satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第220話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお仕事してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ボス前の休憩風景をお送りしました! 今回はボス戦じゃ! バトル描写? 知らん! さらっと! さくっと! 終わらせるつもりです!!(笑)


《L side》
久々の大量モンスター戦闘にバテ気味だったティールも回復し、私達はボス部屋前に到着。
探検隊を何年もやっていても、いざボス部屋前に来ると気持ちが高ぶる。分かっていても、目の前に現れるだろう強者をどう倒していこうか考える瞬間が楽しいのだ。
負けるなんて一ミリも考えていない。なぜなら、私とティールがやられるはずがないから。……と、自信満々に言いたいところだが、単純に私らのレベルでやられるはずのない仕事内容なだけだ。
「よし、準備はいい?」
「いつでもいいよ」
「よっしゃ。踏み込むぞ!」
『王者の角』と呼ばれる素材……どんなモンスターが現れるのだろう? 依頼書にはここの奥に現れる敵からドロップするとしかなかったし、下調べするには時間がなくてボスのことはよく分からなかったのだ。
戦闘中に分析するのもよくあることだから、大して不安もなく、気にしてはないのだが。……素材の名前からして、悪魔みたいな見た目だろうか? それとも、獣……?
そんな考えを巡らせながら、部屋へと踏み込み慎重に奥へと進んでいく。
そして、私達の目の前に現れたのは……
「は? 何あれ」
「繭、かな。……あれが、ボスでいいの?」
微動だにしない大きな繭。部屋に侵入者がいるにも関わらず、ボスと思われるモンスターの気配はない。ということは、目の前の繭がボスとなるが……攻撃も防御する気配すらない。
……おっとぉ? 想像となんか違うぞ?
「まさかの巨大なお虫様退治になるとは……何が出てくるんだろ。蝶? 蛾? 繭から羽化する虫ってなんだろうね」
「さあ……? で、羽化する前に倒しちゃう?」
それが一番楽だけれど、刺激を少しでも与えたら、何か孵ってしまいそうな予感がするのは気のせいでしょうか。
しかしまあ、私らの目的はボスからドロップする素材採取。攻撃せずにここから立ち去るわけにもいかない。それなら、なるべく一撃で倒してしまう……あるいは、孵らないようにできればいいのだが。
「……例えば、ここの室温をめっちゃ下げたら……こう、虫が「今は出てきたら死んでしまう!」って思ってくれないかな。通常ではあり得ないくらいに下げる…的な?」
「なるほど。……それ、やってみようか?」
セツちゃんの柄にそっと手を当てて、ティールがにっこりと微笑む。やれというのなら、やってやるという彼なりの意思表明だ。ここはかなりの広さがあるものの、ティールとセツちゃんならば、やってやれないことはないと私も思う。思うけどもだ。
「……やめておく。あの繭が死ぬ前に、私が死ぬ」
「え~? 人が凍るくらい室温を下げるわけないだろ」
「そういうことじゃないわ。私が満足に動けなくなるって話! そもそも、そこまでやっても相手が動いたら意味がない」
「あはは♪ そう言うと思ってた」
くっそ。ティールなんかに遊ばれるとは。ま、知ってたけどね。私が寒いの嫌いなの知ってて言い出したんだろうし。
ならば、今できる最善策は一つしかない。
「二人同時に攻撃を当てる。これしかないかな~……いい?」
「OK。問題ないよ」
ティールの返事を聞いた私は雷姫を、ティールはスイちゃんとセツちゃんを構える。
「火力は落ちるけど、遠距離攻撃をしよう」
「そだね。不用意に近づくのは怖いからなぁ」
それぞれの武器に、離れていてもある程度のダメージを与えられるだけの力を込める。
雷と水と氷の三属性を合わせた攻撃。全く効きませんでしたなんてことはないと思うが……はてさて、どうなることやら。
「轟かせろ、雷姫!!」
「荒れ狂え、スイ! 吹き荒れろ、セツ!!」
雷姫から放たれた電撃は、スイちゃんが作り出した激流を包み、セツちゃんの冷気と共に繭に激突する。激しい衝突音を辺りに響かせながら、煙が巻き上がる。
先手必勝という言葉通り、普通なら一発KOしていてもおかしくないくらいの威力はあるだろう。なんせ、神器と聖剣二振りの合わせ技だ。並大抵の敵なら一掃している。
「……どう、なんだろうね?」
「手応えがあるのは確かだけど、なんだろうなぁ。ダンジョンのボスだろ? 簡単にいくわけないって思う。あと、なんか面倒なことになりそうな予感も」
「お。奇遇だな。私も同じことを考えていたよ。……ボス戦がすんなり終わるわけないよねぇ」
「そうだよね。……うん。知ってた」
煙が晴れる頃には予想通り、繭からボスが羽化するところだった。これが羽ありだと空中戦になる。それは流石に面倒だが、やるしかないってやつで。
しかし、それは杞憂だったらしく、中から出てきたのは、それはそれは大きな蜘蛛。蜘蛛は私とティールを捉えると、奇声を上げ、木の幹なんじゃないかってくらいに太い足を振り下ろしてきた。
「左右に退避!」
「了解っ!」
私達はそれぞれに別れて踏みつけ攻撃─でいいのかはよく分からないけれど─を難なく避ける。そして、素早く通信機のスイッチを入れる。
「聞くまでもないけど、無事っすかね」
『ぼくを誰だと思ってるの。君の相棒だよ』
頼もしいことで。
さて、この先はどうするか。
相手の武器は恐らく、この太く鋭い足による振り下ろし攻撃。他にあるとすれば、糸とか、魔法攻撃だろう。それはモーションを見ていれば分かるだろうし、防ぐ手立ては私にもティールにもある。なんとかなるか。
そして、こういう敵ほど、弱点は手に届かないところにあるもの。だからこそ、ここまで挑戦的で好戦的なのだ。
ティール、この蜘蛛の足、全部落として」
『了解。狙撃して落とすから、前は頼んだ』
「もちろん。ヘイト集めは得意! で、どっちでやるの?」
『ん~……攻撃力があるのは銃だけど……弓矢で落とすか』
銃は基本、一直線に飛ぶ。それは弓矢も変わらないのだが、ティールの使うのは水の矢。水を操る彼にとって、その軌道は自由自在というやつだ。
『君がその辺、あちこち飛び回るんだもんね。銃は危ない』
……なんだろう。遠回しに馬鹿にされた?
うん。まあ、それはいい。そろそろ、本題に入ろうか。
作戦は単純明快である。敵の主力攻撃を封じ込めたあとで、こちらの攻撃を叩き込む。以上。
「さあさ、お前の足下、チョロチョロさせてもらうよー!」
一応、雷姫の“身体強化”でスピードを上げておき、敵に捕まらないように動いていく。そして、ティールを狙わせないように適度にちょっかいも出しておく。
「雷姫!」
『うむ。軽く痺れさせてやる♪』
巨大蜘蛛さんの真下に移動し、柔らかそうなお腹付近めがけて、電撃を放つ。こいつを完全に痺れさせるほどの電撃ではないものの、動きを鈍らせるくらいの威力はある。
効果はあったらしく、痺れを逃がしたいのか体をぶんぶん震わせていた。そんなことをしても、雷姫の電撃から逃げ切れるわけがないのに。
その隙にティールの放った矢が蜘蛛の足を狙い射った。それも一つではなく、いくつも放たれているため、どんどんっと二本の足が落とされる。
「こっわ。私の相棒、こっっわ!」
『そう? お互い様だろ』
そ、そうなのかな? え、そうなの!?
『次、よろしくね。ラル』
あ、はい……頑張ります……?

