satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第267話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はごちゃ混ぜ回でした。ネタを雑多に詰めたって感じのやつ。
今回は真面目にお話しする回でございます。
しばらく、続く……と、思われ。


《L side》
楽しい夕食の時間を終え、一度部屋に戻った私達。ルーメンさんとの約束の時間が迫る中、私は雷姫を実体化させ、彼女の前で正座をしていた。
「こんなお願いを受け入れるのはあなたのプライドに関わるかもしれないんだけど、しーくんとお留守してくださいっ!」
「マスター……この我を一度ならず、二度も子守りを頼むというのか。今日だけで、二度もか?」
「しーくんとだから! しーくんとだからぁ!! ツバサちゃん達に預けるのも考えたさ! けど、話がどこまで続くか分からないし、夜遅くなったら悪いじゃない!? いや、ツバサちゃんは気にしないだろうけど……私は悪いと思っちゃうんで!」
しーくんはいい子だ。一人でお留守しててね、と言っても嫌とは言わない。素直に従い、部屋で待っていてくれるだろう。でも、しーくんは精神年齢高め幼子でも、文字通り幼いのだ。心配になるやろがい! それが親心ってもんでしょーが!
「ラル~? ボクはひとりでも、だいじょぶだよ? ごほんよんで、まてるよ?」
「多分、ラルの気持ちの問題だよ。大人しく見てようね、雫」
「うん? うん……わかった!」
という、外野の会話を気にしないくらいには心配なの! 分かるでしょ!?
「……まあ、よい。あの駄犬に比べたら、童の子守りの方が何百倍もましというもの。それに、パートナーも一緒ならば、マスターに危険もなかろ」
うん。ギルド内で雷姫を使う事態になんてならないですよ?
「ふん。分からんぞ? もしかすると、あの白狐の小僧がマスターの首を狙うやもしれんじゃろう」
うん。不意を突かれたからといって、ツルギ君にやられるような私じゃないですよ?
「ふん。マスターはよくても、あの態度が気に食わんのじゃ。いつか我の電撃を食らわしてやりたいものよ」
うん。やめてくださいね。大事件ですよ。
「言うだけならタダじゃからなぁ」
うん。本当に言うだけにしてくださいね。マジで、笑えないんで。
「冗談はこのくらいにして、童は我に任せて早う行け。あの古兎を負かしてやるのじゃろ?」
「うん。何で今日はこうも刺々しいの?」
正確には、今だけ、なのだが。
「朝から晩まで我をこき使うからじゃよ」
いや、仕方なくない!?
……あぁ、もう。雷姫の気分が変わる前にさっさと行こう。これ以上話していたら、もっと何かを言われそうだ。
「しーくん、雷姫とお留守、お願いね?」
「うん。いってらっしゃいっ!」
はい、いってきます。
ティールに目配せをし、二人で部屋を出る。
目指すは明けの明星の親方部屋……ルーメンさんの部屋だ。

