satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第303話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はなんか……アルドアーズがお馬鹿な人って感じの話で終わってます。
今回は真面目にな。真面目になります。
真面目に舞を見ていきましょうね~


《L side》
人々の喧騒の中、突然、ちりんと鈴の音が鳴り響く。普段なら気にも止めないその音は、不思議と辺りの空気を一変してしまう程に神聖なものに感じられた。
周りの人々もそれを思ったのだろう。ざわめきがピタリとやみ、音の発信源に集中する。
「鈴の音が鳴ったということは、そろそろかな?」
アルドアーズさんが楽しそうに呟く。その言葉にティールは首を傾げる。
まあ、この状況で始まるって言ったら、一つしかないけれど。
「ふふっ♪ そうですね♪ この女神祭のメインイベントとも言える神子の祝福の舞。神楽が」
ちりん。
セラフィーヌさんの言葉を裏付けるように鈴がまた鳴る。そして、その音に合わせ、エクラ城から下駄の音が聞こえてきた。
その音に釣られてエクラ城を見やると、城の入口からとある集団が目に入る。
先頭には両目を閉じたままだが、しっかりとした足取りで歩を進めるツバサちゃんとツルギ君。二人は白をベースとした神子衣装を身に纏い、それぞれ、青と赤のアクセントが加えられた和服衣装がよく似合っている。また、二人とも高さのあるぽっくり下駄を履き、それが歩く度に「かこん」と音を鳴らしているらしかった。
その後ろに各々特徴のある仮面と白フードを被った五人がいる。そして、そんな彼らの周りに精霊役だろう、しーくんを含めたフードを深く被った幼い子供達、七人が小さな神楽鈴を手に共に歩いている。
それぞれ特徴のある仮面。それが五人……か。
「あの仮面、動物のモチーフ?」
恐らくは。分かりやすいところだと、狼だったり、猫だったりのモチーフだろうか。
「ふむ? そういえば、ティールとラルさんはツバサ達、幼馴染み達とは顔見知りだったかな?」
「え、えぇ……そうですが」
「ならば、彼らの正体も察しがつくだろうなぁ」
なら、やっぱりあの集団は……?
私達の疑問にルーメンさんは嬉しそうに頷く。
「アラシ達、じゃよ♪」
ここ最近の練習とやらは、これのことだったのだろう。となれば、度々聴こえてきていた楽器のような音の正体もここで分かるかもしれない。
「あれ? ツバサちゃん達の衣装って……もしかして?」
「可愛いでしょ? 神子衣装はね、私が毎年デザインしているのよ♪」
毎年。……使い回しじゃないんだ。
そんな話をしていると、定期的に鳴っていた下駄の音が止む。
噴水の右にはツルギ君、猫の仮面のレオン君、竜の仮面のシエル君。左にはツバサちゃん、狼の仮面のアラシ君、魚の仮面のアリアちゃん、蝶の仮面のミユルちゃん。そして、その七人の担当精霊役の子供達がそれぞれの側に配置された。
全員がそれぞれの持ち場についたのだろう。ツバサちゃんとツルギ君は同時に神楽鈴を自身の前に突き出して、チリーンと鳴らす。
その音を合図に噴水から勢いよく水が吹き出し、その水が楕円形のステージへと形を変える。
ティールの能力みたい、だけど」
彼も水を操って似たようなことはできるだろう。しかし、複数人を水の上に立たせるなんてできっこない。一体、どうやって?
「あれは水の上に立っているんじゃないのさ。水の上に魔力の膜が張ってあってな? それを足場にして立っておるんだよ」
あぁ、なるほど。見えない足場がそこにあるんだ……マホーッテ、スゴイデスネー……?
「……はぁ。ラル?」
やめろ。そんな目で見るな。私じゃなくて、目の前を見ろ!
……こほん。では、気を取り直して。
双子が作り出した水のステージの周りには小さな円状の小さなステージが五つ浮かび上がっていた。また、そのステージへと上がるための半球体の泡のような階段も現れた。
その階段を用いて、白フード達──もとい、アラシ君達が各々小さなステージへ。
次に精霊役の子供達三人─その内の一人はしーくん─がステージへ。
最後にツバサちゃんとツルギ君がステージ中央へと上がる。
水のステージに上がらなかった残りの子供達は等間隔に噴水周りへ移動していた。
双子がステージ中央で止まると、アラシ君達は小さな円のステージで袖口から鈴のついた紐を取り出して座り、三人の妖精達は二人を囲うようにして立つ。
一呼吸置いた後、双子は互いに向き合い、シャンっと鈴を鳴らした。
すると、アラシ君達の持っていた鈴が共鳴するように高音で鳴り始め、暖かな光に包まれる。そのひかりが落ち着きを取り戻した時には、鈴ではなく楽器へと形を変えていた。
アラシ君は横笛。
レオン君は胡弓。
シエル君は太鼓。
アリアちゃんは琴。
ミユルちゃんはハープ。
各々、楽器を構え、合図を待つようにその場に控えている。
「鈴が楽器に……? お祖父様、あれは何かの魔法具、ですか?」
「うん? まあ、当たらずとも遠からず、かの。あれは『神具』さ。ツルギとツバサの持つ神楽鈴の音と魔力に共鳴し、形を変えるという性質がある。……で、合っていたか。ルゥ?」
「アズにしてはよう覚えておる。……あれは昔、ミルティア様がお作りなったと言われる太古の魔法具じゃよ♪ 二人の持つ神楽鈴もちと性質は違うが同じ『神具』だよ」
