反射的に後ろを振り返るものの、そこには誰もいない。……いや、周りには人はいる。だが、少なくとも、私の耳元で囁く程の至近距離に人はいなかった。
誰だ。……いや、違う。私は知っている。あの声の主を、知っているはずだ。
「どうかした? 大丈夫?」
「……んーん。ごめんね、なんでもないの。大丈夫」
心配そうなティールに安心させるようにそっと微笑む。そんな私にティールも何も言わず、「なら、よかった」と笑ってくれる。
本当はなんでもなくない。それは多分、ティールにもバレている。が、私が口を割らないと分かっているからこそ、引いてくれたのだろう。
「……あの、声、は」
聞いたことのある声。つい最近、聞いた。
その声はこう、呟いた。
─今夜、ルーメンの部屋で─
……と。はっきりと、言った。
そして、その声の人物に言われていた。
近いうちにまた、逢えるだろう、と。
──ミルティア、貴女は私に何を伝えたいんだ?



~あとがき~
え、ここ最近長くね……?(滝汗)

次回、ゲームします。←!?

言いたいことはないですね。
うん……うん。(汗)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第303話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はなんか……アルドアーズがお馬鹿な人って感じの話で終わってます。
今回は真面目にな。真面目になります。
真面目に舞を見ていきましょうね~