私が敵の注意を惹き付け、ティールがその隙に蜘蛛の攻撃手段でもあり、移動手段でもある足を次々と落としていく。
アリアちゃんの狙撃能力も大したものだとこの前、痛感したばかりなのに、ティールはティールで、別の意味で痛感している。
ティールは足を狙うだけでなく、敵のブレス攻撃(糸吐きなのか、魔法攻撃なのかは不明)のモーションに入るのを見逃さず、的確に邪魔をしていく。そのお陰で、私は糸に捕まることもなければ、魔法攻撃を受けることもなかった。
「……今更なんだけど、蜘蛛って口から糸出すんだっけ?」
『今、そんなのどうでもいい~……ラル! ラスト!』
……はぁい。
ティールが残りの足を全て破壊し、私は“身体強化”を使って、敵の頭上で高く飛ぶ。そして、雷姫を握る手に力を込め、一気に振り下ろした。
じわじわと体力を削っていたのもあるのだろう。たった一太刀で呆気なく討伐された蜘蛛。見届け、残った角(?)を拾い上げる。
「王者の角というか……虫だから触角なのかな? 蜘蛛に触角ないんだっけ。じゃあ、なんだろ、これ」
黒く尖ったそれは、それなりの硬さはある。武器として投擲したとして、ダメージも与えられると思うほどに。
「どっちにしろ、あの巨大蜘蛛から採れたやつなんだよね。……なんだかなぁ。あれの一部かぁ」
通信機を切りつつ、こちらに近寄ってきたティール。何とも言えない表情で、私の持つ角を見つめていた。
言いたいことは分かるが、素材はそういうものである。そして、素材ということは、これを使った何かが存在するわけで。
ティール、これの用途知ってる?」
「? 知らない」
「これを粉にして、他の薬草とまぜまぜするとあら不思議。万能薬に大変身ってよ」
「……飲むの? これを? 誰が?」
「そりゃ、人が?」
「「…………」」
数十秒の沈黙のあと、ティールは角からそっと目を逸らした。想像でもしたんだろうか。心なしか顔色が悪い気もするが、洞窟は暗いので明確な判断はできなかった。
「行くかぁ。仕事はまだ残ってる」
「そ、そうだね……行こうか」
さっさと回収した角をしまい、私はバッジを取り出した。そして、次の目的地に座標を合わせて、何の躊躇いなく起動させると、私とティールは光に包まれた。



~あとがき~
さっさと終わらせた結果、面白くもない何かができてしまった……反省。

次回、次なるお仕事へ!

ティールは虫が苦手ってわけではないですが、知らなくていいことってありますよね……そういうことです。←?

ではでは。