satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第240話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探検してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
いい感じにダンジョン攻略をしている気がします! いいぞ! 探検してる! ファンタジーっぽいぞ!?
ラル「学生感はないけどね~」
それは夏休み謳歌してるってだけでクリアしてるので!
ラル「幅が広すぎやしません?」


《L side》
数々のゴーレムを倒しつつ……いや、ゴーレム以外にもいないことはないのだけれど。基本、ゴーレムを倒しつつ、順調に奥へと進んでいた。
「ふー……戦闘は楽じゃないけど、まあ、何とかなるくらいだな。この先も気を抜かずに……ティール?」
例のごとく、アイアンゴーレムなるものを屠った後、ティールは壁に手をつき、何やら考え事をしているらしかった。私の呼び掛けにも答えず、じっと壁を見つめている。……正確には、壁から露出している宝石、だろうか。
「おーい? ティールさんやーい?」
「……! あ、ごめん。何?」
「それはこっちの台詞よ。何か気になることでもあった?」
「まあ、ね。……多分、今回の探索には関係ないんだけど。ここって、階層ダンジョン……つまり、下へ降りていくタイプだろ? で、下に降りていく度に、ここの宝石の数が減ってる気がしてさ」
……ほう?
ティールに言われ、改めてぐるりと辺りを見回してみる。言われてみれば、入口付近と比べると、見えている宝石の数は少ない。
「それに、もう一つ気になることがある」
ティールは近くにある宝石二つを指差した。片方は青、もう片方は緑だ。どちらも親指の関節くらいの大きさである。
「これとこれ、大きさが同じくらいだよね? これだけじゃなくて、ここにあるほとんどが同じ大きさ……統一されているんだ」
……つまり?
「そもそも、ラルは宝石って何だか分かる?」
「えーっと……所謂、化学記号で使う物質が結晶化したやつでしょ? ダイヤモンドなら、炭素の塊。……みたいな?」
「うん。……永い年月を地中で眠り続け、宝石は出来上がる。ってことは、大きさにバラつきがあるはずなんだ。同じ場所で取れたとしても、結び付く物質が違えば、色も形も見た目すらも変化する。もっと言ってしまえば、全てが同時期に結晶化したとは限らないだろう?」
なるほど。ティールが言いたいことが分かってきた気がする。
人工的に造られた宝石なら、ある程度の大きさが揃っていても不思議ではない。しかし、天然物だとすると、大きさが統一されているという事実は不自然である。
しかし、入口付近でのティールの目利きじゃ、どれも質のよい宝石であると断言している。なら、これが造られたものではなく、自然にできたもの……だと、思う。
「見えない部分を含めたら、大きさがばらばらでした~……ってことはない?」
「うーん。それは、分かんないけど……どちらにせよ、見えている部分の大きさが統一されているという事実に変わりはないよ?」
……確かに。
「自然に露出すること自体が珍しいし、ここまで似通った大きさで見えているから……他の宝石が壁に埋まってるってのも考えにくい。……もちろん、実際はどうなってるかは、掘ってみないと分かんないけどね」
ふむう……
奥に進むにつれ、数を減らしていく宝石……そして、大きさが統一された宝石、か。
まあ、ここで考えたとしても、答えは見えてこない。理由、原因がさっぱりだ。
それはティールも分かっているらしく、困ったように笑い、「急にごめんね」と壁から離れた。
ティールが抱いた謎がここを踏破することで明らかになるかは分からない。が、少なくとも、ここで立ち止まるのは不正解なのは分かる。
私達はお互いに頷き合うと、目的地へと歩を進めた。