自分達の部屋を出て、ルーメンさんの部屋の前まで来た。ここまでは何事もなく……本当に特筆すべきこともないくらい、何にもなくて、真っ直ぐ来れた。
いやまあ、それが普通なのだけれど。
そして、さも当然かのように、アルフォースさんにソファへと座るように促され、目の前にお茶が差し出される。そして、アルフォースさんはさっさと退出してしまった。引き留める暇もなく、ここまでが一連の流れですと言わんばかりである。
……いつも、こんな感じなのだろうか。この二人の雑談タイムとやらは。
ルーメンさんはアルフォースさんが用意したであろう湯飲み片手にニコニコしている。
対する私達は用意してくれたハーブティーを横目にじっとしていた。要するに、緊張しているのだ。
ティールはともかく、私はこうして話すのは初めて……ではないけれど、内容が内容なだけに、緊張してしまうのは仕方がないというやつである。
私が切り出すべきか、相手の出方を見るべきか。判断に迷う。迷っているからこそ、謎の沈黙が続いているのだが。
「いやはや、まさかこうなるとは思わんかったよ」
……沈黙を破ったのは、ルーメンさんだった。
ティールとだけでなく、ラルともこうして話す機会があるとはなぁ」
「それは……お時間を取らせてしまい、申し訳ありません。改めて、お詫びします」
「いやいや。ワシは一向に構わんよ。元々、ティールと話す予定の時間。そこに一人増えたとて、大した違いはないからの」
ルーメンさん的にはそうなのかもしんないけども。一応、ルーメンさんは偉い人である。ギルドマスターであり、陸の国を取りまとめる一人。本来なら、部外者である私と、こうして雑談交えるのも変な話なわけで。
……なんて、一般論を説いたとして通じる相手でもないか。
「しかし、本当に今夜でよかったのかの? 今日くらい休んでもよかったんじゃぞ?」
「問題ありません。少しの休息はとりましたから。それに、分からないを延々と抱え込みたくはないので」
なんか気持ち悪いじゃん。それに、謎解きをし終えてこそ、ようやく今回の探検を終えられるってもんだ。
「そぉか……ならば、本題に入るとするかの。早速じゃが、ラルや。……お主に質問してもよいか?」
そぉら、きた。
ルーメンさんの言葉に私は黙って頷く。ルーメンさんは笑みを絶やすことなく、口を開いた。
「ラルはどこで『女神の罪』について知った?」
先刻での報告で簡潔ではあるものの、一応は伝えたはずなのだが。こうして改めて聞くのは、確認のためか。或いは、改めて私に言わせるためなのか。
まあ、ここは正直に答えるか。
「『奇跡の洞窟』で、です。正確には、そこに咲く女神の涙に触れ、能力で視ました」
どこまで情報開示しようか。ユウアちゃんがどんな風に伝えているのかは分からないが……事実として言えることだけ言ってしまうか。
「そこで結果的に四回程、能力が発動し、その四回とも過去……女神ミルティアに関係するものを視ました。どれも鮮明な映像として能力が発揮した形になります」
この言葉にルーメンさんはピクリと眉をひそめる。
「……ほう。映像、とな?」
「えぇ。そう表現した方が分かりやすいので、そのような言葉を使いました。……その映像で『女神の罪』を知りました」
「ふむ。どこまで知ったか、改めて聞かせてくれるかの?」
……そうきたか。まあ、そうだよね。
私がどこまで理解しているか確認の意味もあるのだろう。それによって、話す内容も変わってくるからだ。
私は『奇跡の洞窟』で視たものをできるだけ具体的に伝えていく。
ミルティアが洞窟を守るためにゴーレム達を造り出したこと。
魔素不足解消のために女神の涙を作り出したこと。
枯渇してしまった魔素を補填するため、自らの命を捧げると話すミルティアを視たこと。
そして、その告白を聞くマントの男……アルマのこと。
一連のあらましを淡々と報告し、私は一呼吸置いた。
「ここまでは能力で視たもの……つまり、真実であり、事実です。ですが、ここから話すことは私の推測が混じるのは、ご了承ください」
「うむ」
「……マント男のアルマについて、詳しくは分かりません。しかし、会話内容から、彼もまた神であるのではと考えます。まさか、一般人に重大な秘密となりうるそれを女神が語るとは思えませんので」
余程信頼しきっているか、ミルティアが超お人好しでなければ成立しない。
まあ、アルマが自分が消えれば云々言っていた時点で、一般人ではないんだろうと推測できるんだけれどね。
……それはさておき。
ここで、女神の罪とは何かを仮定する必要がある。断定できる証拠がない以上、どれを唱えても可能性の話ではあるのだが……
「私は……女神の罪とは、《神同士が子を成すこと》……身籠ることではないかと考えています。神同士の間にできた子を産んだ影響で、世界のバランスが崩れた。……それを正すため、ミルティアは自身の命を使った、と」
最後に視た映像の中で、二人の子供に関する事柄が出てきていた。上にバレるバレないという話もしていた。少なからず、罪に子が関係しているのは明らかである。
世界を守るため、子を守るため、ミルティアは命を手放した。……それが、物語の結末だと、思う。
ルーメンさんは私の話を静かに聞くだけで、何も答えなかった。あっているとも、間違っているとも言わない。
「ルーメンさん……一つ、よろしいですか? あなたは全てを知った上で、私達をあそこに向かわせたのでは?」
「……なぜ、そう思った?」
思わず出た言葉なのか、数秒の沈黙後、「質問を質問で返してしまってすまんな」と困ったように笑った。
「構いません。……そう考えた理由は、ケアル家がミルティアの直系の子孫であると仮定しているからです」
最初にそうではないかと疑ったのは、洞窟へ行く前にミルティア関連の資料を漁っていたとき。また、この城の所有権がケアル家……もとい、ルーメンさんにあることも、子孫であるという一つの決め手となり得るのかもしれない。
「それに……能力で視たミルティアの姿がツバサちゃんと似ていたので。……何て言うんでしょう。大人ver.のツバサちゃん、みたいな容姿でした」
「ふむ。なるほどのぉ」
まだ少し、決定打に欠けるか……?
じゃあ、ここでカードを切るか。
「今話したものは状況証拠みたいなものですけれど……一番は本人にそれっぽいことを直接聞いたから、ですかね」
「……なぬ?」
ルーメンさんは少しだが驚いた様子を見せる。予想外な答えを聞いたということなのだろう。
私とミルティアが会話をするのは、ルーメンさんの計画にはなかったのだろうか。
「本人? 本人って……女神、本人ってこと?」
あぁ、そういえばティールにも言ってなかったな。タイミングなくて、伝え忘れていたっけ。
私は最後に発動した際にミルティアと逢ったこと、そこで交わした会話を簡単に伝えていく。……ここでは関係ないウィルさんのくだりは省略してるけど。
「ミルティアの口から『私の子孫』って言葉があったし、これまでの資料や情報を総合して……私はケアル家がミルティアの直系の子孫であり、元王族であると考えました」
物的証拠があるわけではない。反論されれば、何も言えなくなる可能性もある。一番の決め手として挙げたミルティア本人による証言すら、妄言だと言われたらそれまでである。なぜなら、それを聞いたという証明ができないから。
内心ドキドキしつつも、表面上は至って冷静ですよ……という雰囲気を保つ私。
ここでルーメンさんがどう切り込んでくるかで話も変わってくる。さて、どう出る?
「……くくっ」
私の話を聞き終えたルーメンさんは、目元を片手で覆いながら、堪えるように笑い始めた。
「そうか……これはやられたもんじゃ。ミルティア様自ら、ラルにコンタクトを取るとはのぉ? 予想外じゃよ」
予想外という割には楽しそうに笑ってらっしゃる気がしますが?
もう堪える気もないらしく、ひとしきり笑ったあと、ぼそっと何かを呟いたように見えた。
残念ながら、私の耳はそれを聞き取れなかったのだけれど。



~あとがき~
お話し中です。

次回、あれこれ話します。
この辺から真実が語られる……はず。
答え合わせです。

色々話すとごっちゃになりそうなんでしれっと終わります。

ではでは。