アルドアーズさんを一回貶した気がするけど……きっと気のせいだな。
全ての準備が整ったのか、二人は目を閉じたまま正面へ向き直る。そして、ツルギ君が小さく会釈し、そっと口を開く。
「本日はお暑い中、スプランドゥールの女神祭へお越しくださり、誠にありがとうございます」
兄の感謝の言葉を引き継ぐように、ツバサちゃんもそっと会釈し、言葉を紡ぐ。
「今年も観客の皆様に、我ら兄妹の舞と『女神の祝福』を披露できること、大変嬉しく思います」
おや、舞と『女神の祝福』は別物なのか……? アクセサリーを配っていたお姉さんの口振りから、てっきり、イコールだと思っていたのだけれど。
「冒頭の挨拶が長くなり、皆様の熱気が冷めてしまうといけませんので、我々の挨拶はこれくらいにして」
「今宵、女神ミルティアに捧げる我ら兄妹の舞……『神子神楽』をどうか」
「「心行くまで、お楽しみくださいっ!!」」
ここで二人は、ぱちり、と目を見開く。
その光景に私とティールは息を飲んだ。
この神聖な雰囲気に飲まれたからではない。双子のとある変化のせいだった。
二人の目の色が変わっているのだ。文字通りの意味で。元々黒かった目がツバサちゃんは赤、ツルギ君は青へ変化している。
その姿は……特にツバサちゃんは、ミルティアを彷彿とさせる。なぜなら、ミルティアもまた、赤と青のオッドアイだったから。
「ぼくが知らなかっただけ、なのかな。あれ。二人とも、赤と青のオッドアイだったっけ?」
「んなわけあるかい。……二人とも、片方は黒い瞳だったよ」
カラコンで隠してましたオチだったら泣くが。……でも多分、ツルギ君は分からないけれど、ツバサちゃんにコンタクトは無理だろう。怖くて目を瞑るタイプだ、絶対。
「ふぉっふぉっ♪ ラル達のその反応、ワシらのときと変わらんの~♪」
「だなぁ? 私達が初めて二人の舞を見たときもそれはそれは驚いたもんだよ」
……? 達、というと。
「ふふっ♪ 私達も代替わりした年は驚いたの。ついその場で固まっちゃうくらいには、ね?」
「そうだったね。……ケアル家は元々、長子は赤い瞳を持つ子が産まれやすい家系なんだそうです。現にセラや親方は赤い瞳ですからね」
セラフィーヌさんはともかく、ルーメンさんもなの……? 基本、にこにこしっぱなしで目の色の印象がないんだけど。
私とティールは思わず、ルーメンさんを見てしまう。その視線に気づいたらルーメンさんは楽しそうにパチッと目を開ける。そこには真っ赤な瞳があって。
……この法則に乗っ取るなら、ツルギくんも双子と言えど、兄。長子だ。だから、赤と黒オッドアイなんだろう。
「つまり、ですね? 二人の赤と青のオッドアイ姿、あれは神子姿の時だけなんですよ」
まあ、うん。そうなる、よな?
でも、なぜ。神子の時だけそんな変化が現れるのだろう?
「ふむ。それはのぉ……推測でしかないんだが、二人が双子だからだとワシらは思うておる」
「元々、このお祭りは自らの命を捧げ、この地を救った女神へ感謝を捧げるお祭りなのは、二人とも知っているわね?……では、そんな二人に問題です♪」
あ、セラフィーヌさん、教師の顔だ。
「このお祭りを始めたのは誰でしょうか~?」
突然のセラフィーヌさんの授業にぽかんとしてしまうが、ティールは真剣に考え始める。
現在では明けの明星が主催となり、執り行われているお祭りだ。しかし、元を辿れば、ミルティアに感謝を伝えるためにこの国の人々が行い始めたのだろう。では、それを率先して行うのは誰か。
一番、ミルティアに感謝を捧げたいと思うのは誰か。そういうことになる。
「……ミルティアの子供達ですか?」
「流石ね、ラルちゃん。大正解♪ このお祭りの創立者はミルティアの子供達と言われているわ。実はね、その子供達は双子で、更に初代神子を務めたと伝えられているの」
初代神子が双子。かつ、ミルティアの子。一番、神の血を濃く引き継ぐ子供達。
……なるほど? つまり、現神子であるツバサちゃんとツルギ君は、初代神子であるハレンとサナと共通項が多い。
「初代神子も赤と青のオッドアイだったんですね。……ミルティアと同じように。だから、ツバサちゃん達もその影響を受けている、と」
長子は赤い瞳を受け継ぐ。では、ツバサちゃんは? 答えは、青の瞳を受け継いでいる。つまり、ツルギ君とツバサちゃんは半分ずつ、初代神子……強いては、ミルティアの特徴を受け継いだというわけだ。
だから、神子姿の時、二人は瞳が変化するのだろう。これは様々な要素が重なりあった結果とも言える。
「ほっほっ♪ やはり、ラルは頭の回転が早いな~♪ 何処ぞの察しの悪いジジィとは雲泥の差じゃのぉ?」
「なーぜ私を見るのかね、ルゥ? 誰かな、その察しの悪いジジィとやらは。もしや、お前のことかな?」
「寝言は寝て言うがよいぞ、アズ。ボケるには早いだろうに」
「ボケとらんが!?」
やっぱ、アルドアーズさんを一回貶さないと駄目らしい。



~あとがき~
どうも舞だけの表現のみだと説明口調だけになるので、ちょこちょこラル視点の話も挟まってます。解説だと思って読んでください。
まあ、今回は舞ってないんですけどねー!!
開始手前までに一話使うって何!?(困惑)

次回、舞を舞踊るぞ~☆

色々、説明をぶっこみましたが、分かりにくかったらすんません!
なるべく分かりやすくストレートに書いてはいるんですが……だからこそ、想像しにくいやもしれん。
そのときはあれだ。脳内補完でそれっぽいの想像してくれー!←

ではでは。