相変わらず、ちょいちょい出てくる敵を倒しつつ、進んでいく。
そろそろ中間地点が近いのか、洞窟の雰囲気も変わってきていた。時々しか見かけなかった水辺が増え始めたかと思えば、小さな川のような水場が現れ始めたのだ。
その周りに白い水仙のような花を見かけるようにもなった。私はそれを見たことがなく、ティールに目配せしたものの、彼も不思議そうに首を傾げていた。彼でも知らないということは、ここのダンジョン限定で自生する花……なんだろう。多分。
私が調べた中にあの花に関する情報はなかったため、無闇に近づくのは得策ではない。
ということで、無視しましょう。
『ほあ! すいちゃ、ここしってう!』
『せっちゃ、きたことある!』
と、ここでずっと大人しかったスイちゃんとセツちゃんが楽しそうに話し始めた。
『ねー! ここのふーいき、なつかしーの!』
『ねー!』
「……懐かしいって、お前らここに来たことがあるのか?」
『うん! あずとるっちゃがたんけんした!』
『むかーしにしたの!』
二人の言う「あず」は恐らく、ティールの祖父、アルドアーズさんなんだろうが……「るっちゃ」って誰だろう。私の知る人に該当者はいただろうか。
……いや、一人だけいる。アルドアーズさんと交流を持っていて、ここに来たことがあるかもしれない人が。
「ねえ、スイちゃん、セツちゃん。るっちゃってもしかして……ルーメンさんのこと?」
『あい! そだよ!』
『じっちゃがるっちゃのとき、せっちゃたちもきたんよー!』
『あとねー? いーちゃとせいちゃもある! ちょっとむかし!』
えーっと……? いーちゃとせいちゃって確か。
「ぼくの両親の呼び名。……じゃあ何か? お前らは少なくとも二回は来た経験があるってこと?」
というティールの問いに元気よく返事を返した二人。それに対して、私は苦笑いを、ティールは呆れた表情を浮かべていた。
「だったら、早く言ってくれてもいいんじゃない? ぼくら、ここに来てそこそこ進んでるんだけど?」
『ほあー……でもでも、すっちゃ、にたよーなとこ、いっぱいしってるのら』
『いったことあるのら。だから、すぐにわからないよー』
「はいはい。そーですか。聞いたぼくが馬鹿だったよ」
……ふむ。若い頃のアルドアーズさんとルーメンさんがここを訪れた……か。
私の中で、とある話が思い出される。昨日、アンナさんから聞いた例の怪談話だ。舞台は洞窟だったし、何かとタイムリーだったからか、あの怪談話のモデルはここなのではと思えてならない。仮にそうだとした場合、話に出てきた見知らぬ声だとか、いきなり相棒が消えるとかがあり得るということになってしまう。……それは、如何なものか。
「ラル? どうかした?」
「……んー」
この考えをこいつに言ってしまってもいいのだろうか。パニックにならないだろうか。大丈夫……な、訳がない。だとすると、黙っているのが一番なのだが、押し黙るのも難しそうな気がする。それに、何も知らない状態で、過去の二人と同じ目に遭った場合、それはそれで面倒である。一応、話しておこうか。
「いやね? 可能性の一つとして聞いてほしいんだけどね。あくまで! 可能性の一つとして!」
「な、なんだよ……やけに念を押してくるなぁ」
「重要なことだからだよ。……話を戻すと、この前のアンナさんの話、ここのことなんじゃないかなって」
「……え? で、でも、事前に集めた情報の中にそんなのあった?」
ティールの問いに私は黙って首を振る。
彼の疑問は最もだ。しかし、それの答えはなんとなく、予想ができている。
「恐らく、若いルーメンさん達が来た当時は、ギルドの管理下になかったはずだもの。だから、例の噂が流れていたんだと思う。でも、時が経ち、ギルドの管理下になってからは、立ち入る人が激減した。それと同時に、噂自体も忘れ去られていたんじゃないかな?」
まあ、一度立った話は人から人へ語り継がれ、結果的にアンナさんの語る怪談へと変化した訳だが。
私の説明を黙って聞いていたティールは、話が終わる頃には、完全にビビってしまい、顔も青ざめていた。
私の「可能性の一つとして聞いてくれ」という言葉はもう忘れてしまったらしい。こいつめ。
「こ、ここに来て、そんな可能性知りたくなかったよ! 幽霊がいるかもしれないってこと!?」
「いや、そこまでは言ってないけど」
「だって、あの話の元ネタはここなんでしょ!? なら、同じことが起きる可能性は十分じゃないか!」
いやまあ、そうだけども。……とりあえず、落ち着けって。
ティールは両耳を塞ぎ、一刻も早くここから立ち去ろうと早足で通りすぎようとしていた。それに何の意味があるのかさっぱりである。依頼が終わらなきゃ、出られないというのに。
「ちょっと、ティール! 一人で先に歩かないでよ。というか、ティールの場合、そういうときは大抵、よくないことが……」
「うわっ!」
起こる……と、釘を指す前に何かに躓いたのだろう。ギャグ漫画世界かと思ってしまうくらいに盛大に転けた。
それと当時に、何かを押してしまったような音も聞こえる。そして、押した本人に文句を言う間もなく、私は視界は暗転した。



~あとがき~
やらかしました。

次回、ラルとティールの運命や如何に!?

真面目に探検していたと思ったのに、途中から王道コメディみたいな雰囲気になってきましたね。冒頭、真面目顔で物事を語っていたティールが終盤、アホの子になっている気がしますね。なんでじゃ……

ではでは。