《L side》
人々の喧騒の中、突然、ちりんと鈴の音が鳴り響く。普段なら気にも止めないその音は、不思議と辺りの空気を一変してしまう程に神聖なものに感じられた。
周りの人々もそれを思ったのだろう。ざわめきがピタリとやみ、音の発信源に集中する。
「鈴の音が鳴ったということは、そろそろかな?」
アルドアーズさんが楽しそうに呟く。その言葉にティールは首を傾げる。
まあ、この状況で始まるって言ったら、一つしかないけれど。
「ふふっ♪ そうですね♪ この女神祭のメインイベントとも言える神子の祝福の舞。神楽が」
ちりん。
セラフィーヌさんの言葉を裏付けるように鈴がまた鳴る。そして、その音に合わせ、エクラ城から下駄の音が聞こえてきた。
その音に釣られてエクラ城を見やると、城の入口からとある集団が目に入る。
先頭には両目を閉じたままだが、しっかりとした足取りで歩を進めるツバサちゃんとツルギ君。二人は白をベースとした神子衣装を身に纏い、それぞれ、青と赤のアクセントが加えられた和服衣装がよく似合っている。また、二人とも高さのあるぽっくり下駄を履き、それが歩く度に「かこん」と音を鳴らしているらしかった。
その後ろに各々特徴のある仮面と白フードを被った五人がいる。そして、そんな彼らの周りに精霊役だろう、しーくんを含めたフードを深く被った幼い子供達、七人が小さな神楽鈴を手に共に歩いている。
それぞれ特徴のある仮面。それが五人……か。
「あの仮面、動物のモチーフ?」
恐らくは。分かりやすいところだと、狼だったり、猫だったりのモチーフだろうか。
「ふむ? そういえば、ティールとラルさんはツバサ達、幼馴染み達とは顔見知りだったかな?」
「え、えぇ……そうですが」
「ならば、彼らの正体も察しがつくだろうなぁ」
なら、やっぱりあの集団は……?
私達の疑問にルーメンさんは嬉しそうに頷く。
「アラシ達、じゃよ♪」
ここ最近の練習とやらは、これのことだったのだろう。となれば、度々聴こえてきていた楽器のような音の正体もここで分かるかもしれない。
「あれ? ツバサちゃん達の衣装って……もしかして?」
「可愛いでしょ? 神子衣装はね、私が毎年デザインしているのよ♪」
毎年。……使い回しじゃないんだ。
そんな話をしていると、定期的に鳴っていた下駄の音が止む。
噴水の右にはツルギ君、猫の仮面のレオン君、竜の仮面のシエル君。左にはツバサちゃん、狼の仮面のアラシ君、魚の仮面のアリアちゃん、蝶の仮面のミユルちゃん。そして、その七人の担当精霊役の子供達がそれぞれの側に配置された。
全員がそれぞれの持ち場についたのだろう。ツバサちゃんとツルギ君は同時に神楽鈴を自身の前に突き出して、チリーンと鳴らす。
その音を合図に噴水から勢いよく水が吹き出し、その水が楕円形のステージへと形を変える。
ティールの能力みたい、だけど」
彼も水を操って似たようなことはできるだろう。しかし、複数人を水の上に立たせるなんてできっこない。一体、どうやって?
「あれは水の上に立っているんじゃないのさ。水の上に魔力の膜が張ってあってな? それを足場にして立っておるんだよ」
あぁ、なるほど。見えない足場がそこにあるんだ……マホーッテ、スゴイデスネー……?
「……はぁ。ラル?」
やめろ。そんな目で見るな。私じゃなくて、目の前を見ろ!
……こほん。では、気を取り直して。
双子が作り出した水のステージの周りには小さな円状の小さなステージが五つ浮かび上がっていた。また、そのステージへと上がるための半球体の泡のような階段も現れた。
その階段を用いて、白フード達──もとい、アラシ君達が各々小さなステージへ。
次に精霊役の子供達三人─その内の一人はしーくん─がステージへ。
最後にツバサちゃんとツルギ君がステージ中央へと上がる。
水のステージに上がらなかった残りの子供達は等間隔に噴水周りへ移動していた。
双子がステージ中央で止まると、アラシ君達は小さな円のステージで袖口から鈴のついた紐を取り出して座り、三人の妖精達は二人を囲うようにして立つ。
一呼吸置いた後、双子は互いに向き合い、シャンっと鈴を鳴らした。
すると、アラシ君達の持っていた鈴が共鳴するように高音で鳴り始め、暖かな光に包まれる。そのひかりが落ち着きを取り戻した時には、鈴ではなく楽器へと形を変えていた。
アラシ君は横笛。
レオン君は胡弓。
シエル君は太鼓。
アリアちゃんは琴。
ミユルちゃんはハープ。
各々、楽器を構え、合図を待つようにその場に控えている。
「鈴が楽器に……? お祖父様、あれは何かの魔法具、ですか?」
「うん? まあ、当たらずとも遠からず、かの。あれは『神具』さ。ツルギとツバサの持つ神楽鈴の音と魔力に共鳴し、形を変えるという性質がある。……で、合っていたか。ルゥ?」
「アズにしてはよう覚えておる。……あれは昔、ミルティア様がお作りなったと言われる太古の魔法具じゃよ♪ 二人の持つ神楽鈴もちと性質は違うが同じ『神具』だよ」
アルドアーズさんを一回貶した気がするけど……きっと気のせいだな。
全ての準備が整ったのか、二人は目を閉じたまま正面へ向き直る。そして、ツルギ君が小さく会釈し、そっと口を開く。
「本日はお暑い中、スプランドゥールの女神祭へお越しくださり、誠にありがとうございます」
兄の感謝の言葉を引き継ぐように、ツバサちゃんもそっと会釈し、言葉を紡ぐ。
「今年も観客の皆様に、我ら兄妹の舞と『女神の祝福』を披露できること、大変嬉しく思います」
おや、舞と『女神の祝福』は別物なのか……? アクセサリーを配っていたお姉さんの口振りから、てっきり、イコールだと思っていたのだけれど。
「冒頭の挨拶が長くなり、皆様の熱気が冷めてしまうといけませんので、我々の挨拶はこれくらいにして」
「今宵、女神ミルティアに捧げる我ら兄妹の舞……『神子神楽』をどうか」
「「心行くまで、お楽しみくださいっ!!」」
ここで二人は、ぱちり、と目を見開く。
その光景に私とティールは息を飲んだ。
この神聖な雰囲気に飲まれたからではない。双子のとある変化のせいだった。
二人の目の色が変わっているのだ。文字通りの意味で。元々黒かった目がツバサちゃんは赤、ツルギ君は青へ変化している。
その姿は……特にツバサちゃんは、ミルティアを彷彿とさせる。なぜなら、ミルティアもまた、赤と青のオッドアイだったから。
「ぼくが知らなかっただけ、なのかな。あれ。二人とも、赤と青のオッドアイだったっけ?」
「んなわけあるかい。……二人とも、片方は黒い瞳だったよ」
カラコンで隠してましたオチだったら泣くが。……でも多分、ツルギ君は分からないけれど、ツバサちゃんにコンタクトは無理だろう。怖くて目を瞑るタイプだ、絶対。
「ふぉっふぉっ♪ ラル達のその反応、ワシらのときと変わらんの~♪」
「だなぁ? 私達が初めて二人の舞を見たときもそれはそれは驚いたもんだよ」
……? 達、というと。
「ふふっ♪ 私達も代替わりした年は驚いたの。ついその場で固まっちゃうくらいには、ね?」
「そうだったね。……ケアル家は元々、長子は赤い瞳を持つ子が産まれやすい家系なんだそうです。現にセラや親方は赤い瞳ですからね」
セラフィーヌさんはともかく、ルーメンさんもなの……? 基本、にこにこしっぱなしで目の色の印象がないんだけど。
私とティールは思わず、ルーメンさんを見てしまう。その視線に気づいたらルーメンさんは楽しそうにパチッと目を開ける。そこには真っ赤な瞳があって。
……この法則に乗っ取るなら、ツルギくんも双子と言えど、兄。長子だ。だから、赤と黒オッドアイなんだろう。
「つまり、ですね? 二人の赤と青のオッドアイ姿、あれは神子姿の時だけなんですよ」
まあ、うん。そうなる、よな?
でも、なぜ。神子の時だけそんな変化が現れるのだろう?
「ふむ。それはのぉ……推測でしかないんだが、二人が双子だからだとワシらは思うておる」
「元々、このお祭りは自らの命を捧げ、この地を救った女神へ感謝を捧げるお祭りなのは、二人とも知っているわね?……では、そんな二人に問題です♪」
あ、セラフィーヌさん、教師の顔だ。
「このお祭りを始めたのは誰でしょうか~?」
突然のセラフィーヌさんの授業にぽかんとしてしまうが、ティールは真剣に考え始める。
現在では明けの明星が主催となり、執り行われているお祭りだ。しかし、元を辿れば、ミルティアに感謝を伝えるためにこの国の人々が行い始めたのだろう。では、それを率先して行うのは誰か。
一番、ミルティアに感謝を捧げたいと思うのは誰か。そういうことになる。
「……ミルティアの子供達ですか?」
「流石ね、ラルちゃん。大正解♪ このお祭りの創立者はミルティアの子供達と言われているわ。実はね、その子供達は双子で、更に初代神子を務めたと伝えられているの」
初代神子が双子。かつ、ミルティアの子。一番、神の血を濃く引き継ぐ子供達。
……なるほど? つまり、現神子であるツバサちゃんとツルギ君は、初代神子であるハレンとサナと共通項が多い。
「初代神子も赤と青のオッドアイだったんですね。……ミルティアと同じように。だから、ツバサちゃん達もその影響を受けている、と」
長子は赤い瞳を受け継ぐ。では、ツバサちゃんは? 答えは、青の瞳を受け継いでいる。つまり、ツルギ君とツバサちゃんは半分ずつ、初代神子……強いては、ミルティアの特徴を受け継いだというわけだ。
だから、神子姿の時、二人は瞳が変化するのだろう。これは様々な要素が重なりあった結果とも言える。
「ほっほっ♪ やはり、ラルは頭の回転が早いな~♪ 何処ぞの察しの悪いジジィとは雲泥の差じゃのぉ?」
「なーぜ私を見るのかね、ルゥ? 誰かな、その察しの悪いジジィとやらは。もしや、お前のことかな?」
「寝言は寝て言うがよいぞ、アズ。ボケるには早いだろうに」
「ボケとらんが!?」
やっぱ、アルドアーズさんを一回貶さないと駄目らしい。



~あとがき~
どうも舞だけの表現のみだと説明口調だけになるので、ちょこちょこラル視点の話も挟まってます。解説だと思って読んでください。
まあ、今回は舞ってないんですけどねー!!
開始手前までに一話使うって何!?(困惑)

次回、舞を舞踊るぞ~☆

色々、説明をぶっこみましたが、分かりにくかったらすんません!
なるべく分かりやすくストレートに書いてはいるんですが……だからこそ、想像しにくいやもしれん。
そのときはあれだ。脳内補完でそれっぽいの想像してくれー!←

ではでは。